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単にセージという場合は、こちらのセージ(英:Common Sage、学名 ''Salvia officinalis'')のことをさすが、本来、英名のセージ(Sage)は、サルビア属全体のことをさすため、大変多くの種類がある。それらと区別するため、コモン・セージ、あるいは別名ガーデン・セージとも呼ぶ。
単にセージという場合は、こちらのセージ(英:Common Sage、学名 ''Salvia officinalis'')のことをさすが、本来、英名のセージ(Sage)は、サルビア属全体のことをさすため、大変多くの種類がある。それらと区別するため、コモン・セージ、あるいは別名ガーデン・セージとも呼ぶ。


== 概要 ==
== 特徴 ==
高さ50 - 70[[センチメートル|cm]]ほど。5 - 7月ごろに紫または白色の唇状花を咲かせる。長楕円形で柄のある葉は対生し、表面に細かい縮れがあるのが特徴。茎は成長するに従って根本から木質化する。株全体に独特の香りがある。
高さ50 - 70[[センチメートル|cm]]ほど。5 - 7月ごろに紫または白色の唇状花を咲かせる。長楕円形で柄のある葉は対生し、表面に細かい縮れがあるのが特徴。茎は成長するに従って根本から木質化する。株全体に独特の香りがある。


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== 利用法 ==
== 利用法 ==
1551年に、ドイツの薬草家が、「セージは医者、料理人にも、台所、地下室の場所も、貧富も問わず役に立つハーブである」という言葉を残している。また、古いアラビアのことわざには、「庭にセージを植えているものが、どうして死ぬことができようか」とあるように、古くから薬効に富む薬草として有名である。また、料理、装飾にも適している。薬効としては、特に殺菌力、消化促進、解熱、浄血作用に優れている。また、[[抗酸化物質|抗酸化作用]]が強く、[[ヨーロッパ]]などでは[[古代ローマ]]時代より免疫を助ける[[薬草]]として使われていた。また、[[紅茶]]が持ち込まれる以前は、[[鎮静薬|鎮静作用]]を持つお茶として使われていた
1551年に、ドイツの薬草家が、「セージは医者、料理人にも、台所、地下室の場所も、貧富も問わず役に立つハーブである」という言葉を残している。また、古いアラビアのことわざには、「庭にセージを植えているものが、どうして死ぬことができようか」とあるように、古くから薬効に富む薬草として有名である。また、料理、装飾にも適している。


観賞用としても栽培され、その品種も多い。また、花には[[ミツバチ]]が好んで集まることから、セージからとれる[[蜂蜜]]が、[[セルビア]]、[[モンテネグロ]]では主な輸出品のひとつとなっている。<ref>ハーブの事典 北野佐久子 東京堂出版</ref>
セージは、[[ローズマリー]]とともに他の[[スパイス]]に比べて際立って強い[[抗酸化作用]]を有している<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jos1956/26/12/26_12_754/_pdf 香辛料の抗酸化性]、斎藤 浩、油化学 Vol. 26 (1977) No. 12 </ref>。


セージは、[[ローズマリー]]とともに他の[[スパイス]]に比べて際立って強い[[抗酸化作用]]を有している<ref>{{Cite journal|和書|title=香辛料の抗酸化性 |author=斎藤 |journal=油化学 |volume=26 |date=1977 |issue=12 |naid=130001014596 |doi=10.5650/jos1956.26.754}}</ref>。
料理としては、葉を乾燥して[[ハーブ]]ティーとして飲用したり、肉の臭み消しに利用する。あるいはソーセージや加工食品の香辛料としても使用されている。特に、[[ドイツ料理]]、[[イタリア料理]]には欠かせない[[ハーブ]]となっている。また、[[豚肉]]と良く合わせられており、[[ソーセージ]]の語源となったという[[民間語源]]説もある。


=== 調味料 ===
観賞用としても栽培され、その品種も多い。また、花には[[ミツバチ]]が好んで集まることから、セージからとれる[[蜂蜜]]が、[[セルビア]]、[[モンテネグロ]]では主な輸出品のひとつとなっている。<ref>ハーブの事典 北野佐久子 東京堂出版</ref>
FDAから食品として認可している<ref name=nccih />。料理としては、葉を乾燥して[[ハーブ]]ティーとして飲用したり、肉の臭み消しに利用する。あるいはソーセージや加工食品の香辛料としても使用されている。特に、[[ドイツ料理]]、[[イタリア料理]]には欠かせない[[ハーブ]]となっている。また、[[豚肉]]と良く合わせられており、[[ソーセージ]]の語源となったという[[民間語源]]説もある。

=== 薬効 ===
古代エジプト医学、ローマ医学、ギリシャ医学にてセージは利用されていた<ref name=nccih />。しかし、どのような薬効があるかははっきりしていない<ref name="nccih">{{Cite report|title=Herbs at a Glance - Sage |date=2016-11-30 |publisher=[[アメリカ国立補完統合衛生センター]] |url=https://nccih.nih.gov/health/ginger}}</ref>。いくつかの研究では、喉の痛み、気分、記憶、血中コレステロール値などへの効果が指摘されているが、その精度は低い<ref name=nccih />。


== コモン・セージの変種 ==
== コモン・セージの変種 ==
セージ(英:Common Sage、学名 Salvia officinalis)の変種、類似品種には、花や葉の色などから名付けられた多くの種類がある。
セージ(英:Common Sage、学名 Salvia officinalis)の変種、類似品種には、花や葉の色などから名付けられた多くの種類がある。


[[パープルセージ]](Salvia officinalis 'Purpurascens')
* [[パープルセージ]](Salvia officinalis 'Purpurascens')
* [[ゴールデンセージ]](Salvia officinalis 'Icterina')

[[ルデンセージ]](Salvia officinalis 'Icterina')
* [[トリカラーセージ]](Salvia officinalis 'Tricolor')
* [[クラリーセージ]](Salvia sclarea)

[[カラーセージ]](Salvia officinalis 'Tricolor')
* [[チェリーセージ]](Salvia greggii)
* [[パイナップルセージ]](Salvia elegans)

[[クラリーセージ]](Salvia sclarea)
* [[フルセージ]](Salvia dorisiana)
* [[ペインテッドセージ]](Salvia viridis)

[[チェリーセージ]](Salvia greggii)
*[[ラベンダーセージ]](Salvia indigo spirer)

[[パイナップルセージ]](Salvia elegans)

[[フルセージ]](Salvia dorisiana)

[[ペインテッドセージ]](Salvia viridis)

•[[ラベンダーセージ]](Salvia indigo spirer)


== 栽培方法 ==
== 栽培方法 ==

2016年12月28日 (水) 11:06時点における版

セージ
セージ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: シソ目 Lamiales
: シソ科 Lamiaceae
: アキギリ属 Salvia
: セージ S. officinalis
学名
Salvia officinalis
和名
ヤクヨウサルビア(薬用サルビア)
英名
common sage
セージ
セージ(Spices, sage, ground)
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,317 kJ (315 kcal)
60.73 g
糖類 1.71 g
食物繊維 40.3 g
12.75 g
飽和脂肪酸 7.03 g
一価不飽和 1.87 g
多価不飽和 1.76 g
10.63 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(37%)
295 µg
(32%)
3485 µg
1895 µg
チアミン (B1)
(66%)
0.754 mg
リボフラビン (B2)
(28%)
0.336 mg
ナイアシン (B3)
(38%)
5.72 mg
ビタミンB6
(207%)
2.69 mg
葉酸 (B9)
(69%)
274 µg
ビタミンB12
(0%)
0 µg
コリン
(9%)
43.6 mg
ビタミンC
(39%)
32.4 mg
ビタミンD
(0%)
0 IU
ビタミンE
(50%)
7.48 mg
ビタミンK
(1633%)
1714.5 µg
ミネラル
ナトリウム
(1%)
11 mg
カリウム
(23%)
1070 mg
カルシウム
(165%)
1652 mg
マグネシウム
(121%)
428 mg
リン
(13%)
91 mg
鉄分
(216%)
28.12 mg
亜鉛
(49%)
4.7 mg
マンガン
(149%)
3.133 mg
セレン
(5%)
3.7 µg
他の成分
水分 7.96 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

セージ(英:Common Sage、学名 Salvia officinalis)はシソ科アキギリ属多年草または常緑低木。和名はヤクヨウサルビア地中海原産。属名でも分かるとおりサルビアSalvia splendens)に近縁であり、sage の一般名自体、ラテン語の salvia が(フランス語 sauge を経て)転訛したものである。

広義には、セージもサルビアもアキギリ属全般を指す。また、アキギリ属を、サルビア属とも呼ぶ。

単にセージという場合は、こちらのセージ(英:Common Sage、学名 Salvia officinalis)のことをさすが、本来、英名のセージ(Sage)は、サルビア属全体のことをさすため、大変多くの種類がある。それらと区別するため、コモン・セージ、あるいは別名ガーデン・セージとも呼ぶ。

特徴

高さ50 - 70cmほど。5 - 7月ごろに紫または白色の唇状花を咲かせる。長楕円形で柄のある葉は対生し、表面に細かい縮れがあるのが特徴。茎は成長するに従って根本から木質化する。株全体に独特の香りがある。

葉の色が異なったり斑が入ったりする園芸品種も存在する。

利用法

1551年に、ドイツの薬草家が、「セージは医者、料理人にも、台所、地下室の場所も、貧富も問わず役に立つハーブである」という言葉を残している。また、古いアラビアのことわざには、「庭にセージを植えているものが、どうして死ぬことができようか」とあるように、古くから薬効に富む薬草として有名である。また、料理、装飾にも適している。

観賞用としても栽培され、その品種も多い。また、花にはミツバチが好んで集まることから、セージからとれる蜂蜜が、セルビアモンテネグロでは主な輸出品のひとつとなっている。[1]

セージは、ローズマリーとともに他のスパイスに比べて際立って強い抗酸化作用を有している[2]

調味料

FDAから食品として認可している[3]。料理としては、葉を乾燥してハーブティーとして飲用したり、肉の臭み消しに利用する。あるいはソーセージや加工食品の香辛料としても使用されている。特に、ドイツ料理イタリア料理には欠かせないハーブとなっている。また、豚肉と良く合わせられており、ソーセージの語源となったという民間語源説もある。

薬効

古代エジプト医学、ローマ医学、ギリシャ医学にてセージは利用されていた[3]。しかし、どのような薬効があるかははっきりしていない[3]。いくつかの研究では、喉の痛み、気分、記憶、血中コレステロール値などへの効果が指摘されているが、その精度は低い[3]

コモン・セージの変種

セージ(英:Common Sage、学名 Salvia officinalis)の変種、類似品種には、花や葉の色などから名付けられた多くの種類がある。

栽培方法

種や苗で育てる。種は発芽率が低いので、1袋から4~5本、まともに成長するのは1~2本と思った方が良い。ただ、一度成長を始めるとほぼ放置していても勝手に育つ。

1年目は草のようだが、秋には根元から木のように変化する。幹はか細いので他の草木にもたれ気味。ただ、柔軟なため折れにくい。雪国では雪に押し倒され埋まってしまう。

3年目には枝が不恰好に伸び出すので、冬か春、葉が無い時に剪定したものを5cmくらいの深さで挿し木すると簡単に増やせる。種よりは確実である。

関連項目

脚注

  1. ^ ハーブの事典 北野佐久子 東京堂出版
  2. ^ 斎藤浩「香辛料の抗酸化性」『油化学』第26巻第12号、1977年、doi:10.5650/jos1956.26.754NAID 130001014596 
  3. ^ a b c d Herbs at a Glance - Sage (Report). アメリカ国立補完統合衛生センター. 30 November 2016.

外部リンク