X星人

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X星人
ゴジラシリーズのキャラクター
初登場怪獣大戦争
作者 韮沢靖(『FINAL WARS』デザイン)
土屋嘉男水野久美ほか(『大戦争』)
北村一輝伊武雅刀ほか(『FINAL WARS』)
あいざわかおり鵜川薫(『アイランド』)
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X星人(エックスせいじん)は、東宝の特撮映画ゴジラシリーズ」に登場する架空の宇宙人統制官と呼ばれる指導者のもと、綿密な計算にもとづいて地球を侵略しようとする。

登場作品

公開順。

  1. 怪獣大戦争(1965年)
  2. ゴジラ FINAL WARS(2004年)

特撮テレビ番組『ゴジラアイランド』、パチンコ『CRゴジラ3』にも登場している(古賀亘)。

『怪獣大戦争』のX星人

諸元
X星人
ALIEN X[1]
出身地 X星[2]

本作でのX星は、木星の13番目の衛星と設定されている[1]。「X星」の名は地球の天文学者が暫定的に命名したもので、星に住む宇宙人もそのことを知っており、星の調査にやって来た主人公2人に向けて「我々は、君たちの言う『X星人』だ」と名乗ったことから、「X星人」と呼ばれるようになる。

X星の岩山と砂の荒涼とした地表の下に、地底都市を建設して住んでいる。種族はヒューマノイドで、顔以外の全身にまとった灰色のタイツの上半身に大きな襟の立った黒いベスト状の衣装を着込み、両手には黒い手袋を着け、両足には黒いブーツを履いている。男性は細いゴーグルで目を隠しており、女性はすべて同じ顔である[1][3]。あらゆる物を番号で呼び、行動はすべて電子計算機(コンピュータ)の計算によって決定され[1]、ただ1人の統制官によって統率されている。恋愛も結婚も、計算機の指示以外の行動は許されない。宇宙航行技術においては、「光の速さに近づくことが目標」という信条を持っている。X星では化学合成でなければ生存に必要な水分が得られないため、水の豊富な地球を狙う。秘密裏に先遣隊を放って設立したダミー会社「世界教育社」を隠れ蓑にし、とある湖の湖畔に立つ別荘を秘密基地としている。基地では、24時間表記のアナログ時計を使う。ある特定の不協和音が弱点で、これを浴びると活動に著しい支障をきたす。

X星調査のために派遣された宇宙飛行士の富士一夫とグレンの前に姿を現し、統制官はX星を荒らし回る「怪物0」(ゼロ、キングギドラ)に対抗するため、の特効薬のデータと引き換えに「怪物01」(ゼロワン、ゴジラ)と「怪物02」(ゼロツー、ラドン)を貸してほしいと申し出る。ゴジラとラドンをX星へ連行し、キングギドラと戦わせて撃退するが、キングギドラの襲来はX星人のコントロール装置による自作自演であり、真の目的はゴジラとラドンにもコントロール装置を取り付け、3頭を地球侵略用に使役することであった。まもなく地球へ宣戦布告すると、3頭を地球へ送り込んで破壊活動を展開し、地球人に降伏を要求する。一方、鳥居哲夫が作った防犯ブザー「レディガード」がたまたまX星人の苦手な音を出す仕様だったため、それを事前に察知して「世界教育社」の名義でその権利を買い取って始末しようとしたところ、女性工作員の1人・波川が裏切ったために射殺するが、彼女の遺書やレディガードの秘密に気付いた哲男とグレンを取り逃がしたことで、弱点と地球基地の場所が地球側に露呈する。その後、Aサイクル光線車によってゴジラたちのコントロールを解除され、地球基地は高周波攻撃を受ける。完全に攻撃手段を失った統制官は「未来へ向かって脱出する」と言い遺して円盤もろとも自爆し、地球基地も爆発する。

『ゴジラ FINAL WARS』のX星人

『ゴジラ FINAL WARS』に登場。

X星の位置は不明であり、母星の本来の名は地球人には発音不能であるため、あえてX星人と名乗る[5]。男女を問わず黒コート姿で、一見すると地球人と同じ姿のヒューマノイドだが、その正体は醜悪な異形の者である。親衛隊は光線銃を装備するが、人間の姿でも地球人を上回る身体能力を持ち、格闘戦を好む[5]

統制官曰く「自分たちは地球人のミトコンドリアを摂取しなければ生きていけない」とされ、それを地球侵略の理由として地球人の家畜化を目論む[6]。以前にも地球に襲来したことがあり、当時は栄えていたとされるモスラが守っていた古代文明を、ガイガンを使って滅ぼしている。その際にX星人は地球人と交わり、後にミュータントと呼ばれる身体能力に優れた新人種を生み出すことになった[6]。そのうち、何万分の1の確率でカイザーと呼ばれるサイキック能力を持つ個体が誕生するとされる[6]。地球人ではミュータントのみが持つ特殊塩基のM塩基を保有しており、これはテレパシー能力に強く作用する性質があるため、X星人はM塩基が埋め込まれた他の生物を思うがままに操ることが可能となっている[6]

本編では球体型の宇宙船で地球に来訪し、世界各地で暴れていた怪獣を捕獲したり、妖星ゴラスが地球に衝突しようとしているのを教えたうえでその破壊を約束したりして、地球との交友を望んでいるように見せかける。しかし、ゴラスの存在を否定されたうえ、国連事務総長をはじめとする要人を秘密裏にすり替えていたことを暴露されるや、司令官に反感を持っていた参謀が司令官を射殺して統制官となり、高性能の戦闘機とコントロールした怪獣たちを使って地球に総攻撃を加える。統制官はカイザー能力で怪獣のみならず地球防衛軍の主力だったミュータント戦士をも支配下に置き、防衛軍を壊滅同然に追いやるが、唯一残った新・轟天号とそのクルーたちが封印されていたゴジラを蘇らせ、怪獣たちはゴジラによって次々と駆逐される。統制官およびその親衛隊は新・轟天号で母艦に突入してきた尾崎がカイザー能力に覚醒したことによって彼らとの白兵戦にも敗れ、統制官は母艦とX星人全員を道連れに自爆して滅びる。なお、それに際して呼び寄せていた怪獣モンスターXカイザーギドラに変貌するが、尾崎がカイザーエネルギーを分け与えたゴジラによって完全に息の根を止められる。

  • 演:北村一輝(参謀/統制官)[7]伊武雅刀(司令官)[7]魚谷佳苗坂口拓北岡久貴上地雄輔
  • 『ゴジラFINAL WARS 超全集』では、「地球人のミトコンドリアはX星人の生存に必要不可欠なため、三度地球に襲来してくる可能性がある」と示唆されている[6]
  • 統制官はジラがゴジラに倒された時、ジラがマグロを主食としていたことを揶揄するような台詞を吐く[注釈 1]
  • 人間体の衣装と本体のデザインは、韮沢靖が担当した[8][7]。醍醐国連事務総長の偽物が正体を晒すシーンでは、醍醐役の宝田明のダミーヘッドが用いられた[9][10]。また、X星人がかけているサングラスは、『怪獣大戦争』で使用された小道具をそのまま登場させている[11]

『ゴジラアイランド』のX星人

暗黒大皇帝率いる暗黒銀河帝国の一員として登場。地球攻撃隊長としてザグレスあいざわかおり)が地球に派遣される。しかしゴジラアイランドに住むゴジラをはじめとする怪獣たちや防衛部隊Gガードによって地球攻撃計画は失敗を重ね、ザグレスは更迭され、二代目隊長としてランデス鵜川薫)が派遣される。種族はヒューマノイドで、コスチュームは『怪獣大戦争』に登場したX星人に類似した宇宙服だが、上半身の大きな襟の立った黒いベスト状のジャケットにはマントが付いており、両腕はノースリーブでオペラグローブを着けている。下半身は緑色のタイツで両足には黒いブーツを履いている。

ザグレス
暗黒大皇帝の命令により地球攻撃隊隊長としてゴジラアイランドを攻撃するX星人。茶髪にケバいメイクが特徴。銃や剣のほか、口から吐く毒を武器とする。
ランデス
ザグレスに代わり2代目地球攻撃隊隊長となったX星人。常に扇子を持ち歩き、お嬢様言葉で話すのが特徴。普段は上品に振舞っているが、キレたり余裕が無くなると言動が下品になる。

その他の作品に登場するX星人

ファミリーコンピュータのゲーム『ゴジラ』、セガサターンの『ゴジラ 列島震撼』に登場する。

アニメーション映画版『GODZILLA』では、『怪獣大戦争』のX星人から着想を得て設定された「エクシフ」という異星人が登場する。独自の宗教観と高度な演算技術を持った種族で、母星を失って宇宙を放浪した果てに地球を訪れると、ゴジラに苦しめられている人類文明に介入して同盟を結び、地球人類にその宗教に基づく新たな精神的支柱を与えたが、地球人類がゴジラに完全敗北した事態に伴って現在では人類と共に地球を脱出している。一方、本来の目的は地球人類を文化的および精神的に洗脳支配することだったという可能性も示唆されている。

脚注

注釈

  1. ^ 監督の北村龍平は、DVDのオーディオコメンタリーでローランド・エメリッヒへのメッセージだと告白している。

出典

  1. ^ a b c d ゴジラ1954-1999超全集 2000, p. 194, 「地球を狙う侵略者たち」
  2. ^ a b 東宝特撮映画大全集 2012, p. 104, 「『怪獣大戦争』怪獣図鑑/資料館」
  3. ^ a b c d e f g 東宝特撮映画大全集 2012, p. 103, 「『怪獣大戦争』作品解説/俳優名鑑」
  4. ^ a b 東宝特撮映画大全集 2012, p. 105, 「『怪獣大戦争』撮影秘話」
  5. ^ a b GFW超全集 2005, pp. 30–31, 「ゴジラファイナルウォーズキャラクター図鑑 X星人」
  6. ^ a b c d e GFW超全集 2005, pp. 74–75, 「衝撃新事実発覚!! 人類はかつてX星人の家畜だった!!」
  7. ^ a b c 東宝特撮映画大全集 2012, p. 285, 「『ゴジラ FINAL WARS』作品解説/俳優名鑑」
  8. ^ GFW超全集 2005, pp. 84–85, 「MAKING OF ゴジラファイナルウォーズ デザイン」
  9. ^ GFW超全集 2005, p. 103, 「MAKING OF ゴジラファイナルウォーズ 撮影」
  10. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 287, 「『ゴジラ FINAL WARS』撮影秘話」
  11. ^ DVDのオーディオコメンタリーより。

参考文献

  • てれびくんデラックス愛蔵版(小学館
    • 『ゴジラ1954-1999超全集』構成・執筆 間宮“TAKI”尚彦、小学館〈てれびくんデラックス 愛蔵版〉、2000年1月1日。ISBN 4-09-101470-4 
    • 『ゴジラ ファイナルウォーズ超全集』構成 間宮“TAKI”尚彦、小学館〈てれびくんデラックス愛蔵版〉、2005年1月20日。ISBN 4-09-101498-4 
  • 『東宝特撮映画大全集』執筆:元山掌 松野本和弘 浅井和康 鈴木宣孝 加藤まさし、ヴィレッジブックス、2012年9月28日。ISBN 978-4-86491-013-2