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阿毘達磨発智論

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阿毘達磨発智論
基本情報
宗教 上座部仏教
作者 迦多衍尼子
言語 サンスクリット語
時期 仏滅後三百年中ごろ[1]
集本 8[1]
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阿毘達磨発智論(あびだつま ほっちろん、: Jñānaprasthāna)、は説一切有部論蔵におさめられる論書である[1]。略称として発智論(ほっちろん)が用いられる傾向にある[1]

迦多衍尼子(カーティヤーヤニープトラ)により、北インドのチーナブクティ国〈那僕底; Cīnabhukti〉にて執筆されたという[1]。本書には玄奘訳二十巻の他に、僧伽提婆竺仏念共訳『阿毘曇八犍度論』三十巻がある。

本書に対する膨大な注釈が『阿毘達磨大毘婆沙論』である。

名称

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Abhidharma Jñāna-prasthāna śāstra は「知恵への道論」との意味になる。

内容

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本書は、雑・結・智・業・大種・根・定・見の八蘊で構成され[1]、説一切有部の教学を発展させた書である。

古来より、『集異門足論』・『法蘊足論』・『施設論』・『識身足論』・『界身足論』・『品類足論』の「六足論」に対して「身論」と呼ばれてきた。本書ではじめて六因[2]の解釈が明確に詳細に論じられた。[要出典]

日本語訳

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  • 櫻部建・加治洋一訳 『発智論I・II』(新国訳大蔵経毘曇部1・2) 大蔵出版

脚注・出典

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  1. ^ a b c d e f 望月信亨『望月仏教大辞典』第1巻 (アーケ)』世界聖典刊行協会、1954年、アビダツマホッチロン。doi:10.11501/3000331 
  2. ^ 『発智論』[大正蔵26巻920c]、猶『甘露味論』にも記述が見えるが、『甘露味論』は『発智論』の後とみなして良いであろう。cf. 櫻部[1969 pp. 113-114]『倶舎論の研究』法蔵館。

関連項目

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関係文献

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