ホンダ・S660

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ホンダ・S660
JW5型
α フロント
Honda S660 α.jpg
α リヤ
Honda S660 α (JW5) rear.JPG
α コクピット
HONDA S660 JW5 03.jpg
販売期間 2015年3月30日-
乗車定員 2人
ボディタイプ 2ドア オープン
エンジン S07A型 660cc 直3 DOHC
駆動方式 MR
最高出力 47kW(64PS)/6,000rpm
最大トルク 104N・m(10.6kg・m)/2,600rpm
変速機 6速MT / CVT
サスペンション マクファーソン・ストラット(前・後共)
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,180mm
ホイールベース 2,285mm
車両重量 830-850kg
先代 ビート(実質的)
※SシリーズとしてはS2000
-自動車のスペック表-

S660(エスロクロクマル)は、本田技研工業が開発し販売する軽自動車規格の2人乗りタルガトップタイプのオープンカー。製造を関連会社の八千代工業四日市製作所が担当する。Sシリーズの第5弾に当たる。

概要[編集]

1996年1月に販売を終了したビート以来、19年3か月ぶりとなる軽自動車規格のオープンカーになる。2013年11月の東京モーターショー2013に参考出品されていた「Honda S660 CONCEPT」をベースに市販化したモデル。FRレイアウトのS2000(後述する椋本の愛車でもある)同様に“S”を名乗るものの、MRレイアウトのため、従来の系譜とは大きく異なる。

企画そのものは、本田技術研究所設立50周年を記念し、社内で「新商品企画提案」が開催されたことに端を発し、応募総数約800件の中から第1位に選ばれた椋本陵の案が原案となっているが、1988年生まれの椋本は、上述のビートに対するリメイクが一切ない状態で企画を提案した[1]

入社4年目だった椋本は上述の経緯から、2011年にS660のLPL(ラージプロジェクトリーダー、開発責任者)に史上最年少で選出された[2]。椋本はモデラー部門在籍故にエンジニアの経験がないため、LPL代行としてLPLやPL(プロジェクトリーダー)経験のある3人のベテランエンジニアをバックアップに充てたものの、それ以外の開発PLは、平均年齢30代のメンバーで構成されている。

生産に際しては、上述の八千代工業で行われるが、従来、FF車(ライフゼストなど)を生産していたラインを改修して活用することで、コストの増大を極力抑えると同時に、専用の検査ラインを含め、人の手と機械を融合させた専用行程を取り入れた少量生産技術での生産を採り入れることで、工員のスキルとモチベーションを引き上げるようにした。こうした一連の工程ゆえに月あたりの生産台数が限られている。

2015年、Yahoo!検索大賞 2015・クルマ部門賞を受賞[3]

メカニズム[編集]

エンジンにはN-BOXシリーズをはじめとするNシリーズに搭載されているS07A型ターボエンジンをベースに新設計のターボチャージャーを採用した改良型を搭載するが、痛快なハンドリングを実現すべく、横置きミッドシップレイアウトとすることで最適な重量バランスとしている。トランスミッションにはMTCVTの2種類を設定しており、MTはエンジンパワーを最大限に活用するため、ワイドレンジ・クロスレシオに設定した軽自動車初の6速MTを採用。CVTはスポーツモードへの切替もできる7速パドルシフト付とした。併せて、CVT車にはアイドリングストップシステムも搭載しており、全車で「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)」認定を取得するとともに、CVT車は「平成27年度燃費基準+10%」、MT車は「平成27年度燃費基準」をそれぞれ達成している。

シャシは完全新設計で、ボディは高い剛性を確保しつつ、各部の形状を徹底的にシンプルに仕立てた「一線入魂ボディ」を採用している。また、サスペンションも操安性を向上させる目的で、ビート以来の4輪ストラットを採用すると同時に、スムースな車両挙動を実現すべく、「アジャイルハンドリングアシスト」が軽自動車で初めて採用された。

安全装備に対しても積極的で、全車にVSAABSTCS・横滑り抑制)や両席i-SRSエアバッグ/サイドエアバッグの採用のみならず、LEDヘッドライト(ロービーム)をも標準で採用する。同時に、全車にメーカーオプションでシティブレーキアクティブシステムが選べるようにもなっている。なお、シティブレーキアクティブシステムは近赤外線センサーを採用し、30km/h以下で必要に応じてブレーキを自動操作する仕組みとなっている。

分類上はオープンカー(車検証では「幌型」と記載されている)だが、ルーフの開閉部分は頭上のみなので、ボディの構造的にいえばタルガトップに近い。そのルーフ開閉部分は「ロールトップ」と呼ばれ、開閉は簡単にできるように軽量化されるが、積雪時でも耐えられるレベルの強度を確保している。外したロールトップはフロントフード内にあるユーティリティボックスに収納が可能となっている。なおラゲッジスペースはなく、幌のクローズ時にユーティリティボックスが少量の荷物収納スペースとなる程度である。両座席後方にはリヤパワーウインドゥと呼ばれる小窓があり、風の整流調整とエンジンサウンドを堪能できるようになっている。


沿革[編集]

  • 2013年10月23日 - 東京モーターショー2013に次世代軽オープンスポーツモデルとして、「Honda S660 CONCEPT」を出展することを発表[4]
  • 2015年3月30日 - 公式発表・発売し、同時に特別仕様車「CONCEPT EDITION」も発表した(同年4月2日販売開始、即日完売)[5]
グレード体系は標準仕様の「β」と上級仕様の「α」の2タイプを設定する。「α」は専用装備として、クルーズコントロール、ステンレス製スポーツペダル、本革巻ステアリングホイール、スポーツレザーシート(本革×ラックススエード)を装備するほか、インテリアパーツにクロームメッキを採用した。
特別仕様車「CONCEPT EDITION」は前述の「Honda S660 CONCEPT」をモチーフとしたモデルで、外観はロールトップをボルドーレッドに、サイドミラーを2トーンカラーにそれぞれ変更し、エキパイフィニッシャーに内部ブラック塗装を、ボディ全体とドアガラスに撥水コート(ボディは「ウルトラグラスコーティングNEO」)が施された。内装は運転席アシンメトリーカラースポーツレザーシート、本革巻ステアリングホイール、シフトブーツ及び6MT車専用装備の本革巻MTシフトノブにレッドステッチを施し、シリアルナンバー付アルミプレートとセンターディスプレイ(internavi POCKET連携対応)を装備。さらに、カタロググレードではメーカーオプション設定となっているシティブレーキアクティブシステムを標準装備した。
なお、公式発表当日に多くのユーザーからの注文が入った関係で、納期までに3か月以上、最長1年待ち(同年7月以降の工場出荷予定)を要する見込みであることを発表した[6]
  • 2016年11月18日 - ボディーパネルの塗装において、「カーニバルイエローII(「α」専用色)」の顔料の選定が不適切だったために耐候性が不足しているものがあり、日射等に曝されると塗装が早期に褪色する恐れがあることが分かり、サービスキャンペーンを開始。「カーニバルイエローII」を対象に、フード(フロント・エンジン)、フェンダー(フロント左右・リア左右)、左右ドアパネルを対策塗料で塗装したものに交換し、左右サイドシルとボディーパネル(ボディーパネルに関しては準備ができ次第対応)は対策塗装にて再塗装される[7]
  • 2017年
    • 5月18日 - 特別仕様車「Bruno Leather Edition(ブルーノ レザー エディション)」を発表(6月2日販売開始、11月30日までの期間限定受注)[8]
    同年1月に「東京オートサロン2017」に参考出品[9]されていたものを市販化したもので、「α」をベースに、ドアミラーをブラックに、アルミホイールをオールブラックにそれぞれ変更し、スポーツレザーシート・本革巻ステアリングホイール・インパネソフトパッドにジャズブラウンインテリアを採用。さらに、専用アルミ製コンソールプレートとセンターディスプレイ(internavi POCKET連携対応)も装備した。ボディカラーは既存の「プレミアムスターホワイト・パール(オプションカラー)」と「アドミラルグレー・メタリック」の2色に、特別色の「ベルベットマルーン・メタリック」を加えた3色が設定される。
    • 10月20日 - 特別仕様車「#komorebi edition(コモレビ エディション)」を発表(11月10日販売開始、2018年1月31日までの期間限定受注)[10]
    「β」のCVT車をベースに、ルーフトップにブラウン、シートとインパネソフトパッドに専用ライトタンカラーインテリアをそれぞれ採用し、#komorebiロゴ入りのアルミ製コンソールプレートを装着。また、ベース車ではメーカーオプションとなるシティブレーキアクティブシステム(低速衝突軽減ブレーキ+誤発進抑制機能)を標準装備した。ボディカラーは既存の「プレミアムスターホワイト・パール(オプションカラー)」と「フレームレッド」の2色に、特別色の「ヒダマリアイボリー・パール」を加えた3色が設定される。

脚注[編集]

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  1. ^ モーターファン別冊 ニューモデル速報 第512弾 HONDA S660のすべて P14-15
  2. ^ 【きょうの人】ホンダ「S660」開発責任者、椋本陵(むくもと・りょう)さん(26) 歴代最年少の開発者「『ホンダっていいね』のきっかけに」 - 産経ニュース
  3. ^ Yahoo!検索大賞:“今年の顔”に三代目JSB 大賞受賞に「全ての方に感謝」”. MANTAN WEB (2015年12月9日). 2015年12月9日閲覧。
  4. ^ “「第43回東京モーターショー」 Hondaブース出展概要について 〜Honda独創のモビリティコンセプトモデルを出展〜” (プレスリリース), 本田技研工業株式会社, (2013年10月23日), http://www.honda.co.jp/news/2013/c131023.html 2015年3月30日閲覧。 
  5. ^ “新型オープンスポーツ「S660(エスロクロクマル)」を発売” (プレスリリース), 本田技研工業株式会社, (2015年3月30日), http://www.honda.co.jp/news/2015/4150330-s660.html 2015年3月30日閲覧。 
  6. ^ “「S660(エスロクロクマル)」納期について” (プレスリリース), 本田技研工業株式会社, (2015年3月30日), http://www.honda.co.jp/news/2015/4150330.html 2015年3月30日閲覧。 
  7. ^ S660のサービスキャンペーン”. 本田技研工業株式会社 (2016年11月18日). 2017年5月18日閲覧。
  8. ^ “「S660(エスロクロクマル)」に特別仕様車を設定し発売” (プレスリリース), 本田技研工業株式会社, (2017年5月18日), http://www.honda.co.jp/news/2017/4170518-s660.html 2017年5月18日閲覧。 
  9. ^ “「東京オートサロン2017」出展概要” (プレスリリース), 本田技研工業株式会社, (2016年12月16日), http://www.honda.co.jp/news/2016/4161216.html 2017年5月18日閲覧。 
  10. ^ “「S660」に特別仕様車を設定し発売” (プレスリリース), 本田技研工業株式会社, (2017年10月20日), http://www.honda.co.jp/news/2017/4171020-s660.html 2017年10月20日閲覧。 

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]