ホンダ・F型エンジン

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F22C

F型エンジン(Fがたエンジン)は、本田技研工業で製造されていた中型車種及びS2000用の直列4気筒ガソリンエンジンである。

機構[編集]

SOHC/DOHC 4Valve[編集]

  • F18A,F20A,F20B,F22A,F22B

従来のA型及びB型の後継エンジンにあたる、直列4気筒 16バルブ クロスフロー エンジンである。回転方向も従来と同じ時計回り[1]である。

動弁系機構にはSOHC仕様とDOHC仕様とがあり、吸・排気バルブはそれぞれ2個ずつで、タイミングベルトで駆動されるカムシャフトにより、ロッカーアームを介し開閉される。点火プラグ燃焼室の天井中央部に取付けられており、SOHC仕様はカムシャフトを避けるために上側を吸気バルブ側に傾けている。シリンダーブロックは、4連シリンダーボアのアルミダイカスト製で、クランクシャフトの支持剛性を上げるためにディープ・スカート形状になっている。2次のエンジンの振動を低減させるためのバランサーが装着された。

燃料供給装置には、キャブレター(ダウンドラフト,固定ベンチュリ)仕様とPGM-FI(マルチポイント-インテークマニホールド噴射)仕様とが存在する。キャブレターには空燃比をより精密に制御するための2次エアが導入されている。PGM-FI仕様のインテークマニホールドに可変吸気装置が装備されている。

SOHC/DOHC VTEC[編集]

  • F18B,F20B,F22B,F22B,F23A

タイプR用B型エンジンやC型エンジン等のDOHC VTECとは異なり、高出力と実用性を両立するために、可変バルブタイミング・リフト機構が装備されている。SOHC仕様には吸気側カムシャフトにのみハイ/ロー2種類のカム駒を設け、そこに接するスイングアームを切り替え、吸気バルブの開閉タイミング(バルブタイミング)とリフト量を変化させる仕様と、低速域[2]で吸気バルブのうち片方をほぼ休止することによりリーンバーン運転をする「VTEC-E」に類似した仕様とがある。さらに、ロッカーアームのカムとの摺動部にはフリクションの低減のために、ローラーを適用した。 DOHC仕様は吸・排気ともバルブタイミングとリフト量を変化させ、中・低速域のトルクと高速域の出力を両立させている。

燃料供給装置はPGM-FI仕様のみで、低燃費化のために一部仕様には、インテークマニホールドから2次エアを供給し、燃料の霧化を促進するAAI(エアアシストインジェクター)と、吸気バルブ休止時に機能するスワールポートとが装備されている。さらに、電動EGRバルブを適用し、EGR流量の大流量化と高精度の制御を行い、NOx排出の低減と低燃費化をはかっている。

第2世代 DOHC VTEC[編集]

  • F20C,F22C

S2000用に開発され、NAエンジンでの高出力化を実現するために各部を進化させたもので、従来のDOHC VTECをさらなる高回転/高出力化させながら、軽量/コンパクト化もはかられている。回転方向は、他のF型エンジンとは異なる逆時計回りである。

フリクションの低減のために、ロッカーアームのカムとの摺動部にローラーを適用し、そのローラーにVTECの連結ピンを内蔵することにより、慣性重量を低減し高回転化に対応した。カムシャフトの駆動には、タイミングベルトより幅が薄いタイミングチェーンが採用され、シリンダーヘッドのコンパクト化をはかった。 ピストンは軽量化と強度upのためにアルミ鍛造製を適用し、浸炭が施された鍛造製コネクティングロッドは小端部をテーパー形状にするなど慣性重量を低減、クランクシャフトの軸受けはラダーフレーム構造を採用するなど、各部に高回転化の対応がはかられている。

インテークマニホールドは、スロットルレスポンスのために容積が減らされ、高出力化のためにポート形状をストレート化した。エキゾーストマニホールドステンレス製の4-2-1集合[3]で、排気抵抗の低減や排気脈動による排気効率を高めた。

同時に低排出ガス化もはかられ、COHC、NOxとも平成12年排出ガス規制値を50%以上 下回っている。排気ガス浄化をおこなう三元触媒には背圧や熱容量が少ないメタルハニカムを使用し、エアポンプによる排気2次エアー供給システムが装備されている。

歴史[編集]

  • 1989年9月13日に発表された4代目アコード及び初代アスコットに、1,800ccのF18Aと2,000ccのF20A(SOHCとDOHCの2種)とが初めて採用された。
  • 1997年8月22日に発表された初代オデッセイのマイナーチェンジで、SOHC VTECを採用した2,300ccのF23Aが初めて採用された。
  • 1999年4月15日に発表された初代S2000に、世界最高水準の高出力と先進の低排出ガス化とを両立した2,000ccのF20Cが初めて採用された。
  • 2009年にS2000の生産終了によって、F型エンジンの生産も終了した。

存在したバリエーション[編集]

F18A[編集]

  • 弁機構:SOHC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:1,849cc
  • 内径×行程:85.0mm×81.5mm
  • 燃料供給装置形式:キャブレター
  • 参考スペック(CB1 アコード)
    • 最高出力:77kW(105PS)/6,000rpm
    • 最大トルク:143N·m(14.6kgf·m)/4,000rpm

F18B[編集]

  • 弁機構:SOHC VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:1,849cc
  • 内径×行程:85.0mm×81.5mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(CF3 アコード)
    • 最高出力:103kW(140PS)/6,100rpm
    • 最大トルク:169N·m(17.2kgf·m)/5,000rpm

F20A[編集]

SOHC キャブレター仕様[編集]

  • 弁機構:SOHC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:1,997cc
  • 内径×行程:85.0mm×88.0mm
  • 燃料供給装置形式:キャブレター
  • 参考スペック(CB3 アコード)
    • 最高出力:81kW(110PS)/6,000rpm
    • 最大トルク:158N·m(16.1kgf·m)/3,80rpm

SOHC PGM-FI仕様[編集]

  • 弁機構:SOHC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:1,997cc
  • 内径×行程:85.0mm×88.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(CB3 アコード)
    • 最高出力:96kW(130PS)/5,500rpm
    • 最大トルク:177N·m(18.1kgf·m)/4,500rpm

DOHC仕様[編集]

  • 弁機構:DOHC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:1,997cc
  • 内径×行程:85.0mm×88.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(CB3 アコード)
    • 最高出力:110kW(150PS)/6,100rpm
    • 最大トルク:186N·m(19.0kgf·m)/5,000rpm

F20B[編集]

SOHC仕様[編集]

  • 弁機構:SOHC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:1,997cc
  • 内径×行程:85.0mm×88.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(CD4 アコード)
    • 最高出力:99kW(135PS)/5,700rpm
    • 最大トルク:181N·m(18.5kgf·m)/4,500rpm

SOHC VTEC仕様[編集]

  • 弁機構:SOHC VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:1,997cc
  • 内径×行程:85.0mm×88.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(CF4 アコード/トルネオ)
    • 最高出力:110kW(150PS)/6,000rpm
    • 最大トルク:186N·m(19.0kgf·m)/5,000rpm

DOHC VTEC仕様[編集]

  • 弁機構:DOHC VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:1,997cc
  • 内径×行程:85.0mm×88.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(CF4 アコード/トルネオ)
    • 最高出力:147kW(200PS)/7,200rpm
    • 最大トルク:196N·m(20.0kgf·m)/6,600rpm

F20C[編集]

  • 弁機構:DOHC VTEC チェーン駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:1,997cc
  • 内径×行程:87.0mm×84.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(AP1 S2000)
    • 最高出力:184kW(250PS)/8,300rpm
    • 最大トルク:218N·m(22.2kgf·m)/7,500rpm

F22A[編集]

  • 弁機構:SOHC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:2,156cc
  • 内径×行程:85.0mm×95.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(CB9 アコードワゴン)
    • 最高出力:103kW(140PS)/5,600rpm
    • 最大トルク:192N·m(19.6kgf·m)/4,500rpm

F22B[編集]

SOHC 仕様[編集]

  • 弁機構:SOHC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:2,156cc
  • 内径×行程:85.0mm×95.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(BB5 プレリュード)
    • 最高出力:99kW(135PS)/5,200rpm
    • 最大トルク:192N·m(19.6kgf·m)/4,500rpm

SOHC VTEC仕様[編集]

  • 弁機構:SOHC VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:2,156cc
  • 内径×行程:85.0mm×95.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(CD5 アコード)
    • 最高出力:107kW(145PS)/5,500rpm
    • 最大トルク:198N·m(20.2kgf·m)/4,500rpm

DOHC仕様[編集]

  • 弁機構:DOHC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:2,156cc
  • 内径×行程:85.0mm×95.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(BA8 プレリュード)
    • 最高出力:118kW(160PS)/6,000rpm
    • 最大トルク:201N·m(20.5kgf·m)/5,000rpm

F22C[編集]

  • 弁機構:DOHC VTEC チェーン駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:2,156cc
  • 内径×行程:87.0mm×90.7mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(AP2 S2000)
    • 最高出力:178kW(242PS)/7,800rpm
    • 最大トルク:221N·m(22.5kgf·m)/6,500~7,500rpm

F23A[編集]

  • 弁機構:SOHC VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:2,253cc
  • 内径×行程:86.0mm×97.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(RA6 オデッセイ)
    • 最高出力:110kW(150PS)/5,800rpm
    • 最大トルク:206N·m(21.0kgf·m)/4,800rpm

搭載されていた車種[編集]

F18A[編集]

F18B[編集]

F20A[編集]

F20B[編集]

  • アコード(CD4)
  • アコード/トルネオ(CF4/5)
  • アコードクーペ(CG4)
  • いすゞ・アスカ(CJ1/3)

F20C[編集]

F22A[編集]

F22B[編集]

F22C[編集]

  • S2000(AP2)

F23A[編集]

  • アコードワゴン(CF6/7)
  • アヴァンシア(TA1/2)
  • オデッセイ(RA3/4/6/7)
  • アコードクーペ(CG3)
  • CL(YA3)

脚注[編集]

  1. ^ 出力取出軸端より見た時の回転方向。JIS B 8001による。
  2. ^ エンジン回転数の正式名称はエンジン回転速度。 JIS B 0108-1による。
  3. ^ 各気筒の排気管を、点火順序を考慮し排気干渉が起きないように集合させている。エンジン前側より1番,4番とした場合、1番気筒と4番気筒、2番気筒と3番気筒をそれぞれ集合させた後、1本に集合させたもの。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]