そして誰もいなくなった
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『そして誰もいなくなった』(そしてだれもいなくなった、Ten Little Niggers、米版Ten Little Indians, And Then There Were None)は、アガサ・クリスティによる推理小説。1939年11月にコリンズ・クライム・クラブにて発表された。
孤島から出られなくなった10人が1人ずつ殺されていくという、クローズド・サークルと呼ばれるジャンルの代表的作品である。全世界で1億部以上を売り上げ,そしてその圧倒的な評価の高さからクリスティの傑作のひとつに挙げられる。作者自身により戯曲化されており、何度も舞台や映画、テレビドラマとして上演されている。日本では早川書房が独占翻訳権を持つ。
目次 |
[編集] あらすじ
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。 →[記述をスキップ]
イギリス、デヴォン州のインディアン島に、年齢も職業も異なる10人の男女が招かれた。しかし、招待状の差出人でこの島の主でもあるU・N・オーエンは、姿を現さないままだった。やがてその招待状は虚偽のものであることがわかったが、迎えの船が来なくなったため10人は島から出ることができなくなり、完全な孤立状態となってしまう。
10人が不審に思った晩餐のさなか、彼らの過去の罪を告発する謎の声が響き渡った。その声は蓄音機からのものとすぐに知れるのだが、その直後に生意気な青年が毒薬により、さらに翌朝には召使の夫人が原因不明で死んでしまう。残された者は、それが童謡『10人のインディアン』を連想させる死に方であることに気づき、またその場に始め10個あったインディアン人形が8個に減っていることにも気づく。さらに老将軍の、今度ははっきりと撲殺された死体が発見され、人形もまた1つ減っているのを確認するころにはもう皆は、これは自分たちを殺すための招待だった、そして犯人オーエンは島に残された7人の中の誰かなのだ、と確信する。
誰が犯人かわからない疑心暗鬼の中で、召使、老婦人、元判事、医者が死体となり、人形も減っていく。そして、残された3人も最後には残らず死んでしまい、誰もいなくなった。後日、10人の死体が発見され、警察の捜査が始まっても、誰の犯行かはわからずじまいであった。
謎を解く探偵などは登場せず、真相は、犯人がボトルに入れて流した告白文を、漁師が偶然拾って明らかになる。
- 補足:原作の小説では島にいた10人全員の死亡で終わるこの物語だが、クリスティ本人による戯曲、および、それを元にしている映画では、もともとこの童謡の歌詞には最後の1人についてのくだりが異なる2通りのものがあることを上手く利用し、生存者のあるラストに変更されている。
以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。
[編集] 題名と歌
原書名はTen Little Niggers、直訳すると「10人の小さな黒んぼ」という意味で、マザー・グースの1曲Ten Little Nigger Boysから採られている。nigger(ニガー)は差別的なニュアンスの言葉であり、アメリカで刊行されたときはこれを考慮して、Ten Little Indians(10人の小さなインディアン)となり、後にAnd Then There Were None(そして誰もいなくなった)となった。
Ten Little Indiansはアメリカ人のセプティマス・ウィンナーによる1868年の作品、Ten Little Nigger Boysはイギリス人のフランク・グリーンによる1869年の作品である。『そしてだれもいなくなった』執筆当時のイギリスでは後に発表されたTen Little Nigger Boysの方が広く知られていたが、アメリカではTen Little Indiansの方が広く知られていた。Ten Little Nigger Boysは、現在では前述の言葉の問題から好ましくないとされている。
[編集] 登場人物
- ヴェラ・クレイソーン
- 秘書・家庭教師を職業とする娘。
- ローレンス・ウォーグレイヴ
- 高名な元判事。
- フィリップ・ロンバート
- 元陸軍大尉。
- エミリー・ブレント
- 信仰のあつい老婦人。
- マカーサー将軍
- 退役の老将軍。
- アームストロング
- 医師。
- アンソニー・マーストン
- 遊び好きの青年。
- ブロア
- 元警部。
- ロジャース
- オーエン家の召使。
- ロジャース夫人
- オーエン家の召使。
- オーエン夫妻
- インディアン島の持ち主。夫はUlick Norman Owen、妻はUna Nancy Owenと名乗って招待状の差出人になっている。略すとU.N.Owen、つまり「UNKNOWN(何者とも判らぬ者)」とかけられている。
[編集] 映像化
- 映画
- And Then There Were None(そして誰もいなくなった) アメリカ 1945年
- Ten Little Indians(姿なき殺人者) イギリス 1965年
- Ten Little Indians(そして誰もいなくなった) 1974年
- Десятъ нергритят ソ連 1987年
- Death on safari(サファリ殺人事件) アメリカ 1989年
- テレビ作品
[編集] 日本語版
- そして誰もいなくなった、愛国殺人、フランクフルトへの乗客(世界ミステリ全集1、清水俊二、加島祥造、永井淳訳) 早川書房、1972年2月
- そして誰もいなくなった(清水俊二訳) 早川書房(Hayakawa pocket mystery books)、1975年3月
- そして誰もいなくなった(清水俊二訳) 早川書房(ハヤカワ・ミステリ文庫)、1976年
- そして誰もいなくなった(福田逸訳) 新水社、1984年1月
- そして誰もいなくなった(福田逸訳) 新水社、2000年9月
- そして誰もいなくなった(清水俊二訳) 早川書房(ハヤカワ文庫クリスティー文庫)、2003年10月
[編集] 関連書籍
- 直井明 - 『本棚のスフィンクス 掟やぶりのミステリ・エッセイ』論創社 - 当作品のプロットについて、詳細に分析した文章が収録。
[編集] 関連項目
- そして誰もいなくなる - 本作をモチーフに執筆された今邑彩の著作。


