蜘蛛の巣 (アガサ・クリスティ)
『蜘蛛の巣』(くものす、原題:Spider's Web)は、イギリスの女性推理小説作家アガサ・クリスティの戯曲。オリジナルのコミカルな推理劇である。1954年に発表され、上演回数774回のロングランを記録した。
なお、題名はウォルター・スコットの詩『マーミアン』の一節から採られており、作中で登場人物の1人がこの詩を引用するシーンがある。
あらすじ[編集]
クラリサ[1]は外交官の夫ヘンリーと、夫と前妻ミランダとの間に出来た娘ピパ[2]を引き取ってケント州のコップルストーン邸で平穏に暮らしていた。ある日の夕方、クラリサは来客の1人と雑談中に「もしもある朝書斎で死体を見つけたら自分はどうするだろうか」という「空想ゲーム」について話す。その後、ミランダの再婚相手のオリバーが自宅に立ち寄る。そしてクラリサは帰ったはずのオリバーの死体を見つけることとなる―
登場人物[編集]
- ヘンリー・ヘイルシャム=ブラウン
- 外交官。器量はよいがやや無表情な40歳代の男性。
- クラリサ・ヘイルシャム=ブラウン
- 本作品の主役。ヘンリーの後妻。ヘンリーとは年が離れている。想像力豊かで人を楽しませるために罪のない嘘をつく若い女性。
- ピパ・ヘイルシャム=ブラウン
- ヘンリーと前妻ミランダとの間の娘。ひょろっとした体格の12歳の少女。クラリサに懐いている。
- ローランド・デラヘイ卿
- 元政治家。気品があり魅力的な50歳過ぎの男性。コップルストーン邸の客でクラリサの叔父。
- ヒューゴー・バーチ
- 弁護士。やや短気なところのある60がらみの男性。コップルストーン邸の客。
- ジェレミー・ウォリンダー
- 実業家の秘書。エレガントな若い男性。コップルストーン邸の客。
- ミルドリッド・ピーク
- コップルストーン邸の庭師。菜園の仕事をしている大柄で口やかましい中年女性。
- エルジン
- 執事。台所仕事を担当する妻と共々コップルストーン邸に仕える中年男性。
- オリバー・カステロー
- ミランダの再婚相手。浅黒くハンサムな顔立ちをしたペテン師。
- ロード警部
- コップルストーン邸に現れる警官。
- ジョーンズ巡査
- 警部とともにコップルストーン邸に現れる。
- 検死医
- 警部たちに遅れてコップルストーン邸に現れる。
構成[編集]
時は現代、季節は3月。ケント州コップルストーン邸(ヘイルシャム=ブラウンの自宅で家具付きの借家)の客間を舞台とする3幕構成。
- 第1幕 - 3月のある夕方
- 第2幕
- 第1場 - その15分後
- 第2場 - その10分後
- 第3幕 - その2,3分後
書誌情報[編集]
日本語翻訳版のみ記載
- 『蜘蛛の巣』加藤恭平訳、早川書房(クリスティー文庫)、2004年6月発行、 ISBN 4-15-130068-6 他
脚注[編集]
- ^ クリスティの本名アガサ・メアリ・クラリサ・ミラーの一部をとって名付けられた。
- ^ ロバート・ブラウニングの詩『ピッパが通る』から名付けられた。