風の谷のナウシカ

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風の谷のナウシカ
ジャンル SFファンタジー
漫画
作者 宮崎駿
出版社 徳間書店
掲載誌 アニメージュ
レーベル アニメージュコミックス ワイド判
発表号 1982年2月号 - 1994年3月号
巻数 全7巻
話数 全59話
映画:風の谷のナウシカ
監督 宮崎駿
制作 トップクラフト
配給 東映
封切日 1984年3月11日
上映時間 116分
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

風の谷のナウシカ』(かぜのたにのナウシカ)は、宮崎駿による日本漫画作品。アニメーション監督・演出家でもある宮崎が、1982年に徳間書店アニメ情報誌アニメージュ』誌上にて発表したSFファンタジー作品[1]。戦争による科学文明の崩壊後、異形の生態系に覆われた終末世界を舞台に、人と自然の歩むべき道を求める少女ナウシカの姿を描く。1984年には宮崎自身の監督による劇場版アニメ『風の谷のナウシカ』が公開された。2019年には歌舞伎化された[2]

漫画は『アニメージュ』1982年2月号より連載を開始し、映画制作などのため4度の中断期間[3][4]を挟みながら、1994年3月号にて完結した。1994年に第23回日本漫画家協会賞大賞、1995年、第26回星雲賞コミック部門を受賞。2020年12月時点で単行本の累計発行部数は1700万部を突破している[5]。海外でも8か国語で翻訳・出版されている。

あらすじ

高度産業文明を崩壊させた「火の7日間」という最終戦争から1000年後、汚染された大地には異形の生態系である巨大な菌類の森「腐海」が拡がり、腐海を守る「蟲」と呼ばれる昆虫に似た巨大生物たちが生息する。拡大する腐海に生育する菌類が放出する「瘴気」は、蟲たち以外には猛毒のガスである。衰退した人類が腐海の瘴気と蟲に怯える、荒廃した世界が描かれている。この世界に存在する、トルメキア土鬼(ドルク)という敵対する二大列強国と、その辺境地にあるトルメキアの同盟国「風の谷」および、工業都市ペジテ市が主な舞台となっている。風の谷の族長ジルは、腐海の毒に侵されて病床にあり、ジルの娘ナウシカが代理で国を治めている。

ある日、ペジテからの避難民を乗せた輸送船が風の谷に近い腐海のほとりに墜落する。輸送船に搭乗していた瀕死のペジテ王女ラステルは、救助に駆け付けたナウシカにとある石を託し、兄に渡してほしいと懇願して事切れる。その石は、最終戦争で使われた生物兵器巨神兵を蘇らせる鍵となる「秘石」であった。巨神兵を得ようとペジテを滅ぼしたトルメキアの第四皇女クシャナが、秘石の捜索のために風の谷に飛来。検疫を受けないままの強行着陸をとがめたナウシカは、クシャナの部下と一騎討ちを演じるが、ナウシカの師匠でもある旅の剣士ユパの仲裁で停戦し、クシャナ達は谷を去る。やがてトルメキアは、土鬼との戦争のため盟約を盾として辺境諸国に出征を強いる。ナウシカは病床の族長ジルに代わり、城オジと呼ばれる数名の老従者とともにクシャナ支隊へ合流する[6]

土鬼の地へ向けて腐海を南進するクシャナ支隊の空中艦隊を、ラステルの兄アスベルが操るガンシップが単機で奇襲し、多大な損害を与えるもトルメキア軍機に撃ち落される。乱戦の中で風の谷の輸送グライダーは、戦列を離れて腐海に不時着水する。輸送グライダーを回収するために降下したナウシカは、同じく腐海に墜落して蟲に襲われるアスベルを救出したものの、羽蟲と接触してマスクが外れたまま腐海の下層部に迷い込む。ナウシカはそこで、腐海下層部の大気が正常であることを発見する。そして、自身が城の地下で地下水だけで栽培している無害な腐海植物との共通点を見出し、腐海が汚染された世界を浄化している真実に気づく[6]

劣勢の土鬼軍は、腐海の植物を品種改良し、猛毒の瘴気を吐き出す生物兵器として使用した。この人工の森の瘴気は通常のマスクでは浄化できず、蟲を死に至らせるほど強力であり、土鬼はトルメキア軍を撃退することに成功した。しかし、兵器として輸送していた菌類の苗が突如として各所で一斉に突然変異を起こし、生じた強力な粘菌が暴走し始め、事態は収拾不能になる。かねてからこの粘菌の発生を予知していた蟲たちは、暴走した粘菌に向かって大量に集結した。蟲たちが粘菌に自らを吸収させることで粘菌はやがて無毒化され、暴走は収束していく。大量の蟲が移動する現象は物語中で大海嘯だいかいしょうとよばれており、移動する蟲から放たれた腐海の胞子が蟲の死骸を介して広がり、腐海の領域をより拡大してしまう。結果、土鬼の主要な国土はほとんど滅亡するに至った。

大海嘯を前に奔走するナウシカは、土鬼の地を探索するうちに、「森の人」と呼ばれる種族に出会う。彼らとの関わりの中で、巨神兵や腐海の植物群、蟲たちが崩壊した旧世界の技術による人工生命であること、その目的が腐海による汚染の浄化であることを知る。旧世界の人間たちは腐海を作り出して世界を完全に浄化したあと、火の七日間によって絶滅に瀕した動植物や科学文明勃興以前の文化を復活させるとともに、穏やかで賢い新人類をこの世に生み出し、世界を再建することを目的としていたのだ。ナウシカを始めとする現生の人類は、旧文明の時代の人々が汚染された環境に適合するよう旧文明人類に改造を加えて作りだした人工種であり、浄化の完了した清浄な世界では生存できないという事実を知る。土鬼がトルメキアから奪取し復活させた巨神兵と邂逅したナウシカは、アスベルに託された秘石を掲げ覚醒させる。ナウシカは巨神兵の母としてエフタル語で無垢を意味するオーマと名づける。生まれたばかりの赤子のような幼児性と残虐性を持ち合わせていた巨神兵は急速に知能レベルを発達させ、旧文明時代におけるあらゆる利害を調停するために人工的に作られた神、「裁定者」としての役割に目覚める[7]

土鬼帝国の首都シュワにある「墓所」と呼ばれる施設は、内部に旧文明の技術を保存しており、土鬼の皇帝たちに旧文明の技術を与えることで世界を動かしていた。腐海の生態系と旧世界の関係を知ったナウシカは「墓所」に向かう。「墓所」はそれ自体が意識と人格を持つ人工生命体でもあり、自らを「墓の主」と名乗るそれは、浄化が終わった後の戦争のない理想郷について語り、環境に適応するよう人工的に作られた現生人類を元に戻す技術も墓に眠っていると語る。しかしナウシカは清浄のみを追求し一切の汚濁を認めない旧文明の計画に反発してこれを否定し、「墓の主」をオーマに握り潰させて殺し、オーマの火で「墓所」を破壊する。「墓所」は新人類の卵や旧文明を研究する博士らを内部に収めたまま倒壊した。「苦しみや悲しみ、そして死も人間の一部であることを受け入れ、汚濁と共に生きてゆくこと」。それがナウシカの選択であった。

オーマはナウシカに看取られながら役目を終え、生き延びたナウシカは全ての真実を胸の奥に秘めたまま帰還する。そして、土鬼の地に留まり土鬼の民と共に生き、後に風の谷に帰ったとも、森の人の元へと去ったとも言い伝えられたという[8]

設定

英語名(※漫画の英訳版、および、映画の吹替版として2003年にウォルト・ディズニー・ピクチャーズから発売された北米再吹替版〈en〉における名称)は特定できるものに限って表記する(英:〇〇と表示する)。英語名は日本語名の対訳名ではなく、あくまで英語版における当該キャラクター名や事象名を示している。映画の最初の英語吹替版である "Warriors of the Wind "(en. 1985年発売)における名前は、ニューワールド・ピクチャーズ製ということで記号「NWP:」の後に表記する。こちらは現在は通用していないので、表記も太字で強調しない(※太字で強調しているのは現在の通用名)。

世界観

産業文明の出現から1000年を経て極限まで科学技術の発展した人類社会が、「火の7日間」と呼ばれる最終戦争によって滅びてから1000年余りが経過した未来の地球が舞台。以下、第1話の冒頭文を引用する。

— ユーラシア大陸の西のはずれに発生した産業文明は数百年のうちに全世界に広まり巨大産業社会を形成するに至った。大地の富をうばいとり大気をけがし、生命体をも意のままに造り変える巨大産業文明は1000年後に絶頂期に達しやがて急激な衰退をむかえることになった。「火の7日間」と呼ばれる戦争によって都市群は有毒物質をまき散らして崩壊し、複雑高度化した技術体系は失われ地表のほとんどは不毛の地と化したのである。その後産業文明は再建されることなく永いたそがれの時代を人類は生きることになった。

陸地の大部分は、植物や菌類の森「腐海」に覆われ、人類の子孫は腐海の毒が及ばない安全な地域を中心に暮らしている。風の谷は潮風が胞子の侵入を拒み、豊かな森林や水源、田畑などが残っているが、それ以外の土地は不毛な荒地が多い。また、海は「この星の汚染物質が最後にたどり着く所」とされ、すでに生物が生息できる環境ではなくなっている。最終戦争以前の高度産業文明は旧世界と呼ばれ、エンジンなどの遺物が発掘、利用されているが、その製造技術を始めとする高度な科学技術の所産は失われ、人々の生活様式は中世から近世にかけての水準まで後退している。「火の7日間」は半ば伝説となっており、世界を正しい道へと導く救世主の伝説が語り継がれている。

種の存亡の危機に瀕しても人類同士の勢力抗争は続いており、作中ではトルメキアと土鬼の間で勃発した「トルメキア戦役」の模様が描かれる。居住可能な土地を巡る争いは、腐海の拡大を招くという悪循環を繰り返しても止むことはない。また、同族内でも王位(皇位)継承権を巡り権力闘争が続けられている。

物語の終盤では、文明を衰退に追いやった諸々の事象が、世界を再建するための遠大な計画であったという真実が語られる。「火の7日間」は兵器としての巨神兵を使い世界を焼き尽くした戦争と伝えられてきたが、巨神兵の真の役目である裁定により、人類社会の荒廃を正すためには一度すべてを無に帰す他ないと、世界破壊が選択されたことが示唆されている。

腐海に関しても、汚染された大地を浄化するために自然発生した新たな生態系であるとの仮説が否定され、自らの過ちを悟った旧世界によって人工的に創り出された一種の浄化装置(バイオレメディエーション)であることが判明する。世界が有毒物質に覆われる前に、人類を含む生物は毒に対しある程度の耐性をもつように作り直されており、ナウシカ達現生人類を含む劇中の生物は浄化後の環境では生存することができない。これらの知識と技術は、墓所の主や庭の主など、かつて作られた人工神により守られている。

国家

辺境諸国
風の谷を始め、砂の谷やペジテ市など、腐海のほとりにある小国群。毎年多くの都市が腐海に飲み込まれ、人が住める土地が減っている。人口は少なく風の谷では500人程度。農耕を生業とする風の谷のような国もあれば、地下の遺跡となった旧文明の遺物を発掘して成り立っているペジテ市のような国もある。
トルメキアの同盟国だが、その関係は対等ではなく、トルメキアを宗主とする事実上の属領である。自治権の保証と引き替えに、戦時にはトルメキア王の召集令に応じて各国の族長が参戦するという盟約を結んでいる。
この地には「火の七日間」を経ても産業文明の技術を伝えるエフタルという巨大王国が栄えていたが、王位継承戦争やそれが引き金になって起こった3度目の大海嘯により、ナウシカの時代から300年前に滅亡した。国土の大半は腐海に没し、残った土地も以後小国に分裂し、トルメキアの宗主権下に入ったとされる。エフタル時代の遺物である高性能戦闘機であるガンシップを所有している国が多いため、トルメキアにとって貴重な兵力調達元となっていた。
トルメキアの南下作戦に際して召集されてクシャナ支隊に配属されたが、アスベルの襲撃や土鬼軍の罠により、トルメキア軍はクシャナの乗るコルベット単艦を残し全滅。辺境諸国は土鬼が辺境の地を狙っていることを知り、再びトルメキアに召集されることを嫌ってトルメキアとの同盟を破棄し、土鬼の襲来に備え再びエフタルの旗の下に集い連合を組む。
連合の成立後、辺境諸族は各々の国名に加えてエフタルの民を自称するようになる。風の谷の場合「エフタル風の谷の民」となる。
ナウシカの言葉を「庭の主」が「古いエフタルの言葉」と表現するなど、エフタルと同じ言語を今でも使用していることが示唆されている。
風の谷(英:Valley of the Wind)
主人公ナウシカの故郷である小国であり、辺境諸国の一つ。人口は500人程度。酸の海から吹き付ける風を風車で動力としながら、中世レベルの農業と採取活動により成り立っている。「海から吹く風様」と形容される潮風で腐海の胞子や瘴気から守られているが、それでもわずかに届く腐海の毒は人々を確実に蝕んでおり、死産や四肢硬化を引き起こしている。族長の住む城の大風車で地下500メルテ(作中における長さの単位)から水を汲み上げ、それを貯水池に引いて寝かせてから沸かし、飲料水や農業に用いている。
トルメキア戦役には余命僅かな族長ジルに代わり、娘のナウシカと城オジらが参戦した。
映画で風の谷の人々が篭城した旧世界の宇宙船の残骸は、原作では風の谷の東北東200リーグ(約360km)にあって超硬質セラミックを切り出すための鉱山となっており、付近は辺境の工房都市セム市に属する鉱山町である。
ペジテ市(英:Pejite, NWP:Placeda)
辺境諸国の一つで、地下の「火の7日間」以前の遺跡からエンジンやセラミック等を発掘して加工供給する工房都市。巨神兵の骨格が発掘され、それを狙ったトルメキアの侵攻を受けたことが物語の発端となる。クシャナ率いるトルメキア親衛隊に滅ぼされ、避難民船も蟲に襲われ墜落し、アスベルひとりを残して全滅した。
映画ではアスベル以外にも王族を中心に生存者がおり、発掘した巨神兵を用いて腐海の焼却を目論み、またペジテ市や風の谷へ王蟲を誘導してトルメキア軍の壊滅を図った。
トルメキア(英:Torumekia)
風の谷の東方に存在する王国で、辺境諸国を傘下に従えている。王都トラスはかつての巨大都市に寄生しており、数多くの超高層ビルが立ち並ぶが、いずれも廃墟である。高速道路跡らしきものも見える。現国王はヴ王と称し、子は3人の皇子と末娘の皇女クシャナ。ヴ王の居城はエレベーターも存在する空中宮殿。人々は現在のヨーロッパ系を思わせる風貌と文化をもっている。
王族による過酷な王位継承争いが古くから続いている。ヴ王は自身の血筋を「我が血は最も古く、しかして常に新しい」と称しているが、これはトルメキア王家の歴史はもっとも古くから伝わっているものの、その地位は常に簒奪(さんだつ)され続けてきたことを表している。クシャナの母である王妃は「正統なトルメキア王家の血を引くのはクシャナのみ」としており、「正統な王家の血を引いていない」3皇子はヴ王の連れ子ということになる。3皇子とクシャナの対立は激しく、クシャナの軍事力を削ぐために彼女を支隊で南進させ、本隊(第3軍)をわざと不利な戦線へ派遣したり、無謀な作戦を実行させたりしている。敵に情報を漏洩するなど兄弟同士の争いも描かれており、トルメキア王家の紋章である「互いに争う双頭の蛇」は、これらの王家代々の骨肉の争いを象徴していると皮肉られている。
3皇子が行方不明になったため、王位は崩御寸前のヴ王からクシャナに譲られたが、クシャナは「すでに新しい王を持っている」として生涯「代王」を名乗り、以後トルメキアは「王を持たぬ王国」になったとされる[9]
映画版では風の谷など辺境諸国との同盟関係は存在せず、風の谷へ突如武力侵攻を行った敵国という設定になっている。また、所在地が風の谷の西方になり、国号も「トルメキア帝国」に変わっている。

土鬼諸侯国連合(英:Dorok)
土鬼(ドルク)と総称される人々の部族国家の連合体。辺境諸国からは腐海、トルメキア本国からは内海を隔てて南方に位置する。皇帝領、7つの大侯国、20余の小侯国と23の小部族国家から成り立つ。土鬼の皇帝貨はトルメキアの貨幣より質が良く、戦役の影響で土鬼諸侯国領外でも通用するようになっている。
神聖皇帝と、その下の官僚機構である僧会が国政を担っている。政教一致が強く、各侯国の族長が僧侶であったり、僧会が独自の軍事力である僧兵を保有したり、国政を儀式化している部分もある。神聖皇帝は皇兄ナムリスと皇弟ミラルパの兄弟だが、先代の神聖皇帝から超常能力を持つミラルパへ統治権が受け継がれ、ナムリスに実権はない。ミラルパは土民を支配しやすいように宗教を利用していたが、無神論者のナムリスは弟を謀殺して実権を奪回すると、僧会の権力を剥奪しその構成員の粛清を行った。国内でも部族間の揉め事が絶えず、内紛の火種を抱えた状態にある。その為、国の統治は僧会と神聖皇帝家に対する畏怖と崇拝、力への恐怖と尊崇による恐怖政治に依存していた。
以前は「土王」と呼ばれるクルバルカ家が土鬼の地を治めていたが、時代が下るごとに圧政と狂気に満ちた政治になり、先代の神聖皇帝により追放・簒奪された。土鬼諸国の庶民の間には、いまだにクルバルカ家に対する崇敬や、先代神聖皇帝と僧会によって禁止されたはずの土着宗教の信仰が密かに残っており、僧会の布教と土着信仰が混同されているところもある。
歴代の王が聖都シュワにある墓所の主と契約を結び、墓所に保存された旧文明の技術を利用している。このため、科学的にはトルメキアに対して優位に立っており、戦争でも墓所の持つ技術を利用し、腐海の植物を人為的に強毒化させたり、巨神兵を蘇生させるなどして戦争を有利に導くはずだったが、大海嘯を引き起こしてしまい国土のうち内陸部が腐海となり失われた。一方で戦艦や浮砲台、飛行ガメの材料は木製や土製が主流である。
墓所(英:The Crypt)
土鬼の聖都シュワの中心部にある旧世界の遺跡。深さ300メルテの堀と超硬度セラミック以上の硬さを誇る黒い外壁に守られている。歴代の土鬼王朝はこの地を征服すると必ずこの地に都を築いてきた。王朝のごく上層部の人間に対しては開放されているが、王が封印を命令すると、再び王が封印の解除を命じるか新王が現れるまで開放される事は無いとされる。
中枢部にある肉塊は「墓所の主」と呼ばれ、「火の七日間」で焼き尽くされる以前の高度な技術を保存している。「教団」と名乗る科学者達が来たるべき浄化の時の再建の光となるべく、墓所の内部に住居を築き、墓所の主から提供された情報の解析・解読を行っている。彼らは人間の王を選定し、王が協力者である限り、技術提供をするという契約を結んでいる。これにより下級科学者を外部に派遣しており、彼らは博士と呼ばれている。外部の権力に従うことを良しとせず、相手の武装解除を交渉の条件としている。
ナウシカの指図で巨神兵によって墓所の主は破壊され、墓所そのものも崩壊した。

腐海

腐海(英:Toxic Jungle, NWP:Toxic Jungle)
巨大な菌類からなる樹海で、蟲(むし)と呼ばれる異形の動物達が棲んでいる。木々は空気中に瘴気と呼ばれる毒を放出するため防毒マスクをつけねば人間や一般の動物が立ち入ることはできない。蟲や植物、粘菌といった種の枠すら超えた生物群集をなし、腐海ではいかなる菌類も単独では存在せず互いに共生寄生しあって複雑な生態系を構成しているとされる。「火の七日間」の終結直後に地上に出現したと語られており、徐々に面積を拡大し従来の生態系や人類の生存を脅かす存在となっている。
外部からの刺激により、蟲、特に王蟲の大群が腐海の外へと暴走し、津波のように押し寄せる現象を大海嘯と呼ぶ。大海嘯の後は蟲の死骸から新たな腐海が誕生するため、膨大な面積が一度に腐海と化すことになる[注 1]
腐海は自然発生した環境ではなく、千年前の人類が創り出した人工的な汚染浄化システムで、数千年かけて世界を浄化する目的がある[10]。全ての毒を無毒化したとき腐海は役目を終え、老化して崩れて清浄な大地が復活する。物語の時点で既にこのような土地が生まれているが、このことを「森の人」は秘密としている。また人間は汚染された環境に適合するように旧世界の技術で改造されており、浄化された土地で生きていくことはできない。
腐海の植物
植物と呼ばれているが、実態は巨大化した菌類である。菌糸を体の構成単位とする糸状菌が主であるが、植物体の構造や生態は従来の真菌類とは大きく異なっている。顕微鏡サイズの微小な種から種子植物並みかそれ以上に巨大に生長する種まで、その大きさは多種多様で、大型の種は一般に、地中深く張った菌糸の根と幹、枝、葉に分化した地上部をもつ巨大な樹木となる。
成木がつける「花」と呼ばれる胞子嚢や、発芽する芽から胞子を飛ばして繁殖する。胞子から発芽してしばらくは大地や動植物の遺体を苗床として養分を得る従属栄養性であるが、生長後は葉緑素を持つを展開し光合成によって養分を得る独立栄養生活を営むようになるものもある。胞子の生命力は強く、腐海ではない場所に僅かでも胞子が入り込めばたちまち繁殖して、一帯は腐海に飲み込まれてしまう。このため、腐海周辺の人々は居住地に胞子を持ち込まないように注意を払っており、胞子は発見され次第、焼却処理される。
瘴気」と呼ばれる猛毒の物質を大気中に放出するため、腐海では従来の動植物は一切生息できず、瘴気は腐海の周辺に住む人間の健康や作物の生育にも深刻な影響を及ぼしている。人間や家畜が腐海に入る際は瘴気マスクと呼ばれる器具を身につけなければ、肺が腐り死に至る。
瘴気の毒素は腐海の植物が地中の有毒物質を無毒化する過程で生じた二次代謝物であり、数百年かけて無毒な結晶になっていく。したがって汚染されていない土壌や清浄な水と空気だけで育ったものは瘴気を出さず、また大きくもならない。腐海の植物はその土地を無毒化しきると下層から枯れて石化し砂になっていき、上層との間には空洞が生まれる。この空洞は約300年経つと瘴気が結晶化しきって清浄になり、瘴気マスクなしで腐海の外の生き物が活動できるようになる。また腐海の植物に「食われた」人工物も砂になり、やがて崩れてしまう。
石化・崩壊を繰り返すうち空洞は上へと登っていき、登り切って腐海が役目を終えた後は小型な植物群となる。
ムシゴヤシ
代表的な腐海植物。王蟲が好んで食べることから呼ばれる。新しい腐海ができる時はムシゴヤシが先駆的に成長し、そのあと小型で多様な植物群がゆっくりと育って、多様な腐海の生態系を形成していく。成木は光合成を行い、最大樹高は50メルテ(作中の単位)に達する。
ヒソクサリ
猛毒の腐海植物。土鬼軍が生物兵器として利用を試みたが、凍結保存されていた種苗が粘菌状に突然変異して暴走、大海嘯の引き金となった。
粘菌
この世界における粘菌は、腐海に生息する、移動能力を持った細胞群体[注 2]である。群れで生活し、老化したり餌がなくなると球状に集まって休眠する。この球は時が経つと弾けて胞子を放出する。
変異体の粘菌
土鬼軍が兵器として培養したヒソクサリの苗が突然変異を起こして生まれた粘菌。爆発的な増殖速度と極めて短い寿命をもち、繁殖しないように改造(突然変異株の選出)されている。
マスクが効かず蟲さえも死に至らしめる猛毒の瘴気をまき散らしながら巨大なアメーバ状の体(変形体)で周囲の物を飲み込み、さらには大海嘯の直接的な引き金となったことで土鬼の国土に壊滅的被害をもたらした。最終的には飲み込んだ王蟲の群に付着していた腐海植物の苗床としてその大部分が吸収され、腐海生態系の一部として取り込まれる形で安定化した。

蟲(英:Bug)
腐海に生息する動物の総称。作中における用字は「」であり、腐海以外に生息する昆虫などは「」と表記され、区別されている。
王蟲のように巨大なものから微小なものまで、多種多様な大きさや形態のものが存在する。その多くは体節制をとる外骨格の体に多数の関節肢を具えた、現生の節足動物に似た形態をしているが、は横開きではなく脊椎動物のような縦開きである。
生息空間を基準に「地蟲(じむし)」「翅蟲(はむし)」「管蟲(くだむし)」と3種類に大別される。翅蟲は2対以上のを具えた飛翔性であり、地蟲と管蟲は地上棲か地中棲である。水中で活動できるものもいる。瘴気の無い所では長く生きられない。蟲は基本的に卵生である。体の成長に合わせて脱皮を繰り返すが、変態に関しては完全変態するものから不変態型まで様々なタイプがいる。食性に関しては、他の蟲を対象とした狩りをしない、すなわち捕食性の低い種が多いが、なかには高い種もいて、作中にも狩りの描写がある。蟲は強い光や高い音に敏感で、閃光弾や蟲笛といった道具で一時的に活動を停止させたり、行動をある程度誘導することもできる。
腐海の植物と並んで、蟲は腐海生態系の主要な構成要素であるとともに、人々が容易に腐海に踏み込めないように配置された守護者でもあり、個体や種をも超えた超個体意識集合精神)を形成している。大型の種は一般に攻撃性が強く、種類を問わず他の蟲が外敵(主に人間)によって傷付けられると群れをなして攻撃を加えるため、腐海のほとりで暮らす人々の間では蟲を殺すことはタブーとされている。一方で危害さえ加えられなければ人間が腐海に侵入しても全く意に介さない。
王蟲(別表記:オーム、英:Ohmu, NWP:Giant Gorgon)
最大の蟲。現実世界の等脚類(ワラジムシ目動物)を巨大化したような外見をしているが、整然と並んだドーム状(半円形状)の複眼を第三節と第四節に具えている点では大きく異なる。水中でも活動できる地上棲で、卵生で、無変態型の脱皮をし、捕食性の低い部類に入る。腐海の“大木”であるムシゴヤシを好んで食べる。
卵から孵化した数十cmほどの幼生は脱皮を繰り返して成長し、成体は体長80mに達する。十数節の体節からなる濃緑色の体に14個の眼と多数の歩脚を持つ。眼の色は普段は青いが、怒ると赤くなり、また気絶すると灰色になる。体液の色は青[注 3]。口腔内には直径数cmの糸状の触手が無数にある。消化管内壁からは酸素を含む「漿液」とよばれる液体を分泌し、人間は肺に漿液を満たすことで液体呼吸が可能となる。
表皮は非常に堅牢かつ弾性に富み、脱皮の抜け殻は装甲板や刃物に加工される。王蟲の脱皮殻から削りだした刀剣はセラミックのものよりも軽く、トルメキア装甲兵のセラミック甲冑さえも貫通する切れ味を持つ。脱皮殻の眼は透明なドーム状で、ゴーグルレンズやガンシップの風防に利用される。300年前の大海嘯は、古代エフタルの王位継承を巡る内乱によって増大した武器の需要に応えるために王蟲が乱獲されたことが原因だった。
ムシゴヤシを食べ進んだ跡は森の中にトンネル状の空間となって残り、「王蟲の道」と呼ばれる。
種のレベルでの超個体意識を具えており、比較的高度な知性をも具えているため、思いやり、慈しみなどといった精神文化を有している。その慈しみは蟲を攻撃した人間にも及ぶため、憎しみに駆られその人間を殺してしまったことを悲しむ。念話(テレパシー)で人間と対話したり、他種の蟲に指令を下して行動を制御することもできる。怒った際の攻撃性は強く、群をなして暴走し、人間の居住地に甚大な被害をもたらす。エフタルや土鬼の土着の宗教には、畏敬の念を籠めて王蟲を神聖視する思想がみられる。
王蟲は自然発生した生物ではなく、1000年前に人工的に造り出された浄化のための人工生物であり[11]、ナウシカはシュワの墓所の血液と王蟲の体液が同じだったと独白している[12]
なお、アニメに描かれた王蟲の脱皮殻について、本体の抜け出た形跡がどこにも見当たらないという(庵野秀明らの)意見があるが[13]、脱皮の際に正中線に沿って入る亀裂はしっかりと描かれており、特に真上から描いたシーンでははっきりと見えている[13]。実際の蝉(せみなどで、本体が抜け出た後に乾燥が進むことにより、内側に巻き込み気味である程度元の位置まで戻る例が割とあるのを、むしろ忠実に再現して見せている[13]
映画における王蟲の鳴き声は布袋寅泰が演奏するエレキギターの音が使われている[14]
大王ヤンマ
人の身長と同程度の体長の翅蟲で、青緑色の細身の体に同形同大の2対の翅を持つ。脚は場面によって異なるが3、4対。クチバシ状の口器を持ち、口腔内には舌のような器官がある。活動の際には、身体から軋むような音を発する。「森の見張り役」と呼ばれ、腐海に何らかの異常が起こった時、他の蟲を呼び集める働きを持つ。人間を攻撃する王蟲などに随伴することが多いが、自ら人間を襲う描写はほとんどない。
ウシアブ
翅蟲の一種。赤ないし紫色の丸い体に2対の翅を持ち、翅を広げた幅はメーヴェの全幅の倍ほど。縦に開く大きな顎を持つ。眼は頭部側面のやや大きな1対の他、頭部前面に横ニ列に並ぶ小さなものを7つ持つ。水辺に産卵し親が卵を守る習性がある。また危機を感じるとスズメバチのように顎を噛み鳴らし、触角を震わせて仲間を呼ぼうとする。
映画版では蟲に襲われて風の谷に落下したトルメキア船に潜んでいたが、ナウシカが蟲笛を使って森に帰した。
なお、実在するハエ目アブ科アブ属英語版の昆虫の1種であるウシアブ(学名Tabanus trigonus )とは無関係。
ヘビケラ
のように細長く上下に平たい体に2対〜4対の翅を具えた大型の翅蟲で、全長は数十mに達する。脚はなく、頭部に昆虫の大腮(おおあご)のような巨大な状の器官を具え、尾端には状の突起がある。飛翔速度は航空機であるバカガラスより速い。集団で移動する前に大量の卵を産み残す習性がある。
ミノネズミ
地蟲の一種で、ヘビケラの幼生[15]。「」というその名の「蓑」は、体に密生している毛に由来する。集団で行動し、外敵に対しては群れで跳び掛って攻撃する。
映画のみの登場。

腐海の住人

蟲使い(英:Worm Handlers)
蟲を操り、遺跡や墓所を探索して金目の物を探し当てるのを生業にしている。強烈な悪臭と、死体を好んでまさぐり金品を盗ること、探索用の蟲を連れていることから、一般の人々には忌み嫌われており、ナウシカも当初は差別的な発言をした。腐海内の、換気装置を備えた岩穴に住んでいる。
エフタルの武器商人の末裔であると言われているが、ユパは森の人が蟲使いの祖であるとの伝承も伝えている。300年前は11の支族が存在したが、長年の間に3つの血が絶え、物語時点では8支族である。子孫を残すため、自分達の子供だけでなく戦災孤児も育てている。
トルメキア戦役ではトルメキア軍にコマンドとして雇われた者がいた他、土鬼軍とも囮用の王蟲の幼生を取引していた。終盤では、各部族から1人ずつ選ばれた屈強な若者達がシュワに向かうナウシカと行動を共にした。
独特な形状のマスクを着用しており、人界でこれを外し顔を出すことは不吉なこととされている。映画で登場するトルメキア軍の軽装強襲兵が似たデザインのヘルメットを着用しているが、彼らは蟲使いとは無関係である。
蟲使いは蟲を使うが、同時に深い愛情をもっているために森から許されているという。
森の人(英:Forest People)
火を使わず、蟲の腸を衣とし、蟲卵を食べ、蟲の体液で作った泡を住処とする。彼らの瘴気マスクは地上の人々のものよりも高性能である。ユパさえも実在したことに驚いたほど外界と接触を持たず、ある種の伝説とされてきた。300年前の大海嘯の時森に入ったエフタル王国の末裔で、彼らを導いた青き衣の者の言葉を今も守っている。
蟲使いの祖という伝承があるが、セルムは「私の祖父と母は蟲使いの出です」とも語っており両者の関係の深さが示唆されている。蟲使い達は森の人を畏れ敬っており、森の人の指示には速やかに従う。
シュワの貯蔵庫に何度も人を送り込んでいるが、全員が主に取り込まれて庭園で生涯を終えている。

人工生命体

巨神兵英:God Warriors, Giant God Warriors, Giant Warriors, NWP:Fire Demon)
「火の七日間」で世界を滅ぼしたとされる巨人。物語時点ではそのほとんどが腐海で化石となっている。
ペジテ市の地下で発見された骨格は化石化しておらず、鉱山夫の操作で肉体の生成が始まったため秘石を外し破壊を試みたが失敗、トルメキアの侵攻を受ける切っ掛けになった。後に土鬼によって持ち去られ、人体複製技術の応用で肉体を完成される。秘石を持っていたナウシカを母親と認識し、「オーマ(英:Ohma)」の名を与えられて共にシュワに赴き、最終的に墓所の主を握りつぶして息絶えた。
ヒドラ英:Heedra)
旧世界の技術で造られた不死身人造人間で、かつて神聖皇帝が土鬼の地を征服した時に従えていたと伝えられている。
皮膚はサボテンのようで首がなく、ドーム状の頭の正面には小さな赤い三つの目のようなものがある。身体に大きな損傷を受けても、中枢を破壊されなければやがて再生する。
ナムリスが兵士として使ったヒドラは、もとは父親である初代神聖皇帝が庭園から連れ出したものである。平定後は使用を禁じられたが、ナムリスは秘密裏に量産と調教を進めていた。唯一の弱点である頭部への攻撃を防ぐ為に面鎧をつけており、その上に一つ目の神聖皇帝の紋章が入った面布を着用している。
歯に細工を施して出す「チッチッ」という音で制御する。餌は漏斗状の器具を頭頂部に挿して流し込む。共食いをすることもある。
人間も手術(肉体移植)をすることで、ヒドラと同じ不死身の体を得ることができる。原作では、皇兄ナムリスや墓所の教団が不老不死を得るためにその手術を受けた。その場合、記憶や知能はベースとなった人間のものが受け継がれる。頭部を破壊されない限り死ぬことは無いが、苦痛は人間だった頃と同様に感じる。

伝承

青き衣の者
作中世界で伝えられている伝承、予言。多少の差はあるが「青い衣の者が金色の大地に現れ清浄の地へ導く」という内容である。
白き翼の使徒として土王の時代に土鬼の地で盛んに語られていたが、神聖皇帝によって異端、邪教とされた。しかしその後も密かに語り継がれており、青き清浄の地へ導く極楽への案内人とされている。
森の人は青き衣の者に導かれて腐海へ入ったと語り継いでおり、道を指し示す者とされている。
ミラルパは、バラバラだった帝国を僧会と自らへの信仰心でまとめ上げたため、異端である青き衣の者が現われると、そこから帝国が崩壊するという危機感を募らせており、青き衣の者を自称する者の出現の度に容疑者を処刑していた。
この伝承は映画では一度、原作では二度にわたりナウシカによって具現化される。原作の一度目と映画に共通する事象は、青き衣は王蟲の血に染まった服であることと、金色の野は王蟲の金色の触手であること。原作の二度目においては、青き衣は墓所の主の血(王蟲の血よりもさらに青い)に染まった服であり、金色の野は夕陽を浴びて金色に見える灼(や)けただれた大地。
映画では風の谷にも同様の伝承がある。

技術

文明崩壊によって多くの科学技術が失われており、電気や電子機器、水道、内燃機関などは使用されていない。乗り物は旧世界の科学技術の遺産である高性能な「船」と呼ばれる飛行機械が盛んに利用されているが、エンジンは旧世界の遺物であり新造することはできない。陸上では映画におけるトルメキア軍の戦車以外はトリウマなどの動物を利用する程度しかない。電話や無線等の通信技術も失われており、船上では信号旗や探照灯によるモールス信号のようなものや、伝声管などを使ってコミュニケーションを取っている。旧世界の名残から、硬化セラミックが金属に代わる一般的な素材として刃物や航空機などに使用されている。また、シリウスなどの星の名前や方角、ヴァルハラなどの神話に関する伝承は残されており、さらに活版印刷も普及している。

小道具

瘴気マスク
腐海の瘴気を防ぐ防毒マスクで、地域によってさまざまな形態がある。人間用だけでなく、各種の家畜用のものもある。
風の谷のものはある種の水草から作られる活性炭を用い、比較的毒性の強い瘴気にも通用する。口と鼻を覆うのみのものと、頭巾状のものがある。
トルメキアには簡易マスクと重マスクがあり、重マスクはマスクを着けたまま水を飲んだりより強い瘴気でも呼吸できる。
土鬼で使われる瘴気マスクには空気瓶を用いて相当強い毒性の瘴気でも使えるマスクがある。
蟲笛(英:insect charm)
鏑弾
光弾
いずれも蟲が音や光に敏感なことを利用した護身用の器具。蟲笛や鏑弾は音で、光弾は閃光で感覚を麻痺させたり、注意を引いて誘導したりする。
光弾は工房都市で生産される重要な交易品である。

物語世界では船と言えば飛行機械を指す。英語版では "airships" と呼んでいる。登場する船はいずれも噴射式のエンジンを備えているが、その製造技術はすでに失われており、遺跡から発掘したものや廃船から回収したエンジンを利用して船を建造している。

なお水上を航行する船舶に関しては、トルメキア軍の強襲揚陸艦や、また大河を渡るために門橋が使用される描写があるのみ。

メーヴェ英:Mehve)
辺境の風使いが使用するジェットグライダー。強力なエンジンを1基備えており、1人乗りだがもう1人載せることも不可能ではない。
作中では「凧」とも呼ばれており、エンジンは代々の風使いで引き継いでいる。
ガンシップ英:Gunship)
小型の戦闘機の総称。風の谷やペジテ市を初めとした辺境諸国のいくつかはそれぞれ形態の異なるガンシップを所有している。求めに応じて族長がガンシップで参戦することを引き換えに自治権が保証されるほど強力な戦力となる。ガンシップ自体の積載量は少ないため、食料・弾薬や従者はパージと呼ばれるグライダーを曳航して運ぶ。
風の谷のガンシップは2人乗りで建造は約100年前。無尾翼機で機首に大型の単発ロケット砲2門と機銃2門を備える。トルメキア戦役ではナウシカが乗り込み、クシャナ支隊壊滅後はミトやアスベルの操縦で、パージと共に城オジやクシャナ一行、蟲使いたちの足として使われた。最終的にはシュワの墓地でエンジンを破壊され不時着、墓所の崩壊に巻き込まれて喪失した。
ペジテ市のガンシップは1人乗りで、2門の機関砲とコクピット正面の大きな透明ドームが特徴。アスベルがクシャナの戦隊を襲撃するために用いたが、クロトワの操縦する装甲コルベットに撃墜され喪失した。
バージ
エンジンを持たない輸送用グライダー で、ガンシップがワイヤーで曳航する。
ブリッグ英:Brig)
輸送機。トルメキア戦役に参戦した辺境諸国の機体や、蟲使いの所有する機体などが登場する。映画版ではペジテの生き残りが使用。
戦列艦
バカガラス と通称される、トルメキアの大型輸送機。機首に観音開きの大型扉を備え大きな積載量を持つほか、胴体や翼に多数の銃座・砲座を持つ。
装甲コルベット
コルベットと通称される、トルメキアの大型戦闘機。機体の前後に主翼を持つタンデム翼機。漫画版ではクシャナの乗機である。
重コルベット
トルメキアの大型戦闘機。装甲コルベットと同じくタンデム翼でより大型であり、火力や装甲も強化されている。
大型船
トルメキアの大型輸送機。バカガラスを2機繋げてコルベットと似た形状にしたようなタンデム翼機。映画版では巨神兵とペジテの王族であるラステルを輸送するという重要な役割を負っていたが、何らかの理由でコントロールを失って腐海に侵入し、その際に蟲を殺してしまった為に、怒り狂った蟲の襲撃を受ける。そのまま迷い込んだ風の谷で不時着を試みたが、崖に激突して爆発、炎上した。映画のエンディングでも同型の機が多数登場し、クシャナたち生存者を風の谷へ迎えに来ている。風の谷での墜落については、クシャナが巨神兵の本国移送命令をその重量から実行不可能と結論付けており、過積載が原因であった可能性が示されている。実際、風の谷に迷い込んでから墜落時まで、常に機体が左に傾いたままのバランスを崩したような状態になっており、飛び方がおかしいとナウシカも指摘していた。
ケッチ
トルメキアの戦闘艦。タンデム翼のコルベットより小型の単翼機。先尾翼形式のものとV字尾翼形式のものが描かれ、前者はバムケッチと呼ばれている。後者はクシャナらも搭乗した。
現実におけるケッチは帆船の種別である。
浮砲台
土鬼の各侯国が所有する戦闘兼輸送艦。巨大な艦体に多数の火砲を搭載する。土鬼軍では浮砲台が諸侯国の輸送と戦闘の役割を兼任している。攻撃力は大きいが木製であるため防御力は低く、動きも鈍い。
現実に存在した浮き砲台とは水上兵器の一種である。
戦艦
土鬼僧会が保有する大型戦闘艦。浮砲台に数倍する大きさの船体に多数の火砲を搭載する。浮砲台と異なり防御力も高く、消火設備や防火扉を艦内の随所に設置する等ダメージコントロールも考慮されている。艦内には神聖皇帝専用の小型連絡艇を搭載しているほか、ヒドラの飼育施設なども完備する。操縦席下部に位置する大窓の部分がナムリスの専用室となっていた。
飛行ガメ
飛行ポッドともいう。地下から掘り出した反重力浮揚装置を、数人が乗れるサイズのセラミック製のポッド(高さ2メートル・直径1メートルほどの形容器)に収めて作った小型の浮揚装置。作中では航空機のように使われているが、浮揚性能を備えた起重機であり、低速で空中を移動する。機体側面に固定機銃が4基装備されており、ポッドの中には重機関銃も搭載されている。
原作版(漫画版)では、土鬼諸侯国連合偵察機として使用。映画版では、怒り狂った王蟲の大群に風の谷を襲わせる作戦を執ったペジテ軍が使用しており、半殺しにした王蟲の仔を吊り下げてにしながら風の谷に向かっていたところをナウシカに阻止されて墜落した。

車両

自走砲
映画版のみに登場した、トルメキア軍の陸上における主力兵器。風の谷を侵略する際はガンシップで運び込まれた。国を占領された風の谷の人々が反乱を起こした際は、城オジ 達が1台を乗っ取って奮戦した。城オジ達は「戦車 」と呼んでいる。

動物

キツネリス英:Fox-squirrels)
長い尾と耳を持つ、小型の獣。雑食性。黄色の体毛に茶色の大きなトラ柄がある。眼は緑色。『天空の城ラピュタ』にも登場しロボット兵の上で戯れる姿が描写されている。
テト英:Teto)
ナウシカと行動を共にするキツネリス。本来キツネリスは人には懐かないが、ナウシカに心を許し、子供たちや特定の人物たちへの愛嬌を示す事もあった。しかし、巨神兵の光で弱り、死んでしまう。
トリウマ英:Horseclaws)
恐鳥類のような巨大な嘴と頭部、強大な脚を持つ地上性の鳥。過去の産業文明が品種改良により造り出した種で、作中の世界ではウマ哺乳類だったことは忘れ去られている。トルメキアやエフタルの民の主な移動手段となっている。
クイとカイ(英:Kai and Kui)
ユパの連れていた2匹のトリウマ。トリウマには離れた仲間の身に危険が及ぶと卵を産むといわれており、ナウシカに譲られたカイが土鬼軍の攻撃から彼女を庇って死んだ際にクイが卵を産んでいる。生まれた雛はチククと仲良くなっている。
毛長牛
土鬼での主な移動手段であり、トルメキアやエフタル諸国でも荷を運ぶ家畜として飼育される。
『天空の城ラピュタ』でヒロインのシータの回想などに登場する家畜、ヤク がよく似た形態をしている。
ケスト英:Kest)
庭園に住む大型の、ヤギに似た四つ脚の獣。立派な角を持つ。庭園の主に仕える。

制作背景

執筆の経緯

ルパン三世 カリオストロの城』の公開後、宮崎はテレコム・アニメーションフィルムの海外合作『名探偵ホームズ』『リトル・ニモ』の制作準備に関わりながら、次回作の構想を練るために多数のイメージボードを描いた。その中には『となりのトトロ』や『もののけ姫』の原案のほか、「グールの王女ナウシカ」「風使いの娘ヤラ」「サンド王蟲(オーム)」といった本作のモチーフも描かれている[注 4]。しかし、『カリオストロの城』の興業成績の不振により「企画が古臭い」というレッテルを貼られ、アニメ業界では不遇の地位に甘んじていた[19]

アニメージュ編集部は『未来少年コナン』や『ルパン三世 カリオストロの城』を通じて宮崎の才能に着目しており、1981年8月号において「宮崎駿特集」を掲載した。また、宮崎から『戦国魔城』と『ロルフ』 という2本の映画企画を預かり、徳間グループの映像会議に提出したが、原作が存在しないことを理由のひとつとして採用されなかった[20]。そこで、編集部はアニメ化への布石と誌面の話題作りを兼ねて、宮崎に連載漫画の執筆を依頼した。担当編集者の鈴木敏夫に口説かれた宮崎は、「漫画として描くならアニメーションで絶対できないような作品を」[20]という条件で受諾。『ロルフ』にSF的な「腐海」という設定を加え[20]、『風の谷のナウシカ』の題名で執筆を開始した。

連載開始時には『名探偵ホームズ』との掛け持ちで多忙を極めたため、第2話以降しばらくは鉛筆原稿のまま掲載された。宮崎は映画化の際には原作も終わらせることを考えたが、アニメーション作家として地位を確立した後も執筆を続け、12年かけて完結に導いた。

連載途中(1992年)アニメージュ誌の締め切りまでに1ページ書き足りなかったことがあり、「いいわけ」としてその1ページ分を使って趣味の軍事ショー見学記の漫画が書かれたことがあった。最後のコマでは「おわび」の「び」の字を消して「り」に直し「おわり」としている。

物語設定の背景

いくつかの宮崎作品に見られる、自然と科学文明の対立、文明の破壊と再生がテーマとされ、公害自然破壊などの環境問題や族内紛争、戦争への批判という側面がある。[独自研究?]

宮崎は少年時代に読んだ『マクベス』の「森が動く」という台詞に驚き、植物のことを扱いたいという意識を持っていた[21]。漫画家志望だった学生時代には革命ものの習作を描いていたが、本作では「人間がいる世界というか、自然物というか、そういうものとの関係を語らないと、生産と分配の問題だけを論じてもくだらないことになると思ったんですよ」[22]と述べている。

物語序盤に提示されていた自然と科学技術の対立という構図は、後半では世界の浄化を巡るより複雑な構図に変化していく。宮崎は、この作品を結ぶにあたり影響を受けた事件としてユーゴスラビア内戦を挙げ、「あれだけひどいことをやってきた場所だから、もう飽きているだろうと思ったら、飽きてないんですね」「戦争というのは、正義みたいなものがあっても、ひとたび始めると、どんな戦争でも腐ってゆく」[23]と述べており、これを物語終盤に反映させた。

宮崎は風の谷のイメージを「中央アジアの乾燥地帯なんです」と発言し[24]、腐海のモデルはウクライナクリミア半島シュワージュ(腐海)[注 5]としている[25]。オーストラリアのオルガ山(カタ・ジュタ)には風の谷 (Valley of the Winds) という場所があるが、スタジオジブリによれば関連はない[26]。宮崎の初連載漫画『砂漠の民』[27]も中央アジアを舞台としており、主人公の属するソクート族の王都「ペジテ」が登場している。「古エフタル王国」は言語などが謎に包まれたエフタルと呼ばれる中央アジアの遊牧民、「トルメキア第四皇女クシャナ」はインド北部に生まれたクシャーナ朝との関連が指摘される[28]。旧世界の産業文明が発生した場所はユーラシア大陸の西、つまりイギリス周辺としている。

本人による評価

宮崎によれば、作品の出発点になっている自分の考えを、自分で検証することになって、後半はこれはダメだという所に何度も突き当たらざるを得ないことの連続だったという。予定調和なユートピアを否定することになり、ぐちゃぐちゃになってしまったとも語る。体力的にも能力的にも時間的にも限界で、何の喜びもないまま終わって、完結していない作品だと説明している[29]

他作品からの影響

ベースになった映画企画『ロルフ』は、アメリカの漫画家リチャード・コーベン (Richard Corben) のコミック"Rowlf"(1971年)をもとに、「小国の運命を背負うお姫様」という着想を得たもの[25]。宮崎は東京ムービー新社に対して"Rowlf"の版権取得を提案してもいる[30]。『ロルフ』は宮崎が漫画家の手塚治虫と共同で映像化しようとしたものの[31]、原作者が許可しなかったために立ち消えとなった企画だった。

主人公ナウシカのモデルとして、宮崎は日本の古典文学『堤中納言物語』に登場する「虫愛づる姫君」を挙げている[32]。名前はギリシア叙事詩オデュッセイア』に登場する王女ナウシカに由来する[32]。作品内に登場する人名や地名などには、実際の歴史的事項に一致または類似するものもある。例えば、クシャナはインドの王朝名(クシャーナ朝)、地名エフタルは実在の遊牧民族名、ミラルパは実在のチベット仏教行者(ミラレパ)など。

ルネ・ラルーのアニメ映画『ファンタスティック・プラネット』(1973年)や、手塚治虫、諸星大二郎の影響も指摘される[33][34]。なかでもフランスの漫画家メビウス[注 6]の『アルザック』(1975年)には強い影響を受け、宮崎自身メビウスと対談した際に「『ナウシカ』という作品は、明らかにメビウスに影響されつくられたものです」と語っている[37]。また、腐海と人間との関連性には、中尾佐助の唱えた照葉樹林文化論も影響している[38]。他に『パステル都市』『地球の長い午後』『デューン/砂の惑星』等のSF小説の影響を指摘する論者もいる[39]

書誌情報

ワイド判

  • 宮崎駿『風の谷のナウシカ』徳間書店〈ANIMAGE COMICS ワイド判〉、全7巻
    • 『風の谷のナウシカ 1』1983年7月1日。OCLC 754110490 ISBN 4-19-773581-2
    • 『風の谷のナウシカ 2』1983年8月25日。OCLC 803824232 ISBN 4-19-773582-0
    • 『風の谷のナウシカ 3』1984年12月1日。OCLC 754111094 ISBN 4-19-775514-7
    • 『風の谷のナウシカ 4』1987年3月1日。OCLC 754111148 ISBN 4-19-777551-2
    • 『風の谷のナウシカ 5』1991年6月30日。OCLC 881689262 ISBN 4-19-771061-5
    • 『風の谷のナウシカ 6』1993年12月20日。OCLC 881689396 ISBN 4-19-773120-5
    • 『風の谷のナウシカ 7』1995年1月15日。OCLC 881689507 ISBN 4-19-770025-3
第1巻のみ、表紙が3種類ある。
  • 初刷の版 - 表紙に〈アニメージュ増刊〉と表記、デザインもワイド判と若干違う(1982年9月発行)。
  • 初期の版(2刷以降) - 表紙に〈ANIMAGE COMICS ワイド判〉と表記。デザインも現行版と同じであるが、「新装版」という文字が入る。
  • 現行版。
特製ボックスケース入り7巻セット
  • ピンク字の外箱バージョン
宮崎駿『特別企画 風の谷のナウシカ 全7巻セット』徳間書店〈ANIMAGE COMICS ワイド判〉、2000年12月。 ISBN 4-19-210002-9
  • トルメキア戦役バージョン(青地に水彩イラスト)
宮崎駿『風の谷のナウシカ アニメージュ・コミックス・ワイド判 7巻セット』徳間書店〈ANIMAGE COMICS ワイド判〉、2003年10月31日。OCLC 992689292 ISBN 4-19-210010-X

豪華版

  • 宮崎駿『風の谷のナウシカ』(豪華装幀本)徳間書店。 全2巻。
愛蔵版。上巻がワイド判1〜4巻を収録し、それぞれ第1章「風の谷」、第2章「酸の湖」、第3章「土鬼戦役」、第4章「破局へ」と命名している。下巻はワイド判5〜7巻を収録し、それぞれ第5章「大海嘯」、第6章「青き地」、第7章「墓所」と命名。

歌舞伎

2019年12月に本作を原作とした新作歌舞伎新橋演舞場で上演された[2]。宮崎作品の歌舞伎化は初めて。昼夜2部の通し上演で、全7巻におよぶ原作ストーリーの全貌が前後編で描かれる[40]。(詳細な構成は下記参照)映画版の冒頭部にあるタペストリーを舞台幕とし、最初に口上役が世界観を絵解きする演出が用いられている[注 7]。また、久石譲による映画版の音楽を和楽器で演奏した版が随所で用いられる。

構成
  • 前編
    • 序幕「青き衣の者、金色の野に立つ」
    • 二幕目「悪魔の法の復活」
    • 三幕目「白き魔女、血の道を往く」
  • 後編
    • 四幕目「大海嘯」
    • 五幕目「浄化の森」
    • 六幕目「巨神兵の覚醒」
    • 大詰「シュワの墓所の秘密」

翌2020年2月から3月にかけて、舞台の録画中継映像が全国の主要映画館で上映(ディレイビューイング)される。(前編2月14日 - 2月20日、後編2月28日~3月5日)。またNHK Eテレの番組「ETV特集」にて(同年1月25日23:00~24:00)制作の舞台裏に密着取材した「ナウシカ誕生~尾上菊之助が挑んだ新作歌舞伎~」が放送された。

2021年1月2日に前編、翌3日に後編がNHK BSプレミアムにてノーカット放送された[41]

配役 (歌舞伎)

スタッフ (歌舞伎)

脚注

注釈

  1. ^ 現実における「海嘯」とは、ポロロッカのように河川が猛烈な勢いで逆流する現象を指す。
  2. ^ 現実世界における粘菌は単細胞生物である。
  3. ^ カブトガニの体液の色が青いことを参考にしたという。
  4. ^ 『宮崎駿イメージボード集』(講談社、1983年)[16]、『THE ART OF NAUSICAÄ』(徳間書店、1984年)[17]、『風の谷のナウシカ 宮崎駿水彩画集』(スタジオジブリ、1996年)[18]などの書籍に収録されている。
  5. ^ en:Sivash 現地名はウクライナ語、ロシア語ともСиваш、クリミア・タタール語はSıvaş。このうち、クリミア・タタール語のSıvaşが「汚れ」を意味しており、現在でもこの土地はそれぞれの言語で「腐った海」との通称を持っている。「スィヴァーシ」「シヴァーシ」と発音されるが、「シュワージュ」にはならず聞き間違いの可能性がある。「シバシ」と表記される場合もある。
  6. ^ 1980年代のロサンゼルスのフランス人コミュニティには日本アニメ愛好家による不法コピーのビデオテープが流通していたという[35]。メビウスは息子が持っていたコピービデオで『風の谷のナウシカ』に出会い、自分の娘に Nausicaä と命名するほどのファンとなった[35][36]
  7. ^ 歌舞伎筋書による。
  8. ^ 原作での表記は「チヤルカ」であるが、公演では「チャルカ」とされており、役者もそのように発音していた。

出典

  1. ^ 新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」宮崎駿がOK出した2つの条件 : 映画ニュース”. 映画.com (2019年9月30日). 2020年12月11日閲覧。
  2. ^ a b 「風の谷のナウシカ」が歌舞伎に 宮崎作品初の歌舞伎化に鈴木敏夫氏も期待」『デイリースポーツ』株式会社デイリースポーツ、2018年12月12日。2018年12月12日閲覧。
  3. ^ 1983年7月号〜1984年7月号、1985年6月号〜1986年11月号、1987年7月号〜1990年3月号、1991年6月号〜1992年2月号。ほかにも休載号あり。
  4. ^ 映画「風の谷のナウシカ」の原作漫画が掲載されている、雑誌『アニメージュ』(徳間書店発行)の巻号を知りたい。 - レファレンス協同データベース(2020年8月28日閲覧)
  5. ^ 風の谷のナウシカ:宮崎駿の原作マンガが累計1700万部突破”. まんたんウェブ (2020年12月24日). 2020年12月24日閲覧。
  6. ^ a b 単行本 ワイド判 第1巻 (1983).
  7. ^ 単行本 ワイド判 第2巻 1983単行本 ワイド判 第3巻 1984単行本 ワイド判 第4巻 1987単行本 ワイド判 第5巻 1991単行本 ワイド判 第6巻 1993
  8. ^ 単行本 ワイド判 第7巻 (1995).
  9. ^ 単行本 ワイド判 第7巻 (1995), 終末部.
  10. ^ 単行本 豪華版 下巻 (1996), p. 441.
  11. ^ 単行本 豪華版 下巻 (1996), p. 442.
  12. ^ 単行本 豪華版 下巻 (1996), p. 532.
  13. ^ a b c 岡田斗司夫大童澄瞳 (6 January 2020). 『映像研には手を出すな!』作者・大童澄瞳先生とオタキングが本気のオタク対談! (動画共有サービス). 株式会社ドワンゴ. 該当時間: 12m43s~13m20s. 2020年6月14日閲覧岡田斗司夫 YouTube公式チャンネル
  14. ^ 『風の谷のナウシカ』王蟲の声は布袋寅泰のギター! 本人がツイッターで明かす!」『シネマトゥデイ』株式会社シネマトゥデイ、2011年2月10日。2013年12月28日閲覧。
  15. ^ 映画パンフレット『風の谷のナウシカ』 1984a [出典無効]
  16. ^ 『宮崎駿イメージボード集』 (1983).
  17. ^ 『THE ART OF NAUSICAÄ』 (1984).
  18. ^ 宮崎 (1996b).
  19. ^ DVD『プロフェッショナル 仕事の流儀スペシャル 宮崎駿の仕事』 (2009).
  20. ^ a b c 『THE ART OF NAUSICAÄ』 (1984), pp. 179–182.
  21. ^ 宮崎 (1996a), pp. 259–260.
  22. ^ 宮崎 (1996a), p. 249.
  23. ^ 〈よむ〉1994年6月号─『風の谷のナウシカ』完結の、いま/小説からよむサラリーマン」『よむ』1994年6月号通巻第38号“インタビュー 物語は終わらない 宮崎駿” 
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参考文献

書籍、ムック、雑誌
パンフレット等
  • 『映画パンフレット 風の谷のナウシカ』東映株式会社 映像事業部、1984年。ASIN B0075R1F8W 
  • 『映画パンフレット 風の谷のナウシカ』東映株式会社 映像事業部、1984年。ASIN B006GC91LA 
映像

関連項目