ガンシップ (風の谷のナウシカ)

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ガンシップとは、漫画アニメーション映画風の谷のナウシカ』に登場する架空の戦闘機の総称である。

設定[編集]

作中では、多くの乗組員が必要な大型航空機コルベットよりも小型で、乗員1-2名の、高い速度と機動性を持つ戦闘用航空機を指してこのように呼ばれている。かつて存在した工業大国エフタルで用いられたもので、映画版では風の谷のものとペジテのものがそれぞれ1機ずつ登場したが、漫画版ではこの他にもエフタルの末裔である辺境諸国のものが多数登場している。ガンシップを保有する国は、これによる軍事支援と引き替えに自治権を認められるほど貴重で強力な兵器とされ、族長が乗り継ぐしきたりとなっている。作中でもナウシカが正式に受け継いで戦線に参加した。

作中の時代背景は、武器や火薬などの製造技術は完全には失われてはいないものの、その多くは家内制手工業的な作業で、ガンシップが設計製造された時代よりも技術水準が退行した世界観で描かれている。それを反映して、ガンシップのエンジンは作中の時代では新造できず、地中から発掘されたものや墜落した他の機体から回収したものを修理して使用していることを窺わせる描写がされている。機体の材料には、旧世界の遺品として手に入るセラミックのほか、王蟲の甲皮や木材などが用いられ、度重なる補修の痕跡とみられる描写もある。

ガンシップの航続距離は長いものの、貨物や弾薬などを積載するスペースが小さいため、バージ(だるま船とも)と呼ばれる貨物グライダーを牽引する運用も描かれている。

風の谷のガンシップ[編集]

風の谷のガンシップは、機体前端と尾端に1席ずつ座席を持つ2人乗りで、前席に操縦士射撃手が搭乗し、後席でエンジンの制御を行う。乗員同士の会話には伝声管を使う。降着装置は収納式で、車輪を使って地面に降りるほか、格納用の外装をスキッドとして悪路着陸や着水を行うこともできる。輸送や保管の際には主翼を折りたたむことができ、空中フックでメーヴェなど他の航空機を牽引する機能も持っている。

尾翼を持たない無尾翼機であり[1]エンジン出力とジェット噴気量の調整によって左右の操舵を行っている様子が描かれている。主翼にはフラップエルロンエレベーターを兼ねる動翼が存在する。動翼内部には推進装置を搭載しており、稼動時には左右の翼から3つずつ噴射炎や排気煙が見える。このエンジンと動翼を利用することでスラストリバーサ逆噴射装置)としても使用でき、空中での急減速から失速させ方向転換するといった機動を可能としている。

機首はダブル・デリンジャー銃のように、口径が200mmほどの砲口を上下に2つ重ねた形状の主砲になっている。装弾数は2発のみで自動装填装置などは持たない先込め式となっていて、弾はロケットアシスト弾のような特徴が描かれている。劇中では、一撃でバカガラスの艦首ドアを吹き飛ばして脱出したほか、2発で装甲コルベットを撃墜する破壊力を持つ。主砲左右に備えられた機銃のような砲身から照明弾を発射する描写もある。

機体はモノコック構造である描写がある。装甲には王蟲の甲皮、風防にはドーム状の目を利用しており、土鬼の浮砲台の砲弾に耐えうる防御力を備える。漫画版では他にも、トルメキアの敗残兵に攻撃されたりヒドラにひっくり返されたりと、色々な攻撃に曝されるが、大きな損傷を受けず飛行能力や戦闘能力を維持している様子が描かれた。墓所と巨神兵の戦闘では起きた爆風でエンジンを損傷して墓所に不時着し、主翼の半分を喪失するほど大破したが、トルメキアの船と乗員の兵士が全滅したのとは対照的に、搭乗していたアスベルとミトは一命を取り留めている。最終的には墓所の崩壊と運命を共にした。映画版ではトルメキア軍の銃撃によりスキッドを損傷し胴体着陸した末、王蟲の群れに踏み潰されて大破している。

ペジテのガンシップ[編集]

ペジテのガンシップは1人乗りで、機関砲を装備している。エンジンは胴体後部に単発ないし垂直双発で、高速かつ小回りが利く。ワインレッドに塗装されていた。

機体の主翼は、二段階の後退角が付いており、中間までは約45度、それより外側は約20度程度で、くの字型をしており、中間部分から上下に垂直尾翼ラダー)がある。胴体と主翼が滑らかに接合されたブレンデッドウィングボディに近い構造で、両主翼の付け根に、一門ずつ機関砲が搭載されている。コックピット正面に風防がある。コックピットと機関部を併せて一つの球状を形成しており、風の谷のガンシップに比べて小型である。漫画版ではトルメキア兵に「恐ろしく身軽なやつ」と評されており、他国のガンシップと比較してかなり高い運動性能を持っていると思われる。

劇中ではトルメキアへの報復に燃えるアスベルが搭乗しトルメキア軍の艦隊を襲撃する。機動力を活かし、敵艦隊の弾幕を掠りもせず機関砲を浴びせて離脱する一撃離脱戦法をしかけた。漫画版では少なくともバカガラスを2機、辺境諸国のガンシップ2機をバージごと撃墜し、クロトワが操縦するコルベットと空中戦を繰り広げるも、戦いを止めようとするナウシカの幻影に気を取られた隙をつかれ撃墜された。映画版ではバカガラスを瞬く間に全艦撃墜するも、先頭の艦の艦首にナウシカを見つけ、攻撃を中止した隙をつかれ、コルベットの追撃にあい機関部を損傷、墜落した。

脚注[編集]

  1. ^ 一応垂直尾翼については機体尾端の下部が後輪取り付け部分へ行くにつれて薄くなっており、尾翼状の形ではある。