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護身剣

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

護身剣(ごしんのつるぎ/ごしんのけん)は、大刀契のうち、破敵剣と並んで重視された御剣。守護剣(しゅごのけん)、日月護身剣(にちげつごしんのけん)とも。

刃の長さ69センチメートル、把の長さ18センチメートル、全長87センチメートル、先は両刃、身は片刃の刀である[1]

略史

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破敵剣と共に百済王倭王に献じたものという伝承をもつ[原 1][1][2]

塵袋』によると、護身剣・破敵剣の両剣は天皇行幸時の大刀契のひとつで、名称のとおり護身・破敵の機能を果たした[3]

天徳4年(960年)に焼失、応和元年(961年)に安倍晴明賀茂保憲らによって再鋳造されたが、寛治8年(1094年)に焼失した。

銘文

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符図〔左〕

日形 南斗六星 朱雀形 青龍形

符図〔右〕

月形 北斗七星 玄武形 白虎形

銘文〔峰〕

歳在庚申正月 百済所造 三七練刀 南斗 北斗 左青竜 右白虎 前朱雀 後玄武 辟深不祥 百福会就 年齢延長 萬歳無極

解釈

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左には日の形・南斗六星朱雀の形・青龍の形が、右には月の形・北斗七星玄武の形・白虎の形が刻まれている。

銘文に見える庚申年は西暦360年、百済所造は作刀の地が百済であることを示す[1]。銘文中の南斗北斗、青龍白虎、朱雀玄武の語は刀身に刻まれる符図、南斗六星北斗七星、朱雀形玄武形、青龍形白虎形と合致する[1]

星宿四神に続けて「深き不祥を避け、百福会集し、年齢延長し、萬歳極まり無し」と重要な句が四字四節見られる[注 1][1]

関連する刀剣

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奈良県天理市に鎮座する石上神宮が所蔵する七支刀は、護身剣・破敵剣に少し遅れて372年あたりに百済王世子から神功皇后に献じられたとされている[4]

関連資料

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護身剣が記録される資料

脚注

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原典

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  1. ^ 『塵袋』

注釈

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  1. ^ 符図に深く係わり合う「辟深不祥 百福会就 年齢延長 萬歳無極」といった短い四句は、道教の果たす役割を的確に示す語句として常々用いられる。

出典

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  1. ^ a b c d e 水野正好 1986, pp. 70–72.
  2. ^ 水野正好 1986, pp. 74–75.
  3. ^ 水野正好 1986, pp. 75–76.
  4. ^ 水野正好 1986, pp. 73–74.

参考文献

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  • 岩田慶治松前健水野正好、他『神と人―古代信仰の源流』大阪書籍朝日カルチャーブックス 58〉、1986年3月30日。ISBN 978-4754810580 

関連項目

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