皇宮護衛官

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儀礼服姿で皇居正門警備に向かう皇宮護衛官。皇居内にて撮影
皇宮警察騎馬隊宮内庁の車馬課の御者。騎乗の皇宮護衛官が儀礼服を着用している

皇宮護衛官(こうぐうごえいかん)とは、国家公務員の官職の一つであり、警察庁附属機関である皇宮警察本部に所属する公安職の警察庁の職員である(特別司法警察職員であり、警察官ではない)。

概要[編集]

天皇皇族護衛皇居御所御用邸などの警衛を担当することを主な職務とする。その専門性を考慮して、警察官とは別枠の皇宮護衛官採用試験(国家公務員III種相当)が設けられている。

皇宮護衛官の定員は920人である。(警察庁の定員に関する訓令)

「皇宮護衛官章」には五三の桐が用いられている。

皇宮護衛官は警察庁に所属するものの警察官とは別の官職(警察官ではない警察職員)とされているが、警察法に基づき「天皇及び皇后、皇太子その他の皇族の生命、身体若しくは財産に対する罪、皇室用財産に対する罪又は皇居、御所その他皇室用財産である施設若しくは天皇及び皇后、皇太子その他の皇族の宿泊の用に供されている施設における犯罪」に対する捜査を行う刑事訴訟法上の司法警察職員[1]とされている。 階級呼称については警察官に準じるが、全部の階級に「皇宮」がつく(例:警部補の職ならば皇宮警部補となる)。

警察官の拳銃、特殊銃(機関けん銃)、警棒催涙スプレー等の使用・取扱いは各種の国家公安委員会規則により定められているが、これらはいずれも皇宮護衛官にも準用される。また、制服制帽階級章・識別章は基本的に警察官と同一であるが、上着の両襟の部分に皇宮護衛官であることを示す「皇宮護衛官章」[2]が付くほか、警笛を吊る警笛吊り紐がえんじ色[3][4]である点が一般の警察官と異なる。また制服の上衣の右上腕部のエンブレムの文字が「皇宮」となっている(一般の警察官の場合は「警視庁」または「道府県」名、本来は警察庁であるべきところ「皇宮」となっている)。その他、警察手帳の所属本部名は「皇宮警察本部」ではなく本来の所属の「警察庁」となっている。


警衛や儀衛に当たっては、特別な制服(飾緒を金モール編みの肩章から吊るした儀礼服等)を着用して、側車二輪車に乗ったり、皇居の正門での警備などの任務に当たることがある。

皇宮護衛官は東京都神奈川県静岡県栃木県京都府奈良県の1都1府4県を中心に、海外を含め天皇・皇族が移動する先の必要エリア全てにおいて警衛活動を行う。なお、法令上、皇族以外の要人等の身辺を守ることを「警護」といい、天皇・皇族の身辺を守ることを「警衛」という。

皇宮警察音楽隊

皇宮警察本部には、皇宮護衛官育成のための皇宮警察学校や皇宮警察音楽隊皇宮警察特別警備隊(一般の警察機動隊に相当する)なども設けられている。

また、皇宮護衛官は皇居や御所の消防も任務としており、各護衛署には消防車が配置され消防訓練を受けている。

天皇や皇族の身辺警護を行う皇宮護衛官は侍衛官と呼ばれる。侍衛官は皇宮護衛官より選抜され、警護技術だけではなく教養も求められるため、茶道華道和歌などの日本文化も訓練される。また、馬術も必須となっている。

皇宮護衛官の階級[編集]

儀礼服姿で皇居正門での警備を行う皇宮護衛官

階級は最高位の皇宮警視監以下8階級1職位が定められている。通常の警察官の階級に「皇宮」を冠して称されるが、警視総監相当級は設けられていない(「警視総監」は日本の警察全体で1人だけ)。かつては、皇宮巡査部長以下に相当する階級として、皇宮警手(後に皇宮警士部長・皇宮警士)が置かれていた。

皇宮護衛官の階級
序列 階級
1 皇宮警視監
2 皇宮警視長
3 皇宮警視正
4 皇宮警視
5 皇宮警部
6 皇宮警部補
7 皇宮巡査部長
8 巡査長皇宮巡査
9 皇宮巡査

※法的には、職位(一種の名誉階級)であり、正式な階級は、あくまでも皇宮巡査である。

警察と護衛官[編集]

警視庁警備部には警衛課があり、道府県警察も皇族警備に関わるが、あくまで警備に限られる。身辺護衛などの警護は、皇宮護衛官の中から選抜された侍衛官が行い、その周りを担当皇宮護衛官が固める。さらに外側を警衛担当の警察官が固める。大規模な公式式典の際などは護衛官だけでは人手が足りなくなることもあるため、都内については、警視庁警備部警衛課が後方支援することもある。

脚注[編集]

  1. ^ =特別司法警察職員
  2. ^ えんじ色の地に金色の五三の桐紋記章
  3. ^ 赤誠(偽り・飾りのない真心)に由来する。
  4. ^ 一般の警察官の使用する警笛吊り紐は交通警察においては白色、地域警察では金属チェーン。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]