三の丸尚蔵館

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Japanese Map symbol (Museum) w.svg 三の丸尚蔵館
Museum of the Imperial Collections
Sannomaru-Shozokan.JPG
三の丸尚蔵館の位置(東京都区部内)
三の丸尚蔵館
三の丸尚蔵館の位置
施設情報
専門分野 皇室の旧蔵美術品
管理運営 宮内庁
開館 1993年平成5年)11月3日
所在地 100-0001
東京都千代田区千代田1-1 皇居東御苑
位置 北緯35度41分11秒 東経139度45分33秒 / 北緯35.68639度 東経139.75917度 / 35.68639; 139.75917
公式サイト 三の丸尚蔵館
プロジェクト:GLAM
狩野永徳 唐獅子図屏風

三の丸尚蔵館(さんのまるしょうぞうかん、英語: Museum of the Imperial Collections)とは、東京都千代田区千代田皇居東御苑内にある博物館施設。宮内庁が所管する。

昭和天皇崩御後の1989年平成元年)6月に皇室から寄贈されて国庫に帰属した美術品を保存、研究、公開するための施設として1993年(平成5年)11月3日に開館した。

概要[編集]

日本の皇室は、京都御所儀式の際に用いる屏風刀剣歴代天皇の宸筆などの伝来品のほか、近代化以降は東京の皇居宮殿、御所で用いた調度品、近代以降に華族、財界人、海外の賓客などから献納された美術品、院展などの展覧会で買い上げた美術品など、多くの美術品や文化財を所有していた。こうした皇室所有品は「御物(ぎょぶつ)」と称された。第二次世界大戦直後、かつての皇室財産は相当数が国有財産に移された。正倉院と正倉院宝物は宮内庁の正倉院事務所、京都御所桂離宮修学院離宮宮内庁京都事務所の管理下におかれ、陵墓出土品や古文書・典籍などは宮内庁書陵部の管轄となった。そして、これら以外の、第二次大戦後も皇室の私有品にとどまった文化財は引き続き「御物」と呼ばれることになった。

1989年昭和64年)1月7日昭和天皇崩御したことに伴い、残された美術品類を国有財産と皇室の私有財産に区分けする必要が生じた。そして、「三種の神器」を始め、歴代天皇の肖像宸筆、皇室の儀式に用いる屏風や刀剣類など、皇室にゆかりの深い品は皇室経済法第7条により、引き続き「御物」として皇室の私有財産とみなされたが、それ以外の絵画工芸品などの美術品類約3,180件(約6,000点)は1989年(平成元年)6月、皇室より国に寄贈された[1]。これらの国有財産となった美術品類を適切な環境で保存研究し、一般に公開する目的をもって1993年(平成5年)に、皇居東御苑内に「三の丸尚蔵館」が開館した。地上2階建て、総床面積約1600平方メートル、1階には約160平方メートルの展示室と売店を設けたほか、約1000平方メートルの収蔵庫を備えている。当初は保存研究を主目的とした収蔵施設として建設を計画し、収蔵品の公開については博物館美術館への貸出等を行って展示することを検討していたが、皇室の意向により当館内に展示室を設けることになったという。

その後、秩父宮妃薨去後の1996年(平成8年)に秩父宮家が所有していた品々が、2001年(平成13年)に香淳皇后の遺品が、高松宮妃薨去後の2005年(平成17年)に、高松宮家が所有していた品々が、さらに2014年(平成26年)3月に三笠宮家所蔵品が、各々寄贈された。2014年(平成26年)時点で、約9,800点の美術品類を収蔵している[2]

宮内庁管理の美術品(正倉院宝物や書陵部管理品を含む)は、慣習的に文化財保護法による指定の枠外となっており、三の丸尚蔵館の所蔵品も国宝重要文化財等には指定されていないが、絵巻物の『蒙古襲来絵詞』や『春日権現験記絵巻』、狩野永徳の代表作『唐獅子図屏風』、また、明治時代に京都相国寺から宮内省が買上げた伊藤若冲動植綵絵』30幅など、知名度の高い美術品が多数ある。

収蔵品には、明治以前から皇室に伝来した品のほか、帝室技芸員に任命された美術家の制作した作品、焼失した皇居の明治宮殿で使用されていた調度、装飾品類、明治以降に旧大名家、旧摂関家や財界人等から皇室に献上された美術品などが含まれる。

2014年8月、宮内庁が当館に新館を建設する構想を検討していることが明らかとなった。皇居東御苑は平成に入って以降入園者が増加し、2014年7月には公開開始以来の入苑者が2500万人を突破、同年11月には年間の入苑者が初めて100万人を超えた。皇居東御苑入苑者の増加に比例して当館の入館者も増えており、2014年11月には開館以来の入館者が500万人となり、2017年5月には600万人に到達した。宮内庁はこうした当館入館者の増加傾向を受け、新館建設により『動植綵絵』30幅が並ぶ程度の展示スペースに拡充させることを考えている[3]2015年12月、改修と新館建設に関する基本構想がまとまり、2016年1月、宮内庁より公表された。総床面積は既存部分の約3倍となる4800平方メートル、展示室は360平方メートル、収蔵庫は約1800平方メートルに拡張される。このほか皇居の概要や皇室の歴史などを紹介するコーナーも新たに設ける。完成予定は2022年度となっている[4]

主な収蔵品[編集]

蒙古襲来絵詞(部分)
春日権現験記絵巻(部分)
川端玉章『四時ノ名勝』1899年
伊藤若冲『動植綵絵』のうち老松白鳳図

絵画[編集]

書跡[編集]

工芸品[編集]

  • 木画箱 - 唐時代。旧法隆寺献納宝物
  • 蔦細道蒔絵文台硯箱 - 安土桃山~江戸時代。
  • 宇治川蛍蒔絵料紙箱・硯箱 - 飯塚桃葉作。安永4年(1775年)。
  • 短刀 銘正宗(名物京極正宗)
  • 短刀 銘行光
  • 太刀 銘備前国長船光忠 - 1933年、岩崎小弥太から献上。

近代絵画[編集]

平福百穂『玉柏』1928年
  • 川端玉章『四時ノ名勝』 - 明治32年(1899年)
  • 横山大観『御苑春雨』 - 大正15年(1926年)
  • 横山大観『飛泉』 - 昭和3年(1928年
  • 横山大観『秩父霊峯春暁』 - 昭和3年(1928年)
  • 横山大観『龍蛟躍四溟』 - 昭和11年(1936年
  • 下村観山『光明皇后』 - 明治30年(1897年
  • 富岡鉄斎『武陵桃源瀛洲神境図』(ぶりょうとうげん・えいしゅうしんきょうず) - 大正12年(1923年
  • 川合玉堂『雨後』 - 大正13年(1924年
  • 竹内栖鳳『薫風稚雀寒汀白鷺図』(くんぷうちじゃく・かんていはくろず) - 昭和3年(1928年)
  • 平福百穂『玉柏』 - 昭和3年(1928年)
  • 上村松園『雪月花』 - 昭和12年(1937年)
  • 堂本印象『火退』 - 昭和13年(1938年)

近代工芸[編集]

  • 高村光雲『矮鶏置物』 - 木彫、明治22年(1889年
  • 高村光雲『猿置物』 - 木彫、大正12年(1923年
  • 海野勝珉『蘭陵王置物』 - 彫金、明治23年(1890年)
  • 旭玉山『官女置物』 - 象牙彫刻、明治34年(1901年)
  • 並河靖之『四季花鳥図花瓶』 - 七宝、明治32年(1899年)
  • 『菊蒔絵螺鈿飾棚』 - 漆工、明治36年(1903年)。制作は川之辺一朝(蒔絵)、海野勝珉(銀製金具)、片岡源次郎(螺鈿)、六角紫水(デザイン)ほか。明治天皇の命により制作。金は佐渡金山のものを使用。制作経緯は、「明治美術ノ真粋」を後世に伝えるため、あるいは美術奨励のためと当時の美術雑誌などに記されている。
  • 香川勝広『和歌浦図額』 - 彫金、明治32年(1899年)
  • 初代宮川香山『青磁遊環龍文花瓶』 - 磁器、大正3年(1914年

利用案内[編集]

  • 入館料 無料
  • 開館時間
    • 3月1日~4月14日 午前9時~午後4時15分 (入館は午後4時まで)
    • 4月15日~8月末日 午前9時~午後4時45分 (入館は午後4時30分まで)
    • 9月1日~10月末日 午前9時~午後4時15分 (入館は午後4時まで)
    • 11月1日~2月末日 午前9時~午後3時45分 (入館は午後3時30分まで)
  • 休館日
    • 展覧会期間中の毎週月曜日・金曜日。
    • 展覧会の準備期間。
    • 年末年始(12月28日~翌年1月3日)。
    • 行事の実施、その他支障のある日。
      • 天皇誕生日以外の「国民の祝日等の休日」は開館。
      • 月曜日が「国民の祝日等の休日」で開館する場合は、翌火曜日を休館。
      • 天皇誕生日、行事の実施日は臨時開館の場合あり。
    • 皇居東御苑は入苑者が定員を超過した場合、一時的に入苑を中止することがある。
  • 館内施設
    • 売店(図録・絵葉書等グッズ取り扱い。公益財団法人菊葉文化協会運営。隣接する大手休憩所にも同協会運営の売店あり(図録バックナンバー・同協会編集皇室関連書籍・DVD・絵葉書その他皇居東御苑入苑記念グッズ等も取り扱い))。
    • 休憩室・化粧室なし(隣接する大手休憩所・化粧室を利用)。
  • 交通アクセス

参考文献[編集]

  • 『週刊朝日百科』「皇室の名宝8・9・10」、朝日新聞社、1999
  • 特別展図録『御即位20年記念特別展 皇室の名宝』、2009

脚注[編集]

  1. ^ 森暢平『天皇家の財布』(新潮社、2003)によると、皇室所有の美術品のうち、3,180件が「国有財産」、580件が「御由緒物」に仕分けされ、残りの800件が引き続き「御物」にとどまったという(同書pp119 - 126)
  2. ^ 所蔵品の点数は、「宮内庁三の丸尚蔵館 山下裕二×太田彩(三の丸尚蔵館主任研究官) 若冲、北斎、明治の工芸……知られざる皇室の秘宝」『東京人』2014年12月号、都市出版、p.91による。
  3. ^ <「宮内庁三の丸尚蔵館 山下裕二×太田彩(三の丸尚蔵館主任研究官) 若冲、北斎、明治の工芸……知られざる皇室の秘宝」『東京人』2014年12月号、都市出版、p.95。
  4. ^ 皇居 三の丸尚蔵館、総床面積3倍に 増築基本構想を発表毎日新聞 2016年1月3日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]