打撃用ヘルメット

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打撃用ヘルメット

打撃用ヘルメット(だげきようヘルメット、:batting helmet)は、野球ソフトボールにおいて打席に立つ打者や走者が頭部保護の目的に装着するヘルメットである。

概要[編集]

右打者用の片耳付きヘルメット (フランシスコ・セルベーリ)
右打者用の片耳付きヘルメット
フランシスコ・セルベーリ
左打者用の片耳付きヘルメット (ロビンソン・カノ)
左打者用の片耳付きヘルメット
ロビンソン・カノ

投手や他のポジションが投げたボールや打者が打った打球が、打者や走者の頭部に当たった際、素材の硬さや形状及び内装の緩衝材の効果及びヘルメット自体がはじき飛ばされることによりダメージを軽減することを目的として着用される。1920年メジャーリーグベースボール(MLB)レイ・チャップマンが投球を頭部に受け死亡したことをきっかけとして革製ヘルメットの開発が行われ、その後現在ではポリカーボネイトなどの強化樹脂が使用されている。

ユニフォームの一部である野球帽と同様のデザインが施されることが多く、形状も通常のヘルメットとは異なり前頭部には野球帽型の大きな庇が設けられている他、側部には耳当てが付けられている。ヘルメットの形状には規則がなく、どんな形のヘルメットでも基本的には認められる。なお、安全ヘルメットなどにあるあご紐は、衝撃をまともに受けて逆に危険になるためつけられていない。

両耳付きヘルメットを着用するスイッチヒッター (西岡剛)
両耳付きヘルメットを着用するスイッチヒッター
西岡剛
両耳付きヘルメットを着用するマイナーリーガー (キャメロン・メイビン)
両耳付きヘルメットを着用するマイナーリーガー
キャメロン・メイビン

耳当ては片耳付き、両耳付きの2種が存在する。片耳付きの場合は、打席に立った際に投手側に面する方に耳当てが付けられる(右打者:左耳、左打者:右耳)。アマチュア野球では事故防止のために両耳付きの着用を義務付けている場合がほとんどで、日本の高校野球の場合は1993年度から1994年度をまで準備期間とし1995年度から両耳が義務付けられた。プロ野球でもアメリカマイナーリーグは両耳付きの着用を義務付けている。中には義務のない場合でも選手個人が自ら両耳付きを着用する例も存在し、スイッチヒッターの選手が両耳付きを着用することがある他、青木宣親は左打ちだがマイナーリーグからメジャーリーグに昇格した後も両耳付きのものを着用していた[注釈 1][1]

耳あて付きヘルメットは、日本では1970年田淵幸一が側頭部に死球を受け耳から出血したことをきっかけに広く使用されるようになった[2]。その後、1996年シーズンより1984年以降に在籍した選手、および1983年に在籍し耳あて付きヘルメットを着用した選手は耳あて付きヘルメットの着用が義務付けられ、この基準制定以降、落合博満平野謙金森栄治田村藤夫ら14人の選手が耳あての無いヘルメットを着用していたが、2000年限りで引退した愛甲猛が最後の着用選手となった。

フェイスガード付きヘルメット(ジャンカルロ・スタントン

また、MLBでは2010年代後半頃より耳当てに装着し耳当てをアゴ付近まで延長する形となるフェイスガード(C-FLAP:シーフラップ)が普及している。フェイスガードは怪我の予防の他、視界が狭まることで集中力が保たれ、打撃力の向上に繋がるとされている[3]

日本プロ野球では1979年チャーリー・マニエル[4]1999年秋山幸二など、頭部死球を受けた選手に対する措置としてフェイスガードが使用された例があったものの定着には至っていなかったが、2018年から正式に使用が認められ、翌2019年より着用選手が急増している。

打者以外の使用例[編集]

走者[編集]

走者に関しても打撃用のヘルメットをかぶってプレーする。2011年の公認野球規則改正(1月28日発表、2月15日発効)により着用が義務づけられた[5]

ホッケー型キャッチャーマスク・ヘルメット (山下斐紹)
ホッケー型キャッチャーマスク・ヘルメット
山下斐紹
捕手専用ヘルメット (相川亮二)
捕手専用ヘルメット
相川亮二

守備[編集]

守備につく際にヘルメットを着用するポジションは捕手で、通常の打撃用ヘルメットと異なり鍔と耳あて部分が省略された捕手専用ヘルメットが多く使用されている。アメリカンフットボールのヘルメットのような顔全体を覆うヘルメットやアイスホッケーのマスクを改良した物、二輪用のようにマスクがヘルメットと一体でありシールド風に押し上げて除ける物も存在し、メジャーリーグでは普及している。日本プロ野球でも相川亮二日高剛阿部慎之助山下斐紹などの使用例がある。なお、審判員の中にも白井一行などフルフェイス型のヘルメットを着用している者がいる。

他のポジションの選手も使用する場合があり、過去にレロン・リージョン・シピン駒田徳広メル・ホールといった選手は守備の時も打撃用ヘルメットを着用した。ジョン・オルルドは大学時代の1988年に脳腫瘍の手術を受けており、強い衝撃は危険なため、頭部保護の目的で守備でもヘルメットを着用した。

ベースコーチ[編集]

2007年マイナーリーグのベースコーチだったマイク・クールボーが試合中に打球を頭に受け死亡した事故が起きたことから、翌2008年からアメリカにおいてはメジャーリーグも含めてベースコーチにもヘルメット着用が義務付けられた。日本ではアマチュア野球が2009年に、プロ野球では2010年からそれぞれヘルメット着用が義務化された。ワールドベースボールクラシックでは第2回大会からベースコーチのヘルメット着用が義務化された。高校野球では2001年より打撃投手のヘルメット(ヘッドギア)着用が義務化された。

選手以外ではボールパーソンもヘルメットを着用する。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ これは、川崎宗則から「過去に頭部死球を受けた多くの大リーガーが両耳にしている」と聞いたためである。

出典[編集]

関連項目[編集]