ブロッキングベース

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ブロッキングベースとは、2023年9月5日より日本野球機構(NPB)で、2024年シーズンよりメジャーリーグ(MLB)で、それぞれ導入されている判定基準の1つである。

判定基準見直しのきっかけとなったプレーに関わった選手名や抗議した監督名から、俗に「京田ルール」や「岡田ルール」と呼ばれることもある[1][2]

概要[編集]

NPBにおいては、2023年9月5日の公式戦より導入された[3]

試合中、走者盗塁ないし走塁の際、明らかにタイミングがセーフという場合で、ボールが逸れるなどして野手が結果的に不可抗力でベースを塞いでしまった場合はセーフとする、というルールであり、走塁妨害とはせずとも走者側の不利益を取り除く観点から制定された。また、牽制での帰塁時に送球が逸れたことにより野手がベースをふさいだ場合は新ルールを適用してアウトとはせず、走者として残ることができると説明した[4]

これについて、森健次郎審判長は「規則を変えるのではなく、運用を変える」と発言している[5]

なお、「ブロッキングベース」適用開始後は、同ルールが適用されたケースはない。

当初はNPBだけに適用された判定基準であったが、MLBにおいても2024年シーズン開幕から導入されることとなった。マイナーリーグ(MiLB)においては数年前からテストされていたものの導入には踏み切れていなかったが、NPBが先行したことで、MLBが追随する形となった[6]

ルールが制定された経緯[編集]

2023年8月18日、横浜スタジアムで行われた横浜DeNAベイスターズ阪神タイガース18回戦にて、9回表、一塁走者の熊谷敬宥が二盗を仕掛けたが、横浜DeNAのショート・京田陽太がベースカバーに入る際に脚で二塁ベースを塞いで交錯する形となった。二塁塁審の小林和公はセーフの判定を下したが、横浜DeNAの三浦大輔監督からリクエストの要求があり、ビデオ判定による協議の結果、責任審判(三塁塁審)の敷田直人は「走者(熊谷)と野手(京田)が接触していますが、走塁妨害は認められず、よって、アウトとします」とアナウンスし判定が覆った[3][4][7]

その判定に対し、阪神は岡田彰布監督が猛抗議し、その翌日にはセントラル・リーグに対し意見書を提出したことで検討課題となり、最終的にこのブロッキングベースというルールが作られた[3][7]

脚注[編集]

  1. ^ 高木豊さん、”京田ルール”に「不利益が出た時点で走塁妨害」審判の見解による曖昧な”注釈”を指摘」『中日スポーツ』2023年9月11日。2024年3月11日閲覧
  2. ^ 元NPB審判員 「岡田ルール」MLB導入は映像による判定検証拡大が要因 今後新たな「逆輸入」あり得る”. スポーツニッポン (2024年3月12日). 2024年3月12日閲覧。
  3. ^ a b c NPB、5日の公式戦から「ブロッキングベース」ルール運用 野手が完全にベースをふさいだらタイミング次第でセーフに」『中日スポーツ・東京中日スポーツ』2023年9月4日。2023年9月4日閲覧
  4. ^ a b 阪神・岡田監督が猛抗議したDeNA戦での走塁妨害問題に新基準 不可抗力で野手がベースをふさいでもタイミングがセーフならセーフ 5日から適用」『デイリースポーツ online』2023年9月5日。2023年9月4日閲覧
  5. ^ プロ野球実行委員会“ベースを完全にふさいだ場合”の判定基準変更 5日から「ブロッキングベース」運用」『スポニチ Sponichi Annex』2023年9月4日。2023年9月4日閲覧
  6. ^ メジャーでもブロッキングベース導入 阪神岡田監督の猛抗議から始まった運用にMLBも続く」『日刊スポーツ』2024年3月11日。2024年3月11日閲覧
  7. ^ a b 古川真弥「NPB、塁のブロッキングに関するルール運用変更 「ブロッキングベース」従来のアウトがセーフに」『日刊スポーツ』2023年9月4日。2023年9月4日閲覧

関連項目[編集]