タイブレーク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

タイブレーク (tie break) は、テニスソフトボールなどで所定のセットポイント等を達しても勝敗が決しない場合、試合をスムーズに決着できるようにする仕組み。またはバスケットボールなどで総当り戦において、同率で並んだ場合に直接対決で順位を決める事もこう呼ぶ場合もある。

本来、議会などで賛否同数の場合、議長がどちらかに一票を投じる議長決裁を「同数均衡 (tie) を破る (break)」と表現したことから派生した言葉である。

テニス[編集]

両者のゲームカウントが本来取るべきスコア(6対6)になった場合に行い、そのセットの最初にサーブを行った者からサーブをする。

  • 最初にサーブを打つ人はデュースサイドから一本で、二人目からはアドサイド、デュースサイドという順番で二本打つ。
  • どちらかが7ポイントを取った時点で終了し、勝者がそのセットを獲得する。ただしポイントが6対6になった場合はその後、2ポイント差がつくまで続けられる。両者のポイントが6の倍数になったときにチェンジエンドを行う。

ソフトボール[編集]

7回終了時で同点の場合、無死二塁から試合再開する(タイブレーカーともいう。ランナーは前イニングスの最終打者)。なお、走者が出るため完全試合の記録は途切れるが、ノーヒットノーランの記録は継続される。

野球[編集]

国際試合[編集]

国際試合では、延長戦は均衡が破れるまで続けることとされていたが、オリンピックにおける野球競技の復活を目指す国際野球連盟(IBAF)が、野球のショーアップを目的として、2008年北京オリンピックからIBAF主催の国際大会で採用した。延長11回から適用され、無死一二塁から攻撃を始める。打者は任意打順で、11回の延長に入る前に、監督は球審に希望する打順を告げる。一塁走者は前位の打順の者、二塁走者は一塁走者の前位の打順の者とする。12回以降は、11回からの継続打順とし、同様の方式で2人の走者を置く。

ワールドベースボールクラシックにおいても、第2回大会から採用。延長13回からとし、前の回の最後の打者とその前の打者を一二塁に置き、無死一二塁から打順を変えずにプレーを開始。決着がつくまで行う。

社会人野球[編集]

日本では、社会人野球の公式戦(都市対抗野球等)で2003年から採用されている。細かな要件の変更が加えられてきた。適用条件や運用は以下のとおりであった。

  • 2003年から2008年まで
適用条件 延長13回以降で、且つ試合開始から4時間を超えた場合に適用される。延長13回以降であっても試合時間が4時間未満であった場合や、試合時間が4時間を超えても延長回が13回未満であった場合は通常どおりのイニングで試合を行う。
運用 1死満塁から試合を行う。打者は、前イニングからの継続打順とし、一塁走者は前位の打順の者、二塁走者は一塁走者の前位の打順の者、三塁走者は二塁走者の前位の打順の者とする。代打、代走を起用してもよいが、通常のルールと同様、代打、代走を送られた選手は退いた形となり、代打者、代走者が打順を引き継ぐ。
  • 2009年から2010年まで
適用条件 延長11回以降、試合時間の長短に関係なく適用。
運用 変更なし。
  • 2011年から
適用条件 延長12回以降、試合時間の長短に関係なく適用。
運用 1死満塁から試合を行う。12回の攻撃前に監督が攻撃開始打者を指定する(11回の攻撃終了時の打者が誰であっても関係なし)。一塁走者は打者の前位の者、二塁走者は一塁走者の前位の者、三塁走者は二塁走者の前位の者とする。代打、代走を起用してもよいが、通常のルールと同様、代打、代走を送られた選手は退いた形となり、代打者、代走者が打順を引き継ぐ。なお、13回以降は12回の攻撃終了時の打順を継続して運用する。

投手、打者、走者の記録は次のとおりである。

  • 投手:イニング開始時に塁上にいた走者が生還した場合、失点は記録されるが、自責点とはならない。また、タイブレークでの1イニングを投げた場合は「2/3回」投球したこととされる。完全試合の記録は途切れるが、ノーヒットノーランは継続される。
  • 打者:イニング開始時に塁上にいた走者をヒット、内野ゴロ、犠牲バント、犠牲フライで生還させた場合は打点が記録される。
  • 走者:イニング開始時に塁上にいた走者が生還した場合、その走者には得点が記録される。

2大大会においては、以下の試合が、それぞれの大会においてタイブレークが適用された試合である。

大会 回戦 年月日 試合結果 延長回 適用開始回
都市対抗 第76回 1回戦 2005年8月23日 七十七銀行 9x-8 デュプロ 15回 14回から
第80回 2回戦 2009年8月23日 大阪ガス 6-4 NTT信越硬式野球クラブ 12回 11回から
2009年8月24日 ヤマハ 3-2 富士重工業 11回 11回から
2009年8月27日 三菱重工神戸 4-3 パナソニック 11回 11回から
3回戦 2009年8月28日 日産自動車 4x-3 大阪ガス 11回 11回から
第81回 1回戦 2010年8月31日 三菱重工横浜 3x-2 王子製紙 11回 11回から
2010年9月1日 大和高田クラブ 1x-0 バイタルネット 11回 11回から
2010年9月1日 NTT東日本 2x-1 七十七銀行 11回 11回から
2回戦 2010年9月2日 住友金属鹿島 5-1 伯和ビクトリーズ 11回 11回から
2010年9月2日 東芝 8-6 JR東日本 11回 11回から
第82回 1回戦 2011年10月24日 ヤマハ 7-2 パナソニック 12回 12回から
第84回 1回戦 2013年7月17日 TDK 2-0 伯和ビクトリーズ 12回 12回から
2回戦 2013年7月20日 新日鐵住金かずさマジック 4-2 ニチダイ 12回 12回から
準々決勝 2013年7月21日 東芝 5x-4 ヤマハ 12回 12回から
日本選手権 第31回 1回戦 2004年11月21日 JR西日本 3-1 七十七銀行 15回 14回から
第36回 準決勝 2009年11月21日 JR九州 6-2 日産自動車 13回 11回から
第37回 1回戦 2010年10月30日 三菱重工長崎 9-6 JR東日本東北 12回 11回から
2010年10月31日 四国銀行 5-4 所沢グリーンベースボールクラブ 12回 11回から
2010年11月1日 JR九州 5x-4 三菱重工名古屋 11回 11回から
2回戦 2010年11月11日 ヤマハ 16-12 日本新薬 12回 11回から
第38回 1回戦 2012年11月3日 NTT西日本 1x-0 三菱重工横浜 12回 12回から
第39回 1回戦 2013年10月28日 バイタルネット 2-1 西濃運輸 13回 12回から
2013年10月29日 Honda熊本 1-0 JFE西日本 12回 12回から
2013年10月29日 JFE東日本 10-9 NTT西日本 12回 12回から

社会人野球では2大大会のみならず地区連盟主催大会でも適用されているが、上記のような厳格な要件ではなく、延長戦に入った時点で即座にタイブレークを適用して大会運営をスムーズに行う工夫がなされているが、本来の野球のルール(公認野球規則)には示されていない制度であり、安易な導入に対して懸念を示す意見もある。

学生野球[編集]

学生野球では、大学野球が、2011年全日本大学野球選手権大会から決勝を除く全試合で適用される。これは同年3月に発生した東日本大震災の影響、節電対策の一環として適用された。9回を終えて同点の場合、延長10回から1死満塁の設定で始まる。

また、東京六大学野球連盟でも新人トーナメント(1・2年生対象の大会)の大会でこれが採用されている。(決勝・3位決定戦以外 ただし、ノーアウト1・2塁から開始)[1]

その他[編集]

プロを含むその他の大会では現在採用されていないが、社会人野球と学生野球の対抗戦でタイブレークを採用した例がある(第13回京都府アマチュア野球王座決定戦(2007年10月29日)、同志社大学日本新薬戦。また、2008年JABA日立市長杯争奪大会に参加した東京ヤクルトのファームチームが日本通運との準決勝でタイブレークの延長戦を経験した([1])。

なお、韓国プロ野球リーグでは2010年オープン戦に限り、世界のプロ・セミプロ(独立)リーグを通して初めてタイブレークを実施したが、それ以後は公式戦・オープン戦を含め実施していない。また他の各国のプロリーグでもタイブレーク制度を公式戦で採用する動きはない。

また、軟式野球マルハンドリームカップ・全国ベースボールトーナメントにおいても広義のタイブレークに当たる「サドンデス」方式(7回終了時、または7回を満たさなくても90分を経過した時点のイニングで同点で終了した場合、1イニング限定で行う。この場合1アウト満塁の段階からのスタートで、基本は前回の攻撃終了時の次の打者がバッターで、前回の最後の打者から数えて3人をランナーとする。表・裏の攻撃で同点だった場合はじゃんけんで決定)が取り入れられている。

メジャーリーグ[編集]

メジャーリーグでは、ペナントレースでの勝率が同率となったときに優勝チームやワイルドカード獲得チームを決定するために行われる試合をワンゲーム・プレーオフ(またはタイブレーク、タイブレーカー)と呼ぶ。

メジャーリーグ公式戦は延長イニング無制限で原則として引き分けが存在しないため、チームの勝ち数と負け数の合計が162となる。このため、レギュラーシーズン終了時点で複数のチームが同率となる可能性がある。これによりレギュラーシーズンの地区優勝チームやワイルドカード獲得チームが複数生じる場合があり、ポストシーズンに影響してくる。そこで行われる1試合の順位決定戦をワンゲーム・プレーオフと呼んでいる(よって日本の社会人野球において用いられるような延長戦を早く決着させるという意味はない)。

近年では、2008年アメリカン・リーグ中地区でシカゴ・ホワイトソックスミネソタ・ツインズが同率1位で並んだことから、9月30日に優勝決定戦としてワンゲーム・プレーオフが行われ、ホワイトソックスが勝利した。

なお、このゲームの結果(勝敗)及び選手の個人成績はレギュラーシーズンに加えられる(タイブレーク参加チームのみシーズン163試合の結果となる)。

アメリカンフットボール[編集]

通常では延長戦を行ないそれでも同点の場合は引き分けとするが、トーナメントや順位決定戦などで勝敗を決する必要が有る場合にタイブレークが行なわれる。

コイントスにて先攻チームを決めたあと、キックオフを行なわずに両チームが交互に相手陣25ヤードの地点から攻撃を行ない、得点に差が出るまで繰り返しプレーを続ける方式をとる。先攻チームが得点しても必ず後攻チームはプレイを行なう。(サドンデスでは無い)

得点は通常のゲーム中と同じなので先攻チームがフィールドゴールで3点を得ても後攻チームがタッチダウンで6点を得た場合は後攻チームの勝利となる。

また双方の攻撃が終わって同点の場合は、先攻と後攻を逆にしてプレイを行なう。

従来はコイントスで次のステップに進出するチームを決めていた。

バスケットボール[編集]

リーグ戦(ラウンドロビン)で勝率が並んだ場合、当該チーム間の直接対決で成績が上の方を上位としており、これをタイブレークと呼ぶ。NBA及び国際バスケットボール連盟(FIBA)主催大会で採用されている。

NBA[編集]

NBAプレーオフ#シード順決定方法を参照。

FIBA[編集]

  1. 当該チーム間の勝敗
  2. 当該チーム間の総得点/総失点
  3. 全試合の総得点/総失点

カーリング[編集]

  • 5チーム以上勝敗が並んだ場合に行う1ゲームをタイブレークと呼ぶ。

スポーツ大会の次期開催地投票[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 新人戦大会規定