バスター
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バスターとは、野球・ソフトボールにおいて打者がバントの構えで打席に立ち、投手が投球動作に入ってからヒッティングに切り替える打法のこと。
バスターの名称はbastard buntを略した和製英語で、英語ではslash bunt、fake bunt and swing、butcher boy、slug buntなどと言う。バント#バスターの項も参照。
日本では、バスターの名称が広まる以前は「プッシュ打法」とも呼ばれていた[1]。
通常、バントを敢行すると気付かれた場合、相手チームはバントを阻止するためにバントシフトと呼ばれる守備陣形を敷くことが多い。この際にバントからバスターに切り替え、シフトの変更によって生じた隙を狙うことがよく見られる。他に、バントだと思わせることで打者にとって打ちやすい球種を投げさせる目的で使用されたり、バスターとヒットエンドランを組み合わせたバスターエンドランと言う戦術もよく用いられる。
投手からリリースされた球をよく見ることができ、テイクバックを小さくしないと振り遅れやすい事から自然とコンパクトなスイングになるため、長打は望みにくいが選球眼に難がある選手には有効な打法とされる。また、フォームの矯正やタイミングの微調整を目的にバスターを用いる場合もある。
なお、バスターから本塁打を打った例はNPBでは数例記録されており、2006年9月2日の広島市民球場でのヤクルト対広島戦にてリック・ガトームソンが林昌樹から[2]、2015年6月12日のQVCマリンフィールドでのロッテ対巨人交流戦にて清田育宏がマイルズ・マイコラスから[3]、2016年7月10日のヤフオクドームでのソフトバンク対楽天戦にて細川亨がジェイク・ブリガムから[4]、2020年9月25日の明治神宮野球場でのヤクルト対阪神戦にて荒木貴裕が能見篤史から[5]、それぞれバスターを敢行して放った打球が本塁打となっている。
バスターとの技術的な関連性は低いが、福留孝介や松本哲也、鬼崎裕司など、バッティングの際に利き手と反対の手でバットの中程を保持する構えを取る選手は、近藤和彦の天秤打法とバスターの中間的な構えであるとして、「天秤バスター打法」と呼ばれることがある[6]。
脚注[編集]
- ^ 名将たちの言葉 鹿児島実・久保 克之名誉監督「己を知り、相手を知る。「ミス」をなくし「負けない」チームを作る 」 - 高校野球ドットコム、2017年05月23日。
- ^ 2006年9月2日 【公式戦】 試合結果 (広島東洋vs東京ヤクルト) - NPB.jp 日本野球機構
- ^ ロッテ清田、バスターでV弾「たまたまなりました」 :野球 - 日刊スポーツ、2015年6月13日。
- ^ ソフトB細川が「バスター打法」でアーチ バスターのメリットって何? - Full-count フルカウント ―野球・MLBの総合コラムサイト―、2016年7月14日。
- ^ “ヤクルト・荒木、驚きのバスター弾! 1号2ランに「ホームランになってよかった」” (日本語). SANSPO.COM(サンスポ) (2020年9月25日). 2020年9月26日閲覧。
- ^ 天秤打法のバッティングの真相に迫る!近藤和彦の継承者は生まれるのか!? - バッティング上達の道 - 快音ドットコム