ヘルメット (野球)

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打者用ヘルメット

野球ソフトボールにおいて用いられるヘルメットは、競技中などに頭部を保護する目的で使用される保護帽のこと。

公認野球規則では、防護用ヘルメットprotective helmet)、野球用ヘルメットなどと表現されている。

概要[編集]

投球送球打球などが頭部に当たった際、素材自身の硬さや弾力、形状及び内部の緩衝材、ヘルメット自体がはじき飛ばされることなどによりダメージが軽減される。

野球用とソフトボール用、さらに日本では軟式野球用も製造されており、公式試合にはそれぞれの競技用に設計されたものを使用しなければならない。

歴史[編集]

耳あてなしヘルメット 現在は主にベースコーチや野手などが使用する
両耳付きヘルメット
ガードを追加した例

野球試合中の頭部保護を目的とする器具は、1905年に初めて発表された。これは「ヘッドプロテクター」という名称で、頭というよりも耳やこめかみ部分を保護するためのパッドのようなものであった。その後革製のヘルメットや緩衝材としてコルクを用いた安全帽などが考案されたが、普及することはなかった[1] [2]

大リーグでは1920年レイ・チャップマンが投球を頭部に受け死亡し、また1937年にはミッキー・カクレーンが同じく頭部死球により選手生命を絶たれるという事故が発生したことによって本格的にヘルメットの必要性についての議論が進み、いくつかのチームがポロ競技用のヘルメットなどを試験的に採用するようになった。野球用具としての頭部保護具について最初に明文化したのはAAAのインターナショナルリーグで、1939年のことである。しかし本格的な実用化は、丈夫で軽量なプラスチック製のヘルメットが開発される1950年代まで待たなければならなかった[3]

ナショナルリーグでは1956年アメリカンリーグでは1958年からヘルメットもしくは衝撃吸収ライナーの着用が義務付けられた。公認野球規則に着用義務が明記されたのは1971年である。

耳あて(フラップ)付きヘルメットは1960年リトルリーグ用としてアメリカで開発された。日本においては田淵幸一1970年に側頭部への死球により重傷を負ったことをきっかけに、広く使用されるようになった[4]

耳あて付きヘルメットは、大リーグでは1983年以降に入団する選手に義務付けられた。日本プロ野球でも翌1984年から義務付けられたが、日本では、1984年以降に在籍した選手、および1983年に在籍し耳あて付きヘルメットを着用した選手は耳あて付きヘルメットが義務、1983年に在籍し耳あて付きヘルメットを着用しなかった選手は選択可能となっていた。この基準は1996年シーズンから適用され、それ以前は1984年以降に入団した選手も耳あてのないヘルメットを着用することができた。この基準制定以降、落合博満平野謙金森栄治田村藤夫ら14人の選手が耳あてのないヘルメットを着用していたが、2000年限りで引退した愛甲猛が最後の選手となった。

ヘルメットの形状には規則がなく、原則としてどのような形状のものでも認められる。デーブ・パーカー1978年に走塁中の接触で顔面を骨折した際に、アイスホッケー用のフェイスマスクやアメリカンフットボール用のフェイスガードのついたヘルメットを着用した[5]。これ以降ヘルメットにガードを追加する改造が広まり、日本においても翌1979年に、投球をに受け骨折したチャーリー・マニエルが同様の特注ヘルメットを使用している[6]

打者[編集]

打者用のヘルメットはバッティングヘルメット(:batting helmet)、打撃用ヘルメットなどとも呼ばれる。一般的な野球帽に準じた形状で、前方に、側頭部に耳あてが付与される。頭頂部ないしは側頭部には通気孔が設けられ、頭部正面側にはチームのマークが入れられることが多い。あご紐は通常付与されない。プロ野球においては通常、左打者は右耳に、右打者は左耳に耳あてがついたものを使用するが、スイッチヒッターの中には両耳付きヘルメットを使う選手もいる。

国際アマチュア規則では両耳付きの着用を義務付けており、日本のアマチュア野球においても原則としてこれに準拠している。また、プロでもアメリカマイナーリーグは両耳付きの着用を義務付けている[注釈 1][7]

走者[編集]

出塁した走者もヘルメットをかぶってプレーする。2011年の公認野球規則改正により着用が義務づけられた[8]

捕手[編集]

捕手用ヘルメット

捕手のヘルメット着用は1988年より義務化された。捕手用のヘルメットは後頭部を保護し、マスクの脱着がしやすい形状となっているものが多い。 義務化以前には打者用のヘルメットを後ろ前にしてかぶる例が多く見られ、現在も庇のついた旧式の耳あてなしヘルメットに似た形状のものが製造されている。 日本では使用例が少ないが、アメリカではフルフェイス型のガード一体式ヘルメットが普及しており、リトルリーグから大リーグまで広く使用されている。

野手[編集]

捕手以外のポジションの選手も使用する場合があり、日本でもレロン・リージョン・シピン駒田徳広メル・ホールといった選手は守備の際にもヘルメットを着用した。トロント・ブルージェイズなどで活躍したジョン・オルルドは、学生時代に手術を受けた既往があるため、現役生活中は常時ヘルメットを着用してプレイした。

投手[編集]

ヘッドギアを装着した投手

投手用のヘルメットやヘッドギアも製造されており、日本の高校野球では2001年より練習時の打撃投手に、製品安全協会SGマークの付いた製品の着用が義務化されている[9]

ベースコーチその他[編集]

2007年マイナーリーグのベースコーチだったマイク・クールボーが試合中に打球を頭に受け死亡する事故が起きたことから、翌2008年からアメリカにおいてはメジャーリーグも含めてベースコーチにもヘルメット着用が義務付けられた。日本ではアマチュア野球が2009年に、プロ野球では2010年からそれぞれヘルメット着用が義務化された。ワールドベースボールクラシックでも第2回大会からベースコーチのヘルメット着用が義務化された。

選手以外ではボールパーソンにも両耳付きヘルメットの着用が義務付けられている。また、アンパイヤがヘルメットを着用する例もある。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 青木宣親は左打ちだが同リーグから大リーグに昇格した後も両耳付きのものを着用していた。これは、川崎宗則から「過去に頭部死球を受けた多くの大リーガーが両耳にしている」と聞いたためである。

出典[編集]

関連項目[編集]