アフターマス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
アフターマス
ローリング・ストーンズスタジオ・アルバム
リリース
録音 1965年12月3日 - 8日
1966年3月6日 - 9日
ジャンル ロック
時間
レーベル Decca/ABKCO (UK)
ABKCO (US)
プロデュース アンドリュー・ルーグ・オールダム
専門評論家によるレビュー
ローリング・ストーンズ 年表
アウト・オブ・アワ・ヘッズ
1965年 UK
----
ビッグ・ヒッツ (ハイ・タイド・アンド・グリーン・グラス)
1966年 US
アフターマス
1966年
ビッグ・ヒッツ (ハイ・タイド・アンド・グリーン・グラス)
1966年 UK
----
ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!
1966年 US
テンプレートを表示

アフターマス』(Aftermath)は、1966年に発表された、ローリング・ストーンズのオリジナルアルバム。イギリスでは4作目、アメリカでは6作目となる。全英1位[1]、全米2位を記録[2]。プロデューサーはアンドリュー・ルーグ・オールダム、レコーディングエンジニアはデイヴ・ハッセンジャー。

解説[編集]

本作はジャガー/リチャーズによるオリジナル曲のみで構成された最初の作品で、ストーンズの重要なターニングポイントとなった作品。前作『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』までの自分達のルーツであるロックンロールR&Bに倣った作風から、一段階前に進んだ実験性に富んだ作品となった。前作から担当楽器の種類が増えたブライアン・ジョーンズだが、本作ではビートルズの「ノルウェーの森」でジョージ・ハリスンシタールを使ったことに影響されて導入、さらにダルシマーマリンバ、「テイク・イット・オア・リーヴ・イット」では日本まで使用するなど[3]、それまでのロック音楽とは無縁だった楽器を多く導入した。そのため、キース・リチャーズにかかるギターの比重がさらに重くなり、本作からミック・テイラーが加入する『レット・イット・ブリード』(1969年)までのストーンズのギターは、ほとんどがリチャーズの手にゆだねられることとなる。 オールダムは本作におけるジョーンズの働きを手放しで賞賛しているが、それがバンド内での影響力を失ったジョーンズの立場を改善させることはなく、ジョーンズはその後ますます精神的に追い詰められるようになる[4]

録音は1965年12月7日から10日にかけて、一度中断し1966年3月6日から9日にかけて、ハリウッドにあるRCAスタジオにて行われた[5]イギリスではシングル「19回目の神経衰弱」と「黒くぬれ!」の間の4月15日にリリースされた。収録曲数、収録時間共に、1972年の『メイン・ストリートのならず者』まではストーンズのオリジナルアルバム中最多であった。ステレオモノラルの2バージョンで発売されたのはそれまで通りだが、本作よりステレオ版が全曲トゥルー・ステレオとなり、本作以降のストーンズのオリジナルアルバムのリイシューは、全てステレオ収録となっている。UK盤のジャケットには白抜きの「AFTERMATH」の文字に紫色の影が加えられた物が初期にごくわずかリリースされ、現在はコレクターズアイテムとなっている。ジョーンズはこのアルバムジャケットのデザインを気に入っていなかったという[6]。またライナー・ノーツは、前作まではオールダムが手がけていたが、本作ではエンジニアのデイヴ・ハッセンジャーが担当している。

アメリカでは1966年7月2日にリリースされた。米国では14曲では多すぎると考えられ、1位を獲得したシングル「黒くぬれ!」を収録する代わりに「マザーズ・リトル・ヘルパー」「アウト・オブ・タイム」「テイク・イット・オア・リーヴ・イット」「ホワット・トゥ・ドゥ」をカットした全11曲でリリースされた。収録を見送られた曲は、後に『フラワーズ』(1967年)や『モア・ホット・ロックス』(1972年)といった米国向けの編集アルバムに収録された。ジャケットもモノクロだったイギリス盤と異なりカラーで、残像がかかったような加工がなされている(裏ジャケットのデザインはほぼ同一)。日本では裏表ジャケット共に、英国盤とも米国盤とも異なる写真が採用されている。タイトルも「Vol.5 Aftermath」で、さらに「余波」という邦題もつけられていた(収録曲は英国盤に準拠)[7]

2002年、イギリスとアメリカ両ヴァージョンがアブコ・レコードによるリマスタリングで、SACDとのハイブリッドCDとしてデジパック仕様で再発された。2016年、デッカ時代のオリジナルアルバムのモノラル版を復刻したボックスセット『ザ・ローリング・ストーンズ MONO BOX』で、モノラル版が初めてCD化された。

評価[編集]

イギリスでは8週もの間首位を独占し[1]、「ストーンズの最高傑作」と賞賛を浴びた[8]。アメリカでも2位につける大ヒットとなり、リリース1ヶ月でゴールドディスクを獲得した。ミック・ジャガーは「俺にとってはすごく画期的な作品だね。古いR&Bのカバーばかりやらされる状況から抜け出して、全部自分達で作ったんだから。カバーをやってた頃は正直本領を発揮してる感じがしなかったんだ」と語っている[9]。一方で「スチューピッド・ガール」「アンダー・マイ・サム」「邪魔をするなよ」といった曲が男性至上主義的であるという批判を受けたりした[8]。2002年の「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・アルバム500」において、108位にランクイン[10]

収録曲[編集]

全曲ジャガー/リチャーズ作詞作曲

イギリス盤[編集]

  • A面
  1. マザーズ・リトル・ヘルパー - Mother's Little Helper 2:45
    • アメリカではアルバムと当日にシングルリリースされ、8位まで上昇[11]経口避妊薬の中毒に陥る主婦についての曲で、その内容が物議を醸した。
  2. ステュピッド・ガール - Stupid Girl 2:55
    • 米国版シングル「黒くぬれ!」のB面に収録。
  3. レディ・ジェーン - Lady Jane 3:08
    • シングル「マザーズ・リトル・ヘルパー」のB面曲。
  4. アンダー・マイ・サム - Under My Thumb 3:41
  5. 邪魔をするなよ - Doncha Bother Me 2:41
  6. ゴーイン・ホーム - Goin' Home 11:13
    • ストーンズのオリジナルアルバム収録曲では最も長尺の曲。米国の一部のラジオ局で、歌詞に問題があるとして放送禁止となった。フランスでは曲をAB面に分けてシングルカットしている[12]
  • B面
  1. フライト505 - Flight 505 3:27
  2. ハイ・アンド・ドライ - High and Dry 3:08
  3. アウト・オブ・タイム - Out of Time 5:37
    • クリス・ファーロウがミック・ジャガーのプロデュースでカバー、全英1位のファーロウ最大のヒット曲となった[13]。ファーロウ・バージョンの伴奏にジャガーのボーカルを乗せたバージョンが1975年の『メタモーフォシス』に収録されている。
  4. イッツ・ノット・イージー - It's Not Easy 2:56
  5. アイ・アム・ウェイティング - I am Waiting 3:11
  6. テイク・イット・オア・リーヴ・イット - Take It or Leave It 2:47
    • 本作がリリースされる前にサーチャーズがカバーし、全英31位にランクインしている[12]
  7. シンク - Think 3:09
  8. ホワット・トゥ・ドゥ - What to Do 2:32

アメリカ盤[編集]

  • A面
  1. 黒くぬれ! - Paint It, Black 3:45
  2. ステュピッド・ガール - Stupid Girl 2:55
  3. レディ・ジェーン - Lady Jane 3:08
  4. アンダー・マイ・サム - Under My Thumb 3:41
  5. 邪魔をするなよ - Doncha Bother Me 2:41
  6. シンク - Think 3:09
  • B面
  1. フライト505 - Flight 505 3:27
  2. ハイ・アンド・ドライ - High And Dry 3:08
  3. イッツ・ノット・イージー - It's Not Easy 2:56
  4. アイ・アム・ウェイティング - I Am Waiting 3:11
  5. ゴーイン・ホーム - Goin' Home 11:13

参加ミュージシャン[編集]

※楽器担当表記は特記なき限りUK盤

ローリング・ストーンズ

ゲストミュージシャン

[14]

出典・脚注[編集]

  1. ^ a b ROLLING STONES | full Official Chart History | Official Charts Company:
  2. ^ The Rolling Stones - Chart history | Billboard:
  3. ^ Take It Or Leave It:” (英語). 2016年8月26日閲覧。
  4. ^ 『ストーン・アローン/下』(ビル・ワイマン/レイ・コールマン著、野間けい子訳、ソニー・マガジンズ刊、1992年ISBN 4-7897-0781-4 )p121
  5. ^ 『ローリングストーンズ/グッド・タイムズ・バッド・タイムズ』 (テリー・ロウリングス/アンドリュー・ネイル/キース・バッドマン著、 筌尾正訳、シンコーミュージック刊、2000年ISBN 978-4401616541)p108、p118
  6. ^ 『ストーン・アローン/下』(ビル・ワイマン/レイ・コールマン著、野間けい子訳、ソニー・マガジンズ刊、1992年、ISBN 4-7897-0781-4 )p131
  7. ^ The Rolling Stones - Vol. 5 Aftermath (Vinyl, LP, Album) at Discogs:” (英語). 2016年8月26日閲覧。
  8. ^ a b 『ストーン・アローン/下』(ビル・ワイマン/レイ・コールマン著、野間けい子訳、ソニー・マガジンズ刊、1992年、ISBN 4-7897-0781-4 )p130
  9. ^ SIGHT VOL.14 特集「ロックの正義!!ストーンズ全100ページ」(株式会社ロッキング・オン2003年)p49
  10. ^ ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイムベストアルバム500” (英語). 2016年8月26日閲覧。
  11. ^ The Rolling Stones - Chart history | Billboard:
  12. ^ a b 『アフターマス』日本版リマスターCD(2002年)の越谷政義による解説より
  13. ^ CHRIS FARLOWE | full Official Chart History | Official Charts Company:
  14. ^ Aftermath:” (英語). 2016年8月26日閲覧。