モービル・ユニット
モービル・ユニットとはイギリスのロックバンド、ローリング・ストーンズがかつて所有していた移動式の録音スタジオのこと。
概要[編集]
ローリング・ストーンズのメンバー達が録音場所を自由に選べ新鮮な気持ちでレコーディング出来るように大型トレーラーに録音機材を装備し内部を改造。どこへでも移動可能な録音スタジオを所有することとなった。これにより従来の固定された録音スタジオに縛られることなく任意に録音場所の選択が可能となり、ローリング・ストーンズ自身はもとよりレッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、フリートウッド・マック、ボブ・マーリーなど著名なアーチストにも貸し出され、幾つかの名盤といわれるアルバムがこのスタジオで録音された。ディープ・パープルの代表曲である「スモーク・オン・ザ・ウォーター」の歌詞の一部にもこのスタジオの件が登場する-"To make records with a mobile"(モービルでレコードを作る為に)と"the Rolling truck Stones thing" (ローリングストーンズのトラックのやつ) の部分である。
管理はイアン・スチュワートが担当しており、スタジオが他のバンドなどに貸し出される際には同行していた。そのためスチュワートが貸出先バンドのセッションに参加することもあり、レッド・ツェッペリンの『ロックン・ロール』のように客演した音源が発表されたこともある。
スタジオの内部はマルチトラックレコーダー、録音現場の様子を映すビデオ・モニターなどが装備されている。当初は8トラックのレコーダーが装備されていたが、実際のレコーディングで使用されるようになるとトラック数が不足するようになり、16トラックに換装された。その後も24トラックレコーダーへのアップグレード、入力系統の増設、映像収録に対応した同期コンピュータなどと言った、機材の進歩に伴った改修が都度行われた。
車体が大型のためディープ・パープルがアルバム「紫の肖像」をレコーディングする際、録音場所である古城の門に車体を通すことが出来ないなどのトラブルにも見舞われている。
その後、この移動式スタジオはローリング・ストーンズの元を離れさまざまな用途に使われていたが、2001年にカナダ・カルガリーにある「ナショナル・ミュージック・センター」に買い取られ、2016年より展示施設である"スタジオ・ベル"で展示中である。
モービル・ユニットで録音された主なアルバム[編集]
- ローリング・ストーンズ
- スティッキー・フィンガーズ ( Sticky Fingers )
- メイン・ストリートのならず者 ( Exile On Main Street )
- レッド・ツェッペリン
- レッド・ツェッペリン III ( Led Zeppelin III )
- レッド・ツェッペリン IV ( Led Zeppelin IV )
- ディープ・パープル
- ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ
- ライヴ! (Live! )
- ウィッシュボーン・アッシュ
- ライブ・デイト( LIVE DATES )