マリアンヌ・フェイスフル

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マリアンヌ・フェイスフル
Marianne Faithfull
Fanclub1966MarianneFaithfull1.jpg
マリアンヌ・フェイスフル(1966年)
基本情報
出生名 Marianne Evelyn Gabriel Faithfull
生誕 (1946-12-29) 1946年12月29日(73歳)
出身地 イングランドの旗 イングランド ロンドンハムステッド
ジャンル ロックポップフォークジャズブルース
職業 歌手ソングライター俳優
担当楽器 ボーカル鍵盤楽器
活動期間 1964年 -
レーベル デッカ・レコード
デラム・レコード
ロンドン・レコード
NEMS
コロムビア・レコード
アイランド・レコード
RCAレコード
Instinct
サンクチュアリ・レコード
アンタイ・レコード
ナイーブ
共同作業者 アンドリュー・ルーグ・オールダム
ミック・ジャガー
ローリング・ストーンズ
公式サイト www.mariannefaithfull.org.uk

マリアンヌ・フェイスフル英語: Marianne Faithfull1946年12月29日 - )は、イギリス生まれの歌手女優である。

人物・来歴[編集]

イギリス・ロンドン生まれ。父親は大学教授[1]、母親はオーストリアの名門貴族の家系出身で、先祖がハプスブルグ家レオポルト・フォン・ザッヘル=マゾッホの血筋を引いている(マリアンヌの母方の曾祖父母の兄弟がレオポルト・フォン・ザッヘル=マゾッホ)[2]。2009年、BBCのインタビューにおいて、従兄弟の死によってザッヘル=マゾッホ男爵家の家督を相続したと明らかにしている[3]。しかし家庭がそれほど裕福だったわけではなく、幼いころに両親が離婚しマリアンヌは修道院で育つことになる。そして、17歳の時にジョン・ダンバーと結婚するが、ダンバーとローリング・ストーンズの当時のマネージャーアンドリュー・ルーグ・オールダムがちょうど知り合いであったがため、パーティに出席したのをきっかけに芸能界に入り、彼女のために用意された曲「涙あふれて (As Tears Go By)」で、1964年にデビューすることになる。その後、ポップ・アイドルとしての地位を確立し、その清らかな歌声とロリータ的な美貌で人気を博す。さらにジャン=リュック・ゴダールに見出され映画デビューも果たす。その後、ダンバーと離婚し、本格的にストーンズのミック・ジャガーの恋人になる[1]

近年では体調を崩しがちであったが、2020年4月6日新型コロナウイルス感染し、ロンドン市内の病院に入院したことが明らかになった[4][5]4月22日に退院[6]

映画女優として[編集]

清楚なルックスと歌声で映画界からも声がかかり、ゴダール以外にも、アンナ・カリーナセルジュ・ゲンズブールが主演のTV映画『アンナ』にも出演し、そこではディスコで(ちょっと場違いな歌謡曲風のスローテンポな歌)歌うだけのシーンであったが、さらに大物俳優のアラン・ドロン主演の映画『あの胸にもういちど』という作品でヒロインに抜擢。ドロンと不倫に身を投じる女性を演じた。

『あの胸にもういちど』には、ヒロインが全裸に皮のライダースーツでバイクに乗るシーンがあり、そのことから峰不二子のモデルになったと言われている(『ルパン三世 ルパンVS複製人間』などでそのオマージュが見られる)。

マーズ・バー・スキャンダル[編集]

1960年代後半、全裸でオーバードースになって倒れているところを警察に見つかり、さらに全裸写真が新聞にまで載るなど芸能界を揺るがすスキャンダルに巻き込まれた。この影響で当時は「地に堕ちた天使」「天使の顔をした娼婦」と言われていた。そのせいでブラックリストに名前が載り、それまでの可憐で清純だったイメージを捨てざるをえなくなり、この事件でマリアンヌのアイドル生命は終わったとされる[7]

ミック・ジャガーと付き合っていたが、騒動でさらに追い詰められ、流産と精神不安定から自殺未遂も繰り返したという。あまりにドラッグに手を出すマリアンヌを見かねたミックは止めさせようとするがうまくいかず、結局ふたりは1970年に破局。破局後は男性不信に陥り女性のパートナーも作っていたという。アルコール中毒にもなったりと1960年代末期から1970年代半ばまでがまさに人生で一番地獄を見た時期と言えよう。

近年はこのマーズ・バー・スキャンダルがでっち上げであったということが言われている[8]

復活と歌声の変声[編集]

デビューから3年間はエンジェル・ボイス、清純で清らかな歌声等言われてきたが、最初の声質の変化は67年の終わり頃からで、1968年の「サムシング・ベター」では歌唱法を変えているが、決定的に今のしゃがれたボイスが出来上がるきっかけになったのは、1969年の「シスター・モルヒネ」で、もうかつての綺麗な歌声の片鱗すらなく、長い低迷期から復活した1970年代後期の頃にはほぼ現在の歌声に近くなっていた。折しもパンク・ミュージック全盛期の後半であり、新生マリアンヌの声とマッチしたものであった。その後、増々ドスの効いたしゃがれ声に磨きがかかり、近年では貫禄も増している。

綺麗な声を潰した原因はマリアンヌの転落のきっかけであった流産とミックとの破局、その後のクスリ、自殺未遂、アル中とタバコで現在の声を作り上げたという。イメージもかつての可憐さをかなぐり捨てた。

1979年にはアイルランド・レーベルからアルバム『ブロークン・イングリッシュ』をリリースし、歌手として第一線に復活。アルバム制作に平行して、ライブ活動も精力的に行う。

女優としても2006年に映画『マリー・アントワネット』でマリア・テレジアとして出演。2007年には61歳で映画『やわらかい手』の主役、マギーを演じた。

日本との関わりとしては、1996年にCHAGE&ASKAの楽曲を世界中の一流アーティストがカバーするトリビュートアルバム『one voice THE SONGS OF CHAGE&ASKA』に参加。

ディスコグラフィ[編集]

アルバム[編集]

  • 『カム・マイ・ウェイ』 - Come My Way (1965年) ※イギリス限定
  • 『マリアンヌ・フェイスフル』 - Marianne Faithfull (1965年)
  • Go Away from My World (1965年) ※アメリカ限定
  • 『妖精の歌 - マリアンヌ・フェイスフル、フォーク・ソングを歌う』 - North Country Maid (1966年)
  • 『永遠の歌 - マリアンヌ・フェイスフル、青春を歌う』 - Faithfull Forever... (1966年)
  • 『ラヴ・イン・ア・ミスト』 - Love in a Mist (1967年)
  • 『ドリーミン・マイ・ドリームス』 - Dreamin' My Dreams (1976年) ※1978年に『Faithless』として再発あり
  • 『ブロークン・イングリッシュ』 - Broken English (1979年)
  • 『悪の戯れ』 - Dangerous Acquaintances (1981年)
  • 『聖少女』 - A Child's Adventure(1983年)
  • 『リッチ・キッド・ブルース』 - Rich Kid Blues (1985年) ※1971年録音。『True: The Collection』として再発あり
  • 『ストレンジ・ウェザー』 - Strange Weather (1987年)
  • 『ブレイジング・アウェイ』 - Blazing Away (1990年) ※ライブ
  • 『ア・シークレット・ライフ』 - A Secret Life (1995年)
  • 『シングス・クルト・ワイル - ワイマールの夜』 - 20th Century Blues (1997年)
  • 『マリアンヌ・フェイスフル・シングズ・クルト・ワイル2 - 「7つの大罪」&クルト・ワイル・ソング』 - The Seven Deadly Sins (1998年)
  • 『ヴァガボンド・ウェイズ』 - Vagabond Ways (1999年)
  • 『キスィン・タイム』 - Kissin Time (2002年)
  • 『ビフォア・ザ・ポイズン』 - Before the Poison (2005年)
  • 『イージー・カム・イージー・ゴー』 - Easy Come, Easy Go (2008年)
  • 『ホーシズ・アンド・ハイ・ヒールズ』 - Horses and High Heels (2011年)
  • 『ロンドンによろしく』 - Give My Love to London (2014年)
  • No Exit (2016年) ※ライブ
  • Negative Capability (2018年)

シングル[編集]

  • アズ・ティアーズ・ゴー・バイ (涙あふれて)」 - "As Tears Go By" (1964年)
  • "Blowin' In The Wind" (1964年)
  • "Come and Stay With Me" (1965年)
  • "This Little Bird" (1965年) ※日本盤は1968年に「リトル・バード (かわいい小鳥) / アズ・ティアーズ・ゴー・バイ (涙あふれて)」として発売
  • "Summer Nights" (1965年)
  • 「イェスタデイ」 - "Yesterday" (1965年)
  • "Go Away From My World" (1965年)
  • "Tomorrow's Calling" (1966年)
  • "Counting" (1966年)
  • "Is This What I Get For Loving You?" (1967年)
  • "Something Better" (1969年)
  • "Dreamin' My Dreams" (1975年)
  • "All I Wanna Do In Life" (1976年)
  • "The Way You Want Me To Be" (1978年)
  • "The Ballad Of Lucy Jordan" (1979年)
  • "Broken English" (1980年)
  • "Intrigue" (1981年)
  • 「あなただけに」 - "For Beautie's Sake" (1981年) ※日本限定
  • 「スィートハート」 - "Sweetheart" (1982年)
  • "Sister Morphine" (1982年)
  • "Running For Our Lives" (1983年)
  • "Hang It On Your Heart" (1997年)
  • "Vagabond Ways" (1999年) ※CDシングル
  • "Sex With Strangers" (2002年)
  • "Easy Come, Easy Go" (2008年) ※CDシングル、フランス盤
  • "Why Did We Have To Part?" (2011年) ※CDシングル
  • "Sparrows Will Sing" (2014年) ※CDシングル
  • "The Gypsy Faerie Queen" (2018年) ※デジタル

出演映画[編集]

公開年 邦題
原題
役名 備考
1966 メイド・イン・U.S.A
Made in U.S.A.
バーで唄う女
1967 アンナ
Anna
テレビ映画
明日に賭ける
I'll Never Forget What's'isname
ジョジー
1968 あの胸にもういちど
The Girl on a Motorcycle
レベッカ
1969 ハムレット
Hamlet
オフィーリア
1992 ホワイト・ナイトメア
The Turn of the Screw
- ナレーション
1993 豚が飛ぶとき
When Pigs Fly
リリー
1994 ショッピング
Shopping
ベヴ
2001 インティマシー/親密
Intimacy
ベティ
2004 トゥルーへの手紙
A Letter to True
- ドキュメンタリー映画
ナレーション
2006 パリ、ジュテーム
Paris, je t'aime
マリアンヌ
マリー・アントワネット
Marie Antoinette
マリア・テレジア
2007 やわらかい手
Irina Palm
マギー
2011 フェイシズ
Faces in the Crowd
ランゲンカンプ医師

その他の映像作品[編集]

参照[編集]

  1. ^ a b Harry, Bill (2000). The Beatles Encyclopaedia (2000 paperback edition; first published 1992). London: Virgin Publishing. p. 403. ISBN 0-7535-0481-2 
  2. ^ Marianne keeps the Faith”. Vancouver City Guide. 2012年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年1月26日閲覧。
  3. ^ [1]しかし公に貴族の称号を名前の前につけることはないともしている(いずれにせよ現在のオーストリアでは貴族の称号は法律上無効)
  4. ^ 『富山新聞』2020年4月7日付11面『「峰不二子のモデル」入院』より。
  5. ^ “歌手のM・フェイスフルさん入院”. デイリースポーツ online (株式会社デイリースポーツ). (2020年4月6日). http://origin.daily.co.jp/society/culture/2020/04/06/0013250970.shtml 2020年4月30日閲覧。 
  6. ^ “マリアンヌ・フェイスフル、新型コロナウイルスから回復”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク). (2020年4月23日). https://www.barks.jp/news/?id=1000181651 2020年4月30日閲覧。 
  7. ^ マリアンヌ・フェイスフルは、破滅的な人生を送った最高のファム・ファタールである!”. Middle Edge(ミドルエッジ) (2018年4月20日). 2020年4月30日閲覧。
  8. ^ “ローリング・ストーンズの67年の薬物捜査はFBIとイギリス情報局MI5が仕組んだものだったとミック・ジャガーの新刊伝記が指摘”. rockinon.com (ロッキング・オン ドットコム). (2012年10月2日). https://rockinon.com/news/detail/73548 2020年4月30日閲覧。 

外部リンク[編集]