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あおり運転

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あおり運転(あおりうんてん)は、道路を走行する自動車自動二輪自転車に対し、周囲の運転者が何らかの原因や目的で運転中に煽ることによって、道路における交通の危険を生じさせる行為のことである。

概説

渋滞は人をイライラさせやすく、怒りが爆発してロードレージを引き起こしやすい。

「あおり運転」とは自動車等の運転中に車間距離を極端に詰めたり幅寄せを行ったりする行為をいう[1]

テールゲーティングとロードレージ

英語では他車のすぐ後ろに付いてあおる行為をテールゲーティング(Tailgating)と言う。Tailgateはトラック後部(荷台部)の扉のことであり、これを動詞化たものである。[2]
一方、路上での激怒を意味するロード・レージ(Road Rage)という語もある[2]。これは運転手が自動車の運転中に割り込みや追い越しなどに腹を立てて、過激な報復行動を取ることである。ただし自動車に限らず、自転車などの軽車両を運転する者もロードレイジを引き起こす事例もある。

日本語の「あおり運転」という語は従前はテールゲーティングのことであったが、東名高速夫婦死亡事故がマスコミ等で報じられて以降ロードレージを指して「あおり運転」と言う語を使うケースも散見されている。

発生原因

人は車を運転している時は、気が大きくなる心理傾向がある。車は自分の思い通りに動く鎧のようなもので、自分が守られている空間であるからこそ気が大きくなる。したがって自分の思い通りにならない時は、些細な事でも怒りの感情が現れやすいとされている。よく「ハンドルを握ると性格が変わる」と云われるのはこのためである[3][4]。また車のナンバーでは個人特定ができず匿名性の高いと言う運転者の誤まった理解から、衝動的な行動に走りやすい点もある[5]。研究によると、大きくて目線の高い車、もしくは高級車に乗ると、自分が高級になったと錯覚しやすく、一部には気が大きくなって攻撃的になるドライバーもいる。また多数のステッカーや装飾品でカスタムを施している車両は、特にロード・レージを引き起こしやすい傾向がある[6][7]

怒りを感じた時に起こす行動の大半は、クラクションを鳴らす、車間を詰めて煽るなどである。しかし中には一線を超えて犯罪を侵す者もいる。その行動は、相手の車を停車させ、脅迫したり車から引きずり出して暴行を加えるなどがある。

ロード・レージの主な発生要因[8]

  • 煽り
  • 割り込み
  • クラクション
  • 急ブレーキ
  • 自分より小さな車に抜かれる
  • 追い越し車線での低速走行
  • 睨みつける(「ガンをたれる」)

日本

あおり運転の法的問題

前方を走行する車に対して、進路を譲るよう強要する行為のほか、車間距離を狭め、異常接近したり、追い回し・無理な割り込み後の急ブレーキ・ハイビームパッシングクラクション幅寄せ・罵声を浴びせる、などによって相手を威嚇する、嫌がらせや仕返しをする行為などが挙げられる。

あおり運転は危険運転の一つに分類され、相手を事故・死傷などに追いやった場合は危険運転致死傷罪が適用され最長で20年以下の懲役(加重により最長30年以下)に処され、運転免許は基礎点数45 - 62点により免許取消・欠格期間5~8年の行政処分を受ける可能性がある。故意または未必の故意で人を死に追いやった場合は、殺人罪が適用され、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処せられる場合もある。また、故意に幅寄せした場合は暴行罪として立件される可能性がある[9]

安全な車間距離を取らずに前車に接近する行為[10]は、道路交通法26条が禁止する車間距離不保持に該当する。高速道路での車間距離不保持については、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科され(同法119条1項1号の4)、一般道での車間距離不保持については、5万円以下の罰金が科される(同法120条1項2号)。また、前者については、1万円、1万5千円または2万円の反則金が、後者については、6千円、8千円または1万円の反則金が課され(同法別表第2)、前者については、2点の基礎点数が、後者については、1点の基礎点数が加算される(同法施行令別表第2)。

一方、あおり運転を起因とする事故については、あおられた前車の方も異常な高速度で走行・車間の不保持・方向指示器を点滅させずの無理な割り込み等で、事故を惹起している状況がままある。2013年札幌高等裁判所においては「後続車にあおり運転をされたからと言って、異常な高速度で進行を継続した前車の速度超過の罪が緊急避難に該当する訳ではない」旨判示している(後述の事例)。

事故統計

2016年の日本国内における「あおり運転」など車間距離違反摘発件数は7625件。日本の警察庁は「不安を覚えさせる行為は危険であり、厳しく対応する」としている[11]

あおり運転による事故、懲役等判決等

  • 2013年5月29日 - 北海道後志管内喜茂別町の国道で、後続車にあおり運転をされたため94km/h(最高速度60km/h)で運転した前車の運転者に対し、札幌高裁は刑法の緊急避難が成立するとした札幌地裁判決を破棄し改めて罰金刑(減刑なし)を言い渡した。この判決で裁判官(通例、3名による合議制)は「路側帯などに入ってやり過ごすことができた」の旨判示し、大幅な速度超過に対し緊急避難は成立しないとした。[12]
  • 2017年6月5日 - 「東名高速夫婦死亡事故」 - 神奈川県足柄上郡大井町東名高速道路下り線において、追い越し車線に停車していたワゴン車に大型トラックが突っ込み、ワゴン車に乗っていた夫婦が死亡し、2人の娘を含む合わせて4名が負傷する事故が発生。直前に中井パーキングエリアでトラブルになった男にあおり運転による進路妨害を受けて停止していたことが事故につながったとして、同年10月10日、この男は自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)などの疑いで逮捕され[13]2018年12月14日横浜地方裁判所が男に対し危険運転致死傷罪により懲役18年の判決を下した[14]。なお、この男は日ごろからあおり運転を行っており、事件から2ヶ月後にも別の車に対しあおり運転を行っていたことが明らかになっている[15]
  • 2018年1月 - 神奈川県横浜市保土ヶ谷区横浜横須賀道路国道16号有料自動車専用道路)下り線で、韓国籍の52歳の男が1.7kmにわたってごみ収集車をあおり、ごみ収集車は横転し、ごみ収集車を運転していた35歳の男性が首などを負傷した。男は危険運転致傷容疑で逮捕されたが、容疑を否認している[16]
  • 2018年7月2日 - 大阪府堺市南区において、車がバイクを当て逃げし、バイクの男性を死亡させる事故が発生。車を運転していた男は自動車運転処罰法違反容疑で現行犯逮捕されたが、同月4日に殺人容疑及び道路交通法(ひき逃げ)違反被疑で再逮捕された。あおり運転で殺人容疑が適用されるのは異例[17]。男は殺意を否認しているが、バイクを当てた後に「はい終わり」と明らかに殺意を持っていた発言をしていたことが男の車のドライブレコーダーに記録されていた[18]。2019年1月25日、裁判員裁判の判決が、大阪地裁堺支部で行われ、安永武央裁判長は殺人罪を適用し、懲役16年を言い渡した[19]。2019年2月4日、被告側は1審判決を不服として、大阪高等裁判所控訴した[20]

東名高速夫婦死亡事故

東名高速夫婦死亡事故
場所 日本の旗 日本神奈川県足柄上郡大井町赤田[21]
東名高速道路下り線54.8キロポスト先道路(中井PA - 大井松田IC間)[22]
座標
標的 乗用車の運転手
日付 2017年平成29年)6月5日21時35分ごろ[21] (UTC+9)
概要 東名高速道路の追越し車線で被告人の車が被害者の車を強引に停車させた上、被害者に暴行を加えた[22]。その直後、後ろから来たトラックに被害者の車両が追突され被害者一家4人のうち2人が死亡、ほか2人も負傷した[22]。被告人は同事件に前後して同様のあおり運転による強要未遂事件を2件起こした[22]
攻撃手段 高速道路上で相手の車を停止させる
攻撃側人数 1人(同乗の女性1人を除く)
死亡者 2人[22]
負傷者 3人(加害者を除く)
犯人 男(当時25歳、無職)
動機 パーキングエリアでの駐車方法を注意された事を原因とする衝動的な暴力行為
対処 逮捕起訴
謝罪 なし(無罪を主張)
賠償 不明
刑事訴訟 自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)
判決:懲役18年(横浜地裁)
求刑:懲役23年(横浜地裁)
管轄 神奈川県警察横浜地方検察庁
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東名あおり運転事故」、「東名あおり事故」とも。

2017年6月5日、神奈川県足柄上郡大井町東名高速道路下り線で、追い越し車線に乗用車が2台続いて停車していた所に後部からトラックが追突して男女2人が死亡・後述の加害者含め4人が重軽傷を負う事故が起きた[23]。この事故が起きる前には、手前の中井パーキングエリアで加害者の車が所定の駐車場所以外の場所で駐停車していたことを邪魔に思っていた被害者が加害者に対して口頭で注意したが加害者はこれに逆上し、それから被害者車両が高速道路へ出たところで停車していた加害者車両が後ろから追いかけてきて、被害者車両の前に出て、進路を塞ぎ減速させる行為をし、それを避けて進路変更した被害者車両の前に再度進路変更して進路を塞ぎ減速させる行為を計4回繰り返し、最終的には高速道路の中央分離帯側の追い越し車線上に被害者車両を停止させ、後ろから来たトラックに追突させて死傷事故を起こした。

被告人はこの事件に前後して山口県内で以下のような事件を起こした[22]

  1. 2017年5月8日午後8時15分 - 8時20分ごろに山口県下関市内の道路上で自車を追い越した乗用車に立腹して「車を停めさせ運転手を降車させて文句を言おう」と考え、執拗にパッシング・クラクション・進路妨害停車を繰り返した上、自車が停車した直後に相手車両が停車すると降車してその運転席側に近づき、午後8時25分ごろまでの間に運転席窓ガラス・フロントガラスを手で叩きながら運転手に「喧嘩を売っているのか。出てこい」などと怒鳴りつけて降車を要求したが、運転手が警察に通報したために未遂に終わった(強要未遂罪)[22]
  2. 2017年5月9日午前1時ごろ、下関市内の国道上で他人所有の自動車の運転席ドアを3回足蹴りしへこませるなどして損壊した(損害見積額合計23万6300円、器物損壊罪)
    • 以上の事件に関しては山口県警察が自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で書類送検し、山口地方検察庁が起訴猶予処分としていた[24]。また器物損壊事件に関しては山口地検が横浜地検に事件を移送した[25]
  3. (死亡事故後の)2017年8月21日午後0時30分ごろ、山口市の道路を自動車で走行中に自車を追い抜いた乗用車に立腹して「車を停めさせ運転手を降車させて文句を言おう」と考え、同日午後0時40分ごろまで道路上で車線変更・減速・幅寄せなどで進路妨害を繰り返し、相手車の助手席側ドアを手で叩くなどした[22]。同日午後0時40分ごろに同車が停車するとその前方に自車を停車させ、降車して相手車両の助手席側付近に近づき午後0時47分ごろまでの間に助手席側ドアノブを引っ張る・助手席側および運転席側窓ガラスを手で叩くなどして「降りてこい」「出てこい」と怒鳴りつけるなどして降車を要求したが、相手運転手が警察に通報したために未遂に終わった(強要未遂罪)[22]
    • この事件で加害者は通報を受けて駆けつけた警察が対応していた際も「殺すぞ」と何度も声を上げ「俺は人を殴るために生きている」などと叫んだ[26]

捜査

この事故を受けて神奈川県警察は死亡した夫婦の娘2人から事情聴取しつつ、事故当時に現場近くを走行していた車両約260台を割り出して「断片的な目撃情報・回収したドライブレコーダーの映像」などを基に自動車運転処罰法違反容疑で捜査を行い[27]、その結果「加害者の男(事故および逮捕当時25歳・福岡県中間市在住)が死亡した夫婦の車を強引に高速道路の追い越し車線上に停車させて事故を誘発した」と断定した[28]。加害者の男は逮捕前に行われた任意の事情聴取で「被害者男性から『邪魔だ』と言われカッとなって追い掛けた」と発言していた一方で[27]「夫婦にあおられたり、パッシングされたりしたため停車した」と虚偽の説明をしていたが、被害者遺族の娘2人の「(死亡した父親が加害者に)注意をしたら追いかけられ、何回も進路をふさがれて停車させられた」という証言と矛盾したことから前述の目撃情報・ドライブレコーダーの記録などを精査し[29]、被害者側の車にあおり運転・パッシングなどをした事実は認められなかったため[24]「加害者が虚偽の説明をしている」と断定した[29]

神奈川県警は逮捕前の捜査当初は同法(危険運転致死傷容疑)を視野に入れていたが「事故時に同容疑者の車が停車していた」ことから「運転する行為」が対象の同罪は「適用が困難」とされたために適用を断念し[30]、同法(自動車運転過失致死傷容疑)で調べを進めた[28]。その後、県警は2017年10月10日に停車させた加害者を自動車運転過失致死容疑で逮捕[31]・2017年10月12日付で横浜地方検察庁送検した[32]。なお加害者は日ごろからロード・レージを繰り返しており、事件から2ヶ月後にもロード・レージを起こしていることが明らかとなっている[33][34][21]

なお追突したトラック運転手の男性は2017年10月12日付で神奈川県警から横浜地検に自動車運転過失致死傷容疑で書類送検されたが[32]、2018年1月5日までに横浜地検は同トラック運転手を不起訴処分とした[35]。トラック運転手は横浜地検の調書に対し「(大型トラックは本来一番左の車線を走行することが義務付けられているが)走り慣れた道だったために慢心していた。事故のことは忘れられないし2人を死なせたことを強く後悔している。両親を失った遺族の娘2人には大変申し訳ない」と述べた[36]

横浜地検は「加害者が被害者の車を停車させる前に極端な幅寄せ行為などしている点など」を考慮し、神奈川県警が適用を断念した危険運転致死傷を適用した上で2017年10月31日、被告人の男を危険運転致死傷罪などで横浜地方裁判所起訴した[37][25]。危険運転致死傷罪の適用により本事件は裁判員制度の対象事件となった[38]

2017年11月、神奈川県警は「被告人が本件死亡事故後に前述の山口市内(国道2号)で起こした強要未遂事件」に関して被告人を横浜地検に追送検した[39]

反響など

起訴後に横浜拘置支所へ勾留された加害者は2018年10月、接見を試みた『産経新聞』(産業経済新聞社)記者宛てに以下のような金銭を要求する内容の返信をしている[40]

俺と面会したいなら30万からやないと受つけとらんけん
それが無理なら諦めたがいいよ
人の事ネタにするのにタダで面会してもらうとか考え甘いばい
(原文ママ)

刑事裁判

争点
裁判の争点は主に、時速0キロメートル(車を走行させていない状態)が原因で死亡事故を引き起こした事に対して、危険運転致死傷罪が適用できるかが争われた。自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条第4号には、条文の最後に「交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」と記されている。すなわち文理上、加害者(以下被告人)の車は、時速0キロメートルで停止しておりかつ、被告人以外の車の追突によって被害者が死亡したため、被告人に危険運転致死傷罪を問うことが困難と考えられていた[41][42]。結論としては、停車中の事故に対して危険運転致死傷罪は認められない結果となった。そのため停車中を除き、進路妨害から停車までの走行中の行為に対して危険運転致死傷罪が適用された。
横浜地裁 主張/求刑
/量刑
危険運転致死傷罪 監禁致死傷罪
弁護側 無罪 事故は停車後に起きており、罪の構成要件に当たらない 現場に留まっていた時間が短く、監禁の意図があったか疑問
検察側 懲役23年 進路を妨害し、無理やり停車させる一連の危険な運転が事故につながった 高速道路上で移動困難な状態に陥らせ、監禁状態に置いたことが事故につながった
裁判所の判断 懲役18年 高速道路上において4回にわたって進路妨害を繰り返し被害者車両を停車させた一連の行為により、追突事故を誘発した事は危険運転致死傷罪に当たる 判断せず(刑に影響なし)
  • 2018年
    • 9月7日 - 検察側が危険運転致死傷が認められない場合に備え、予備的訴因として監禁致死傷罪を追加[43]
    • 12月3日 - 横浜地裁(深沢茂之裁判長)で裁判員裁判初公判が開かれた[44]
      • 被告人は罪状認否で起訴事実を大筋で認めた一方、弁護人は「停車後に事故が発生した本件には危険運転致死傷罪は適用できない。(検察側が予備訴因として追加した監禁致死傷罪も)停車時間が短く監禁に当たらない上、監禁の故意もない」として死亡事故に関して無罪を主張した[45]
    • 12月6日 - 第4回公判にて「被告人が本事件前後に山口県内であおり運転関連で起こした起訴事件3件」を審理した[46]
      • 被告人側はこのうち「2017年に下関市内で起こした器物損壊事件」の起訴事実は認めた一方で「死亡事故後の2017年8月に山口市内で起こした強要未遂事件」に関しては「相手の運転手に文句は言ったが降車させる意思はなかった。東名で死亡事故を起こしたため我慢をしていたがクラクションを鳴らされたりしたため我慢の限界に達した」などと主張して争う姿勢を示した[46]
      • また同日の公判で証人出廷した「山口市内の強要未遂事件」被害者は死亡した夫婦と同型のワゴン車に乗っていたため、公判にて「被告人は同型車にあおり運転をした末に死亡事故を起こしたのに再びあおり運転をした。人を死なせておいて罪悪感を感じなかったのか」という旨の発言をした[47][26]
    • 12月7日 - 第5回公判(証人尋問)にて被告人の元交際相手だった女性が証人出廷し「被告人は逮捕されるまでに交通トラブルを10回以上起こしていた」などと証言した[48]
    • 12月10日 - 横浜地裁(深沢茂之裁判長)で論告求刑公判が開かれ、検察側(横浜地検)は「危険運転致死傷罪が成立する」と主張して被告人に懲役23年を求刑した[49]
    • 12月14日 - 横浜地裁(深沢茂之裁判長)は「危険運転致死傷罪が成立する」と認定し被告人に懲役18年(求刑・懲役23年)の判決を言い渡した[41][50]
      • 判決内容…懲役18年・未決勾留日数中260日をその刑に算入[22]
      • 横浜地裁は「『4回にわたって進路妨害を繰り返し被害者車両を停車させた一連の行為』が『被害者の死亡と因果関係がある』ため危険運転致死傷罪が成立する」と判断した一方で「被告人が被害車両を停止させた後の状態(被告人の車両が時速0キロメートルで停車している状態)自体については、危険運転致死罪で規定されている『交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為』に該当しないため、危険運転致死傷には当たらない」という趣旨の判断をした[41]
    • 12月21日 - 被告人側の弁護人が第一審・懲役18年判決を不服として東京高等裁判所に控訴した[51][52]
    • 12月28日 - 控訴期限となるこの日までに横浜地検が東京高裁に控訴しなかったため、控訴審で被告人に第一審・懲役18年より重い量刑の判決が言い渡される可能性が消滅した[53]

社会的影響

  • 菅義偉官房長官は2018年12月14日の記者会見で、「(あおり運転は)悪質で危険、大きな問題」「警察による厳正な取締、処分や交通安全教育などの対策に取り組む」と言う趣旨の交通事故に対する異例の談話を発表した[54]山本順三国家公安委員長は記者会見で「あおり運転などに対しては、道路交通法や刑法などでの立件、行政処分を行っており、引き続き推進していく」と言う趣旨の談話を発表した[41]
  • この事件をきっかけに、運転手の交通トラブルへの対処の意識が高まり、一部の店舗ではドライブレコーダーの売上が3倍に伸びた。JEITAによる統計でも、2016年度上半期(4~9月期)の統計出荷は約65万台[55]に対し、 2018年度の上半期(4~9月期)では約165万台と[56]、倍以上の出荷台数を記録した。一般乗用車におけるドライブレコーダーの普及率は、2017年時点で僅か10パーセントしかなかったが、報道を受けて急速な普及を促した[57]

対策

取締りの強化

後述する東名高速における夫婦死亡事故により警察庁は2018年1月、あおり運転の取り締まり強化を通達した[58]。通達により「車を運転することが著しく交通に危険を生じさせるおそれがある運転者」は「危険性帯有者」とされ、交通違反による点数の累積なしに最長180日間の免許停止処分が科される[58]。警察は「あらゆる法令を駆使」し、「厳正な捜査を徹底」し、「積極的な交通指導取締り」を行なっている[59]

運転者による対策

自動車にドライブレコーダーを搭載するのが有効な対策の一つである。煽られた際の記録が残り、警察や裁判所に提出して、捜査や被害者による告訴の際、有力な証拠となる。後方からの煽りに備え、前方用と後方用の両方のドライブレコーダーを搭載すると良い。

あおり運転にあった際、同乗者がいる場合、スマートフォンやデジタルカメラ等で直ちに録画してもらう事も重要である。これは、ドライブレコーダーの死角を撮影したり、追い抜かれる際、相手の車や運転者、同乗者をよりはっきりと撮影する事ができ、相手が下車して迫ってきた場合の記録にもなるからである。

国土交通省は、新車へのドライブレコーダーの搭載の義務化を検討している。

運転者自身の心がけ

警察庁は、あおり運転による交通事故を防ぐため、運転者に対して以下の点について心がけるよう呼びかけている[59]

  • 運転中は周囲の車の動きに注意する
  • 運転時に安全な速度を心がける
  • 車間距離を十分に保つ
  • 無理な進路変更や追越しをしない

あおり運転に遭った場合の対応

愛知県警高速隊所属の警部補藪上篤史は、あおり運転を受けた場合の対応として以下の点を挙げている[58]

  • 絶対に挑発に乗らない
  • 追い越し車線走行中は、左側の車線へ移動するなどして関わらないようにする
  • あおり運転がやまない場合は、サービスエリアなど安全な場所で停車し、110番通報する。その場合、ドアをロックして窓を閉め、警察官が到着するまで車外に出ない

韓国

報復運転の法的問題

韓国では「報復運転」と呼ばれる[60]。報復運転に関する刑事罰としては特殊傷害、特殊暴行、特殊脅迫、特殊損壊があり、特に特殊傷害罪が適用された場合、2年以上20年以下の懲役刑に処されることがある[61]。また、行政処分としては刑事立件された場合には運転免許点数が100点加算され100日間運転免許停止の処分を受ける可能性のある他、拘束された場合には運転免許取り消しかつ欠格期間1年の処分を受ける可能性がある[61]

対策

取締りや摘発の強化

2015年に大きな社会問題になると警察は集中取締りをした[62]。また、加害者の報復を恐れて申告を敬遠することを防ぐために、匿名での申告を受け付けている[63]

遭遇した場合

あおり運転に巻き込まれた場合は下位車線に移動し停車した上で112番に通報することが最善だが、それが困難な場合はドライブレコーダーの映像をサイバー警察庁コーナーなどに申告する[64]。人通りの多いところやCCTVのあるところに移動するということも有効である[65]

脚注

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  1. ^ 運転中「あおる」心理は 閉じた車内、攻撃的に」『日本経済新聞 電子版』日本経済新聞社、2018年12月5日。2018年12月31日閲覧。
  2. ^ a b 旦英夫 『米語でウォッチ! 日本からは見えないアメリカの真実』 PHP研究所、2018年。
  3. ^ ハンドルを握ると性格が変わる。その原因にある心理効果とは?
  4. ^ 匿名性が高まる?ハンドルを握ると性格が変わる心理について
  5. ^ 車を運転中にイライラしやすいのはなぜ? Asahi Shimbun
  6. ^ Bumper stickers reveal link to road rage
  7. ^ Territorial Markings as a Predictor of Driver Aggression and Road Rage
  8. ^ What Causes Road Rage | Road Rage Defined | How to Deal with Road Rage”. www.safemotorist.com. 2016年4月22日閲覧。
  9. ^ あおり運転:「暴行容疑で立件検討」警察庁が全国に指示 毎日新聞 2017年12月26日 東京朝刊
  10. ^ 法的には前車が急停止しても安全に停止できる程度の距離を常に維持する必要があり、これに違反すると車間距離保持義務違反が成立する。そのため、一般に同一進路上の前方の車両に対して追突事故を起こした場合は車間距離保持義務違反が推定により成立する。
  11. ^ 「あおり運転」など車間距離違反、16年の摘発7625件”. 2018年3月21日閲覧。
  12. ^ 新判例解説(第403回)後続車からのあおり行為による事故を避けるため緊急避難として速度超過を行った旨の被告人の主張を排斥し,「やむを得ずにした行為」に該当しないとして緊急避難の成立を否定した事例[札幌高裁平成26.12.2判決]”. 2018年3月21日閲覧。
  13. ^ 衝撃事件の核心:激高、あおり…ハンドル握ると攻撃的になる“人格変貌”男の犯行か 東名高速夫婦死亡事故 産経ニュース、2017年10月23日、2018年2月22日閲覧
  14. ^ あおり運転被告に懲役18年判決 - NHK NEWS WEB、2018年12月14日
  15. ^ 「4カ月で10回以上あおり運転トラブル」…元交際女性が明かした被告の“異常性” - FNN、2018年12月7日
  16. ^ “あおり運転で「横転」...男逮捕”. 『FNNニュース』 (Fuji News Network). (2018年2月28日). https://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00386019.html 2018年3月6日閲覧。 
  17. ^ バイクあおり追突、異例の殺人容疑適用…男逮捕 読売新聞、2018年7月4日、2018年7月4日閲覧
  18. ^ あおり運転で追突15秒後、被告「はい終わり」 - 読売新聞社 2019年1月15日
  19. ^ 堺のバイクあおり運転、被告に懲役16年 殺人罪を適用”. 朝日新聞. 朝日新聞社 (2019年1月25日). 2019年1月25日閲覧。
  20. ^ 堺あおり運転、被告側が控訴:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 時事通信 (2019年2月4日). 2019年2月5日閲覧。
  21. ^ a b c 車4台絡む事故、2人死亡 神奈川の東名高速下り線」『朝日新聞デジタル』、2017年6月8日。2018年12月19日閲覧。, オリジナルの2018-12-19時点によるアーカイブ。
  22. ^ a b c d e f g h i j 注目裁判・話題の会見:東名あおり、懲役18年 「強固な犯意に基づく執拗な犯行」 判決要旨」『毎日新聞』毎日新聞社、2018年12月15日。2018年12月23日閲覧。, オリジナルの2018-12-23時点によるアーカイブ。
  23. ^ 多重事故で2人死亡 東名、男女4人重軽傷」『カナロコ』神奈川新聞社、2017年6月7日。2018年12月23日閲覧。, オリジナルの2018-12-23時点によるアーカイブ。
  24. ^ a b 東名高速夫婦死亡事故 頻繁に車線変更 1カ月前にも妨害行為」『産経ニュース』産業経済新聞社、2017年10月13日。2018年12月19日閲覧。, オリジナルの2018-12-19時点によるアーカイブ。
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参考文献

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関連項目