リベンジポルノ

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リベンジポルノ: revenge porn[注釈 1]とは、離婚した元配偶者や別れた元交際相手が、相手から拒否されたことの仕返しに、相手の裸の写真や動画など、相手が公開するつもりのない私的(private)な性的画像を無断でネットの掲示板などに公開する行為を言う[1]

概要[編集]

インターネット普及による情報化社会である時代においては、写真・動画がネット上で流出・拡散すると削除が困難となり、半永久的にネットに存在し続けるデジタルタトゥーとなりやすい。カメラ機能・ビデオ機能が付いた多機能携帯電話スマートフォン)が普及したことで個々人が撮影と投稿を手軽に行える環境となっていることも、リベンジポルノ問題を潜在的に起こしやすくする要因の一つとなっている[2]

無許可で撮影した他人の写真を投稿するのをプライバシー侵害として禁止する法律は各国で存在する。

法律による取締の強化[編集]

アメリカ合衆国[編集]

ニュージャージー州では2004年からゴシップとして広がることを防ぐため、無許可で性的な写真や録音・録画を散布することを禁じている[3]

カリフォルニア州では2013年10月1日に施行されたリベンジ・ポルノ非合法化法により、嫌がらせ目的で個人的な写真・映像を流出させたとして有罪になれば、最高で禁錮6月か最高1000ドルの罰金刑の対象となる[4]。同法によれば、合意の上で撮影された写真でも写った人の同意なく投稿されれば違法とみなされる。つまりカップルで一緒に撮影した写真を、別れた後に相手の同意を得ずに投稿するのも違法ということになる。一方で流出者と撮影者が同一人物でない限りこの法律は適用されないという制限がある[5]

アメリカではリベンジポルノサイトをビジネスとして経営し、被害者が写真の削除を求めると法外な金額を請求するケースが存在する[4]。しかし2014年1月23日、リベンジポルノサイト「Is Anyone Up?」の経営者が、違法な手段でのわいせつ画像の入手、購入経路の意図的隠蔽、画像のウェブサイトへの掲載という理由で逮捕され[6]禁固18年が言い渡された[7]

EU[編集]

EUでは個人情報保護の意識が強く、「忘れられる権利」として、インターネット上の個人情報削除が義務づけられている[8]

韓国[編集]

2013年に「性暴力犯罪の処罰等に関する特例法(性暴力特別法)」が改正される以前は、これを処罰する条項がなかったので「同意を得た裸の写真は無罪」と判決するしかなかった。 そのため、デートDVやストーキングなどに裸の写真や性的な動画が強迫の道具として使われ、それによって被害が長期化される事例が多かった。改正された性暴力特別法では「第1項[注釈 2]の撮影が撮影当時には撮影対象の意思に反しない場合にも、事後にその意思に反して撮影物を頒布·販売·賃貸·提供し、又は公然と陳列·上映した者は、3年以下の懲役若しくは500万ウォン以下の罰金に処する。」という条項が追加された。

日本[編集]

問題化[編集]

2013年10月8日に三鷹ストーカー殺人事件があり、加害者の男性が元恋人である被害女性のプライベートの写真および映像をウェブサイトを通じて拡散させたことで問題となった。谷垣禎一法務大臣は同年10月23日の参議院予算委員会で、「現行法で対応ができる」とし、新しく規制をかけることには慎重な姿勢を示した[9]。実際に弁護士の間でも、現行法でリベンジポルノはわいせつ物頒布等の罪名誉毀損罪ストーカー規制法違反のほか、18歳未満であれば児童ポルノ禁止法などで、基本的に対処できるとしている。しかし、リベンジポルノに対する新たな法律が成立すれば、リベンジポルノが処罰しやすくなるとされる[10]

注目されるようになったのは上記の事件がきっかけであったが、それ以前にも2006年に山梨県警が摘発した者に児童ポルノ公然陳列名誉毀損執行猶予付きの懲役刑が科せられるなど、問題自体は存在していた[2]

上記の事件が発端となり、同様の事件が増加していることから、法による罰則を求める声も存在する[11][12]

2013年時点の具体的な罰則としては、被写体が18才未満であれば児童ポルノ禁止法違反、それ以上であればわいせつ物頒布等の罪、内容によっては名誉毀損罪侮辱罪が成立し、民事責任も生じる[13]

リベンジポルノ防止法の制定[編集]

2014年(平成26年)2月13日自民党は、リベンジポルノ問題に関する特命委員会を政務調査会に設置した[14][15]。同年10月にリベンジポルノ被害防止法案の骨子を固め[16]、公明党及び野党にも賛同を呼びかけて、第187回国会議員立法として提出する方針を示した[17]

同年11月18日、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(リベンジポルノ防止法)の法案は、自民党、民主党・無所属クラブ維新の党公明党次世代の党みんなの党日本共産党生活の党社会民主党・市民連合の各会派共同により提案されて衆議院総務委員会及び衆議院本会議、参議院総務委員会で可決され、翌11月19日に参議院本会議で全会一致により可決・成立した(施行は同年11月27日[18]

2015年(平成27年)3月には同法違反の容疑による初めての逮捕者が出て[19]、同年5月以降には、同法違反による有罪判決が相次いでいる[20][21][22]。2016年3月17日、警視庁は2015年に全国で寄せられた相談の数や割合について初めて公表した[23][24]。それによると、相談者の内20代が最も割合が多く、その9割は女性だった。

各業界の対応[編集]

検索エンジン最大手のGoogleはリベンジポルノ画像の世界的問題化を背景に自社の検索エンジンの表示からリベンジポルノ画像を削除すると発表。被害者の申し立てに応じ検索結果に表示されないようにする処置を行う。法に明文化されず事実上規制されてない地域でも申し立てを受け付け削除する方針を示した[25]

また、FacebookTwitter等のSNSサイトにおいても利用規約でリベンジポルノの掲載を禁止し、被害者の申し立てに応じ削除を始める等対応が広がっている[26][27]警察庁では法改正後、対策として依頼された場合は断固断ること、脅迫されたり画像を掲載されたりした場合は警察などへ相談することを対策として提示している[28]

リベンジポルノ等の違法情報の通報を受け削除・警察への通報を行う窓口がセーフラインによって開設されている[29]。 また、プライベートポルノは撮らせないという常識を教育現場等で徹底させることも求められている。

警察以外の通報窓口[編集]

日本国内ではセーファーインターネット協会が一般からの通報を受け積極的に該当プロバイダに削除要請を行っている。

リベンジポルノを題材とした作品[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 復讐ポルノ(ふくしゅうポルノ)とも呼ばれる。
  2. ^ 性暴力犯罪の処罰等に関する特例法第14条第1項: 「カメラやその他、これと類似な機能を持つ機械装置を利用して性的欲望若しくは羞恥心を誘発する他人の身体をその意思に反して撮影するか、その撮影物を頒布·販売·賃貸·提供し、又は公然と陳列·上映した者は、5年以下の懲役若しくは1千万ウォン以下の罰金に処する。」盗撮を規制するための条項。
  3. ^ 2015年、2016年にそれぞれ続編が作成されている。

出典[編集]


参考資料[編集]

文献[編集]

  • 園田寿「刑事立法の動き リベンジポルノ防止法について」、『刑事法ジャーナル』第44巻、成文堂2015年8月、 47-56頁、 NAID 40020511600

ウェブサイト[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]