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情報漏洩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

情報漏洩(じょうほうろうえい、もしくは、じょうほうろうせつ)とは、内部に留めておくべき情報が何らかの原因により外部に漏れてしまうことを言う[1]

概要

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情報漏洩とは、言葉の通りにとらえれば諜報活動による国家機密の漏洩も含まれるが、現代において情報漏洩と言えば外部の人間が対象の情報セキュリティの不備を突いたり、または秘密情報にアクセス可能な内部の人間が外部に漏らすことを指す[2][3][4]。ネットワークがインフラレベルに普及したこともあり、SNSなど公開場所も増えた上一度公開するとデジタルタトゥーとして残るため、現代においては情報漏洩とその対策の重要度は大きい[5][6]

対象も国家や大企業などの大きな組織に限らず、中小企業から個人まで広がった問題となっている[7][8][9]

また内部告発も行為そのものは情報漏洩だが、通常は内部告発を情報漏洩と呼ぶことは少ない。

主に狙われる情報

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窃取者の目的は、悪意や利益を求めるだけではなく、新情報を得たいといった興味本位まで非常に広い。

  • 国家機密情報[10][11][12]
  • 企業の人事や財務状況、設計データや製作中製品などの未公開情報[13]
  • メディア作品や、エンターテインメント系の公開前情報[14]。ただし機密情報として狙われるのは公開前または未公開情報のみで、公開済のものはその限りではない。
  • 個人のクレジットカード番号や銀行口座番号などの資産に関わる情報[15][16][17]
  • 個人の携帯電話やPC、クラウドストレージなどにアップロードされたプライベートな情報[18]。画像や動画に限らず、通話ログや電話帳など保存されたデータはすべて対象になりうる。

主な原因

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攻撃者は、常に対象の隙を狙っている。いわゆる下記に挙げたサイバー攻撃のイメージが強いがそれだけではなく人為的なミスややり忘れ、癖なども含まれる。

サイバー攻撃等によるもの

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情報管理に対する認識の甘さによるもの

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  • 設定ミス。未公開に設定すべきものが公開設定になっていた、など[24][25][26][27]
  • パスワード設定の甘さ。想像されやすいパスワードが設定されていたことで、簡単に管理者権限を得られる状態になっていた、など。
  • 業務データの外部への持ち出し[28][29]
  • 業務用パソコンの私用
  • 私用するパソコンで業務データの取扱[30][31][32]
  • 記憶メディアの消去が不十分だった[14]

事例

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情報漏洩対策

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主なものとして、次のような対策が挙げられる。もちろんこれらがすべてというわけではないため、取り扱う情報の重要度に応じて取り扱いを柔軟に変えるなどの運用を検討する必要がある。

  • 基本として、使用OSなどのセキュリティアップデートは欠かさず行う。
  • 上記に関連して、メーカーサポート切れのソフトは可能な限り早く切り替える。セキュリティアップデートに限らず、セキュリティ関連の最新の技術の対応なども後期のソフト程対応している。
  • 侵入検知システムの利用[36]
  • 個人情報や機密情報の外部持ち出しや外部サーバでの保管の禁止など、職場における業務データ管理の徹底[10][37]
  • 職場内のパソコン画面が窓側に向かない・覗き見防止フィルターの利用[36]
  • PC・スマートフォンなどの情報機器利用におけるポリシーの設定。ポリシーに適合しない私用パソコンをみだりな持ち込み・業務利用を禁止するなど[36]
  • Webサイトの改ざんを検知するシステムを取り入れる[36]
  • 機密度による物理的・論理的な隔離[36]。高い機密情報が含まれるフォルダへのアクセス権限を絞ったり、物理的なサーバーが存在する部屋は許可された人員のみ入室可能にする、など[36]
  • 不要になった記憶媒体は、故障品であっても消去処理を行う[36]。場合によっては、物理的破壊も行う

関連項目

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脚注

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注釈

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  1. ^ 環境省復興庁農林水産省国土交通省厚生労働省でクラウドストレージにおけるファイル共有設定のミスにより、内部のメールやファイルが誰でも見られる状態となっていた。これらの情報には各省庁の機密データだけでなく、医療機関の患者情報など、個人情報も含まれていたことが当時、問題視された。

出典

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  1. ^ P&Gの顧客データ1万人分、社外に流出」『読売新聞読売新聞社、2004年6月21日。オリジナルの2004年6月22日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  2. ^ ダイナース系でも不正使用、被害719万円 米情報流出」『朝日新聞朝日新聞社、2005年6月24日。オリジナルの2005年11月28日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  3. ^ 電子マネーID番号8万個流出 被害すでに327万円」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年6月20日。オリジナルの2006年8月25日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  4. ^ 実名記載の痴漢報告、ネット流出 駅助役の私有PC感染」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年12月6日。オリジナルの2006年12月17日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  5. ^ アメックスの顧客情報流出 1900万円不正使用」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年12月22日。オリジナルの2007年1月2日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  6. ^ 水戸少年刑務所の情報流出、係長を停職1カ月」『朝日新聞』朝日新聞社、2007年11月15日。オリジナルの2007年11月17日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  7. ^ 中川経産相、米と国内のカード会社に対応を要請」『朝日新聞』朝日新聞社、2005年6月23日。オリジナルの2005年6月25日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  8. ^ JR東ビューカードでも不正使用360万円 情報流出」『朝日新聞』朝日新聞社、2005年6月27日。オリジナルの2005年6月30日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  9. ^ ウィニーで国会議員口利き依頼文書が流出 大阪」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年4月17日。オリジナルの2006年4月22日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  10. ^ a b ネット流出、海自文書計3千点 有事演習計画も」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年5月17日。オリジナルの2011年10月10日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  11. ^ 通達後も私物パソコンに文書 流出の空自2尉、大量に」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年11月30日。オリジナルの2006年12月14日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  12. ^ 宇宙開発機構で情報流出 業務用PCがウイルス感染」『朝日新聞』朝日新聞社、2012年1月13日。オリジナルの2012年1月17日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  13. ^ 原発情報がネットに流出、関電幹部社員のパソコンから」『朝日新聞』朝日新聞社、2005年12月9日。オリジナルの2005年12月30日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  14. ^ a b ウィニーで番組関係者の個人情報流出 テレ朝とテレ東」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年10月3日。オリジナルの2008年8月21日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  15. ^ 国内被害、680万円に マスターカード系だけで」『朝日新聞』朝日新聞社、2005年6月21日。オリジナルの2005年6月24日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  16. ^ ワコールの顧客情報4757人分流出 不正アクセスで」『朝日新聞』朝日新聞社、2005年11月19日。オリジナルの2005年11月25日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  17. ^ ヴァーナル顧客情報、1493人分流出 通販サイト攻撃」『朝日新聞』朝日新聞社、2012年1月27日。オリジナルの2012年1月31日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  18. ^ 学生のPCから患者データ41人分流出 筑波大付属病院」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年1月19日。オリジナルの2006年2月8日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  19. ^ 「靖国速報」開くと情報流出の恐れ 国職員に不審メール」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年8月19日。オリジナルの2006年8月21日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  20. ^ 総務省のパソコン22台、ウイルス感染 情報流出か」『朝日新聞』朝日新聞社、2011年11月4日。オリジナルの2012年6月2日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  21. ^ お茶の水女子大で学生ら3千人分の個人情報盗まれる」『読売新聞』読売新聞社、2004年6月30日。オリジナルの2004年7月1日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  22. ^ 教諭のパソコン盗難、中学生の連絡網や成績入り 埼玉」『朝日新聞』朝日新聞社、2005年12月24日。オリジナルの2006年2月26日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  23. ^ 4万4千人分の個人情報入りPC盗難 「goo」」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年12月19日。オリジナルの2007年1月2日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  24. ^ 採用試験の合格者番号「2ちゃんねる」に流出 福島県」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年8月11日。オリジナルの2006年8月12日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  25. ^ 個人情報リスト5872人分を誤配信 医療情報メルマガ」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年10月14日。オリジナルの2006年10月17日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  26. ^ 内閣府で個人情報流出、韓国の大学HPに掲載」『朝日新聞』朝日新聞社、2007年1月16日。オリジナルの2007年1月18日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  27. ^ JALホテルズ、14万人分の個人情報流出」『朝日新聞』朝日新聞社、2008年12月5日。オリジナルの2008年12月8日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  28. ^ 自衛隊中央病院、患者情報流出 ファイル交換ソフト通じ」『朝日新聞』朝日新聞社、2005年11月7日。オリジナルの2006年2月13日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  29. ^ 富士通のコールセンター、顧客情報1950人分流出」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年1月14日。オリジナルの2006年1月15日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  30. ^ ウィニーで患者の個人情報が流出 鳥取赤十字病院」『朝日新聞』朝日新聞社、2005年4月1日。オリジナルの2005年4月6日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  31. ^ 短大受験者の合否情報、ウィニーで流出 札幌」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年4月4日。オリジナルの2006年4月22日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  32. ^ ウィニー介し顧客情報3千件、ネット流出 NTT西日本」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年12月5日。オリジナルの2006年12月14日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  33. ^ 「九大進学ゼミ」生徒ら2200人分の個人情報流出」『読売新聞』読売新聞社、2005年12月17日。オリジナルの2005年12月19日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  34. ^ 「山田オルタナティブ」拡大 パソコン中身がネット流出」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年3月17日。オリジナルの2006年3月24日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。
  35. ^ Googleドライブなどのクラウドストレージを使う際のセキュリティ対策”. サイバーセキュリティ情報局 キヤノンマーケティングジャパン株式会社 (2020年3月24日). 2023年7月31日閲覧。
  36. ^ a b c d e f g 情報漏えい対策一覧” (PDF). 経済産業省. 2025年9月21日閲覧。
  37. ^ 顧客情報流出で、KDDIが再発防止策」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年8月2日。オリジナルの2006年8月18日時点におけるアーカイブ。2025年9月22日閲覧。

外部リンク

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