児童虐待の防止等に関する法律

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児童虐待の防止等に関する法律
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 児童虐待防止法
法令番号 平成12年法律第82号
効力 現行法
種類 社会保障法
主な内容 児童虐待の防止について
関連法令 児童福祉法
条文リンク 総務省法令データ提供システム
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児童虐待の防止等に関する法律(じどうぎゃくたいのぼうしとうにかんするほうりつ、平成12年法律第82号)は、児童虐待を防止を目的として制定された法律。一般的に児童虐待防止法(じどうぎゃくたいぼうしほう)と呼ばれている。

昭和8年に、同じ名称で児童虐待防止法(昭和8年法律第40号)が制定されている(現行法に統一され廃止)。

経緯[編集]

  • 1933年(昭和8年):旧児童虐待防止法(昭和8年法律第40号)制定。
  • 1947年(昭和22年):児童福祉法の制定に伴い、旧児童虐待防止法を廃止。
  • 2000年(平成12年):深刻化する児童虐待の予防、および対応方策とするために制定。2000年5月24日に公布され、同2000年11月20日に施行された。
  • 2004年(平成16年):事前に盛り込まれていた施行3年後の見直し規定により、社会保障審議会等における検討がなされ改正が行われた。

構成[編集]

概要[編集]

  • 児童虐待の定義
同法第2条において、18歳に満たないものを児童とし、保護者が行う以下の行為を「児童虐待」と定義している。
  1. 身体への暴行
  2. 児童へのわいせつ行為と、わいせつ行為をさせること
  3. 心身の正常な発達を妨げる減食・長時間の放置
  4. 保護者以外の同居人による前記の行為と、その行為を保護者が放置すること
  5. 著しい暴言・拒絶的対応・著しい心理的外傷を与える言動を行うこと
  • 児童虐待の早期発見努力
同法第5条において、学校病院等の教職員医師保健師弁護士等は、児童虐待に関して早期発見に努めなければならないとしている。
  • 児童虐待の通告義務
同法第6条において、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに福祉事務所児童相談所に通告しなければならないとされている(警察ではなく、「通報」でもない)。この際には、刑法134条の守秘義務違反には該当しないと明記している。
  • 児童虐待に対する強制調査
同法第9条において、都道府県知事は、出頭を求め、また必要に応じて自宅へ立ち入り調査を行うことが出来ると定める。保護者がこれらを拒否する場合、裁判所の許可状(令状)を得て、臨検捜索(強制捜査)を行うことが出来るとされている。
  • 児童虐待に対する警察の介入
同法第10条において、都道府県知事児童相談所長は、必要に応じ警察署長へ援助を求めることが出来るとされている(警察官を同行させ、保護者が抵抗した場合に取り押さえが出来る)。
  • 虐待児童への保護者の接触制限
同法第12条において、児童虐待を受けた保護された児童に対し、児童相談所長は必要に応じて、保護者の面会・通信を制限することが出来るとされている。また、必要に応じて、保護者に対し通学路等の児童の近辺を徘徊することやつきまとうことを止めるよう命令することが出来るとされている。

旧児童虐待防止法[編集]

戦前に制定となった「児童虐待防止法(昭和8年法律第40号)」は以下の通りで、戦後児童福祉法の制定によって統合された。

この法律において保護される児童は14歳未満の者である(1条)。

14歳という年齢は、刑法の刑事責任年齢、工場労働者最低年齢法および船員最低年齢法における保護年齢の例によったものである。

虐待を受けた児童に対しては地方長官は次の3種の保護処分を行なうことができる(2条1項)。

訓戒 保護責任者に対してその非行を指摘し諭告する

条件付監護の命令 保護責任者にその条件を遵守させることによって児童の監護に欠ける虞なからしめる

委託 保護責任者がはなはだしき虐待性を有し単に訓戒を加えまたは条件付監護を命ずるていどではとうてい監護を期待しえない場合は強制的にその児童を保護責任者から引取り、親族その他私人の家庭または適当な施設に委託する。

上の保護処分は虐待の発生が認められてはじめて事後に行なわれるが、虐待を未然に防止するために地方長官は曲馬、軽業または戸々に就きまたはもしくは道路において行なう諸芸の演出、もしくは物品の販売その他の業務および行為で児童の虐待に渉りまたはこれを誘発する虞のあるものにつき必要があると認めるときは児童を用いることを禁止しまたは制限をなすことができる(7条)。

児童の虐待に渉りまたはこれを誘発する虞のある業務および行為とは、 その業務および行為に児童を使用することじたいが児童の虐待となるもの 、その業務および行為に使用することじたいは未だ虐待と目しがたいが、業主その他の者から虐待される危険性が多分に認められるものをいう。

たとえば「不具畸形」の児童を観覧に供する行為、「乞食」、軽業、曲馬その他の危険な業務は前者であり、辻占売、角兵衛獅子などのように戸々に就きもしくは道路において物品を販売する業務、諸芸を演ずる業務、その他芸妓酌婦その他酒間のあっせんをなす業務は後者である。

上の保護処分または児童使用の禁止および制限のために、地方長官は児童の住所もしくは居所または従業場処に立入り、必要な調査をなすことができ、児童の使用の禁止または制限に違反した者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる(8条、10条)。

関連[編集]