当たり屋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

当たり屋(あたりや)とは、交通事故損害賠償金を取得する目的において、故意(未必の故意を含む)に交通事故を起こし、当該目的を実現しようとする者を言う。

場合によっては偶然を偽装して行う場合もあり、その場合には過失(認識有る過失を含む)による交通事故との弁別が法律上も立証困難になる。

概要[編集]

基本的に上記に言う当たり屋行為は保険金詐欺に該当するが、交通事故を起こした原因が過失であるか故意であるかの証明は、場合によっては非常に困難になるため、警察による保険金詐欺の捜査や、保険会社の調査部門による保険調査も、非常に慎重に行われるのが通例である。(少なくとも事故の当事者の一方的主張だけによって捜査、調査が行われることはない。)

ただし、ドライブレコーダー等の客観的証拠により、故意に事故を起こしている事が明らかに証明されうる場合は、その限りではない。

なお、窃盗強盗目的で標的に対して交通事故を仕掛ける場合もあるが、これは当たり屋の範疇には含まれない。

有責加害者による「当たり屋」主張[編集]

実際には当事者双方の過失を原因として交通事故が発生したにも関わらず、交通事故において賠償上不利になる加害者、あるいは単に社会的責任の欠如した人物が、『(被害者は)当たり屋だ』と主張する場合もある。

事故現場においては興奮と責任逃れの心理からこのような主張をする加害者もあるため、被害者はボイスレコーダーでその言質を録音しておき、以後の損害賠償交渉において被害者に有利になる資料として提示することも可能である。(事故に関する慰謝料の増額事由になる場合がある:判例)

場合によっては、単に責任逃れの心理から、自動車保険(任意保険)に加入していたにも関わらず『被害者の過失が100%だ』と主張して損害賠償責任を否定する場合がある。このような場合、被害者は、自動車損害賠償責任保険(自賠責)への被害者請求、自己の自動車保険の人身傷害補償(人身傷害補償については最初から適用した方が良い)や、労災である場合には労災保険の適用などで対抗することができる。また、悪質または重大な事案は交通事故紛争処理センターに提起して拘束力のある和解案提示をしてもらい、相手側自動車保険に対し被害者請求権を行使することもできる(その場合、かならずしも加害当事者本人の同意は必要でない)。

重傷や死亡事案など、加害者の起こした人身の損害が重い場合には、警察や検察に上申書を提出すれば、情状を検討してより重い処罰が加害者に下る場合もある。(軽微な負傷の場合は、効果はない)

事例[編集]

数万円程度のさほど高くない要求を持ちかけ、警察を呼ぶと面倒になると思わせて、その場で即決の示談を要求するものが多い。[要出典]

物損事故に見せかけるもの
車に当たって持ち物を落として破損したなどと、物品の弁償を迫る。また、駐車場などで軽く車を接触させ、修理代を要求するものもある。[要出典]
人身事故に見せかけるもの
ミラーやドアなどに故意に接触し、軽微な怪我を負う場合もあれば、大がかりな場合はわざと車にはねられて入院し、治療費や損害賠償の支払いを迫る。

この様な形で運転者はその場限りと思って警察に届け出ずに支払いに応ずると、その後怪我が悪化したとか仕事に支障が出たなどと言い出し、さらに金品を要求され、それを延々と繰り返される悪循環に陥る。

基本的に交通事故への対応は、事故の大小、怪我の有無に関わらず速やかに警察に届出なければならない。警察官への報告義務違反は、3ヶ月以下の懲役又は五万円以下の罰金(道路交通法119条10号)となる。

また、同時に自身の加入している保険会社の担当者にも連絡を取り事故の届出をするべきであり、これは当たり屋以前に、事故に関する損害賠償や自身の補償のための自動車保険を適用する際の必須事項である。怠れば、保険を適用できない場合がある。

これらの基本的事項を怠っている場合、当たり屋に付け入る隙を与え、被害を拡大することになりうる。

保険会社の保険調査により、保険金の請求者が「当たり屋」であると判断した場合は、保険会社は一切の交渉から手を引く場合がある。警察の捜査が入る場合もある。

暴力団などの反社会的勢力の資金源の1つとなっている場合もあり、暴力団構成員などが介入してくる(民事介入暴力)ことも見られる。

そのようなこともあるため、特に保険会社などは事故歴や契約歴からデータベースを構築し、当たり屋に対する警戒を続けている。

当たり屋を題材にした作品[編集]

関連項目[編集]