追い越し

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追い越し(おいこし)とは、運転操作のひとつで、車が進路を変えて、進行中の前の車などの前方に出ることを指す。

日本道路交通法第2条21号では「追越し」と表記し、「車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。」と定義している。

なお、これに対し、進路を変えずに進行中の前の車などの前方へ出ることは追い抜きと呼ばれる[1]

追い越しの方法[編集]

原則として、追い越す車は、追い越される車の右側を通行しなければならない(道路交通法28条1項)。ただし、右折や道路外へ出るために右側へ寄っている自動車を追い越す場合は、その左側を通らなければならない(同条2項)。

路面電車を追い越す場合は、線路が道路の左端にある場合を除いて、その左側を通らなければならない(道路交通法28条3項)。

右側はみ出し禁止[編集]

「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」の標識。補助標識のない場合、右側にはみ出さない追い越しは禁止されない。

右に示したような「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」の標識がある場合や、中央線が黄色で標示されている場合、左側部分が6m以上あるような場合は、道路の右側にはみ出して追い越しを行なってはいけない[2]

追い越しが禁止される状況[編集]

道路の形状や規制、状況によっては、追い越しを行ってはいけない場合がある。

場所[編集]

以下のような場所では、軽車両以外の車両を追い越すために、進路を変えたり、その横に出たりしてはいけない(道路交通法30条)。

状況[編集]

以下のような状況では、追い越しを始めてはいけない[3]

  • 前の車が、別な自動車トロリーバスを追い越そうとしている場合
  • 前の車が、右側に進路を変更しようとしている場合
  • 右側にはみ出して追い越す場合に、対向車や前の車の進行を妨げなければ追い越しが完了しない場合
  • 後ろの車が自分の車を追い越そうとしている場合

判例では、次の状況でも追い越しが禁止されている。

  • 2車線道路(片側1車線の道路)で、制限速度の限界まで走行している車両(以下、甲車とする)が走行し、その後方に、制限速度の限界まで走行している車両(以下、乙車とする)が走行し、乙車が、さらにその後方の車両(以下、丙車とする)に追いつかれ、車間距離をつめられて、乙車が、丙車に追突される危険がある場合(いわゆる後続車にあおられた場合)の乙車。(2014年(平成26年)12月2日 札幌高等裁判所)(道路交通法違反の罪に問われた事件)[4]

追い越される側の義務[編集]

より制限速度の速い車両に追い付かれた場合は、その車両の追い越しが終わるまで速度を上げてはならない。また、追い越しのために充分な幅がない場合、できるだけ道路の左側に寄って、進路を譲らなければならない。(道路交通法27条)

脚注[編集]

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  1. ^ 学科教本〈合本版〉』、p.114。
  2. ^ 学科教本〈合本版〉』、p.117。
  3. ^ 学科教本〈合本版〉』、pp.114-115。
  4. ^ 「北海道新聞 2014年(平成26年)12月3日 水曜日 16版 第4社会 36面 あおられ速度超過 一審の無罪を破棄 札幌高裁判決」に「判決理由で高橋裁判長は「仮にあおられたとしても、道路左側の路側帯に退避するなどの方法で十分対処できた。緊急避難は成立しない」と述べた。」と書かれているので、この場合、乙車は、丙車に追突される危険を回避するために、道路左側の路側帯に退避しなければならないことがわかる。なお、この判決は確定した。

参考文献[編集]

関連項目[編集]