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移動体通信

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移動通信から転送)

移動体通信(いどうたいつうしん、mobile communication)とは、広義では片方または両方の端末が移動することのできる(通信線路に接続されていないかつ固定無線局でない)電気通信の総称である。移動通信とも言う。

上記広義によれば、業務無線特定小電力無線第三者無線市民バンドアマチュア無線なども移動体通信に含む。他方、電気通信事業者が公衆に提供する移動体通信サービスに限定する用法(狭義)も存在する。

特に第三者無線や移動体通信サービスの場合、基地局主導によるマルチチャネルアクセス無線技術を用いている。また他の種類でも方式や程度の差は有るが、マルチチャネルアクセス無線技術も適用する場合が増えている。

概説

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移動体通信は、固定通信と比較して、地域のおかれた状況を強く反映する。軍事用に電波が多く使用されているため周波数不足になっている地域、固定通信よりも早く裕福な層に普及した発展途上国人口密度が低く、1つの基地局当たりのサービスエリアを大きくした方が経済的な地域、利用者端末の密度が高く、周波数利用効率の向上が強く求められる地域など、それぞれに適した技術が導入されてきた。

機器の大量生産によるコスト低減・国際ローミングなどのサービスの向上・デジタル化によるマルチメディア化などの高度化を行うために、国際標準の確立を目指して努力が行われたが、同一の用途でいくつかの標準が並立しやすい。また、各国の周波数利用状況の差で割り当てられている周波数にも差がある。

サービスへの課金方式

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サービスへの課金方式として、発信者または受信者のみが料金を負担する単方向課金と、双方が分担して料金を負担する双方向課金とサービス提供者が負担し広告などを提供する無課金方式がある。

携帯電話音声通話回線交換データ通信の場合、世界的には双方向課金が主流である[要出典]日本は発信者単方向課金である。PHSの場合は世界的に発信者単方向課金であり、それがアジア各国で導入された理由の一つとされる[要出典]

また、携帯電話・PHSのショートメッセージングサービスは、世界的に発信者単方向課金が主流である[要出典]米国は双方向課金である。携帯電話・PHSのパケット通信は世界的に双方向課金(※ただしパケット通信においては、通信の相手方が無線機でないもの(例としてWebサーバ等)もあるが、その場合「双方向課金」とは言えない)である[要出典]

移動体通信サービスの比較

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アナログ音声通信

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第1世代携帯電話自動車電話船舶電話・航空機電話が主なものである。

1979年に、世界初の小ゾーンセルラ方式自動車電話が日本でサービス開始され、電子工学の進歩によって徐々に端末電話機)が小型・軽量化して携帯電話となっていった。

周波数帯域利用効率が悪いため、デジタル方式へ移行された。日本では航空機電話が2004年3月にサービス終了したのを最後に、廃止されている。

FDD-FDMA方式で音声はFMのものの比較
略称 搬送波間隔(kHz)(インタリーブ) 制御信号伝送速度(kb/s) 特徴 サービス開始 利用地域・事業者
NTT方式 25 0.3 小ゾーンセルラー方式自動車電話として世界初のサービス開始 1979年 日本 : 日本電信電話公社
NTT大容量方式 12.5 (6.25) 基地局に3セクターアンテナ使用。ハイキャップ (Hicap) とも呼ばれる。 1988年 日本 : NTTドコモIDO1999年3月廃止
NMT 25 1.2 450MHz帯域を使用するものは、基地局あたりのサービスエリアが広いため人口密度が低い地域に向く 1981年 北欧東欧中東ロシア
AMPS 30 (15) 10 基地局に6セクターアンテナ使用。AT&Tモトローラが提案 1983年 北米 : 2005年現在、需要の少ない地域での2Gローミング用として使用されている。
NAMPS 15 (7.5)
TACS 25 (12.5) 8 英国向けに搬送波間隔を変更 1984年 英国フランススイススペインシンガポール韓国中国香港アフリカの一部
JTACS 日本向けに上り下りの周波数を逆にし、55MHz間隔化 1989年 日本 : DDIセルラー・IDO2000年9月廃止
NTACS 12.5 (6.25) 1991年

デジタルコードレス電話

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家庭では、コードレス電話、屋外では事業者の基地局に接続できるものである。多数の出力の小さい基地局を設置するマイクロセル方式である。周波数帯域利用効率が良いため、音声符号化方式音質の良いものが使用でき、より速いデータ通信も可能である。

TDD-TDMA方式の比較
略称 搬送波 変調方式 特徴 利用地域・事業者
間隔(kHz) 伝送速度(kb/s) チャネル 伝送速度(kb/s) 符号化方式
DECT 1782 1152 12 GMSK 32 ADPCM 欧州
PHS (ARIB RCR STD-28) 300 384 4 π/4 DQPSK アジア諸国・日本
高度化PHS (ARIB RCR STD-28) 電波状態が不安定な場合に、安定性の高い変調に切り替わり、電波到達度が向上。 日本 : ウィルコム
192 BPSK 16

※DECTはIMT-2000 (IMT-FT) 準拠であり第三世代携帯電話 (3G) にも属する。

デジタル携帯電話

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デジタル携帯電話は、自動車電話の端末を小型化したものであるため、コードレス電話として開発されたPHSとは異なり、当初から電波の出力も強く(基地局出力はPHSが最大0.5Wに対し、携帯電話では最大25W)、利用可能なエリアも広い。

Gは世代 (Generation) を表す。

FDD-TDMA方式の比較
略称 搬送波 変調方式 (ハーフレート) 特徴 利用地域・事業者
間隔(kHz) (インタリーブ) 伝送速度(kb/s) チャネル(ハーフレート) 伝送速度(kb/s) 符号化方式
GSM 400 (200) 270.833 8 (16) GMSK 22.8 (11.4) ACELP, RPE-LTP
(EVSELP)
多重化チャネル数が多いため基地局設備が安価。 2005年現在、210以上の国や地域で使用されているデジュリスタンダード(日本・韓国北朝鮮は不使用)
EDGE 812.5 3π/8 8PSK 6.60 - 23.85 (1.95 - 12.65) AMR-WB
(AMR-WB, AMR-NB)
GSMの拡張。高音質 オプション 3G2007年1月時点全世界196サービスされている「IMT-2000」規格のデファクトスタンダード
PDC 50 (25) 42 3 (6) π/4 DQPSK 11.2 (5.6) CS-ACELP, ACELP, VSELP
(PSI-CELP)
多重化チャネル数が少ないため、端末の瞬時最大空中線電力を小さくでき、電池の容量当たりの待ち受け・通話時間を長くすることが容易。 日本 : 第3世代携帯電話への移行が急速に進み、2003年3月にau、2008年3月にツーカー、2010年3月にソフトバンクモバイルがそれぞれサービスを終了。唯一回線を提供していたNTTドコモが2012年3月にサービス終了し、PDC方式のサービスはすべて終了。
D-AMPS 60 (30) 48.6 13 (6.5) ACELP, VSELP
(CELP)
AMPSと周波数帯域を共用できる。(IS-136/IS-54) 北米
FDD-CDMA方式の比較
略称 帯域幅(MHz) チップレート(Mcps) フレーム ガードバンド 基地局の精密同期 チャネル分離 拡散符号 電力制御(回/秒) 変調方式 音声 制御・端末位置登録 特徴 利用地域・事業者
(ms) スロット数 伝送速度(kb/s) 符号化方式
cdmaOne (IS-95) 1.25 1.2288 20 16 Walsh Code (128) M系列のLong PNとShort PNとを組み合わせ 800 π/4 DQPSK 1.2 - 9.6 EVRC, SMV, VMR-WB ANSI - 41 米国クアルコム開発の2.5G 米国韓国香港
イスラエルベネズエラ
日本 : auKDDI沖縄セルラー
CDMA2000 (IS-2000) 3G
W-CDMA 5 3.84 10 15 不要 Orthogonal Variable Spreading Factor Code Gold 系列 1500 1.95 - 12.2 GSM - AMR - NB GSM - MAP 3G 欧州・日本 : NTTドコモソフトバンクモバイルイー・モバイル
6.60 - 23.85 GSM - AMR-WB 高音質 オプション
TDD-CDMA方式の比較
略称 帯域幅(MHz) チップレート(Mcps) フレーム 端末間の精密同期 特徴 利用地域・事業者
(ms) スロット数
TD-CDMA 5 3.84 10 15 不要 慶應義塾大学理工学部中川正雄教授を中心に開発
TD-SCDMA 1.2288 中国・電信科学技術研究院、ドイツシーメンスなどが開発 中国規格
TD-SCDMA (MC) マルチキャリア・米Navini Networksのシュー・グアンハンが提案

※DECTも第三世代携帯電話 (3G) に属する。(IMT-FT)

その他のサービス

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移動体通信の周波数

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移動体通信に適した周波数帯域は限られている。また、軍事航空船舶保安無線通信などとの競合もある。そのため、固定無線の光ケーブル化、より高い周波数の活用・他の用途に使用されている無線局との共用の技術開発などが行われている。

電波周波数が低いほど電波が回折しやすく、遮蔽物が入り組んだ場所や、室内、車内でも受信しやすくなり、不感地帯の減少に繋がる。このため基地局の増設の必要が少なく済み、設備投資の費用が安くなる。反面、低い周波数ほど、無線局免許の関係上、周波数帯域を広く取りにくいため、通信速度の高速化が困難になる。

各地域別周波数帯域利用状況

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各地域別の周波数帯域利用状況
周波数GHz 日本 欧州 アジア オセアニア アフリカ ラテンアメリカ 北米
0.2 無線呼び出し
デジタル地域防災無線
アナログコードレス電話(子局)
0.3 アナログコードレス電話(親局)
JR在来線列車無線(A・Bタイプ)
T-GSM380
0.4 アマチュア無線(430MHz帯)
デジタル空港無線電話
JR在来線列車無線(Cタイプ・乗務員無線
T-GSM410
CDMA450
GSM450
NMT450
GSM480
CDMA450(一部)
0.5
0.6
0.7 GSM710
GSM750
0.8 PDC : NTTドコモ (mova)
W-CDMA : NTTドコモ(FOMAプラスエリア)、ソフトバンクモバイル(プラチナバンド)
cdmaOne/CDMA2000 1xEV-DO含む) : KDDI (au)(CDMA 1X WIN)
第三者無線 : 全国移動無線センター (mcAccess e)
T-GSM810
CDMA2000 国際ローミング
GSM850
CDMA2000
GSM850
D-AMPS
AMPS
W-CDMA
0.9 GSM900
NMT900
GSM-R鉄道無線
T-GSM900
1.2 アマチュア無線(1.2GHz帯)
1.4 W-CDMA : ソフトバンクモバイル(ULTRA SPEED)
PDC : ソフトバンクモバイル、NTTドコモ(movaデュアルバンド、関東・東海シティフォン、関西シティオ
第三者無線 : 日本移動通信システム協会 (NEXNET)
1.5
1.7 W-CDMA、LTEFDD :上り) : NTTドコモ (FOMA)、イー・モバイル(EMOBILE G4EMOBILE LTE)、W-CDMA事業者向け追加帯域 GSM1800 (DCS1800)(FDD :上り WCDMA1721(FDD:上り)
1.8 W-CDMA、LTE(FDD :下り) : NTTドコモ (FOMA)、イー・モバイル(EMOBILE G4EMOBILE LTE、W-CDMA事業者向け追加帯域
高度化PHS(TDD : 1.8) : ウィルコム (W-OAM)
PHS
GSM1800 (DCS1800)(FDD :下り
1.9 PHS
W-CDMA、LTE(FDD :上り) : NTTドコモ (FOMAXi)、ソフトバンクモバイル (SoftBank 3GSoftBank 4G LTE)
CDMA2000 1x、LTE(FDD :上り) : KDDI(CDMA 1X WINau 4G LTE)
DECT PHS(一部)
CDMA2000 1x(PCS : KTFLGテレコム
CDMA2000
GSM1900
D-AMPS
W-CDMA
2.0
割り当て予定(TDD : 2.0) :
2.1
W-CDMA、LTE(FDD :下り) : NTTドコモ (FOMAXi)、ソフトバンクモバイル (SoftBank 3GSoftBank 4G LTE)
CDMA2000 1x、LTE(FDD :下り) : KDDI(CDMA 1X WINau 4G LTE)
WCDMA1721(FDD:下り)
2.4
アマチュア無線(2.4GHz帯)
ISMバンド(電子レンジ、無線ネットワーク、デジタル式コードレスホン)
2.5/2.6
衛星電話 ワイドスター(衛星 - 端末間)
NTTドコモ
3.4~3.6
放送伝送用システム[1]
3.6~4.2 電気通信業務用固定無線システム[1]
4.4~5.0 電気通信業務用固定無線システム[1]
5.25~5.85 気象レーダー[1]
13.25~15.4 ヘリコプターからのテレビ画像伝送システム[1]
59~66

脚注

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出典

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関連項目

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外部リンク

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