ISMバンド

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ISMバンド(アイエスエムバンド)とは、ISM (ISM:Industry-Science-Medical) バンド のことで、そのまま産業科学医療用バンドと言うこともある。

国際電気通信連合 (ITU) により、電波をもっぱら無線通信以外の産業科学医療に高周波エネルギー源として利用するために指定された周波数帯である。

目次

[編集] 概要

国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則(radio regulations:RRと略す)5.150においては、以下の周波数を指定[1]している。ITU第3地域(ロシアを除くアジア、オセアニア)にある日本でも、総務省告示「周波数割当計画」 [2]脚注J33でそのまま指定している。

  • 13560kHz (13553 - 13567kHz)
  • 27120kHz (26957 - 27283kHz)
  • 40.68MHz (40.66 - 40.70MHz)
  • 915MHz (902 - 928MHz)(ITU第2地域(南北アメリカ)に限る)
  • 2450MHz (2400 - 2500MHz)
  • 5800MHz (5725 - 5875MHz)
  • 24.125GHz (24 - 24.25GHz)

また、RR5.138においては、各国の主管庁が影響を受けるおそれがある無線通信業務を有する主管庁の同意を得て、さらにITU-R(無線通信部門)の勧告も尊重し、特別の承認を与えることを条件として以下の周波数を指定[1]している。日本では、周波数割当計画 脚注J26でITU-Rの研究結果をふまえISM装置にも使用するとしているが具体的な事例は無い。

  • 6780kHz (6765 - 6795kHz)
  • 433.92MHz (433.05 - 434.79MHz)(ITU第1地域(ロシアを含むヨーロッパ、アフリカ)のRR5.280に規定する各国以外に限る)
  • 61.25GHz (61 - 61.5GHz)
  • 122.5GHz (122 - 123GHz)
  • 245GHz (244 - 246GHz)

日本では、電波を無線通信以外に利用する設備は電波法高周波利用設備に該当し、総務省令電波法施行規則」により50Wを超える高周波出力を使用する高周波利用設備は、超音波洗浄機電子レンジなど型式指定または型式確認の対象となるもの以外は、高周波利用設備許可状を交付されなければならないとされている。ここで周波数割当計画 脚注J33には、「この周波数帯で運用する無線通信業務は、これら(産業科学医療)の使用によって生じ得る有害な混信を容認しなければならない。」とあり、これをうけた総務省告示[3]も、ISMバンドにおいては「通信設備以外の高周波利用設備から発射される基本波又はスプリアス発射による電界強度の最大許容値を定めない。」と、電波障害電磁両立性などに対する規制が緩やかである。そこで、自ずと10 - 40MHz台の大出力の高周波(電磁誘導)加熱装置などの周波数はISMバンドに集中することとなった。また、水が吸収しやすい2450MHzという周波数がISMバンドにとりいれられ、マイクロ波加熱技術を用いて電子レンジや水分を乾燥させる工業用マイクロ波加熱装置が普及した。このように、無線通信以外に電波を利用することがISMバンド本来の利用であり、これら高周波利用設備がISM機器と呼ぶべきものである。

上記のような理由でISMバンドにおいては、重要性の低い無線通信にしか割り当てることができない。そこで、特に米国では混信を容認することを前提に、新規の無線通信機器(特にスペクトラム拡散機器)に対してISMバンドの利用を認める例が多い (FCC Part.15)。これらの機器は微弱な電波を用いるので、免許を要する業務に与える影響も小さく、ISMバンドを利用する機器は国際展開において有利であるといえる。ISMバンドでコードレス電話Bluetooth無線PAN)、無線LAN等の無線通信機器が実用化、普及したのはこのような事情からであり、ISMバンド本来の利用とは必ずしもいえない。

日本では、ISMバンドを用いる無線機器に、玩具のトランシーバーやラジオマイク(電波法令上のワイヤレスマイクの表現)などの著しく微弱な電波を用いた無線局(微弱無線局)、無線LANやETC車載機などの電波法施行規則に定める空中線電力10mW以下の適合表示無線設備、移動体識別用や移動体検知センサー用の特定小電力無線局市民ラジオがあるが、これらは無線従事者の資格や無線局免許状を必要としない免許を要しない無線局であり、高周波利用設備及びこのバンドで免許を受けた無線局による混信に対して保護されず、ISM機器と呼ぶのも適切ではない。

[編集] 主な用途

周波数 高周波利用設備としての利用 無線局としての利用
13560kHz
  • 誘導式読み書き通信設備
    • 2002年法制化、型式指定は要するが許可不要である
    • RFIDFeliCa等の非接触型ICカードシステム)
 
  • ワイヤレスカードシステム(廃止)
    • 1998年法制化、適合表示無線設備を要した
    • 空中線電力10mWまでは免許を要しない無線局であった
    • 同1Wまでは構内無線局または簡易無線局の免許を要した
    • 2002年に左記の誘導式読み書き通信設備に変更された
27120kHz
  • 工業用高周波加熱装置
  • 半導体製造用プラズマ発生装置
  • 市民ラジオ(CB無線)
  • 微弱無線局
    • ラジオマイク
    • 模型のラジコン
    • 玩具のトランシーバー
40.68MHz
  • 微弱無線局
    • ラジオマイク
    • 模型のラジコン
    • 玩具のトランシーバー
915MHz
  • 米国では、工業用マイクロ波加熱装置
2450MHz
  • 電子レンジ
  • 工業用マイクロ波加熱装置
  • プラズマ発生装置
  • 宇宙太陽光発電のエネルギー伝送方法としての研究
  • アマチュア無線(免許を要する)
  • VICS(免許を要する)
  • RFID(移動体識別)
    • 一般業務用周波数ホッピング方式以外は構内無線局の免許を要する
    • 一般業務用周波数ホッピング方式は構内無線局の登録を要する
    • 小電力業務用は特定小電力無線局
  • 空中線電力10mW以下の適合表示無線設備
5800MHz
  • プラズマ発生装置
  • 宇宙太陽光発電のエネルギー伝送方法としての研究
  • 各種レーダー(免許を要する)
  • アマチュア無線(免許を要する)
  • DSRC(主にETC)
    • 基地局と移動側の製造業者の実験試験局は免許を要する
    • 上記以外の移動局(ETC車載機など)は空中線電力10mW以下の適合表示無線設備
  • 米国では、コードレス電話
24.125GHz
  • アマチュア無線(免許を要する)
  • 移動体検知センサー(特定小電力無線局)

[編集] 現状と今後

無線関係者の中には、専用周波数帯を割り当てられなかった様々な無線アプリケーションが、2450MHzで電子レンジなどの強い電波を発するISM機器や他の多くの通信方式と共存を迫られている様子を「電波のゴミ溜め」などと揶揄する人もいる。

事実、電波の利用が放送や遠距離通信から、近距離での高速度通信へと大きくシフトする中、無線LAN等の小電力通信機器が電波利用全体において重要な位置を占めるに至ったにもかかわらず、ISMバンドという比較的狭い周波数帯に割り当てられており、拡張の余地が少ないという問題がある。

免許制度による周波数資源の実質的な既得権化が深刻な中、将来に向けての周波数再編において、市民生活に現実的な利便をもたらしている通信機器に、ISMバンドを含む幅広い周波数帯を割り当てる必要があるという意見も聞かれる。

[編集] 脚注

  1. ^ a b [1]ITUサイトのFrequently asked questions (英文)のG013参照
  2. ^ [2]平成20年総務省告示第714号 周波数割当計画(総務省電波利用ホームページ 総務省電波関係法令集)
  3. ^ [3]昭和46年郵政省告示第257号 無線設備規則第65条の規定による通信設備以外の高周波利用設備から発射される基本波又はスプリアス発射による電界強度の最大許容値の特例(同上)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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