手本引
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手本引(てほんびき)は、日本の賭博ゲーム。現代ではあまり行われない。
手本引の起源は古く、少なくとも江戸時代には宿場などで広く普及していたものと考えられる。 昭和に入っても続けられていたが、戦後は非合法賭博ということもあり、やくざの収入源ということで警察の取り締まりも強化された。そのため若い世代に普及せず、平成に入るころからはかなり廃れた印象がある。
まだまだ盛んだった昭和40年代後半に東映の映画、「緋牡丹お竜シリーズ」で、藤純子が賭場の場面で行っていたのが手本引である。ちなみにシリーズの監修にあたっていたのは任侠社会の元老である石本久吉翁(小久一家総長)であったのは有名。
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[編集] 配置
基本的な座り方であるが、親と子は1間ほどの間を開けて平行に、向かい合わせに座る。親側は豆札を繰る「札師{ふだし}」を中心に、その左右隣りに「強力{ごうりき}」と呼ばれる補助の役目の人間が座る。強力の役目は多彩で、進行係り、あおり役、配当の計算、配当付け、掛け金回収、いかさまの見張り、時には手入れのときに客を逃がすために身体を張って警察の進入を防ぐなどもその役割である。
賭場が開かれることを盆{ぼん}と呼ぶが、大きな盆の場合だと、強力が4人に増える場合もある。 また札師は、喋ると言質から次の目のヒントを出すこともあるために、終始無言で無表情のままが多いが、強力は「張ってはって!」「揃いました」「勝負!」「ろく!{6など出た目を叫ぶ}」「受かりました{親が儲かることを差す}」と、親にそろそろ引き退きではないですか、などの言葉を巧みに使い、客を適度に熱くさせたり、逆に冷ましたりと強力次第でその場が盛り上がるかどうかの鍵を握っている。
[編集] ルール等
最初に一から六の数字の書かれた表示札[板の場合が多い]を親の前に並べて表示し、親の選んだ数字[目と言う]を順に親から見て右側に並べてゆくことで、親がどのようなサイクルでどのような目をひいているかを表示し、また、張り方はそれを次の勝負の推測に役立てる。
豆札と呼ばれる手のひらの中で片手で順番を入れ替えられる大きさの札1から6の6枚の中から親が任意の1枚を羽織の中で張り方に見られぬよう、また何枚動かしたかを悟られぬように右手を背中に回して選び、選んだ札を一番上において手ぬぐいに隠して場に伏せておく。 その伏せられた札を張り手である子が予想して、張り札と呼ばれる1から6までの札を裏向けに置き、右上側に掛け金を並べて置くのが基本。子の全員が賭け終えた時点で、勝負、となり、札師がまず、選んだ目の木札を並んだところから選び右側に持って行く。その後、手ぬぐいをめくり、親の引いた目を確認する。また、直前の目と同じものを引いた場合は指で指すだけで了解される。 その後、子方は当たっていた場合はその張り札を開く。開かずに引っ込めれば、その子方はハズレと了解される。
親が何の目を引くかというより、木札の何番目を引いたかが駆け引きの主となるため、木札のどこを引いたかに独特の名前がついている。
同じ目は「ね{語源は根か寝から来ている}」、右から2番目は「こもどり」、同様に順に「さんぽう」「四間[しけん]「ごけ(五間が詰ったものか)」「けつ{大阪弁の尻のこと}」と呼ばれていたが、これは関西だけかもしれない。
1人の親に対し、複数の子が賭けを行うところは、おいちょかぶと似ている。
子の張り方は、1枚から4枚までを出すことが出来るルールが多いが地方によってかなりルールや配当金の倍率が違うこともある。1点張りは「すいち」と呼ばれ掛け金の5倍が配当となる。同様に2-4点点張りなどの張り方が多種ある。札の枚数、縦向きに置く、横向きにおく、前後にずらして置く等でその種類を示し、当たった時の配当が変わってくる。1.2倍から3倍になるが4点張りの場合は4点目で当たっても0.8とか0.75倍と少し損という倍率が多い。
親の毎回の選択には制限はなく、つまり、1ばかり何回続けても良いし、1-2-1-2-1-2のように、繰り返してもかまわないが、連続性の数字にすると張り方に読まれる場合が多い。 だが、わざと子に読ませて、さらにその裏を突く、というような心理戦もあるので、一概にだめというわけでもない。 ただし、親が完全に無作為に出目を選ぶことは禁止されており、豆札を公開する前に出目を宣言するのは、出した目を認識してることを示すためである。なお、宣言した目と公開された目が異なっている場合(歌い違え)は、無条件に親の負け(反則負け)となり、子方の張ったすべての目に対して総付けとなる。
子方の推理材料が全く無い、札師の一手目(「ショナ」と呼ばれる)は、慣習として子方が賭ける事が出来ない(強力からも、「お手は止めといておくれやす!」と言われる)。ショナを出す前は123456の順に並んだ木札をショナを出して並べ替えたところからが勝負の開始である。
また、現金を賭けるのと、毎回の清算を簡単にするために使用できるのは基本的には札のみ。 また[ずぐ]と言って、同じ額面の札を10枚束にしたものが使われることが多いが、これも横に置くと半分賭けたことになるなどのルールもある。
ゲームの開始は親が見せ金として、自分の前に用意している札束を置く事から始まる。それを親が負けて、すべて張り方に取られるとゲーム終了だが、最初に[倍付け]や[3倍付け]と宣言しておくと、見せ金の2倍、あるいは3倍までの範囲で支払い限度額が増えるので、張り方は沢山張ることもありうる。それでも負けると、最後は残った親の金額と、支払いに回す金額とで比例配分となり、その親のゲームは終了する。 また、親側が勝っている場合は目が開いているどの時点でも札師の宣言で、そのゲームを終了させることが出来る。 やくざ等の盆で胴元が決まっている場合は、数人の札師が用意されているので交代して新たなゲームが始まる。 一般の旦那衆の集まりなどでは、順に持ち回りで親兼札師をすることが多い。この場合の強力は、親が勝てばご祝儀をもらうが、親が負けたときは何も入らないが、これも順に持ち回りで行う場合が多い。 なお、親の資金を客が出資するシステムの胴元もあり、この場合親が勝てば出資した客も配当を得ることが出来る。もちろん、親が負けて(客が勝って)破産した場合は出資金は戻ってこない。
また、開始時刻は夕食後しばらくしてからのことが多く、お開きは深夜を通り越して早朝になることが多い。つまり、それぐらい面白くて時間の経つのが速く感じるゲームでもある。
予想の材料もそのゲームの過去の推移と、親の性格を読むだけであるので、親対子の心理的な攻防が主眼となるゲームである。 親も子も基本は1から6の中の1枚を選ぶと言う単純な分だけ、偶然性より人の心を如何に読むかという心理戦の部分が高まり、これを知るとその興奮感から、他のギャンブルがつまらないと言う人も多い。 このため、賭博として丁半などよりはるかに高く評価する向きが多い。
[編集] 書籍
[編集] 小説
- ドサ健ばくち地獄(阿佐田哲也著、角川書店)ISBN 978-4041459645

