セルロイド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
セルロイド製のピンポン玉

セルロイド (celluloid) は、ニトロセルロース樟脳などから合成される合成樹脂(硝酸セルロース)の名称である。歴史上最初の人工の熱可塑性樹脂である。象牙の代用品として開発され、加熱(大体90℃)で軟化し、成形が簡単であることからかつて大量に使われた。

歴史[編集]

20世紀の半ばまでは、食器の取っ手や万年筆の筒や眼鏡のフレーム、洋服の襟(カラー)やおもちゃ、飾り物などに広く利用されたセルロイドだが素材の顕著な可燃性が問題となり、アメリカから広まったセルロイド製品の市場からの排除運動が世界へ広まり、のちにそれらの製品の多くはアセテートポリエチレンなど後発のすぐれた合成樹脂素材に取って代わられた。

アニメーション製作に使われる「セル画」は、当初セルロイドのシートを使用していたため、現在も名前として残っている。

欠点[編集]

硝酸セルロースは極めて燃え易く、摩擦などによって発火し易いことと、光などで劣化し、耐久性が低いという欠点がある。

劣化が進んでいるセルロイド製の9.5mmフィルム

前者の欠点は取り扱いやすさという点では致命的であり、セルロイド工場では素材の自己反応性による発火によりしばしば火災の原因となった。映画の初期作品(1950年代まで)はセルロイドをベースとしたフィルムで記録されており、映画館ではフィルム照明のアーク灯や電球の高温や摩擦によりセルロイドフィルムが発火するなどの事故も起きた。可燃性でフィルム自体が退化しやすいセルロイドの特性は、フィルム原本の保管を基本とするフィルム保管施設の作品の長期アーカイブ上の課題となっている。また実際に日本では火災事故が起きている(フィルムセンター火災)。日本ではセルロイドは消防法の可燃性の規制対象物(第5類危険物)に指定され製造、貯蔵、取扱方法が厳しく定められている。

またセルロイド製品は長期にわたる光や酸素などの影響を受けると、元のセルロースと硝酸に分解・劣化してべとついたり亀裂を生じやすい。このため長期保存に向かず、無傷で現存しているアンティーク製品は多くはない。また分解過程で強酸性ガスを発生させ、セルロイド自身や周辺の金属などを、腐食させる可能性がある。

用途[編集]

セルロイドに代わる、不燃性の酢酸セルロース(アセテート)など、プラスチック類の代替素材の開発が目覚ましく進歩したことから、現在では多く用いられることはなくなった。代表的な製品はピンポン玉人形ギターピックや、その美しさからペン軸の材料として少量が使われている。


関連項目[編集]