バス共通カード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
バス共通カードは、関東地方の東京都と神奈川・埼玉・千葉の各県を中心に、群馬・茨城両県及び中部地方の静岡・山梨両県の一部地域にも路線を持つ、バス事業者及び都電で共通に使用できる磁気式プリペイドカードである。制度上は、「回数乗車券」の位置付けである。
バス共通カード規格管理委員会がカードの発行条件や規格などを管理している。
カードの表面には「バス〈共通〉カード」と表記される。また、事業者によっても呼称が多少異なり、「バス共通カード」としている例が多いが、「バスカード」や「共通カード」とする例もある。また、利用者は「バスカード」と略する場合が多い。
目次 |
[編集] 発行券種
バス共通カードには、1,000円(利用額1,100円)・3,000円(利用額3,360円)・5,000円(利用額5,850円・発売額には消費税238円を含む)の3種類のカードがある。パスネットや現在発行されているオレンジカードなどとは違い、購入額以上の利用額(プレミアム)が付加されている上、複数の社・局で利用できるのが特徴である。
2001年度からは500円券(利用額は同額)も登場しているが、こちらは原則として一般に販売せず、景品や贈答品用の受注品扱いとなっている。
[編集] 歴史
1988年から神奈川中央交通が「神奈中バスカード」を発売した。現在のバス共通カードとの関連性はないが、他の回数券などと同様に従来通り神奈中の共通カード取扱車での利用が可能である(導入当初は車両の前面右下に「バスカード取扱車」の板が装着されていた)。
なお、バス共通カードのプレミアム(100円・360円・850円など)は神奈中バスカードの金額を基にしている(紙券の神奈中回数券も同額)。
その後、1992年3月に神奈中と横浜・川崎両市営バスの横浜・川崎市内均一区間及び競合区間並びに江ノ島電鉄にバス共通カード及び横浜市交通局発行の地下鉄(横浜市営地下鉄)・バス共通乗車券(愛称:「マリンカード」)が初めて導入され、共通化が図られた。そして、1994年10月にそれまで単独導入していた東京都交通局の都営バス・都電荒川線や京浜急行バスを始め東京23区内及び武蔵野・三鷹・調布・狛江の各市にも大きく拡大し、以降東京都多摩地区と横浜・川崎以外の神奈川県及び埼玉・千葉の両県にも順次導入・共通化されていった。この他に、取り扱い地域から乗り入れる静岡・山梨両県のごく一部や群馬・茨城両県の一部路線でも使用できる。
[編集] 利用方法など
バス共通カードを使用できるのは、下記のバス事業者で車両の乗車口付近に「バス共通カード取扱車」(緑色のステッカー)と「共通カード取扱車」(青色のステッカー)の表示のあるバス・都電であり、カードの表面左下(記念カードは記載なし)と裏面上部には「東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県内の『バス共通カード取扱車』・『共通カード取扱車』の表示のあるバス・都電にご利用いただけます。」と記載されている。また、多くの事業者は「PASMO Suica バス共通カード ご利用いただけます」(桃色のステッカー、但し車両前面は「PASMO」)というステッカーに張り替えられているが、その場合でも緑・青色のステッカー表示と同様に利用できる。
また、青色のステッカーのバスでは横浜市交通局が発行しているマリンカード(バス・地下鉄共通の乗車カード。現在地下鉄では使用できない)が使用できるため表示が異なっているが、バス共通カードも使用できるため、気にしなくても良い。但し、ピンクのステッカーの表示があるバスの中にはバス共通カードの表記がないものがあるため(バス共通カードを導入せずにPASMOのみを導入している事業者のバス)、乗車の際は注意が必要である。
バス事業者によっては、一部のコミュニティバスなどにカード設備を搭載しておらず、取り扱い表示がなく、利用できない路線もある。
電車で利用できるパスネットと違い、小児の利用や複数人で1枚のカードを利用する事が可能である。これ以外にも割引運賃の適用などで大人1人分ではない運賃を支払う場合はカードを通す前に乗務員に申告する必要がある。
また、残額が支払うべき運賃に満たない場合は別のカードか現金で精算する必要がある。但し、パスネットとは違い、2枚投入はできない。運賃が不足している場合は運賃箱からカードの残額が足りない旨の表示がされ、カードは乗務員が操作しないと出て来ない。これは、不足運賃の支払い忘れや支払い逃れを防ぐためと思われる。
[編集] 前払い式の場合
前払い式(均一料金〈路線により対キロ制〉)の場合は、乗車時に乗車口付近にあるカードリーダ・ライタに通して利用する。
路線によっては、区間によって料金が異なり、乗車時に降車停留所を申告する方式があるが、この場合はカードを通す前に降車停留所を申告する必要があり、申告がないと本来支払うべき運賃が差し引かれなかったり、乗務員がカードの挿入を止める事がある。また、本来は後払い用のバスを前払いとして使う場合には、降車用のカード投入口にカードを通す場合がある。
路線や停留所によっては、カードリーダ・ライタを停留所にいる係員が持ち、このカードリーダ・ライタに通してからバスに乗る方式を採用している事もある(主に混雑していて前扉から乗客を乗せることが困難な停留所で見られる)。
[編集] 後払い式の場合
後払い式(対キロ制)の場合は、乗車時と降車時に乗・降車口付近にあるカードリーダ・ライタに通して利用する。但し、事業者によっては取り扱い方法が異なり、起点から次の運賃区界の手前においては乗車時のカード挿入が省略できるところもある(その場合、主に起点停留所で乗車用カードリーダ・ライタのない降車口〈もしくは締切など〉から乗車するケースもある。)。
乗車時にカードをリーダ・ライタに通すのは乗車停留所がどこかを記録するためのものである。従ってリーダ・ライタに通さない場合には始発停留所から乗車したとみなされる事がある。但し、(1)乗車時にカードが見つからない場合、(2)車内でカードを購入、(3)乗車用カードリーダ・ライタの読み取り不良、などもあるので、乗客の降車時に乗務員が運賃支払機により乗車位置を設定する事ができる。従って事業者や乗務員によって対応が若干異なるものの、上記のケースの場合などやむを得ない場合に限り乗車時に整理券を取れば実質的な問題はほとんどない。
また、乗車時に誤って降車時用のカード投入口に通した場合には、始発停留所からここまで乗車したとみなされて運賃を引かれる可能性があるので、注意が必要である。
[編集] 購入方法
バス共通カードは、発行事業者の営業所・案内所、バス・都電車内や委託契約した店舗・コンビニエンスストア・駅売店などでの有人対面発売による方法や、事業者によってはテレホンカードの自動販売機の中にバス共通カードも取り扱っている、といった無人機械発売による購入方法が一般的である。場合によっては主要バス停において臨時にバス案内兼販売者が立ち歩きながら発売していたり、コミックマーケットなどの大規模行事開催時(主に記念カードの発売が多い)や金券ショップでの購入もできた。他に、記念カード発売の折に事業者によっては通信販売の形式をとり購入する方法もあった。但し、後述の#PASMO導入後の動向でも記されている通り、発売・購入手段は徐々に縮小されているが、少なくとも定期券発売を取り扱うバス・都電の営業所や案内所、バス・都電車内での購入は、売り切れではない限り確実に購入できる方法である。
[編集] PASMO導入後の動向
2007年3月18日、バス共通カード事業者で非接触式ICカード乗車券「PASMO」のサービスが開始された。これは関東地方の主な私鉄や地下鉄で利用できるストアードフェアシステムであるパスネットの事業者と共同で導入され、東日本旅客鉄道(JR東日本)などが発行するSuicaと相互利用できるものである。
このPASMOの導入に伴い、今後のバス共通カードの取り扱いについてはPASMOの普及状況を見ながら検討される事にはなっているものの[1][2]、既にコンビニエンスストアのサンクスではPASMO導入開始と同時に新規発注ができなくなっており、今後販路は次第に縮小するものと見られる。
しかし、バス共通カードは回数券であるため販売額以上の利用額がある点がパスネットとは異なり、PASMOでもバス利用特典サービスを採用してバス共通カードと同じ金額だけ使える様に配慮しているバス事業者が多いものの、バス共通カードと異なり実際にバスで利用した金額に応じてバスポイントが還元される上(バス共通カードのようにあらかじめ特典額が付与される訳ではない)、バスポイントは1ヶ月単位で計算され、未還元のバスポイントは翌月へ繰り越す事ができないため、月間のバスへの支払い金額の下4桁がちょうど5,000円、6,000円、7,000円、8,000円、9,000円又は10,000円でない限りはバス共通カードの方が得をする事になる。そのため、雨天時のみなど乗車機会の少ない利用者を中心にバス共通カードの需要が根強く残っており、パスネットほど急速には利用が減っていないため、今のところ廃止の予定はない。
また、鉄道事業者と異なり、バス事業者は2007年3月18日から順次PASMOを導入していくため、2009年7月現在でもバス共通カードが利用できてもPASMOが利用できない事業者のバス車両が存在する。
[編集] 利用可能なバス事業者
凡例(インデントの状況は下記の状態を示す)
- カード発行事業者(現在の発行名義)〈旧名義:分社化前・分社化過程における過去の発行名義〉
- 上記名義のカードを発売している分離子会社・グループ会社
末尾に*がある社・局(5社・局)は「共通カード取扱車」(青色のステッカー、マリンカードも使える)を、ない社局は「バス共通カード取扱車」(緑色のステッカー)を貼付している事業者を示す。また、既にPASMOを導入済みの事業者(先述のステッカーに替わり「PASMO Suica バス共通カード ご利用いただけます」〈ピンク色のステッカー〉に変更)については★がある社・局では全車両にてそれぞれ走らせている事業者を示す。例外については後述。
- 東京都交通局(都営バス・都電)★
- 横浜市交通局(横浜市営バス)*★
- 横浜交通開発*★
- 川崎市交通局(川崎市バス)*★
- 東急バス★
- 京王電鉄バス〈旧名義:京王帝都電鉄・京王電鉄・京王バス〉★
- 西東京バス★ - かつての子会社多摩バスが一時自社発行していた時期があった。
- 関東バス★
- 西武バス★
- 国際興業★ - 一時期に埼玉県内の一部路線をさいたま国際バスに分社していた。
- 小田急バス★
- 立川バス★
- 京浜急行バス★〈旧名義:京浜急行電鉄〉
- 京成バス★〈旧名義:京成電鉄〉
- 東武バスセントラル★(カード表記:「東武バス」)〈旧名義:東武鉄道〉
- 神奈川中央交通*★
- 相模鉄道★
- 相鉄バス★
- 川崎鶴見臨港バス★
- 江ノ電バス*〈旧名義:江ノ島電鉄〉
- 江ノ電バス横浜*★
- 箱根登山バス★(カード表記:「箱根登山」)〈旧名義:箱根登山鉄道〉
- 船橋新京成バス〈旧名義:新京成電鉄〉
- 富士急湘南バス〈旧名義:富士急行〉★
- フジエクスプレス(134系統「横浜タウンバス」のみ)*★
- 富士急行では自社グループ用のバスカードも存在するため、精算やカード発注では現在でも富士急行が窓口となっている。
- フジエクスプレス(134系統「横浜タウンバス」のみ)*★
[編集] ステッカー貼付の例外的な事例
既存のステッカーを継続貼付した上で、「PASMO Suica ご利用いただけます」もしくは「PASMO Suica バス共通カード ご利用いただけます」(乗車口付近)/「PASMO」(車両前面)のステッカーを追加貼付している事業者も存在する。
- 東武バスグループでは「バス共通カード取扱車」のステッカーを継続貼付している。
- 神奈川中央交通平塚営業所では、厚105系統に運用される車両で「共通カード取扱車」のステッカーを継続貼付している。
[編集] カード製造会社
カード裏面の丸の中にアルファベットで示されている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
|
|||||||||||||||||||||||

