日産・パラメディック
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(日産・パラメディックIIから転送)
日産・パラメディック (PARAMEDIC)は、1993年(平成5年)から日産自動車が製造している高規格準拠救急車である。日本ではトヨタ・ハイメディックに次ぐ2番目に高シェアの高規格救急車である。
初代(1992年 - 1997年)
[編集]日産・パラメディック(初代) | |
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前期型 | |
後期型(エルフOEM版アトラス20) | |
概要 | |
販売期間 | 1993年 - 1997年 |
ボディ | |
ボディタイプ | 4ドア1ボックス(トラックベース改造車) |
駆動方式 | 後輪駆動/四輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン | FD42型 直列4気筒 OHC 4,214cc |
最高出力 | 125ps |
変速機 | 4速AT |
車両寸法 | |
全長 | 5,510 mm |
全幅 | 1,995 mm |
全高 | 2,770 mm |
車両重量 | 4,540 kg (2WD) |
その他 | |
備考 | スペックはエルフOEM前 |
ベース車 | 日産・アトラス20 |
- 1991年
- 第29回東京モーターショーに、「ニッサン パラメディック」を参考出品した[1]。
- 1992年
- アトラス20をベースとして6月25日に全国発売[1]。救急救命士制度に対応し、高度な応急処置が可能となった。
- 電動格納式防振架台が特徴的な機能として知られた。この装備は後のパラメディックIIと2代目パラメディックにも引き継がれている。
- 1995年
- ベースのアトラス20がいすゞ・エルフのOEMに変更。
- この年、いすゞもエルフをベースとした高規格救急車「スーパーメディック」を発売したが、ベース車両が共通であるだけでパラメディックとの関係はない[2]。
- 1997年末
- 生産終了。
-
前期型リア
-
後期型リア
パラメディックII(1994年 - 1997年)
[編集]日産・パラメディックII | |
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概要 | |
販売期間 | 1994年 - 1997年 |
ボディ | |
ボディタイプ | 4ドア1.5ボックス(改造車) |
駆動方式 | 後輪駆動/四輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン | VG30E型 V型6気筒 OHC 2,960cc |
最高出力 | 155ps |
変速機 | 4速AT (E-AT) |
車両寸法 | |
全長 | 5,195 mm |
全幅 | 1,690 mm |
全高 | 2,500 mm |
車両重量 | 2,610 kg (2WD) |
その他 | |
ベース車 | 日産・キャラバン |
- 1994年
- パラメディックでは取り回しが悪いとの声があがることを想定[注釈 1]し、E24型キャラバンをベースにしたパラメディックIIを追加。
- 4ナンバーサイズの全幅と短い全長を持ったコンパクトな車体とギリギリのスペースを有効に活用して作られた。
- なお、いすゞにもスーパーメディックII(2代目ファーゴベース扱い)としてOEM供給がなされたが、導入は極少数に留まった。
- 製造終了後は同じベースの2B救急車と患者搬送車のみ販売・製造は継続されたが、2001年にE25型キャラバンのフルモデルチェンジを契機に、オーテックジャパンが2B型救急車の開発・製造・発売を終了。同時にいすゞにOEM供給していたE24型ファーゴベースの2B型救急車も販売終了となった[注釈 2]。
- 1997年末
- 生産終了。
2代目(ALE50/ALWE50/FLGE50/FLWGE50/FPGE50/FPWGE50型 1998年-2017年)
[編集]日産・パラメディック(2代目) ALE50/ALWE50/FLGE50/FLWGE50/FPGE50/FPWGE50型[3] | |
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前期型(1998年5月-2005年12月) | |
後期型(2006年1月-2017年12月) | |
概要 | |
販売期間 | 1998年5月 - 2017年12月 |
ボディ | |
ボディタイプ | 4ドア1.5ボックス |
駆動方式 | 後輪駆動/四輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン |
VG33E型 3.3L V6 SOHC VQ35DE型 V6 3.5L DOHC |
最高出力 |
3.3L 170ps 3.5L 240ps |
変速機 | 4速AT (E-ATx) |
車両寸法 | |
全長 | 5,640 mm |
全幅 | 1,900 mm |
全高 | 2,480 mm |
車両重量 |
2,600 kg (2WD) 2,680 kg (4WD) |
その他 | |
姉妹車 | いすゞ・スーパーメディックII |
- 1998年5月15日
- 初代パラメディックとパラメディックIIを統合する形で登場。フロントセクションは初代エルグランド、Bピラー以後はE24型キャラバンを流用して製作された。
- キャラバンのボディを流用するだけでなく、フロントドアより後ろをエルグランド比で125mm、キャラバン比で210mm拡幅した専用ボディとなっている。
- このボディは「エルグランド ジャンボタクシー」や、前席以外のシートが全て取り払われてキャンピングカーのベース車として販売された「エルグランド特装車」のベースにもなった。なお、エルグランドは2002年5月21日に3代目(E51型)にフルモデルチェンジを行ったが、パラメディックは仕様を限定しながら引き続きFLGE50/FLWGE50/FPGE50/FPWGE50型のまま2017年12月まで継続販売されていた。
- 搭載するエンジンはV型6気筒SOHC3274cc VG33E型のみ。駆動方式はそれまでのFRだけでなく、先代には設定されていなかった4WD(オールモード4X4)も設定された。
- エクステリアのデザインは競合他社がワンモーションフォルムを2代目・ハイメディックに用いたのに対し、パラメディックは角型のデザインを用いた。
- いすゞ自動車へも2代目スーパーメディックII(フィリーベース扱い)としてOEM供給がなされた。
- 2000年秋頃
- 小改良を実施。フロントタイヤの位置にオーバーフェンダーが装着された。
- 2001年8月6日
- マイナーチェンジにより、エンジンをV型6気筒DOHC3498ccのVQ35DEに変更。使用燃料も無鉛レギュラーガソリンから無鉛プレミアムガソリンに変更された。カーナビゲーションは従来のCDナビゲーションからDVDナビゲーションに変更された。
- また、専用オルタネーター容量を140Ahから150Ahに向上させるとともに、電動巻上げ装置付防振ベッドをオプション設定した。
- 2002年頃
- いすゞ自動車の国内における乗用車市場撤退や事業の見直しにより、スーパーメディックIIの供給を終了[注釈 3]。
- 2002年5月21日
- エルグランドが2代目にフルモデルチェンジするが、本車両は継続販売。
- 2003年9月17日
- マイナーチェンジにより良ー低排出ガス車に認定される。同時にフロントグリル・リアゲート用のLED方式の点滅警光灯をオプション設定に追加。
- ルーフに貼り付けられる「NISSAN PARAMEDIC」の標準ロゴの文字色を初代から採用している青色から日産自動車のコーポレートカラーである赤色に変更し、ハイメディックとの差を採った(ただし、オプションで青色にも変更可能だった)。
- 2004年9月
- メーカーオプションのカーナビゲーションを、初代エルグランドから装備されていたポップアップ型モニター搭載のDVDナビゲーションから、据え置き型モニター搭載のHDDナビゲーションに変更。
- 2005年4月
- オートワークス京都湘南事業所での製造を開始。
- 2006年1月
- マイナーチェンジを実施。新灯火器規制などに対応するため、フォグランプ(ビルトインタイプ)とサイドウィンカーランプが追加。
- 同時にフロントヘッドランプ、フロントグリルのデザインをベースとなったE50型エルグランド後期型の顔つきに変更した。
- 2007年9月
- 一部改良。平成17年排出ガス規制適合。
- 2008年7月4日
- 一部改良。平成17年基準排出ガス50%低減レベル、八都県市低公害車指定制度平成17年優低公害車、京阪神七府県市低排出ガス車指定制度の17LEVに適合。
- 2016年2月18日
- パラメディックなど計2車種・1931台のリコール[4]を公表。2015年12月に北海道で発生した、イグニッションキーを回してもエンジンが始動しないトラブルの調査の結果、運転席側ステップ内に配索されているハーネスの防水処理が不適切なため、靴底等に付着した雪や雨により室内に入った水がステップ部に流れてハーネスの保護カバー内に溜まり、浸水したハーネスのジョイント部が腐食・断線し、ATギアの位置を認識できなくなりエンジンがかからなくなっていた事が判明したため。
- 2017年末
- 受注・生産を終了し、3代目へバトンタッチ。
-
2代目車内
-
2代目上空から
-
2代目サイド
-
前期型リア
(赤色灯がハロゲン) -
後期型リア
(赤色灯がLEDに変更) -
灯火状態
-
走行中
-
バングラデシュへ輸出された2代目パラメディック
3代目(CS8E26型 2018年 - )
[編集]日産・パラメディック(3代目) CS8E26型[5] | |
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前期型(フロント) | |
前期型(リア) | |
中期型(フロント) | |
概要 | |
販売期間 | 2018年11月 - |
ボディ | |
乗車定員 | 8名 |
ボディタイプ | 5ドア1ボックス |
駆動方式 | パートタイム4WD |
パワートレイン | |
エンジン | QR25DE 直列4気筒 DOHC 2,488cc |
最高出力 | 147ps |
変速機 | 5速AT / 7速AT(7M-ATx) |
車両寸法 | |
全長 | 5,330 mm |
全幅 | 1,880 mm |
全高 | 2,490 mm |
車両重量 | 2,770 kg / 2,790 kg |
その他 | |
患者室内長 患者室内幅 患者室内高 |
3,320mm 1,730mm 1,850mm |
- 2017年10月
- 10月25日から開催された『東京モーターショー2017』にて一般公開。
- 3代目はNV350キャラバンのスーパーロング・ワイドボディがベースとなり[6]、パワートレインは直列4気筒・QR25DEレギュラー仕様ガソリンエンジンと四輪駆動、5速AT(5M-ATx)の組み合わせとなる[7]。
- 3.5LのV型6気筒エンジンを搭載していた先代と比較すると大幅なパワーダウンとなるが、燃費を向上させて運用コストと排出ガスの削減を達成している。動力性能の低下部分はベース車両に対し最終減速比をローギアード化[7]してカバーしている。
- 2代目に比べて全長と全幅が短くなったことで、最小回転半径が6.4mから6.0mとなった。一方で全高は2代目よりも高くなったほか、通路幅を400mm以上確保。患者室にはプラズマクラスター搭載リアクーラー・リアヒーターや防水シートが標準装備され、付添人が最大3人(乗車定員8名。ただし架装物によっては定員減となる場合あり)同乗可能になった。
- ヘッドランプ・リアコンビランプはLED化し、常時点灯型のシグネイチャーを採用した。警光灯もオールLED式を引き続き採用し2代目の時から増設要望が多かった車両後部中央に4灯ビルトインタイプLED警光灯[8]をメーカーオプションで増設可能にして周囲の車両からの被視認性を向上させている。
- 2代目では左側(助手席側)のみだったスライドドアは右側(運転席側)にも設けられて両側となり、各種収納庫が設けられた。
- 参考出品車として、消費電力の高い機器を安定して利用する事ができ、停車中のエンジン回転数を抑制して低燃費、低騒音を実現する電気自動車のリーフの技術を応用した1.6kWhのリチウムイオン補助バッテリー搭載タイプが展示されていたが、2022年現在、市販化はまだされていない。
- 2020年4月
- 日本の救急車初となる電動ストレッチャーシステム[9][注釈 4]をオプションとして追加。
- 2022年4月
- ベースのキャラバンが2021年10月にマイナーチェンジ[10]したことに伴い、パラメディックも同様にマイナーチェンジ(中期型)。
- ミッションを5速ATから7速ATに多段化し、動力性能、燃費性能、高速走行時の静粛性を向上させたほか、メーターが5インチTFTディスプレイを備えた新型のファインビジョンメーターになった。
- また、ステアリングが下端部をフラットにした新形状のD型ステアリングに変更された。
- 外観もフロントグリル・バンパーのデザインを刷新し、フロント・リアとステアリングの日産エンブレムを2020年7月に改定された新CIに変更。
- 歩行者の検知が可能な「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」と道路周辺の明るさに合わせてハイビームとロービームを自動で切り替えるハイビームアシストが標準装備となり、安全性が向上した。
- オプションとして電子シェードや、ウィンカーなどに連動して赤色警光灯の点滅が変化する可変ビーコンを設定した。可変ビーコンは大阪サイレン製サイレンアンプとの組み合わせで動作するようになっている[11]。
-
東京モーターショー2017参考出品車
(フロント) -
東京モーターショー2017参考出品車
(車内) -
前期型 フロント
(大阪市消防局) -
前期型 リア
(大阪市消防局)
車名の由来
[編集]「Paramedic」(パラメディック)とは、救急救命士などの(医師を除く)医療従事者のことである(日本では和製英語の「コ・メディカル」が浸透している)。また「Paramedic」は、アメリカ合衆国などでは高度な救命・緊急医療処置が可能である救急隊員(日本でいう救急救命士だが、日本の救急救命士と比べても圧倒的に行える処置が多い)を指し、さらに日本の救急救命士の英語訳に使われる。詳細はパラメディックを参照。
艤装・製造・販売
[編集]- 製造・艤装 - オートワークス京都湘南事業所(神奈川県平塚市、2005年4月より。それ以前はオーテックジャパン)
- 販売 - 日産自動車ディーラー(レッドステージ・ブルーステージ・日産・レッド&ブルーステージ)
脚注
[編集]注釈
- ^ 商用ワンボックスカーベースのトヨタ・ハイメディックに対抗するため
- ^ その後、日産車体の子会社であるオートワークス京都の手により小型サイズの救急車のコンセプトが引き継がれ、E25型キャラバンをベースとした2B型救急車を発売。2012年に登場したNV350キャラバンについても、引き続き同社の手によって2B型救急車架装が施された上で販売が続いている。
- ^ 同時期に、トラックのエルフベースであるスーパーメディック、ベースのエルグランドのOEM車であるフィリーも販売終了となった。
- ^ オプションの電動ストレッチャー仕様を選択したパラメディックは、標準装備の防振架台が装備できない(電動ストレッチャー専用非防振充電架台が標準装備となるため)。現在の高規格準拠救急車標準仕様では防振架台装備が必須なため、この部分が要件に適合しなくなることから種別が2B型救急車(準高規格救急車)となる。
出典
- ^ a b “高規格救急車「ニッサン パラメディック」を発売”. 日産自動車ニュースルーム (1992年6月24日). 2024年7月29日閲覧。
- ^ Satox (2017年2月5日). “199507 H42パラメディック”. Private Library of Auto Catalog Collection. 2024年7月29日閲覧。
- ^ “パラメディックのリコールについて”. 日産自動車株式会社 (2010年12月17日). 2018年11月26日閲覧。
- ^ “救急車など2千台リコール 日産、発進できず搬送遅れ”. 産経新聞. (2016年2月18日) 2021年1月19日閲覧。
- ^ “パラメディック主要諸元”. 日産自動車株式会社 (2018年11月26日). 2018年11月26日閲覧。
- ^ “日産、高規格救急車「パラメディック」を20年ぶりにフルモデルチェンジへ【東京モーターショー2017】”. オートックワン (2017年10月19日). 2017年12月8日閲覧。
- ^ a b “日産、高規格”救急車”20年ぶりの刷新でハイエース独占市場にリベンジを挑む【東京モーターショー2017】(1/2)”. オートックワン (2017年10月27日). 2017年12月8日閲覧。
- ^ “【キャラバン】新型高規格救急車「 #日産パラメディック 」徹底解剖!”. YouTube(日産自動車株式会社公式チャンネル). 2018年11月9日閲覧。
- ^ (日本語) 【救急車】 #日産パラメディック 電動ストレッチャーシステム 2021年9月19日閲覧。
- ^ 『「キャラバン」ガソリン車をマイナーチェンジ』(プレスリリース)日産自動車株式会社、2021年10月20日 。2022年10月13日閲覧。
- ^ (日本語) 高規格準拠救急車「日産パラメディック」日産車体株式会社 2023年3月19日閲覧。