企業コンプライアンス

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企業コンプライアンス(きぎょうコンプライアンス、英語: regulatory compliance)とは、コーポレートガバナンスの基本原理の一つで、一般に企業の「法令遵守」または「倫理法令遵守」を意味する概念[1]ビジネスコンプライアンスという場合もある。

企業倫理(経営倫理)や企業の社会的責任(CSR、corporate social responsibility の略)と密接に関連する概念である[1]

このコンプライアンスに違反することをコンプライアンス違反と呼び、コンプライアンス違反をした企業は、損害賠償訴訟(取締役の責任については株主代表訴訟)などによる法的責任や、信用失墜により売上低下などの社会的責任を負わなければならない。

2000年代半ばには「コンプライアンス」を「社会的要請への適応」と捉えるフルセット・コンプライアンス論が登場した[2]

定義[編集]

法令及び倫理[編集]

「コンプライアンス」は辞書や新聞などでは「法令遵守(法令順守)」と訳される[1]。コンプライアンスを「法令遵守」と同義と捉える立場は最も狭義の捉え方である[1]

一方、「コンプライアンス」は法令遵守(法令順守)にとどまらず企業倫理(経営倫理)を含めて捉えられることもあり、その点を強調して「倫理法令順守」と呼ばれることもある[1]。法令とは別に社会的規範や企業倫理モラル)を守ることも「コンプライアンス」に含まれるとする。

フルセット・コンプライアンス論[編集]

2000年代半ばから名城大学教授郷原信郎らによって「コンプライアンス」を「社会的要請への適応」と捉えるフルセット・コンプライアンス論が提唱されるようになった[2]

フルセット・コンプライアンス論は、法令の趣旨・目的と社会の価値観の関係性を認識したうえで、事実解明や原因究明、是正措置、構造的問題への取り組みを行う考え方をいう[2]。本来、コンプライアンス(compliance)の動詞のcomplyの語源はラテン語で「充足」や「調和」の意味であり、法令の背後にある社会的要請への適応と捉えるべきとする[3]。従来のコンプライアンス論ではコンプライアンスの問題と経営上の意思決定は別の観点とされていたが、フルセット・コンプライアンス論では社会的要請に応えることは企業の収益の確保とも軌を一にすることから重要な経営上の意思決定の問題とされる[4]

企業の取り組み[編集]

コンプライアンスマネージメント[編集]

組織内において、コンプライアンスを遵守できるよう経営管理し、事業活動を行うこと。 コンプライアンスプログラムや、行動指針、コンプライアンス規定、事業部門から半独立したコンプライアンス組織、コンプライアンス監査が実施・設置されることが求められる。昨今では、リスクマネジメント対策として調査会社を外部顧問として迎えている大手企業も少なくはない。複雑なリスクに対して会計監査のみではもはや対応できないと専門家は指摘している。それらを打破する為には証拠調査士など専門職の力が必須である。

コンプライアンスプログラム[編集]

組織機能として、コンプライアンスを実現させる仕組みを指す。専門部門やコンプライアンス監査などの機能が設置され、日々変化がある社会情勢や法令に対して、組織がコンプライアンス対応ができる態勢のことを指す。

内部通報制度[編集]

2000年代からは、上長を通じずに不正を早期発見する仕組みとして内部通報制度が広まりを見せた。組織の自浄作用を機能させ、コンプライアンス違反に関する情報伝達及びモニタリングするためである。ただし内部通報制度を利用するか否かは任意であり、化学及血清療法研究所血液製剤の不正など実際に活用されず機能しないケースもある[5]

コンプライアンス違反例[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 郷原信郎 『企業法とコンプライアンス 第3版』 東洋経済新報社、2017年、16頁。
  2. ^ a b c 郷原信郎 『企業法とコンプライアンス 第3版』 東洋経済新報社、2017年、3頁。
  3. ^ 郷原信郎 『企業法とコンプライアンス 第3版』 東洋経済新報社、2017年、17頁。
  4. ^ 郷原信郎 『企業法とコンプライアンス 第3版』 東洋経済新報社、2017年、18頁。
  5. ^ http://judiciary.asahi.com/outlook/2016071400001.html

関連項目[編集]