海洋酸性化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

海洋酸性化(かいようさんせいか)とは、主に大気中において以前よりも濃度が上昇した二酸化炭素が、より多く海洋へと溶け込んだことによって引き起こされる、海水pH低下のことである。

機序[編集]

産業革命(1700年代)から現在(1990年代)までの海面pHの変化の推定。 ΔpHは標準pH単位である[1]

産業革命以降200年以上にわたって、化石燃料の燃焼により大気中の二酸化炭素濃度は増加しつづけている。産業革命以前は約280ppmで安定していた二酸化炭素濃度は、2011年には390ppmを超えた[2]。さらに2016年には400 ppm、つまり、0.04 %を観測史上初めて超えた[3]。つまり、たったの5年で0.001 %も大気中に二酸化炭素が増えるなど、この増加には歯止めがかかっていない。

ところで、海水中へと溶け込んだ二酸化炭素(CO2 (aq))は、下記の平衡状態となる[4]

CO2 (aq) + H2O H2CO3 HCO3 + H+ CO32− + 2 H+

この平衡が成り立っている状態において、大気中の二酸化炭素が増えたことによって海水へとより多くの二酸化炭素が溶け込むと、溶存態の二酸化炭素(CO2 (aq))が増える。あとは上記の平衡状態がルシャトリエの法則に従った移動を起こすため、海水中の水素イオンが増加し、水素イオン指数が低下する。事実、1751年から2004年までの間に、海洋表面の海水のpHは、約8.25だったものが、約8.14にまで低下した[5]

考えられる影響[編集]

海洋酸性化の影響をまとめたビデオ。 出典:アメリカ海洋大気庁 Environmental Visualization Laboratory


持続可能な開発目標(SDGs)の達成項目14.3[編集]

国連が2030年までに達成すべきとして採択した持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標のうち目標14において、達成目標の「14.3」としてあらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響に対処し最小限化するとして、海洋酸性化の進行を食い留めることが謳われている[6]

日本での海洋酸性化[編集]

日本沿岸部でも海洋酸性化が進んでいることが、海洋研究開発機構などの分析で分かっている。[7]

関連項目[編集]

プラネタリー・バウンダリー

脚注・参考文献[編集]