密漁

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密漁(みつりょう)とは国際間の協定や法令や漁業者間のルールを犯して魚介類をとること。陸上の動物を不法に採取することは密猟と書き分けて区分する。

主な密漁の形態[編集]

  • 免許または許可を得ずに漁業を行った場合
  • 禁漁や禁止漁法を定めた各種法令に違反した場合
  • 漁業権を侵害した場合

密漁の取締り[編集]

密漁の取締りを所掌とする官庁は水産庁である。水産庁漁業監督官または都道府県漁業監督吏員がその任を負っている。また水産資源の保護については各都道府県の水産課などが担当している。海上保安庁や警察は水産庁に協力する形で密漁者の取締りを行う。 過去には地元漁師が自主的に密漁者を監視し現行犯逮捕するケースも多かったが、暴力事案に発展する場合も多いため、行政機関の立会いのもとに取締る場合が増えている。

採捕禁止期間や漁法に関する規定は主に、各都道府県の海面漁業調整規則に記載されている。 各都道府県によって対象魚種、期間、漁法は異なるので釣りも含めて魚介類をとろうとする際には注意が必要である。

漁業権の侵害とされるのは通常、共同漁業権のことであり、これは対象となる魚種が指定されたうえで、個人に対してではなく漁業協同組合に対して都道府県知事から付与され、漁業者は所属する組合から漁業権の行使承認を得ているという形になっている。 そのため、漁業協同組合によっては一般人に対して有料で漁業権が設定された魚種の採捕を認めているところもある。 また、漁業法で規定される漁業権侵害の罰則は20万円以下の罰金であるが親告罪となっており、漁業協同組合には密漁行為に対する温度差もあることから、取締機関に対して告訴状を提出しないということもある。 この場合、行為としては密漁を行っていても公訴提起ができないことから事実上無罪放免となる。

農林水産大臣または都道府県知事の許可をうけずに許可を要する漁業を営み、密漁で検挙された場合は懲役3年以下または200万円以下の罰金が課せられる。(漁業法水産資源保護法) 日本における「漁業を営む」の解釈は、「営利の目的で反復継続の意思をもって行う行為」とされ、漁獲の有無については問われない。 つまり、例え漁が空振りであったとしても「営利の目的で反復継続の意思」で行ったのであれば、漁網を使う漁業であれば投網、潜水器漁業であれば潜水の時点で既遂となる。

外国人が日本の領海内で許可を得ずに漁業を営んだ場合には、外国人漁業の規制に関する法律違反となり、検挙された場合は3年以下の懲役もしくは400万円以下の罰金、またはこれの併科とされる。

外国人が日本の排他的経済水域内で漁業を営む行為については、排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律により農林水産大臣の許可を要するほか、一律に漁業が禁止されている水域があり、このどちらに違反しても検挙された場合は1000万円以下の罰金が課せられる。しかし、当該行為については国連海洋法条約に基づき担保金制度が用意されており、行為の認否に関わらず、指定した担保金または担保金の提供を保証する書面が提出されると、違反者は釈放され押収物(船体や漁獲物)についても返還されることとなる。

国外での密漁[編集]

国際法では水産資源の排他的占有は国土から200海里以内で認められる。また各国政府の交渉により、中間線が設けられケースもある。これらの設定区域を越えての漁業は密漁となる。水産資源の争奪を巡っては海軍が出動したケースもあり、外交問題にも成りえる。

密漁事件[編集]

以下、国外における密漁事件の事例を挙げる。

国内での密漁[編集]

アワビサザエなどの稚貝を放流し養殖を行っている海域ではスキューバーダイビングや小型ボートを用いて密漁が行われる。密漁の規模こそ小さいが、被害額は一件につき数百万円から数千万円にのぼることも珍しくない。背景には、密漁した海産物を組織的に売りさばく暴力団や、密漁された魚介類であっても平気で仕入れるブラック企業の存在があるといわれる。また、密漁を行う実行犯は漁業者、つまりプロの漁師が大半である。経済的に困窮した漁師が禁漁期間中に収入を得るため、密漁を行って暴力団に転売するケースが多い。しかし、密漁に手を染める漁師がいる一方で、密漁の情報を海上保安庁や警察に提供し、日本の海の護りに協力している善良な漁師も多い。密漁事件の多くは善良な漁師からの情報提供によって検挙に結びついている。

日本国の国内での密漁取締りの法的根拠は漁業法海上保安庁法にある。水産庁や各都道府県の漁業取締船、海上保安庁の巡視船、巡視艇、各都道府県警察の警察用船舶が第一義的に取締りを行っている。水産庁では、密漁が多発している特定の海域で操業する漁協に対する「外国漁船被害等救済事業」や、漁師に対する「外国漁船被害等救済マニュアル」の配布を通じて密漁の摘発に努めている。

密漁の法的問題[編集]

密漁に対する法的解釈は、漁業者、遊漁者、水産庁、各都道府県水産課、海上保安庁、警察、裁判所、漁具小売店によって異なっている。

漁業者の主張[編集]

漁業者が自己の保有する漁場で漁業権を侵害されたならば、あらゆる水産物の捕獲が密漁と解釈している。ただし、漁業権の侵害として密漁を検挙する場合には、漁獲したものを販売して収益を得て、本来漁業者が得るはずであった収入を横領したこと、もしくはその意思を持ってなされたことが立証されることが必要である。また、漁場は個人の不動産としての法的扱いがなされることはない。

また、人口孵化させた稚魚や稚貝を養殖し、放流できる一定の成長をするまでにかかる経費も相当な額であり、密漁によって水揚げ量が減れば、漁にかかる燃料などの費用も含めれば赤字になる可能性も高い。

遊漁者の主張[編集]

漁業権の適用範囲は国際協定間ならびに漁業者間に限ってのことであり、漁獲によって収益を得るわけでもない一般人が、天然の水産物を収集し、自らの食に供することを日本国憲法で作成された法律では罰することはできない。日本国憲法は、法の下の平等を基本としており、所有権、占有権が認められていない天然資源に対する排他的独占は許されていないとしている。


一般的に密漁は水産資源についての所有権や物権が認められていないため窃盗には該当しないが、養殖施設等から採取した場合には窃盗とされ得る。

水産庁による密漁取締の目的は水産資源の保護や自然環境の保護の観点にある。その観点では漁業者の漁業権の行使の場合であれ、遊漁者の遊漁であれ、資源の枯渇や自然破壊につながる行為に規制が設けられている。

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]