ドゥラメンテ
ドゥラメンテ[1] | ||||||||||||
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![]() 2015年日本ダービー | ||||||||||||
欧字表記 | Duramente | |||||||||||
香港表記 | 大鳴大放 | |||||||||||
品種 | サラブレッド[1] | |||||||||||
性別 | 牡[2] | |||||||||||
毛色 | 鹿毛[2] | |||||||||||
生誕 | 2012年3月22日[1] | |||||||||||
抹消日 | 2016年6月29日[3] | |||||||||||
父 | キングカメハメハ[2] | |||||||||||
母 | アドマイヤグルーヴ[2] | |||||||||||
母の父 | サンデーサイレンス[2] | |||||||||||
生国 |
![]() | |||||||||||
生産 | ノーザンファーム[2] | |||||||||||
馬主 | サンデーレーシング[2] | |||||||||||
調教師 | 堀宣行(美浦)[2] | |||||||||||
調教助手 | 橋本篤典[4] | |||||||||||
競走成績 | ||||||||||||
タイトル | 最優秀3歳牡馬(2015年)[1] | |||||||||||
生涯成績 | 9戦5勝(UAEでの1戦0勝を含む)[1] | |||||||||||
獲得賞金 |
5億1660万7000円(日本国内[1]) 4,406,904UAEディルハム[5] | |||||||||||
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ドゥラメンテ (Duramente[6]) は日本の競走馬。2015年に皐月賞、日本ダービーの二冠を制し、JRA賞最優秀3歳牡馬に選出された。翌2016年にはアラブ首長国連邦のドバイシーマクラシック(G1)で2着、続いて宝塚記念でも2着となったが、この競走中に競走能力を喪失する怪我を負い、引退して種牡馬となった。
出自[編集]
馬名はイタリア語の "duramente" (荒々しく、はっきりと)という音楽用語に由来する[7]。
母はエリザベス女王杯を連覇したアドマイヤグルーヴで[8]、出産後の10月に死亡したため、最後の産駒であった[9]。祖母エアグルーヴは優駿牝馬・天皇賞(秋)(共にGI)を勝った名馬(1997年JRA賞年度代表馬)で、さらにその母のダイナカールも優駿牝馬を勝っており、母子4代でのGI制覇となった[10]。
経歴[編集]
2歳(2014年)[編集]
デビュー戦は10月12日の東京競馬場芝1800m戦で1番人気に推されるも出遅れてしまい、2着だった[11]。2戦目は東京の未勝利戦に出走[12]。2着に6馬身差をつけて初勝利[12]。
3歳(2015年)[編集]
年が明け2月1日のセントポーリア賞では直線で抜け出すと、2着に5馬身差をつけ圧勝[13]。中1週で共同通信杯を目指すこととなった[14]。共同通信杯でも圧倒的な1番人気に推されるものの[15]、道中では折り合いを欠き、スムーズに運んだリアルスティールに敗れた[16]。次走は馬の状態を優先させ、トライアルを経ずに皐月賞直行をめざし[17]、除外された場合は、青葉賞を経て東京優駿出走を予定していた[18]。賞金的に出場は難しかったものの[19]、出走馬が36年ぶりにフルゲートに満たなかったため、無事出場することとなった[20]。
新たな鞍上にミルコ・デムーロ騎手を迎えて臨んだ4月19日の皐月賞では序盤は後方からのレース[21]となり、第4コーナーで内側から大外まで大きく斜行(3頭の進路を妨害したため、鞍上のデムーロはレース後開催4日間の騎乗停止処分を受けた。)するが[22]、直線では強烈な末脚を披露し、早め先頭に立った2番人気のリアルスティールを交わし勝利した[23][24]。
5月31日の第82回東京優駿では単勝1.9倍で1番人気となった。レースでは折り合いが心配されていたが、道中は中団に位置し、直線に入ると坂の途中で先頭に立ち、押し寄せる後続馬をものともせずに押し切り勝利した[25]。これにより、2011年に達成したオルフェーヴル以来、4年ぶり史上23頭目となる春の2冠達成となった[26]。また勝ち時計2分23秒2は父キングカメハメハとディープインパクトが記録した2分23秒3を0.1秒更新するレースレコードとなった[27]。 また、関東馬のダービー馬は2009年に制したロジユニヴァース以来6年ぶり、関東馬のクラシック二冠馬は1997年のサニーブライアン以来、実に18年ぶりとなった[28]。
東京優駿を制した後ドゥラメンテはノーザンファーム早来へ放牧されていたが、両橈骨遠位端骨折が発見された[29]。堀調教師のコメントによればドゥラメンテの両脚の関節内へ米粒程度の軟骨片が遊離している状態であり症状としては軽度とされるも、今後について関係者間で協議して手術を行い骨片を摘出することに踏み切ったという[29]。手術によりドゥラメンテの競走能力へ影響が及ぶ懸念は無いと堀調教師はコメントしているが、もとより手術やリハビリ期間だけでも6か月を要し、さらに復帰時期が厳寒期にさしかかるため、より慎重なリハビリメニューをドゥラメンテに施し再起を図った[29]。
東京優駿以降、秋シーズンは全休を余儀なくされたものの皐月賞、東京優駿のクラシック春2冠制覇が大きく評価され、2016年1月6日に行われた2015年度JRA賞受賞馬選考委員会において、投票数291票中285票という圧倒的な得票数で最優秀3歳牡馬に選出された[30]。
4歳(2016年)[編集]
2月28日に行われた中山記念で9か月ぶりに復帰。M.デムーロ騎乗で単勝2.1倍1番人気に推され勝利[31][32]。今後のレースは3月28日にメイダン競馬場で行われるドバイ国際競走出走を予定し、その後の経過によっては凱旋門賞も視野に入れているとコメント[33]。3月3日、ドバイシーマクラシックへ出走することが正式に発表された[34]。ドバイシーマクラシックでは、馬場入場後右前脚の蹄鉄を落鉄するアクシデントが発生[35]。蹄鉄の打ち直しもうまくいかずそのまま発走し、その影響もあってイギリスのポストポンドの2着に敗れた[35][36]。6月26日、3か月ぶりの実践として宝塚記念に出走し、直線で伸びを図るも先に抜けたマリアライトに惜しくもクビ差及ばず2着に敗れ、その直後に歩様が乱れレース後に下馬し、左前肢ハ行(はこう)とする診断がなされた。吉田俊介は「凱旋門賞への出走はやめます。今後のローテーションについても白紙です」と語り、今後の病状によっては、2016年度も凱旋門賞への出走を事実上見合わせる方向で調整するはずだったが[37]、6月29日、獣医師から競走能力喪失の診断が下され、引退となった[38]。引退後は種牡馬となり、社台スタリオンステーションで繋養されることが決まった[39]。
競走成績[編集]
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離(馬場) | 頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ (人気) |
着順 | タイム (上り3F) |
着差 | 騎手 | 斤量 | 1着馬(2着馬) |
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2014.10.12 | 東京 | 2歳新馬 | 芝1800m(良) | 11 | 8 | 11 | 1.4(1人) | 2着 | 1:48.9(33.7) | 0.1 | F.ベリー | 55kg | ラブユアマン | |
11. 8 | 東京 | 2歳未勝利 | 芝1800m(良) | 14 | 1 | 1 | 1.2(1人) | 1着 | 1:47.5(33.7) | -1.0 | R.ムーア | 55kg | (ショウナンハルカス) | |
2015. 2. 1 | 東京 | セントポーリア賞 | 芝1800m(良) | 14 | 3 | 4 | 1.7(1人) | 1着 | 1:46.9(34.1) | -0.9 | 石橋脩 | 56kg | (ウェルブレッド) | |
2.15 | 東京 | 共同通信杯 | GIII | 芝1800m(良) | 12 | 6 | 8 | 1.8(1人) | 2着 | 1:47.2(33.7) | 0.1 | 石橋脩 | 56kg | リアルスティール |
4.19 | 中山 | 皐月賞 | GI | 芝2000m(良) | 15 | 2 | 2 | 4.6(3人) | 1着 | 1:58.2(33.9) | -0.2 | M.デムーロ | 57kg | (リアルスティール) |
5.31 | 東京 | 東京優駿 | GI | 芝2400m(良) | 18 | 7 | 14 | 1.9(1人) | 1着 | R2:23.2(33.9) | -0.3 | M.デムーロ | 57kg | (サトノラーゼン) |
2016. 2.28 | 中山 | 中山記念 | GII | 芝1800m(良) | 11 | 7 | 9 | 2.1(1人) | 1着 | 1.45.9(34.1) | 0.0 | M.デムーロ | 57kg | (アンビシャス) |
3.26 | メイダン | ドバイシーマC | G1 | 芝2410m(稍) | 9 | 4 | 2着 | M.デムーロ | 56.5kg | Postponed | ||||
6.26 | 阪神 | 宝塚記念 | GI | 芝2200m(稍) | 17 | 5 | 9 | 1.9(1人) | 2着 | 2:12.8(36.1) | 0.0 | M.デムーロ | 58kg | マリアライト |
- タイム欄のRはレコード勝ちを示す。「ドバイシーマC」はドバイシーマクラシックの略記。
- 以上の「競走成績」における内容はnetkeiba.com "ドゥラメンテの競走成績"[40]、ドバイシーマクラシックのみJBIS "全競走成績"[41]に基づく。
血統表[編集]
ドゥラメンテの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | ミスタープロスペクター系 |
[§ 2] | ||
父 キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
父の父 Kingmambo1990 鹿毛 |
Mr.Prospector | Raise a Native | |
Gold Digger | ||||
Miesque | Nureyev | |||
Pasadoble | ||||
父の母 *マンファスManfath 1991 黒鹿毛 |
*ラストタイクーン | *トライマイベスト | ||
Mill Princess | ||||
Pilot Bird | Blakeney | |||
The Dancer | ||||
母 アドマイヤグルーヴ 2000 鹿毛 |
*サンデーサイレンス Sunday Silence 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason | |
Cosmah | ||||
Wishing Well | Understanding | |||
Mountain Flower | ||||
母の母 エアグルーヴ1993 鹿毛 |
*トニービン | *カンパラ | ||
Severn Bridge | ||||
ダイナカール | *ノーザンテースト | |||
シャダイフェザー | ||||
母系(F-No.) | パロクサイド(GB)系(FN:8-f) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | Northern Dancer 5×5×5 | [§ 4] | ||
出典 |
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出典[編集]
- ^ a b c d e f “ドゥラメンテ”. JBIS-Search. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年7月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i 谷川善久. “レース成績データ - GIレース - 日本ダービー - 第82回 東京優駿(日本ダービー)”. 日本中央競馬会. 2015年7月22日閲覧。
- ^ ドゥラメンテ号が競走馬登録抹消日本中央競馬会、2016年7月9日
- ^ “ドゥラメンテ・サトノクラウン、日本ダービー1週前厩舎情報/美浦トレセンニュース”. netkeiba.com (2015年5月21日). 2015年7月22日閲覧。
- ^ 国際競馬統括機関連盟 Racing - Race Detail (2016) Dubai Sheema Classic Presented By Longines
- ^ “ドゥラメンテ - 基本情報”. 日本軽種馬協会. 2015年7月22日閲覧。
- ^ “サンデーサラブレッドクラブ - 馬名の由来”. サンデーサラブレッドクラブ. 2015年7月22日閲覧。
- ^ “ダイワスカーレット、アドマイヤグルーヴ、ファレノプシスの仔が登場!/新馬戦”. netkeiba.com (2014年10月9日). 2015年7月22日閲覧。
- ^ 石野静香 (2015年5月27日). “【新怪物ドゥラメンテの秘密】(3)「VIP馬房」ですくすく”. スポーツ報知. 2015年7月22日閲覧。
- ^ “【皐月賞】ドゥラメンテ ダイナカール一族、母子4代G1制覇”. スポーツニッポン (2015年4月20日). 2015年7月22日閲覧。
- ^ “ラブユアマンが好位から抜け出しV/東京新馬”. netkeiba.com (2014年10月12日). 2015年7月22日閲覧。
- ^ a b “【2歳未勝利】(東京4R) 〜ドゥラメンテが6馬身差でV [News]”. ラジオNIKKEI (2014年11月8日). 2015年7月22日閲覧。
- ^ “ドゥラメンテが断然人気に応え5馬身差V!/セントポーリア賞”. netkeiba.com (2015年2月1日). 2015年7月22日閲覧。
- ^ “クラシックへ向けて素質馬が集結/共同通信杯の見どころ”. netkeiba.com (2015年2月9日). 2015年7月22日閲覧。
- ^ “【共同通信杯】スタート良すぎた…ドゥラメンテ2着”. サンケイスポーツ (2015年2月16日). 2015年7月22日閲覧。
- ^ 大西直宏 (2015年5月30日). “【競馬】ドゥラメンテに不安。ダービーで台頭する意外な「穴馬」”. Sportiva. 2015年7月22日閲覧。
- ^ “【新怪物ドゥラメンテの秘密】(6)戦闘モード突入!「無理しない」ローテが引き出す”. スポーツ報知 (2015年5月30日). 2015年7月22日閲覧。
- ^ “ドゥラメンテは皐月賞に直行”. サンケイスポーツ (2015年2月19日). 2015年7月22日閲覧。
- ^ 柏木集保 (2015年4月20日). “文句なしの日本ダービーの最有力馬/皐月賞”. netkeiba.com. 2015年7月22日閲覧。
- ^ JRA/第75回皐月賞
- ^ 藤倉聡子 (2015年4月19日). “競馬:皐月賞、3番人気のドゥラメンテが優勝”. 毎日新聞. 2015年7月22日閲覧。
- ^ 赤見千尋 (2015年5月30日). “強さと不安が共存ドゥラメンテ ミルコ・デムーロの胸の内は――(1ページ目)”. スポーツナビ. 2015年7月22日閲覧。
- ^ 赤見千尋 (2015年5月30日). “強さと不安が共存ドゥラメンテ ミルコ・デムーロの胸の内は--(2ページ目)”. スポーツナビ. 2015年7月22日閲覧。
- ^ “競馬データベース - 第75回皐月賞(G1)”. netkeiba.com. 2015年7月22日閲覧。
- ^ “ドゥラメンテ二冠達成、今後について堀師「オーナーと相談してから」/日本ダービー”. netkeiba.com (2015年6月1日). 2015年7月22日閲覧。
- ^ “ダービー、ドゥラメンテ2冠達成 史上23頭目”. 47NEWS (2015年5月31日). 2015年7月22日閲覧。
- ^ “ドゥラメンテ2冠、ダービー制す…父の記録更新”. 読売新聞 (2015年5月31日). 2015年6月14日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2015年6月2日閲覧。
- ^ 加藤剛史 (2015年6月8日). “【調教の新トレンド!美浦編】今春GI4勝!堀宣行厩舎の調教のヒミツ”. netkeiba.com. 2015年7月22日閲覧。
- ^ a b c 「ニュースぷらざ - 二冠馬ドゥラメンテが骨折」『週刊競馬ブック通巻2842号』、ケイバブック、2015年6月29日、 166頁、2015年7月22日閲覧。
- ^ http://www.jra.go.jp/news/201601/010601a.html |title=2015年度JRA賞競走馬部門 記者投票集計結果
- ^ JRA・中山記念2016年2月29日閲覧
- ^ スポニチ・【中山記念】ドゥラメンテ復活V! ミルコ鳥肌「凄い、凄過ぎる!」2016年2月29日閲覧
- ^ ネット競馬ニュース・ドゥラメンテの次走について吉田俊介代表「使うとしたらドバイシーマクラシック」 2016年02月29日配信 2016年3月20日閲覧
- ^ 【ドバイWC】"怪物" ドゥラ、シーマC参戦へ2016年3月4日配信 2016年3月20日閲覧
- ^ a b “【ドバイシーマクラシック】落鉄で2着ドゥラメンテ ポストポンドに凱旋門賞でリベンジだ”. 東京スポーツ (2016年3月28日). 2016年3月29日閲覧。
- ^ “【ドバイシーマC】ドゥラメンテ2着、凱旋門賞でリベンジ懸ける”. スポーツニッポン新聞社 (2016年3月27日). 2016年3月29日閲覧。
- ^ 【宝塚記念】ドゥラメンテ凱旋門賞断念 2着入線後に下馬(netkeiba)
- ^ ドゥラメンテ引退 競走能力喪失の診断、昨年2冠馬 種牡馬に スポーツニッポン 2016年6月29日
- ^ 種牡馬入りドゥラメンテ、社台SSに到着サンケイスポーツ、2016年7月25日閲覧
- ^ “ドゥラメンテの競走成績”. netkeiba.com. 2016年6月27日閲覧。
- ^ “競走成績:全競走成績|ドゥラメンテ”. JBIS. 2016年3月29日閲覧。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 競走馬成績と情報 netkeiba、Yahoo!スポーツ競馬、JBISサーチ 2016年2月28日閲覧。
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