日産・クルー
日産・クルー | |
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前部(2005年までのモデル) | |
後部(2005年までのモデル) | |
側面(2005年までのモデル) | |
概要 | |
販売期間 | 1993年 - 2009年 |
ボディ | |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 4ドアセダン |
駆動方式 | FR |
パワートレイン | |
エンジン |
RB20E 直6 1,998cc (130PS/5,600rpm) RD28 ディーゼル 直6 2,825cc (94PS/4,800rpm) →RD28E (100PS/4,800rpm) NA20P LPG 直4 1,998cc (82PS/4,600rpm→85PS/4,600rpm) |
変速機 | 4速AT / 5速MT |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,665mm |
全長 | 4,595mm |
全幅 | 1,695mm |
全高 | 1,460mm |
車両重量 | 1,290 - 1,575kg |
クルー(CREW )は、日産自動車が生産していたセダン型商用車、およびセダン型乗用車。主にタクシーとして用いることを前提に設計されている。1994年 - 2002年には個人(自家用)向け仕様の「クルー・サルーン」とパトカー仕様も発売されていた。
製造は日産車体。
概要
シャシは、タクシー専用モデルとして設定されていたC32型系ローレル4ドアセダンのフロントセクションと、Y31型系セドリック営業車のキャビンとリアフロアパンを組み合わせて、耐久性・信頼性・整備性を向上させたもの、ドアは、使用頻度の高い運転席(右前)と左リアの前後寸法をそれぞれ反対側より50 mm ずつ大きく取り、左右非対称の設計にするなど、最初から小型タクシーとして使用することを前提とした設計となっている。
設定されたグレードは上から順にGLX, GL, E-L、Eの4種類。主にE-L, Eが地方の法人タクシーで使われている。上級グレードのGL, GLXは主に個人タクシーで使われている。
1994年1月から2002年6月までは、クルー・サルーンという自家用向けモデルも存在した。これは、3ナンバーサイズの大柄な車体、過剰な装備、直4エンジン、AT等をあまり好まない保守的な60代以上の高齢のユーザーを主なターゲットとしたもの(当時)であり、RB20E型ガソリンエンジンと、RD28E型ディーゼルエンジンという、回転フィールと出力特性のバランスで評価の高かった2種の直6エンジンや、AT以外にフロアシフトの5速MTが設定され、価格も比較的低廉であった。
タクシーなどとして使用することを前提に開発された車種ではあるが、当時急速に数を減らしつつあったFRとMTという組み合わせが選べることや、RBエンジン搭載車の中では価格が低めであったことなどもあり、一部のレアカーやチューニングカーマニアからも注目をされた。簡素なサスペンションを始めとして、元来駆動系や足回りに流用部品が多い成り立ちから、既存の豊富なアフターマーケットパーツが利用でき、また、元々RB/RDエンジンの設定があるためエンジンスワップにも都合が良く、直4のSR系エンジンは言うに及ばず、スカイラインGT-R用のRB26DETTを筆頭としたRBの高性能版への換装例も数多く見られた。この他、旧車のフェンダーミラーやホイールキャップを流用したレトロ調のドレスアップなども見られ、中古車としての市場規模は小さいながらも、一時は一定の人気を得るに至った。
歴史(K30型系・1993年 - 2009年)
- 1993年7月
- これまで、タクシー専用モデルのみ旧型のまま継続して生産・販売されていたローレルC32型4ドアセダンとブルーバード910型4ドアセダンの後継としてデビュー。運転席と左リアドアの開口寸法と最大開き角度を拡大する等、タクシーでの利便性を向上させている。
- 1994年1月
- 自家用向けグレード「クルー・サルーン」が登場。ローレルやスカイラインと同じRB20EやRDエンジンを積んだモデルもあった。自家用4ドアセダンには珍しく、自動ドアのオプション設定があった。これは個人タクシーでの使用を想定したものと思われる。
- 1994年4月
- パトロールカー仕様追加。以後、R32型系スカイラインのパトカー仕様を代替をしていくようになる。警ら自動車のエンジンを6気筒とする警察の規定[1]により、RB20Eを搭載。また、ホイールもPCDは同じ114.3ながら4穴から5穴に変更されている。
- 1994年5月
- サルーン系にディーゼルエンジンを追加。
- 1995年2月
- サルーン系を一部改良、運転席SRSエアバッグが標準装備となる。LXサルーンBを廃止し、LXサルーンGを追加。
- 1996年
- 光岡自動車がクルーベースのレトロ調セダン、ガリュー(後継の登場以後、ガリュー I と呼ばれる。)の販売を開始する。
- 1996年9月
- 一部改良。
- 1998年6月22日
- 一部改良、NA20P型 LPGエンジンを燃焼室改善などにより、低燃費化および出力、トルクを向上。また、上級グレードのGLX、GLに、カラードバンパーやメッキアウタードアハンドル、アルミロードホイール、装飾フィニッシャーなどをセットにした「カスタムパッケージA/B」をオプション設定。同時に、センターコンソールリッドへの料金トレイの設定、トランクルームのフルトリム化、オゾンセーフエアコンの標準装備、抗菌処理などを施す。
- 1999年8月23日
- 一部改良。安全性能および仕様装備の向上を図る。また、旧来の機械式燃料噴射ポンプを用いたRD28型 直列6気筒ディーゼルエンジンに替わり、SOHCながら18バルブとし、燃焼噴射も電子制御としたEGIディーゼルのRD28E型を採用。
- 2002年6月26日
- ガソリン、ディーゼルエンジン廃止により、サルーン系とパトカー仕様が生産中止、直列4気筒 SOHC LPGエンジン NA20P搭載の営業車と教習車のみの設定となる。また、運転席デュアルシートリフター、運転席ランバーサポートを全車標準装備化し、仕様向上を行った。
- 2005年11月30日
- 一部改良。最下級グレードのEを廃止、ターンシグナルランプレンズのクリアー化、リアコンビランプ形状の小変更、ハイマウントストップランプのLED化などを行い、灯火器技術基準に適合した。
- 2007年7月
- 平成17年排出ガス規制適合。教習車は廃止され、日産から教習車のラインナップがラティオ教習車が発売されるまで消滅した。また、2005年にシルフィ教習車がフルモデルチェンジに伴って廃止されたため、一時期は日産唯一の教習車となっていた。
- 2009年6月
- 生産終了。16年の歴史に幕を下ろす。これに伴い、日産自動車から発売される市販モデルとしての小型タクシーは姿を消すこととなった[2]。
脚注
- ^ 三菱・ギャランΣのみ、4気筒ながらサイレントシャフトの追加で例外的に採用されている。
- ^ クルーの後継車種として鹿児島日産自動車が独自に企画・開発したティーダラティオタクシー仕様(ガソリンエンジンのみ)が2009年9月1日より販売されている。また、2010年12月に発売されたNV200バネットタクシーは小型車扱いである。2011年頃からブルーバードシルフィをタクシーとして導入する企業が現れた。