ホンダ・H型エンジン

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ホンダ H23A

H型エンジン(Hがたエンジン)は、本田技研工業で製造されていた中型車種直列4気筒ガソリンエンジンである。

機構

DOHC VTEC

  • H22A,H23A

DOHC VTEC仕様のF型エンジンと基本構造を継承し、より高出力を狙った直列4気筒 DOHC 16バルブ クロスフロー エンジンである。回転方向は従来と同じ時計回り[1]である。発表当時は、エンジンだけで80万円とも言われており、細部にまでホンダの技術が凝縮されたエンジンである。モータースポーツでは、F3スーパー・ツーリングカー用のベースエンジンとしても採用されていた。

吸・排気バルブはそれぞれ2個ずつで、タイミングベルトで駆動されるカムシャフトにより、内側支点のスイングアームを介し開閉される。点火プラグ燃焼室の天井中央部に取付けられている。吸気カム ハイ側の最大リフト量は、11.5mmと他型式のVTECエンジンと比較しても大きく、高回転時の追従性を向上させるために、異形断面のバルブスプリングが適用されている。シリンダーブロックは、軽量のアルミ製であり、初期にはNDC(New Diecast)と呼ぶ高圧鋳造によるクローズドデッキ仕様も存在する。シリンダーにFRM(Fiber Reinforced Metal)を採用し、シリンダー剛性を高めるとともに、従来機種と比較しボアピッチを狭め、コンパクト化を図っている。クランクシャフトの支持剛性を上げるためにディープ・スカート形状になっている。2次のエンジンの振動を低減させるためのバランサーが装着された。

燃料供給装置はPGM-FI仕様のみで、インテークマニホールドの各気筒のポートにインジェクターが取付けられたマルチポイント式で、インテークマニホールドには可変慣性吸気装置が装備されている。エキゾーストマニホールドステンレス製の4-2-1集合[2]で、排気抵抗の低減や排気脈動による排気効率を高めた。

DOHC

  • H23A

アスコットイノーバと当時提携関係にあった英ローバーローバー・600用に、中・低速域[3]トルクに厚みを持たせ余裕ある走りと低燃費を両立するため、初期のH22Aをベースに開発された。

FRMシリンダーライナーやクローズドデッキ構造のシリンダーブロックを踏襲し、ストロークを伸ばし排気量を拡大された。可変慣性吸気システムやツインバランサーシャフトなども装備されたが、搭載車両の特性上、高回転化の必要性が無かったため、動弁系にはVTECは装着されていない。

歴史

  • 1991年9月19日に発表された4代目プレリュードに、2,200ccのH22Aが初めて採用された。
  • 1992年3月3日に発表されたアスコットイノーバに、2,300ccのH23Aが初めて採用された。
  • 1996年11月7日に発表された5代目プレリュード・タイプSに、ハイチューン仕様のH22Aが採用。
  • 1999年1月21日に発表された3代目アコードワゴンに、VTEC仕様のH23Aが採用。
  • 2002年にアコードワゴンのモデルチェンジによって、H型エンジンの生産も終了した。

存在したバリエーション

H22A

  • 弁機構:DOHC VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:2,156cc
  • 内径×行程:87.0mm×90.7mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(CL1 アコード・ユーロR)
    • 最高出力:162kW(220PS)/7,200rpm
    • 最大トルク:221N·m(22.5kgf·m)/6,700rpm

H23A

DOHC仕様

  • 弁機構:DOHC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:2,258cc
  • 内径×行程:87.0mm×95.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(CC5 アスコットイノーバ)
    • 最高出力:121kW(165PS)/5,800rpm
    • 最大トルク:211N·m(21.5kgf·m)/4,500rpm
  • H23A3:欧州仕様

DOHC VTEC仕様

  • 弁機構:DOHC VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
  • 排気量:2,258cc
  • 内径×行程:87.0mm×95.0mm
  • 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
  • 参考スペック(CH9 アコードワゴン)
    • 最高出力:147kW(200PS)/6,800rpm
    • 最大トルク:221N·m(22.5kgf·m)/5,300rpm

搭載されていた車種

H22A

H23A

H23A3

脚注

  1. ^ 出力取出軸端より見た時の回転方向。JIS B 8001による。
  2. ^ 各気筒の排気管を、点火順序を考慮し排気干渉が起きないように集合させている。エンジン前側より1番,4番とした場合、1番気筒と4番気筒、2番気筒と3番気筒をそれぞれ集合させた後、1本に集合させたもの。
  3. ^ エンジン回転数の正式名称はエンジン回転速度。 JIS B 0108-1による。

関連項目

外部リンク