ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島

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ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島
ジャンル テキストアドベンチャーゲーム[1]
コマンド選択式アドベンチャー
対応機種 ファミリーコンピュータ ディスクシステム
開発元 パックスソフトニカ
任天堂情報開発部
発売元 任天堂
プロデューサー 山内溥
シナリオ 菱田達也
プログラマー 橋下友茂
亀山雅之
音楽 近藤浩治
美術 清水一伸
西川佳孝
シリーズ ふぁみこんむかし話シリーズ
人数 1人
メディア ディスクカード両面
発売日 前編:1987年9月4日
後編:1987年9月30日
対象年齢 CEROA(全年齢対象)
売上本数 前編:パッケージ版28万個 書き換え55万回
後編:パッケージ版14万個 書き換え50万回(1989年時点)[2]
その他 後編ディスクを使用する際は前編ディスクが必要。
スーパーファミコンソフト 平成 新・鬼ヶ島 前編/後編にも収録。
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ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島』(ふぁみこんむかしばなし しん・おにがしま)は、任天堂日本で発売したゲームソフト。ジャンルはアドベンチャーゲーム。開発はパックスソフトニカと任天堂が共同で行った。

後年には外伝作品『平成 新・鬼ヶ島』や、他機種への移植作が制作・販売された。

概要

ファミリーコンピュータ ディスクシステム用のゲームソフトとして、『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島 前編』が1987年9月4日に、『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島 後編』が同年9月30日に発売された。監修は宮本茂。脚本・演出は菱田達也。プログラムは橋下友茂と亀山雅之。音楽は近藤浩治。任天堂が初めて発売したテキストアドベンチャーゲームとなり、初の2枚組ディスクカードソフトともなった。

「ふぁみこんむかし話」の副題が示す通り、「桃太郎」や「かぐや姫」など、日本昔話から引用したキャラクターが、独特の切り口により融合された世界観の元で活躍するゲームである。当時日本のコンシューマゲーム機向けに制作されたアドベンチャーゲームはSFを題材とした作品や殺人事件の解決を目指す推理小説のような作品が多かったが、本作は昔話特有の優しく親しみやすい語り口で主人公の男の子と女の子、動物たちによる冒険や出会い、別れを織り込んだ物語が展開される。

プレイヤーは画面に複数用意されたコマンドを選び、主人公たちに適切な行動を取らせ、全9章で構成される物語を読み進めていく。ただし誤ったコマンドを選択したり、謎を解かないまま物語を進めたりするとゲームオーバーになる場合がある。このゲームには「はなす」「みる」「いどう」などごく普通のコマンドのほか、主人公の男の子と女の子を切り換えるためのコマンド「ひとかえる」が用意された。「ひとかえる」を使用することによりそれぞれに別行動を取らせ、異なる観点から物語を同時に進行させることができる。さらに片方の主人公にはできない行動がもう一方では簡単にできたり、コマンドを選んだ結果として表示される文章や台詞に変化が現れたりと、主人公たちの個性を表現する役割も果たした。

電源投入中にも専用メディア「ディスクカード」の交換が可能なディスクシステムの特徴を利用して、ゲームを前編・後編に分けて発売し、ゲーム内容のボリューム向上を図った。後編をプレイするには前編のディスクカードが必要となり、さらに前編の物語を終了させなければならない。この形式は後継作品の『ふぁみこんむかし話 遊遊記』『タイムツイスト 歴史のかたすみで…』だけでなく、『ファミコン探偵倶楽部』シリーズ、他社作品である『探偵 神宮寺三郎 危険な二人』にも採用された。

物語

むかしむかし、長串村(ながくしむら)という山奥の小さな村に、おじいさんとおばあさんが住んでいた。ある日、子供がいなかった2人は、夢のお告げどおりに男の子と女の子の赤ん坊を授かり、喜んで育てることにした。

月日が流れ、子供たちが8歳になった頃、はるか西の都で異変が起きた。突如現れた巨大な龍が人間を鬼に変え、人間の魂を奪い取らせているという。鬼の魔の手は長串村にも伸び、おじいさんとおばあさんの魂も奪い去られてしまう。運よく難を逃れた子供たちは、おじいさんとおばあさんを救うため旅立った。

その旅が、自分たちの出生の秘密に大きく関わることとなるとも知らずに。

登場人物

主人公の男の子と女の子には公式の名前が用意されているが、プレイヤーは2人に好みの名前を付けることができる。

男の子(どんべ)
川を流れてきたカップ麺のようなおわんから生まれた男の子。頭を使うことは苦手だが力持ち。
女の子(ひかり)
輝く竹から生まれた女の子。頭が良く字も読めるが力仕事は苦手。どんべのお姉さんのような存在。
キャプテン★レインボー』にも登場しているが、容姿はかなり異なる。
おじいさん・おばあさん
どんべとひかりの育ての親。鬼に魂を奪われる。第1章のみこの2人の視点でゲームを進めることになる。この他におつうさんという女性に化けた鶴が男の子と女の子の世話役として一緒に生活していたという描写がある。
りんご
橋のふもとでどんべを待っていた犬。大人しく礼儀正しい。
まつのすけ
奇怪ヶ森で一行に加わった猿。やんちゃで生意気。
おはな
鬼ヶ島へ通じる白石の泉で出会う、最後の仲間となるキジ。巨体化する能力を持ち、一行を鬼ヶ島へ運ぶ。
いったい
この物語の語り部。メニュー画面に登場するほか、劇中では隣村の呉服屋の主人として登場する。名前の由来は「一休さん」で、毛が1本だけ頭の上に生えていることから「休」に一本付け足して「一体さん」となっている。
金太郎
サングラスと赤い腹巻がトレードマークの謎の少年。英語を喋り、主人公たちを導く。
天狗
鬼の砦に忍び込んでいたひょうきん者の天狗。主人公の女の子をいたく気に入る。「おーっ」が口癖。
ひのえさま
星の姿に化身した、神のような存在。世界を覆う災いの元凶を知っており、災いの封印を主人公たちに課す。
人間の魂を奪い龍に捧げる怪物。その正体は魂を奪われた人間の成れの果て。この物語の鬼は公家のような服をまとい、仮面のように無表情な顔、長い髪の毛、頭に伸びた2本の角を持つ。強いにおいを嫌う。
暗黒の化身
この世と対を成すもう1つの世界、闇の世界からやってきた邪悪な魔物の化身。人の魂を食らい龍の姿で実体化した。奪い取った人の魂を龍の玉と呼ばれる宝玉に繋ぎ止めることで実体を保っている。
乙姫
はるか昔に暗黒の化身を玉手箱に封じ込めた伝説の人物。海に住む一族、竜宮人(りゅうぐうびと)の姫でもある。

音楽

サウンドトラック

GAME SOUND LEGEND シリーズ ファミコン・ミュージック Vol.2
ファミコンの名作のBGMを取り上げたオムニバスCDの第2弾。前後編全曲収録。トラック1〜6が前編、15〜20が後編で、章ごとのBGMは1つのトラックにまとめられている。
ファミコン20THアニバーサリーオリジナルサウンドトラックVOL.3
前編と後編を全曲収録。CDの収録曲数の都合上、全曲1ループのみの収録。サイトロンデジタルコンテンツ社制作。
ファミコン20THアニバーサリーアレンジサウンドトラックス
前編のBGMをメドレー形式でオーケストラアレンジにした楽曲が収録。編曲は相原“J99”隆行 。彼によると、前後編の全ての楽曲をアレンジに含めたかったが、時間の制約上かなわなかったとのこと。サイトロンデジタルコンテンツ社制作。
ゲームサウンドミュージアム〜ファミコン編
ファミコン20周年を記念してメガハウスが制作・発売した食玩。CDをおまけにした(というよりCDがメイン)食玩で、ヨーグルト味のキャンディーが1つと、1つのゲームのBGMを全曲収録した8cmCDが付属していた。本作品のBGMは、前編と後編は別々に分けた上で全曲収録されている。後編のCDには、20THアニバーサリーサウンドトラック収録の後編には収録されていなかった「ひのえさま」のテーマ曲が再収録されている他、それぞれ、前編、後編のBGMをプレイ中の効果音ごとそのまま収録したゲームプレイのトラックが収録されている。
TOY MUSIC Dancing Super Mario Brothers』/アキハバラ・エレクトリック・サーカス
『BS新鬼ヶ島』で使用されたアレンジ版のエンディング曲が収録されている。編曲は尾崎裕一。現在は廃盤で入手困難となっている。なお、BS版の移植作にあたるSFC版『平成・新鬼ヶ島』では、中塚章人がBS版で使用されたBGMをSFC向けに編曲し直しているため、BS版と平成版ではBGMは異なるものになっている。このCDに収録されているBS版のエンディング曲は、ファミコン版のエンディング曲の音源アレンジ版から展開して第1章「やまにいくとちゅうのみち」、2章「いえのなか」、そして「鬼のテーマ」のメドレーとなっており、この内の「鬼のテーマ」の部分がSFC版のエンディング曲として再編曲された上で流用されている。BS版、SFC版のBGMはいずれも音源化されていない。

BGMリスト

〜前編〜
  • 1. タイトルBGM
  • 2. 第一章 〜いえのなか〜
  • 3. 第一章 〜やまへいくとちゅうのみち
  • 4. 第二章 〜いえのなか
  • 5. 第二章 〜りゅうのはなし
  • 6. 第二章 〜いえのなか(よる)
  • 7. 第三章 〜あさ〜
  • 8. 第三章 〜おにとりで〜
  • 9. 第三章 〜とりでのなか〜
  • 10. 第四章 〜となりむら〜
  • 11. 第四章 〜みずうみ〜
  • 12. 第四章 〜ひのえさま〜
  • 13. スタッフロール
〜後編〜
  • 14. 第五章 〜はいきょ〜
  • 15. 第五章 〜おにのもんばん〜
  • 16. 第六章 〜もり〜
  • 17. 第六章 〜きかいがもり〜
  • 18. 第六章 〜すずめのおやど〜
  • 19. 第七章 〜しのはら〜
  • 20. 第七章 〜どうくつ〜
  • 21. 第七章 〜おはな〜
  • 22. 第八章 〜きょだいりゅう〜
  • 23. 第九章 〜だいだんえん〜
  • 24. エンディング

※ファミコン20THアニバーサリーオリジナルサウンドトラックVOL.3より

他機種版

本作には以下の移植版が存在する。物語は同一だが表現の変更が施された。

No.タイトル
型式
発売日開発元発売元メディア価格(税別)売上本数
1平成 新・鬼ヶ島 前・後編
1997年12月1日パックスソフトニカ
任天堂
任天堂SFメモリカセット前後編各
3,000円
-
対応機種スーパーファミコン
備考ニンテンドウパワー書き換え版
2平成 新・鬼ヶ島 前・後編
前編:SHVC-AO4J・後編:SHVC-AO5J
1998年5月23日パックスソフトニカ
任天堂
任天堂24メガビットロムカセット前後編各
3,800円
-
対応機種:スーパーファミコン
備考:パッケージ販売版
3ファミコンミニ26
ディスクシステムセレクション
ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島

AGB-P-FFMJ-JPN
2004年8月10日パックスソフトニカ
任天堂情報開発部
任天堂ロムカセット1,905円6万1437本
対応機種ゲームボーイアドバンス
備考
4ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島
2007年6月19日パックスソフトニカ
任天堂情報開発部
任天堂ダウンロード600Wiiポイント
対応機種Wiiバーチャルコンソール
備考
5ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島
2013年6月5日パックスソフトニカ
任天堂情報開発部
任天堂ダウンロード500円-
対応機種ニンテンドー3DS(バーチャルコンソール)
備考
6ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島
2013年9月18日パックスソフトニカ
任天堂情報開発部
任天堂ダウンロード500円-
対応機種Wii U(バーチャルコンソール)
備考
スーパーファミコン版
スーパーファミコン用の外伝作品『平成 新・鬼ヶ島 前編』にはファミコンディスク版の前編が、『平成 新・鬼ヶ島 後編』にはファミコンディスク版の後編が収録された。いずれも本編終了後に一定の条件を満たす事で、ファミコンディスク版がプレイできるようになり、後編は前編の所有や終了の有無にかかわらず単体でプレイできる。平成の内容は鬼ヶ島本編とリンクしており大まかな流れが紹介され謎解きのヒントに繋がっている。
この版には多くの改変が加えられた。章の始めとゲーム再開時には主人公の男の子と金太郎が相撲を取るデモ画面が表示される。メディアの変更によりセーブ・ロード時間が廃止され、セーブ時の警告文や物語中の一部文章が差し替えられた。画面背景の色合いと音声は原作と異なる。特にBGMは音色を変えた上でステレオ化され、効果音も変更された。
ゲームボーイアドバンス版
2004年8月10日ゲームボーイアドバンス版『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島 前後編』が発売された。これはファミコンソフトをゲームボーイアドバンスに移植、復刻販売するファミコンミニの第3弾「ディスクシステムセレクション」のうちの1作である。前編・後編を統合した上で移植され、1本のソフトで最後まで物語を進めることができる。原作を再現するファミコンミニの方針から文章や演出に変更は加えられていないが、画面表示領域の減少によるグラフィックの縮小や音色の変化など機器の仕様差による表現の相違が存在する。メディア入れ替え作業の必要はなく、ロード・セーブの待ち時間が短縮された。
Wii バーチャルコンソール版
2007年6月19日からWiiバーチャルコンソール対応ソフト『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島 (前後編)』のダウンロード販売が開始された。画面表示は原作そのままに、ゲームボーイアドバンス版と同様に前編・後編を統合させ、メディア入れ替え作業をなくし、ロード・セーブの待ち時間を短縮した。この版では2章の登場人物「雪女のおせち」の容姿をけなす文章と、「じょしだいせいねずみ」の素性を説明する文章が差し替えられた。
3DS版
2013年6月5日から3DSバーチャルコンソールで配信が始まった[3]。500円。
Wii U版
2013年9月18日からWii Uバーチャルコンソールで配信が始まった。500円。

スタッフ

  • 制作:山内溥
  • 脚本:菱田達也
  • 進行:加藤圭三
  • デザイン:清水一伸、西川佳孝
  • プログラム:橋下友茂、亀山雅之
  • 技術:清水隆雄
  • 音楽:近藤浩治
  • 演出:菱田達也
  • 監修:宮本茂

評価

評価
レビュー結果
媒体結果
ファミ通30/40点
(シルバー殿堂)
ファミリーコンピュータMagazine21.75/25点[4]
受賞
媒体受賞
ファミリーコンピュータMagazineゲーム通信簿ディスクシステム部門 総合1位[5]
ファミリーコンピュータMagazineゲーム通信簿ディスクシステム部門 キャラクタ3位[5]
ファミリーコンピュータMagazineゲーム通信簿ディスクシステム部門 音楽2位[5]
ファミリーコンピュータMagazineゲーム通信簿ディスクシステム部門 操作性4位[5]
ファミリーコンピュータMagazineゲーム通信簿ディスクシステム部門 熱中度2位[5]
ファミリーコンピュータMagazineゲーム通信簿ディスクシステム部門 オリジナリティ1位[5]
  • ゲーム雑誌「ファミコン通信」のクロスレビューで合計30点(満40点)でシルバー殿堂入りを獲得、「ファミリーコンピュータMagazine」の読者投稿によるゲーム通信簿での評価は以下の通りとなっており、21.75点(満25点)を獲得[4]し、任天堂初のアドベンチャーゲームにして名作の評価を得た [2][6]。また、この得点はディスクシステムの全ゲームの中で最も高い得点となった。
項目 キャラクタ 音楽 お買得度 操作性 熱中度 オリジナリティ 総合
得点 4.49 4.34 - 4.14 4.40 4.38 21.75
  • 「ファミリーコンピュータMagazine」1991年5月24日号特別付録の「ファミコンディスクカード オールカタログ」巻末に収録されている「ディスクカード部門別BEST5」では、キャラクタ3位、音楽2位、操作性4位、熱中度2位、オリジナリティ1位、総合評価1位を獲得している[5]

参考文献

  1. 徳間書店編 『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島 前編 取扱説明書』 任天堂、1987年9月15日初版。
  2. 徳間書店編 『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島 後編 取扱説明書』 任天堂、1987年9月30日初版。

脚注

  1. ^ ゲームボーイアドバンス版のパッケージに記載されたジャンル表記による。
  2. ^ a b 『ディスクライター書き換えゲーム全カタログ』 ファミリーコンピュータMagazine第5巻第12号付録、徳間書店、1989年。
  3. ^ 任天堂ディスクシステムの名作アドベンチャー『新・鬼ヶ島』3DSバーチャルコンソールに追加INSIDE、2013年5月29日
  4. ^ a b 「5月24日号特別付録 ファミコンディスクカード ゲームボーイ スーパーファミコン オールカタログ」『ファミリーコンピュータMagazine』第7巻第10号、徳間書店、1991年5月24日、50 - 51頁。 
  5. ^ a b c d e f g 「5月24日号特別付録 ファミコンディスクカード ゲームボーイ スーパーファミコン オールカタログ」『ファミリーコンピュータMagazine』第7巻第10号、徳間書店、1991年5月24日、258頁。 
  6. ^ ファミリーコンピュータMagazineのゲーム通信簿は6要素5点満点・合計30点満点だが、ディスクシステム用書き換えソフトのお買い得度は別冊付録のカタログや大技林へ掲載されなかったため、25点満点となる。

関連項目

外部リンク