水陸機動団

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水陸機動団
US Marine Corps photo 180407-M-OP674-046 BLT 1/1 Marines work alongside JGSDF during Japanese Amphibious Rapid Deployment Brigade’s unit-activation ceremony.jpg
水陸機動団発足式(2018年4月7日)
創設 2018年平成30年)3月27日
所属政体 日本の旗 日本
所属組織 Flag of the Japan Self-Defense Forces.svg 陸上自衛隊
部隊編制単位
所在地 長崎県 佐世保市
編成地 相浦
上級単位 陸上総隊
担当地域 日本全国
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水陸機動団(すいりくきどうだん、英称:Amphibious Rapid Deployment Brigade[1])、略称:水機団[2](すいきだん)は、2013年(平成25年)に策定された平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について(25大綱)に基づき、2018年(平成30年)3月27日に創設、日本の陸上自衛隊に新編された部隊。

陸上総隊直轄の部隊で、団本部は長崎県佐世保市相浦駐屯地に設置される。

島嶼部の奪還など水陸両用作戦を強く意識した部隊であり、報道では「日本版海兵隊」とも称される[3][4]

概要[編集]

島嶼への上陸訓練を行う西部方面普通科連隊の隊員。
LCACによる上陸訓練を行う第6師団の隊員。

21世紀初頭、中華人民共和国(以後は中国と表記)は増大する国力に合わせるように、その軍事力を国外へ膨張させてゆく状態にあった。中国は第一列島線に示されるようにその防衛線を周辺国に設定した。これに合わせる様に中国人民解放軍原子力潜水艦航空母艦の整備をはじめとする水上戦闘艦艇などの増勢を推し進め、中国海上治安当局の船艇が尖閣諸島周辺の領海に侵入を繰り返すようになった。また、それまで台湾への侵攻を主目的とした上陸訓練であったが、新たな内容に日本の尖閣諸島もその対象となった[5]

この脅威に対応すべく新たに策定された25大綱にて水陸機動団の新編が明示され、手始めに水陸両用準備隊を編成し、水陸両用車をはじめとする各種検証を通じて戦力化に必要なノウハウの取得にあたり早期戦力化を推進する。これに先立ち、アメリカ海兵隊との合同演習「アイアンフィスト」および三自衛隊が参加した統合演習「ドーンブリッツ」への派米訓練が行われている[6]

2014年(平成26年)の環太平洋合同演習では陸上自衛隊が初参加し、多国間演習とは別にアメリカ海兵隊と2国間で水陸両用戦の訓練を実施した[7]。日本国内でも、相馬原演習場(群馬県)などに米海兵隊を招いて共同訓練や、陸自隊員を在沖縄米海兵隊に派遣しての研修を実施している[8]

また、第1空挺団同様、部隊章が設定されており、隊員は制服の右肩に部隊章を着用する[9]

編成計画[編集]

新たに編成される水陸機動団は西部方面隊直轄部隊である西部方面普通科連隊を基盤に、3個連隊を基幹に編成され、約3,000人規模の部隊となる予定である。この3個連隊の内、主戦力となる第1連隊は西部方面普通科連隊を発展的に改組し団本部と共に佐世保市(相浦駐屯地及び海上自衛隊佐世保地方隊崎辺地区[10])に拠点を置くとされ、第2および第3連隊はそれぞれ700人から900人規模の部隊となる予定[11]。各連隊の編成は本部中隊、AAV中隊、ヘリボーン中隊およびボート中隊(強襲戦闘偵察用ボートを装備)からなるとされる[12]

水陸機動団の活動用地確保のため、相浦駐屯地に所在する西部方面混成団は平成29年度末(2017年度末)をもって団本部と第5陸曹教育隊を久留米駐屯地へ移駐する計画であることが発表され(先行処置として第118教育大隊を平成29年3月26日付で久留米駐屯地に移駐)[13]、2018年(平成30年)3月26日をもって混成団本部と第5陸曹教育隊は移駐完了した[14]。平成29年(2017年)3月27日には、水陸機動団に配属される隊員の教育部隊が駐屯地内で発足した[15]。このほかに、諸部隊の駐屯地として、大分県の玖珠駐屯地湯布院駐屯地が挙がっている[16]

水陸両用車を装備した新部隊は南西諸島が侵攻された際、戦闘地域から数キロメートル離れた海域から上陸部隊を進発、戦闘部隊を揚陸させ島嶼部の確保を図る[11]。また住田和明陸幕防衛部長(当時)は、3カ所の事態に対して同時3個の初動部隊を投入できるようにする、と説明している。

以下は2015年の平成27年版防衛白書「図表II-2-3-1」より抜粋した水陸機動団の編成[17]および、長崎新聞に掲載された編成表[18]を示す。ヘリボーンについては陸上自衛隊航空科部隊が支援を行う。西部方面隊直轄部隊及び4師団8師団の隷下部隊を基幹として設立し、当初は1個水陸機動連隊を欠いた定員約2,100人の編成だが、将来的には3,000人規模まで拡大・充足させる予定である[19]。 水陸機動団の設立準備に備え、第4戦車大隊水陸両用車(AAV7)が訓練用として1両先行配備されたほか、西部方面特科隊第112特科大隊などでは現行装備から120mm迫撃砲への転換訓練を行っていた[20][21]。また、西部方面普通科連隊では、他編成部隊の隊員向けへの転換教育や資格取得を支援していた。

編成[編集]

水陸機動団の普通科特科施設科通信科等の職種

以下の編成一覧で、特記ない場合は相浦駐屯地駐屯。なお、崎辺分屯地の建設の遅れに伴い、戦闘上陸大隊(第2中隊除く)は相浦に暫定配備。[22]

主要幹部[編集]

水陸機動団の主要幹部
中央が団長、団長旗の前に整列しているのが団本部幕僚(各科長)
官職名 階級 氏名 補職発令日 前職
水陸機動団長
兼 相浦駐屯地司令
陸将補 青木伸一 2018年03月27日 西部方面総監部幕僚副長
副団長 1等陸佐 小野田宏樹 2018年03月27日 水陸機動準備隊長
高級幕僚 1等陸佐 上薗誠司 2018年03月27日 西部方面総監部総務部地域連絡調整課長
歴代の水陸機動団長
(陸将補)
氏名 在職期間 出身校・期 前職 後職
01 青木伸一 2018年03月27日 - 防大32期 西部方面総監部幕僚副長

主要装備品[編集]

水陸機動団に配備されている水陸両用車(AAV7)
上陸訓練を行う西普連の隊員(2015年)。手にしている89式小銃にはピカティニー・レールが追加されスコープなどが装着されている。また、水が抜けるようにズボンの裾を靴に入れていないことが分かる。

26中期防において水陸機動団に配備する水陸両用車52両の調達が計画された。これに先立ち2013年度、平成25年度防衛予算において性能確認や運用検証等を実施するための参考品としてAAVP7A1 RAM/RS(人員輸送型)4両が調達され、2014年(平成26年)2月20日に横浜港に到着した[24][11]。平成26年度防衛予算でも参考品としてAAVC7A1 RAM/RS(指揮通信型)とAAVR7A1 RAM/RS(回収型)が1両ずつ調達された。2014年(平成26年)12月2日、防衛省は翌2015年度、平成27年度概算要求に計上した陸上自衛隊の水陸両用車の車種をAAV7A1 RAM/RSに決定した[25]。最終的に水陸両用車(AAV7)は人員輸送型46両、指揮通信型6両、回収型6両の計58両が調達され、参考品扱いだった車両も含め水陸機動団に集中配備された。

また、特科の火器については、輸送性等の都合から第1空挺団空挺特科大隊同様、120mm迫撃砲RTを装備する。

おおすみ型輸送艦に対し水陸両用戦機能を強化すべく大規模な改修も進め、いずも型ヘリコプター護衛艦の司令部機能を強化する。他にも、最新鋭の強襲揚陸艦を導入することも検討されている[26]

これ以外に駐屯地施設として水陸機動団の有力候補駐屯地である相浦駐屯地には、不時着水したヘリコプターから緊急脱出するための訓練施設と水路潜入用の訓練施設の整備が認められる。両施設は2年から3年かけて整備される予定[27]

制服は2018年(平成30年)3月27日から導入される『16式常装』が優先して配布される予定[28]

水陸機動団創設を支援するためアメリカ海兵隊から派遣されていたグラント・ニューシャム元大佐によれば、「自衛隊は既に水陸両用戦に必要なハードウェアの8割を保有しており、ソフトウェアについては必要なノウハウの20の内、米国から5つ程度が提供されており、これを発展させるべく系統的な教育努力が必要であるとされ[29]、南西諸島の本格的な防衛にはさらに海軍力・空軍力とを連携する必要があり、強襲揚陸艦や垂直離着陸が可能な戦闘機も必要である」と指摘された[30]

編成式において初代団長の青木伸一陸将補は、「現時点では能力が完全ではなくさらに訓練が必要である」との認識を示している[30]

脚注[編集]

  1. ^ NATIONAL DEFENSE PROGRAM GUIDELINES for FY 2014 and beyond, P13. {{{1}}} (PDF)
  2. ^ 『平成29年度調達予定品目(中央調達分)』 防衛装備庁、2頁。 オリジナル2018年4月13日時点によるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20180413061358/http://www.mod.go.jp/atla/souhon/supply/jisseki/choutatuyotei_pdf/34_tuden.pdf2018年4月13日閲覧 
  3. ^ 日本版「海兵隊」公開=離島奪還、米軍と訓練-長崎 - 時事通信
  4. ^ 離島奪回訓練を公開…「水陸機動団」に隊旗授与 : 社会 : - 読売新聞
  5. ^ YOMIURI ONLINE 中国軍が尖閣奪取訓練、昨秋に実施…米海軍協会 2014年2月20日
  6. ^ 我が国の防衛と予算 平成26年度概算要求の概要 (2) 島嶼部に対する攻撃への対応 防衛省 {{{1}}} (PDF)
  7. ^ MSN産経ニュース リムパックで陸自、米海兵隊と水陸両用訓練 6~8月、ハワイ沖 離島防衛、中国の前で連携示せ 2014年2月6日
  8. ^ “陸自「水陸機動団」準備着々/創設まであと1年・離党防衛強化へ米海兵隊と訓練”. 産経新聞朝刊. (2017年3月20日). http://www.sankei.com/politics/news/170320/plt1703200003-n1.html 
  9. ^ 部隊章・シンボルマークの紹介”. 陸上自衛隊 水陸機動団. 2018年6月8日閲覧。
  10. ^ 同地区に建設中の崎辺分屯地(仮称)
  11. ^ a b c MSN産経ニュース 「尖閣有事」へ備え 水陸機動団、2千~3千人規模で佐世保に司令部 2014年2月3日
  12. ^ 佐々木 俊也「輸送艦部隊と陸上水陸機動団」、『世界の艦船』2014年4月No.795。
  13. ^ “水陸機動団新設へ 陸自相浦駐屯地に中澤新司令が着任(長崎)”. 産経新聞朝刊. (2017年3月24日). http://www.sankei.com/region/news/170324/rgn1703240025-n1.html 
  14. ^ 防衛省人事発令(2018年3月27付:1佐人事)
  15. ^ “陸自、離島奪還拠点に新部隊 水陸機動団員を教育”. 産経新聞朝刊. (2017年3月27日). http://www.sankei.com/politics/news/170327/plt1703270010-n1.html 
  16. ^ 陸自、水陸機動団の部隊を玖珠、湯布院に配置へ - 大分合同新聞 電子版『GATE』 (大分合同新聞9月24日付朝刊掲載、2016年11月7日閲覧)
  17. ^ 防衛省・自衛隊|平成27年版防衛白書|2 基幹部隊の見直しなど
  18. ^ “陸自水陸機動団新編まで1年 創設以来の大改革”. 長崎新聞朝刊. (2017年4月30日) 
  19. ^ 第193回国会 外交防衛委員会 第6号
  20. ^ 湯布院駐屯地開庁59周年記念式典式辞より
  21. ^ 駐屯地機関紙「湯布院」第29号(pdf) - 陸上自衛隊湯布院駐屯地
  22. ^ 「水陸機動団、両用車部隊を相浦へ 来春、分屯地整備遅れ暫定配備 佐世保 /長崎」 毎日新聞 2017年9月15日 地方版
  23. ^ 水陸機動団の装備”. 陸上自衛隊 水陸機動団. 2018年4月18日閲覧。
  24. ^ NHK NEWS WEB 米の水陸両用車が日本に到着 2014年2月20日
  25. ^ 防衛省・自衛隊:陸上自衛隊の水陸両用車の車種決定について
  26. ^ “「尖閣」中国に自由にさせぬ、日本版「海兵隊」が島を守る…防衛相発言「強襲揚陸艦」が海上輸送力を担保する”. 産経新聞. (2014年7月15日). http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140715/waf14071507000001-n1.htm 2014年8月11日閲覧。 
  27. ^ 長崎新聞社 相浦駐屯地に上陸訓練設備 2014年1月10日
  28. ^ 【外交安保取材】メイド・イン・チャイナで有事対応!? 笑えない陸自の「制服問題」とは…(2/4ページ) - 産経新聞
  29. ^ 「統合および共同海洋作戦についての米国人の考察」グラント・ニューシャム 日本戦略研究フォーラム
  30. ^ a b 「日本版海兵隊」が始動、自衛隊初の上陸作戦部隊 - ロイター通信

関連項目[編集]

外部リンク[編集]