コンテンツにスキップ

中期防衛力整備計画 (2019)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

中期防衛力整備計画(ちゅうきぼうえいりょくせいびけいかく)は、日本国自衛隊の国防計画である。本記事では平成31年度(2019年4月)から令和5年度(2024年3月)までの中期防衛力整備計画(31中期防)について解説する。

なお、本計画は2022年(令和4年)12月16日の閣議決定をもって廃止され、防衛力整備計画 (2023)に引き継がれた[1]

概要

[編集]

26中期防に基づく統合機動防衛力の方向性を深化させつつ、宇宙サイバー電磁波を含むすべての領域における能力を有機的に融合し、平時から有事までの段階における柔軟かつ戦略的な活動の常時継続的な実施を可能とする、「多次元統合防衛力の構築」を目指すとして、2019年(平成31年)度以降に係る防衛計画の大綱(30大綱)とともに2018年(平成30年)12月18日に閣議決定・公開された[2]

5年間の防衛力整備にかかる金額は27兆円程度とされており、過去最大級のものとなっている。

方針

[編集]

加速する少子高齢化と人口の減少、厳しい予算等の現状に適切に対応するため、あらゆる分野において陸海空の統合を推進する。また、主に冷戦期に想定されていた大規模な陸上兵力を動員した着上陸侵攻のような侵略事態への備えについては、最小限の専門的知見や技能の維持・継承に必要な範囲に限り保持する。としている。

陸上自衛隊については、26中期防に引き続き作戦基本部隊の改革を推進する。従来の師団旅団から機動力を向上させた編制に変えた「機動師団(旅団)」の新編(本中期防期間においては1個師団と2個旅団が対象)、戦車については北海道九州に集約するとともに本州の戦車部隊が保有する74式戦車を順次廃止し16式機動戦闘車を保有する「偵察戦闘大隊」に改組する。また、各種の弾道ミサイルに対する脅威に備えるため陸上配備型イージスシステムイージス・アショア)を秋田県と山口県に配備[3]としていたが、安全保障環境により柔軟かつ効果的に対応していくためイージス・システム搭載艦2隻を整備することとされた[4]。南西諸島情勢については石垣島などの防衛空白域に離島対処部隊および地対艦・地対空誘導弾部隊を配備する予定。

海上自衛隊については、1隻のヘリコプター搭載護衛艦と2隻のイージス・システム搭載護衛艦を中心として構成される4個群に加え、多様な任務への対応能力を向上させた新型護衛艦や掃海艦艇から構成される2個群を保持するとともに護衛艦部隊お呼び掃海部隊から構成される水上艦艇部隊を新編する。

航空自衛隊については、防空態勢の充実や効率的な運用を図るため、航空警戒管制部隊の増強(後述を参照)のほか、戦闘機部隊1個飛行隊の新編に向け、必要な措置を講ずる。また、航空総隊隷下に宇宙領域専門部隊1個隊を新編する。

なお、本大綱期間においては、重要性が低下した既存の組織および業務を見直し、宇宙サイバー電磁波といった新たな領域を中心に人員を充当するなどの組織や業務を最適化する取組を推進する

組織改編

[編集]
  • 共通
  1. 共同の部隊として海上輸送部隊1個群を新編
  2. サイバー防衛部隊1個隊を新編
  3. 自衛隊病院の拠点化・高機能化等の推進
  • 陸上自衛隊
  1. 陸上総隊隷下にサイバー部隊および電磁波作戦部隊を新編
  2. 1個師団および2個旅団の機動師(旅)団化(即応機動連隊への改編)
  3. 水陸機動団の強化(1個水陸機動連隊の新編等)
  4. 火砲・戦車の集約・整理(方面直轄特科隊の新編)の推進
  5. 南西諸島への部隊配備、駐屯地開設に向けた各種施策の推進
  6. 島嶼防衛用高速滑空弾部隊の新編に向けた措置の実施
  7. 各方面隊直轄の対戦車ヘリコプター部隊の縮小および配備の見直し
  • 海上自衛隊
  1. 水上艦艇部隊および哨戒艦部隊の新編
  • 航空自衛隊
  1. 宇宙領域専門部隊1個隊の新編
  2. 航空警戒管制態勢の強化(1個警戒航空団の新編および8個警戒群20個警戒隊から28個警戒隊へ改編)[注 1]
  3. 空中給油・輸送部隊1個隊の新編
  4. 高射群編成の見直し(6個群編成から4個群編成へ)

主要装備調達計画

[編集]
陸上自衛隊
装備計画調達量
機動戦闘車134両
装甲車29両
新多用途ヘリコプター34機
輸送ヘリコプター(CH-47JA)3機
地対艦誘導弾3個中隊
中距離地対空誘導弾5個中隊
陸上配備型イージス・システム
(イージス・アショア)
2基
戦車30両
火砲(迫撃砲を除く)40両
海上自衛隊
装備計画調達量
護衛艦10隻
潜水艦5隻
哨戒艦4隻
その他4隻
固定翼哨戒機(P-1)12機
哨戒ヘリコプター(SH-60K/K(能力向上型))13機
艦載型無人機3機
掃海・輸送ヘリコプター(MCH-101)1機
航空自衛隊
装備計画調達量
新早期警戒(管制)機(E-2D)9機
戦闘機(F-35A)[注 2]45機
戦闘機(F-15)能力向上20機
新空中給油・輸送機(KC-46A)4機
輸送機(C-2)5機
地対空誘導弾ペトリオットの能力向上(PAC-3 MSE)16個高射隊
滞空型無人機(グローバルホーク)1機

装備調達実績

[編集]
共同
装備201920202021+補正20222023合計内容
中型級船舶(LSV)---1隻1隻ようこう型
小型級船舶(LCU)---1隻1隻にほんばれ型
陸上自衛隊
装備201920202021+補正20222023合計内容
新小銃-3,283丁3,342丁2,928丁9,553丁20式5.56mm小銃
新拳銃-323丁297丁303丁923丁9mm拳銃SFP9
対人狙撃銃6丁8丁--14丁M24A2対人狙撃銃
迫撃砲6門6門6門12門30門60mm迫撃砲(B)
迫撃砲12門6門11門19門48門120mm迫撃砲 RT
戦車6両12両-6両24両10式戦車
機動戦闘車22両33両22両33両110両16式機動戦闘車
装甲車----AMV XP
火砲7両7両7両7両28両19式装輪自走155mmりゅう弾砲
新多用途ヘリコプター6機-7機+13機-26機UH-2
輸送ヘリコプター-3機--3機CH-47JA
地対艦誘導弾1式1式1個中隊-2式+1個中隊12式地対艦誘導弾
短距離地対空誘導弾1式---1式11式短距離地対空誘導弾
中距離地対空誘導弾1個中隊1個中隊1個中隊1個中隊4個中隊03式中距離地対空誘導弾(改善型)
中距離多目的誘導弾6セット---6セット中距離多目的誘導弾
陸上配備型イージスシステム2基----配備計画中止イージス・アショア
海上自衛隊
装備201920202021+補正20222023合計内容
護衛艦22228隻もがみ型
潜水艦1隻1隻1隻1隻4隻たいげい型
哨戒艦[注 3]----さくら型
掃海艦-1隻-1隻2隻あわじ型
海洋観測艦---1隻1隻あかし型
音響測定艦---1隻1隻ひびき型
油槽船(2隻)[注 4]---(2隻)1号型[8]
固定翼哨戒機-3機3機+3機-9機P-1
哨戒ヘリコプター-7機--7機SH-60K
----SH-60L
艦載型無人機----
救難飛行艇--1機-1機US-2
掃海・輸送ヘリコプター---1機1機MCH-101
航空自衛隊
装備201920202021+補正20222023合計内容
戦闘機6機3機4機8機21機F-35A
-6機2機4機12機F-35B
輸送機2機-1機+1機-4機C-2
新早期警戒(管制)機9機---9機E-2D
新空中給油・輸送機-4機--4機KC-46A
戦闘機能力向上(2機)--(2機)(4機)F-15J
-(2機)(2機)(2機)(6機)F-2
滞空型無人機1機---1機RQ-4B
救難ヘリコプター-3機5機-8機UH-60JⅡ
ペトリオットシステムの改修12式8式--20式地対空誘導弾ペトリオット(PAC-3)

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. 2021年7月1日実施[5]
  2. F-35Aとあるが、注記にて45 機のうち18 機については、短距離離陸・垂直着陸機能を有する戦闘機を整備するとされている。
  3. 2022年度に基本設計、2023年度以降契約、建造[6][7]
  4. 主要な装備品等には含まれないが、中期防本文13ページに記載されている。

出典

[編集]
  1. 防衛力整備計画について”. 防衛省 (2022年12月16日). 2022年1月22日閲覧。
  2. 平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について」及び「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)について防衛省、2018年12月18日
  3. 陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)に関する秋田県及び山口県への説明について”. 防衛省. 2021年7月4日閲覧。
  4. 新たなミサイル防衛システムの整備等及びスタンド・オフ防衛能力の強化について 2020年12月18日閣議決定 (PDF). 2021年7月4日閲覧。
  5. 防衛省組織令等の一部を改正する政令(令和3年政令189号)第2条
  6. “哨戒艦調達に向けた企画提案の公募を実施”. 世界の艦船. (2021年11月24日). オリジナルの2021年12月1日時点におけるアーカイブ。 2021年12月1日閲覧。
  7. 哨戒艦に係る調達の相手方の決定について』(プレスリリース)防衛装備庁、2022年6月30日2022年7月14日閲覧
  8. 防衛省向け油槽船2隻を受注いたしました。(2020.5.21)”. 新来島どっく (2020年5月21日). 2021年3月28日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]