自衛隊の旗

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自衛隊の旗(じえいたいのはた)とは、自衛隊において使用されているのことである。

幕僚長旗や指揮官旗[1]の場合、星が概ね相当階級を示しており[2]、桜星4つが幕僚長たる将[3]を、桜星3つがを、桜星2つが将補クラスを、そして、海上自衛隊に於いては、桜星1つが代将たる一等海佐を、それぞれ表している[4]

三自衛隊共通の旗[編集]

内閣総理大臣旗及び防衛大臣旗[5]には、桜星5つが用いられている。防衛副大臣旗には桜星4つが用いられている。

共同の部隊旗等[編集]

共同の部隊等については、別途、旗が定められている。2007年(平成19年)の自衛隊法改正により、新たに「共同の部隊」が設けられたことに伴い、制定された。

「共同の部隊旗」は、地色は赤紫色、桜花の後部に旭光を配した図の中心の色は黄色、桜花の色は白色、旭光の色は銀色及び横線の色は赤色とし、桜の図及び横線は、黒色で縁取りしたものである。

「共同の部隊隷下部隊旗」には「(甲)」と「(乙)」とがある。「共同の部隊隷下部隊旗(甲)」は「共同の部隊旗」と比べて若干サイズを小さくしたものとなっている。「共同の部隊隷下部隊旗(乙)」は「共同の部隊隷下部隊旗(甲)」と同サイズであるが、横線の数が2本となっている。

陸上自衛隊の旗[編集]

連隊旗に相当する自衛隊旗は、自衛隊法施行令によってその規格が定められている。 自衛隊旗を除く陸上自衛隊の旗には、「自衛隊の旗に関する訓令」(昭和47年3月14日防衛庁訓令第3号)により、基本的に共通の意匠(桜星を中心に桜葉及び桜蕾を周辺に配したもの。帽章と同一。)が定められている。群旗、大隊旗、中隊旗(甲)及び中隊旗(乙)である。

原則として自衛隊の中隊以上の部隊に備え付けられており、地方協力本部補給処・学校等の機関には備え付けられていない(陸上自衛隊幹部候補生学校及び陸上自衛隊高等工科学校は隷下に学生隊・生徒隊を有する関係から学校旗として備え付けられている)。これらは、いずれも陸上自衛隊の帽章の図及び横線によって構成されている。これらの隊旗は部隊を表す旗であることには違いなく、隊員同士の結束を固める旗である。もっとも、実戦での効用はなく、また連隊本部の所在を示すことになりかねないので有事の際や日常で使用されることは殆どなく、使用されるのは式典においてのみのことが多い。

地色は、指揮官旗の場合は白色、隊旗の場合は原則として当該職種の隊種標識色となる。空挺部隊の場合は、職種の別なく、白地に浅黄色の横線の隊旗が用いられる。また、横線の数(中隊旗は線の太さ)により部隊の規模を表している。

  • 若しくは指揮官の階級が1佐職[7]に指定されている部隊旗「群旗」…横線3本(方面特科・戦車・施設隊・方面総監部・師団(旅団)司令部所在駐屯地業務隊混成団本部等が該当)
  • 大隊や2佐職の自衛官が指揮する部隊若しくは後方支援連隊補給隊・衛生隊、隷下に1 - 2個中隊程度を保有する大隊以外の「隊」・隷下に中隊を持たず小隊編成を隷下に持ち、2佐が指揮する「隊」編成の部隊等「大隊旗」…横線2本(2佐が指揮官の中規模の駐屯地業務隊も該当)。
  • 3佐相当の自衛官が指揮する普通科・特科・戦車等の中隊等[8]、後方支援連隊整備大隊直接支援中隊(隊)、(中隊に準ずる隊編成の部隊含む)及び総監部・師団(旅団)司令部付隊旗「中隊旗(甲)」…横線1本(巾は少々太め)
  • 連隊・群等の大隊若しくはそれに準ずる部隊の隷下中隊[9]、整備大隊本部付隊、衛生隊治療中隊、師団旅団音楽隊等1尉若しくは2尉の階級を持つ自衛官が指揮する部隊「中隊旗(乙)」…横線1本(巾は少々細い)
  • 補給処支処や連隊等の教育隊旗(陸教の区隊旗含む)・中隊隷下の派遣部隊旗に関しては規定が存在しないため各部隊でデザインや意匠・サイズ等が選定され作成されている。当該部隊が所属する駐屯地域や部隊等の特性を示すものを意匠として旗に組み込まれており、また当該部隊長が1佐を示すように横3本線を組み込むなどした例もある。


指揮官旗と部隊旗の違い[編集]

  1. 連隊旗含む部隊旗と違い部隊でなく指揮官に授与されており、離着任式の際含む指揮官の移動時には必ず同行する[16]
  2. 司令部にて旗手が予め指定されている[17]
  3. 指揮官旗の序列は桜星の数がそのまま階級を示し、階級章たる桜星の数が同一の場合は横線で上級者である事が示されている
  4. 部隊縮小や廃止時は指揮官旗も返還行事が廃止式とは別に別途行われる事もあり、その場合は上級指揮官たる方面総監へ指揮官の離任申告と指揮官旗の返還が行われ、このうち指揮官旗はそのまま広報館や司令部内の記念室等に飾られる傾向がある

隊旗標識色[編集]

隊旗の職種標識色[18]
職種 地色 意匠の色 横線の色 色調
普通科

濃黄

機甲科

だいだい

濃黄

特科

濃黄

だいだい

情報科

濃黄

航空科

あさぎ

濃黄

施設科

えび茶

濃黄

通信科

濃黄

武器科

濃黄

需品科

濃黄

輸送科

濃黄

化学科

金茶

濃黄

警務科

銀ねずみ

濃黄

会計科

銀茶

濃黄

衛生科

濃緑

濃黄

音楽科

濃黄

紺青

空挺

濃黄

あさぎ

後方支援

濃黄

その他

濃黄

  • 音楽科・警務科・情報科の旗の色は2010年4月に変更・追加(それ以前の旗地は白色)。

海上自衛隊の旗[編集]

自衛艦旗は、陸上自衛隊の自衛隊旗と同じく自衛隊法施行令によって定められている。 海上自衛隊の「指揮官旗」としては、海将旗、海将補旗、代将旗、隊司令旗(甲)、隊司令旗(乙)及び長旗がある。陸空と異なり、階級に着目した旗章(海将旗・海将補旗・長旗)が存在している。

海将旗・海将補旗 
掃海隊群司令、護衛隊群司令又は練習艦隊司令官たる海将又は海将補の乗り組んでいる自衛艦にその階級に従い、これを掲揚する。
自衛艦隊司令官護衛艦隊司令官、航空集団司令官、潜水艦隊司令官、地方総監教育航空集団司令官、海上訓練指導隊群司令、航空群司令、潜水隊群司令、情報業務群司令、開発隊群司令、 教育航空群司令、通信隊群司令又は海洋業務・対潜支援群司令が海将又は海将補であるときは、 当該司令部又は当該地方総監部に、その階級に従い海将旗又は海将補旗を掲揚する。
海将又は海将補が、演習統裁、検閲、巡視又は観艦式における観閲のため自衛艦等に乗艦する場合やその指揮下にある自衛艦等に乗艦して部隊の指揮をとる場合においては、乗艦から退艦までの間、当該自衛艦等にその階級に従い海将旗又は海将補旗を掲揚し、当該司令部又は地方総監部の当該旗章を降下する。
代将旗 
掃海隊群司令、護衛隊群司令又は練習艦隊司令官たる1等海佐の乗り組んでいる自衛艦及び海上訓練指導隊群司令、航空群司令、潜水隊群司令、情報業務群司令、開発隊群司令、教育航空群司令、通信隊群司令又は海洋業務・対潜支援群司令が1等海佐であるときは当該司令部に掲揚するものとする。
航空群司令、潜水隊群司令又は海洋業務・対潜支援群司令たる1等海佐が、部隊の指揮をとるため又は検閲若しくは巡視のため、その指揮下にある自衛艦等に乗艦する場合においては、乗艦から退艦までの間、その自衛艦等に代将旗を掲揚し、その場合は当該司令部の当該旗章を降下する。
隊司令旗(甲) 
護衛隊司令、潜水隊司令、練習潜水隊司令、掃海隊司令、ミサイル艇隊司令、輸送隊司令又は練習隊司令(以下、「隊司令」という。)のうち、編成上1等海佐をもつて充てることとされている隊司令の乗り組んでいる自衛艦及び基地隊司令、警備隊司令又は防備隊司令が、自衛艦等に乗艦して部隊の指揮をとる場合又は検閲若しくは巡視のため、その指揮下にある自衛艦等に乗艦する場合においては、乗艦から退艦までの間、その自衛艦等に隊司令旗(甲)を掲揚する。
隊司令旗(乙) 
編成上2等海佐以下をもって充てることとされている隊司令の乗り組んでいる自衛艦に掲揚する。

自衛艦旗は航海中はメインマストに掲揚され、これが戦闘旗にあたる。

航空自衛隊の旗[編集]

航空自衛隊旗は1972年に制定された。星、月、雲、太陽と鷲を組み合わせて1954年に作られた帽章を元にしている[19]。航空自衛隊旗は自衛隊旗や自衛艦旗とは異なり、自衛隊の旗に関する訓令によって定められている。

旗の取扱い[編集]

内閣総理大臣旗等の位置[編集]

内閣総理大臣旗等[21]を使用する場合の位置は、内閣総理大臣等[22]が、停止している間は、内閣総理大臣等の側方又は後方の適宜の場所とし、行進している間においては、先導者のあるときは、内閣総理大臣等の前方で、かつ先導者の直後とし、先導者のないときは、内閣総理大臣等の後方の適宜の場所とするのを例とする[23]

弔旗[編集]

旗を使用する場合(半旗とする場合を除く。)において、葬送式を行なうときその他旗を備え付ける部局又は機関の長(内部部局にあつては官房長)が弔意を表わす必要があると認めるときには(弔旗)、旗のかん頭を黒布でおおい、その下に幅10センチメートルで旗の横の長さに等しい長さの2条の黒布を結び付けるものとする[24]

旗の敬礼の方法[編集]

旗の敬礼。

旗の敬礼は、隊が姿勢を正す敬礼を行なう場合は、姿勢を正してそのまま捧持し、その他の敬礼を行なう場合は、右手で旗ざおを垂直に上げ同時に左手で右わきのところで旗ざおを握り、次に旗ざおを水平に前方に倒して行なう。ただし、捧持用バンドを使用して捧持している旗は、右手をのばし旗ざおを水平に前方に倒して行なう[25][26]

この他に艦船においては、すべての船舶共通の国際儀礼として行う敬礼及び答礼をする場合がある(敬礼する対象船舶の近傍に差し掛かった際に、自船の国旗を半下し、受ける側の船舶は同じく半下することで答礼とする。護衛艦がフェリーなどに航路を譲るなどした際に行われることがあるものの、日本においては風習として廃れつつある。)。

脚注[編集]

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  1. ^ 方面総監旗、師団長旗、旅団長旗、団長旗、海将旗、海将補旗、代将旗、隊司令旗(甲)、隊司令旗(乙)、長旗、先任旗、航空総隊司令官旗、航空方面隊司令官旗、航空混成団司令旗、航空支援集団司令官旗、航空教育集団司令官旗、航空開発実験集団司令官旗、航空団司令旗、第83航空隊司令旗、航空警戒管制団司令旗、航空救難団司令旗、飛行開発実験団司令旗、航空医学実験隊司令旗及び航空安全管理隊司令旗。
  2. ^ 1999年の第13旅団が編成されるまでは、桜星は階級では無く部隊規模を示していた。例としては、桜星3個が方面総監・2個が師団・1個が団及び将補が指定階級の部隊長等となっていた
  3. ^ 統合幕僚長陸上幕僚長海上幕僚長航空幕僚長
  4. ^ 但し、かつては桜星1個の団旗も存在していた。北恵庭駐屯地資料館に帽章に桜星1個の戦車団旗として現存、詳細は東長崎機関を参照
  5. ^ かつては防衛庁長官旗。
  6. ^ 天皇旗については、自衛隊の旗に関する訓令等には規定はないが、海上自衛隊旗章規則第2条第2項などに規定がある。
  7. ^ (一)から(三)まで全ての1佐がこれに指定されており、まれに2佐が指揮する部隊の隊旗も含まれるがこの場合は規定上指揮官の階級が1佐(三)が指定職となっている
  8. ^ 但し一部の旅団・施設群隷下の施設中隊においては駐屯地司令職を兼ねる関係で2佐が中隊長の職にある場合もあるが、中隊旗(甲)が授与されている他、かつて第2混成団の施設隊は編成上2佐が指定職の隊編成であったが部隊旗は中隊に準ずる隊編成という関係から中隊旗が授与されていた
  9. ^ 師団特科連隊・方面特科群の射撃中隊等
  10. ^ 1990年代までは横線が存在せず桜星3個であった。
  11. ^ 1990年代までは桜星2個であった。
  12. ^ 1999年第13師団が旅団改編に伴って策定された。従来の団長旗よりも上級者である証として横線が組み込まれている。
  13. ^ 中央業務支援隊等、陸将補が部隊長の場合の隊旗としても使用される。部隊旗と違い指揮官旗であるので離着任式の際は式の部隊指揮官でなく離着任する当該部隊長に随伴する。また、かつて東京や札幌といったオリンピック開催年に方面隊直轄として臨時編制された「オリンピック支援団」に対しては、桜星2個とオリンピックの五輪を意匠とする旗が団長旗として使用されていた。1964年東京オリンピック支援団長旗は朝霞駐屯地自衛隊広報センター2階に現存、また札幌オリンピック支援団旗に関しては「北部方面隊のあゆみ」に写真が掲載されている。かつて陸将が部隊長であった部隊においても師団長旗が使われる事無く、団長旗が使われていた時代もあった模様(いくつかそれらしき写真が現存)。またかつては師団長旗として使用されていた(1990年代まで)団長旗は桜星1個とされていた。また教育団及び方面混成団に関しては、1佐が指揮官のため指揮官旗でなく群旗が授与されている
  14. ^ 予備自衛官補標旗の取扱いについて(通達) (PDF)
  15. ^ 予備自衛官標旗の取扱いについて(通達) (PDF)
  16. ^ 部隊旗は指揮官の離着任式には部隊側に随行しているが、指揮官旗は常に指揮官を随行する
  17. ^ 司令部所在駐屯地外に視察に行く場合は、視察先駐屯地に所在する隷下部隊から旗手が差し出される例が多い
  18. ^ 自衛隊の旗に関する訓令
  19. ^ 桜星の数はかつての陸上自衛隊と同様、階級ではなく部隊規模を示していた。
  20. ^ 航空開発実験団が航空開発実験集団に改編後も、自衛隊の旗に関する訓令の別表第6では、「航空開発実験団司令官」とされている。
  21. ^ 本章では以下、内閣総理大臣旗、防衛大臣旗並びに防衛副大臣旗又は幕僚長旗並びに指揮官旗をいう。
  22. ^ 本章では以下、内閣総理大臣、防衛大臣並びに防衛副大臣又は幕僚長並びに指揮官旗が定められている指揮官をいう。
  23. ^ 自衛隊の旗に関する訓令10条1項、12条1項。
  24. ^ 自衛隊の旗に関する訓令19条。
  25. ^ 自衛隊の礼式に関する訓令第51条
  26. ^ 例としては頭中の敬礼は「頭(かしら)」の号令で旗を垂直に揚げ、「中(右・左)」の号令で前方に倒す。捧げ銃の敬礼は「捧げ」の号令で上方に掲げるのは同じであるが、「銃(つつ)」の号令後は(1,2,3)と心の中で数えて「3」と同時に前方に倒す。また部隊旗等において棒持用バンド装着は原則として連隊旗の保持に使われ、指揮官旗に使われる場合は式典等で指揮官に随行する場合等に限られており、当該師団長等の指揮官が部隊指揮官となり式典の場において部隊を指揮する場合は棒持バンドは使われず旗手はそのまま携行する例が多い

関連項目[編集]

外部リンク[編集]