AAV7

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AAV7
US Navy 090629-N-5207L-232 Amphibious assault vehicles transport U.S. Marines and Malaysian Army soldiers from the 9th Royal Malay Regiment along Resang Beach.jpg
AAVP7A1 RAM/RS
基礎データ
全長 8.161m
全幅 3.269mm
全高 3.315mm
重量 25,652kg
乗員数 3名+兵員25名収容
または貨物4.5t
装甲・武装
装甲 44.45-7.4mm
主武装 12.7mm重機関銃M85×1
40mm自動擲弾銃Mk.19×1 ※A1型改修車
副武装 なし
12.7mm重機関銃M2×1 ※A1型改修車
機動力
速度 72.42km/h(地上整地時)
13km/h(水上航行時)
エンジン デトロイトディーゼル 8V-53T
V型8気筒2ストローク液冷ターボチャージドディーゼル(出力=400hp
またはカミンズ VT400
V型8気筒4ストロークターボチャージド・ディーゼル(出力=525hp)
行動距離 483km(地上整地時)
72km(水上航行時)
3.7kn/2海里(海上発進時)
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AAV7 もしくはAAVP7Assault Amphibious Vehicle,personnel.model7:水陸両用強襲輸送車7型)は、アメリカ合衆国で開発された水陸両用車としての能力を有する装甲兵員輸送車である。

公式の愛称はないが、アメリカ海兵隊では水陸両用装甲車に用いる伝統的な名称であるアムトラック(Amtrak)の愛称で呼ばれている[1]


概要[編集]

浮航状態

地上だけでなく、水上を浮上航行する能力を持つ水陸両用装軌車両で、水上での推進力は主にウォータージェット推進を利用するが、履帯の回転だけでも7.2km/hの推進力を有する。

元はLVTP7の名称でアメリカ海兵隊における上陸強襲作戦用に開発されたが、実戦投入された湾岸戦争イラク戦争では、陸上にて通常の装甲兵員輸送車歩兵戦闘車として使用されることが多く、対戦車ミサイル対策として増加装甲キットが開発されて装備されている。

他の水陸両用戦闘車両との比較
AAV7 アメリカ合衆国の旗 BMP-3F ロシアの旗 ZBD-05 中華人民共和国の旗 EFV アメリカ合衆国の旗 BvS 10 イギリスの旗
画像 USMarines AAV Iraq apr 2004 116 hires.jpg BMP-3 0027 copy.jpg ZBD-05 amphibious IFV in Beijing.jpg USMC-05539.jpg BvS10.jpg
全長 8.16m 7.14m 5.18m 9.27m 7.6m
全幅 3.26m 3.23m 2.74m 3.63m 2.34m
全高 3.31m 2.30m 3.04m 3.31m 2.2m(前方車両)
2.1m(後方車両)
重量 25.6t 23.0t 26.0t 28.7t 5.0t(前)
3.5t(後)
最高速度 72km/h 70km/h 65km/h 72km/h 65km/h
水上最高速度 13km/h 10km/h 20-30km/h 46km/h 5km/h
乗員数 3+25名 3+7-9名 3+8名 3+17名 1+4名(前)
8名(後)
武装 40mm自動擲弾銃Mk.19×1
12.7mm重機関銃M2×1
7.62mm機関銃PKT×3
30mm機関砲2A72×1
100mm低圧砲2A70×1
9M117対戦車ミサイル(砲発射式)
30mm機関砲×1
紅箭73C対戦車ミサイル発射機×2
7.62mm機関銃×1
30mm機関砲Mk.44×1
7.62mm機関銃M240×1
12.7mm重機関銃M2×1
備考 BMP-3の海軍歩兵仕様 突撃砲自走榴弾砲などの
派生型が存在
2011年開発中止 Bv.206海兵隊仕様
2両連結式

開発の経緯[編集]

1964年アメリカ海兵隊は新型水陸両用強襲車両の開発を各メーカーに要請、FNC社の案が採用された。1966年-1969年にかけて研究開発、試作が行われ、LVTP5(LVT5)を発展させたLVTP7(Landing Vehicle, Tracked, Personnel, model 7)が1970年6月に採用された。1971年より配備が始まり、1974年には発注されたLVTP7の生産が完了した。

LVTP7は、地上で72km/h、水上で13km/hの速度を出し、海兵隊員25名を収容できた。当時の武装は、M85機関銃1丁を装備した銃塔のみで、NBCに対する防護措置もとられていなかった。

1970年代後半、海兵隊は新型水陸両用強襲車両の取得計画を中止し、1977年にLVTP7を改修した車両を開発するようFNC社に求めた。14輌の試作車両が製作され、重量増加に対応したサスペンションの強化により車高を短縮、発電機電子機器の更新、銃塔へ発煙弾発射機を装備、各乗員用の暗視装置パッシブ式に変更されるなどの改修がなされた。海兵隊ではこの車両をLVTP7A1として採用すると共に、生産をA1型に切り替えて続行することを決定した。

1985年には制式名を「LVTP7A1」からAAV7A1(Assault Amphibian Vehicle,personnel, model7 Advanced1)に変更した。

M2重機関銃とMk.19 グレネードランチャーを装備した新型銃塔(UGWS)

海兵隊では1980年代後期に入り、12.7mm重機関銃(M85に替えてM2重機関銃を装備)、Mk19 自動擲弾銃および発煙弾発射機を装備したキャデラック・ゲージ製新型銃塔(UGWS 、Up-Gunned Weapon Stationの略)に換装し、車体前面に折畳式の波切板を装備、耐弾能力を7.62mmレベルから14.5mmレベルへ引き上げる強化型増着装甲キット(EAAK 、Enhanced Applique Armor Kitsの略)の装着を可能にする改修を行っている。湾岸戦争時点では、EAAKの追加装備が間に合っておらず、一部の車両はパンチングメタル状の金属板をスペーサーを介して車体に取り付けて、即席の中空増加装甲として運用していた。その後、エンジンM2ブラッドレー歩兵戦闘車が使用している強力なカミンズ V903水冷ディーゼルエンジン(525馬力)へ換装し、サスペンション・ホイールなどもM2 ブラッドレーと共通化する二次改修(RAM/RS、Reliability, Availability, Maintainability/Rebuild to Standard の略)が1998年に承認され、順次実行されている。2003年イラク戦争時には、RAM/RS改修済みの車両と未改修の車両が混在していた。

バリエーションとして、指揮車両型AAVC7回収車両AAVR7がある。1970年代にはLVTP7をベースにXM723が試作され、M2 ブラッドレーに発展している。

画像[編集]

各型及び派生型[編集]

LVTX12
計画および開発時の総称。
LVTPX12
兵員輸送型の試作車名称。銃塔に12.7mm重機関銃ではなく20mm機関砲を装備している。
LVTCX2
指揮車両型の試作車名称。量産車とは異なり、兵員輸送型と同じ銃塔を装備している。
LVTRX2
回収車型の試作車名称。
LVTP7(AAV7)
兵員輸送型の量産型。
LVTP7A1(AAVP7A1)
近代化改修を施した兵員輸送型(改修内容は本文参照)。LVTP7からの改修車両に加え、生産当初から改修点を盛り込んだ新造車両がある。1985年に命名規則の変更からAAV7A1と改称される。改修により、銃塔は全てUGWSに換装された。
AAVP7A1 EAAK
兵員輸送型のAAVP7A1に増加装甲キット(EAAK)を装着したタイプ。
AAVP7A1 RAM/RS
兵員輸送型のAAVP7A1に第二次改修(RAM/RS)を実施したタイプ。
AAVP7A1 RAM/RS EAAK
兵員輸送型のAAVP7A1に第二次改修(RAM/RS)を実施し、増加装甲キット(EAAK)を装着したタイプ。
LVTC7(AAVC7)
指揮車両型。銃塔は装備されず、通常のハッチになっている。1985年に命名規則の変更からAAVC7と改称される。
LVTC7A1(AAVC7A1)
LVTP7A1に準じた近代化改修を施した指揮車両型。LVTC7からの改修車両に加え、生産当初から改修点を盛り込んだ新造車両がある。
AAVC7A1 EAAK
指揮車両型のAAVC7A1に増加装甲キット(EAAK)を装着したタイプ。
AAVC7A1 RAM/RS
指揮車両型のAAVC7A1に第二次改修(RAM/RS)を実施したタイプ。
AAVC7A1 RAM/RS EAAK
指揮車両型のAAVC7A1に第二次改修(RAM/RS)を実施し、増加装甲キット(EAAK)を装着したタイプ。
LVTR7(AAVR7)
ブーム式クレーンウインチを装備した回収車型。銃塔は装備されず、通常のハッチになっている。1985年に命名規則の変更からAAVR7と改称される。
LVTR7A1(AAVR7A1)
LVTP7A1に準じた近代化改修を施した回収車型。LVTR7からの改修車両に加え、生産当初から改修点を盛り込んだ新造車両がある。
AAVR7A1 RAM/RS
回収車型のAAVR7A1に第二次改修(RAM/RS)を実施したタイプ(なお、回収車型のAAVR7A1にEAAKを装着する改修は、2015年時点まで実施された例は無い)。
LVTE7
車体前面にドーザープレート、兵員室地雷原突破用の爆索投射装置を装備した戦闘工兵車型。計画時の名称はLVTE2。試作車のみで量産はなされなかった。
LVTP7A1(MCSK)
不採用に終わった戦闘工兵車型、LVTE7の代用として、兵員輸送車型の兵員室部分にMCSK(Mine Clearance System Kits:追加型地雷除去装置)を搭載した地雷原除去車。
LVTEX3
LVTE7の試作車を転用し、主砲を105mm低反動砲に換装したM551シェリダン空挺戦車の砲塔を搭載した火力支援車型の試作車両。制式採用はなされず、1両のみが製作されたに留まった。
LVTH7
火力支援車型。計画のみ。
LVTP7 MTU
1975年アメリカ陸軍の計画した対空レーザー兵器(GAAHEL:Ground-based AntiAircraft High Energy Laser:地上設置対航空機高エネルギーレーザー)のテストベッド車両(MTU:Mobile Test Unit)に改造されたもの。海兵隊より陸軍に譲渡された車両が改造されて、各種の実験に用いられた。

運用国[編集]

離島防衛強化のため、陸上自衛隊内に新設される水陸機動団に「AAV7A1 RAM/RS」が配備される予定。
参考品として平成25年度防衛予算で「AAVP7A1 RAM/RS」(人員輸送車型)4両を25億円で調達。この参考品については、新古品でありメーカーが保管していた車両を陸自向け仕様にしたもの[2]。陸自独自の仕様として航海灯(戦闘時は外す)とサイレンを装備。オプションとしてサイドミラー付き方向指示器も用意されている。EAAKを装備した車両も存在。
参考品として平成26年度防衛予算で「AAVC7A1 RAM/RS」(指揮車型)1両と、「AAVR7A1 RAM/RS」(回収車型)1両の計2両を17億円で調達。
平成27年度防衛予算で「AAV7A1 RAM/RS」30両を203億円で調達[3]。1両あたり6.7億円。

後継車両[編集]

2015年を目処に後継車両となる予定だったEFV(Expeditionary Fighting Vehicle)は、2011年1月にロバート・ゲーツ国防長官の軍事予算削減の方針により開発中止になったため、AAV7は今後もしばらくの期間は海兵隊の主力水陸両用装甲車として使用される。

EFVに代わる後継車両について、米ジェネラル・ダイナミクス三菱重工業と水陸両用車の共同開発に着手[4]。同じく後継車両の開発を行っているBAEシステムズも三菱重工と協業の模索に入った[5]

登場作品[編集]

映画
ジュラシック・パークIII
AAV7A1がラストシーンに登場。アメリカ海兵隊の協力により、実車とその装備部隊がそのまま登場している。
トランスフォーマー/リベンジ
ディセプティコン特殊部隊NESTを支援するために登場。戦車連隊と海兵連隊とともに紅海から上陸した。
コミック
続・戦国自衛隊
戦国時代タイムスリップしたアメリカ海兵隊の装備として登場。LCACを使った変則的な展開を見せ、水路から大阪城に侵入しようとする。
ゲーム
ARMA 2
プレイヤーが操作可能。
WarRock
日本版に2012年7月31日に追加された。武装Mk.19 グレネードランチャーM2重機関銃
エースコンバットX2 ジョイントアサルト
 陸上自衛隊所属のAAV7が、友軍(護衛対象)としてミッションに登場。突如東京に侵攻を開始した「ヴァラヒア」の強襲上陸部隊を迎撃するべく、PMCの航空部隊と共に房総半島展開する。
大戦略シリーズ
バトルフィールドシリーズ
BF3
マルチプレイおよびキャンペーンでプレイヤーが操作可能。
BF4
『3』と違い、マルチプレイでのみ使用可能。武装はグレネードランチャー重機関銃

脚注・出典[編集]

  1. ^ 田宮模型が発売した1/35プラモデルキットには「シードラゴン」および「アップガンシードラゴン」の名称がつけられているが、これは、田宮模型が独自に命名した商品名である
  2. ^ 【軍事のツボ】陸上自衛隊がAAV7の内部を“公開” - 芸能社会 - SANSPO.COM(サンスポ)
  3. ^ 防衛省・自衛隊:陸上自衛隊の水陸両用車の車種決定について
  4. ^ “防衛装備を国際共同開発 川重など多用途ヘリに名乗り”. 日本経済新聞. (2014年11月30日). http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS05H1E_Z21C14A1MM8000/ 2015年3月1日閲覧。 
  5. ^ “三菱重工の水陸両用車に米海兵隊が熱視線”. 東洋経済新報社. (2015年6月24日). http://toyokeizai.net/articles/-/74451 2015年6月25日閲覧。 

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]