時をかける少女

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時をかける少女』(ときをかけるしょうじょ)は、筒井康隆ヤングアダルト向けSF小説1967年刊)と、それを原作とする映画・ドラマ・コミック・アニメなどの作品。通称「時かけ[1]」。

概要[編集]

時間を跳躍する不思議な能力を持つことになった少女が、未来から来た青年との出逢いなど、さまざまな経験を重ねていく物語。タイムトラベルもののSFに青春、恋愛、学園ものなどの要素を織り交ぜた、筒井の作品では珍しい、正統派少年少女向け小説である。のちに筒井はライトノベルの盛況を見てライトノベルを書き始めるが、TBSの『オトナの!』に出演した際「ライトノベルを最初に書いたのはおれだよ、『時をかける少女』。40年前だよ」と発言している。

発表から約50年たった現在でも広く親しまれており、1972年のテレビドラマ『タイムトラベラー』を始めとして何度も映像化され、清純派若手女優の登竜門的な作品にもなっている[1]。息の長いコンテンツゆえに「どの『時をかける少女』が原点か」というような世代間の認識のギャップが2重3重に生じている[2]

繰り返し映像化されていることから、筒井はしばしば本作を「金を稼いでくれる孝行娘」と表現している。出演したテレビ番組では、2007年の『BSアニメ夜話』(アニメ映画版を取り上げた回)[3]や、2010年版の制作が公表された後の『ビーバップ!ハイヒール』(朝日放送)で見られた。

ストーリー[編集]

ある日、中学3年生の少女・芳山和子は、同級生の深町一夫や浅倉吾朗と一緒に理科室の掃除を行っていた時に、実験室でラベンダーの香りを嗅いで意識を失う。その3日後、和子の周囲にはいくつかの事件が起こる。深夜に起こった地震により、吾朗の隣の家が火事になる。そして、その翌日に吾朗と共に交通事故に巻き込まれそうになった瞬間、和子は前日の朝に時間を遡行する。もう1度同じ1日を繰り返した和子は、一夫と吾朗にこの奇妙な体験を打ち明ける。最初は信じなかった2人も、和子が地震と火事を予言した事で、和子の話を受け入れる。3人の話を聞いた理科の担任である福島先生は、和子の能力はテレポーテーションタイム・リープと呼ばれるものであることを説明し、事件の真相を知るためには、4日前の理科室に戻らなければならないことを指摘する。

やがて自分の意思でタイム・リープを行えるようになった和子は、4日前の理科実験室で正体不明の訪問者を待ち受ける。そこへ訪れたのは、深町一夫であった。一夫は自分が西暦2660年の未来で暮らしていた未来人であると語り、未来では採取できなくなったラベンダーを得るためにこの時代にやってきたのだと説明する。さらに和子や周囲の人間が持っている一夫の記憶は催眠術によるものであり、実際に和子が一夫と過ごした時間は、1か月程度であることも打ち明ける。しかし、その1か月の間に一夫は和子に好意を抱くようになっていた。タイム・リープのための薬品を完成させた一夫は再び未来へ帰還するが、その直前に、和子の前にいつか再び別の人間として現れることを約束する。

タイム・リープの秘密を守るために和子や他の人々から一夫の記憶は消されてしまうが、和子は心の底に残るいつか再び自分の前に現れると約束した誰かを待ち続けるのだった。

年譜[編集]

派生作品[編集]

小説[編集]

筒井による短編小説。1983年の映画のパロディであり、同年に書かれた。映画を演じる役者の作る虚構の世界と、現実に学校社会で起こる生徒の問題を絡ませ、役者たちの虚構の世界が現実世界に飲み込まれていく様を描く。

映画[編集]

1983年時をかける少女
(旧)角川春樹事務所) 主演:原田知世、監督:大林宣彦
原田知世主演による大ヒット映画。大林監督の代表作「尾道三部作」の一つと数えられる。
主題歌「時をかける少女」(作詞・作曲:松任谷由実)も原田が歌った。
公開時のキャッチコピーは「愛の予感のジュブナイル」であった。
出演:尾美としのり岸部一徳根岸季衣高林陽一上原謙入江たか子高柳良一 岡寛恵
1997年 『時をかける少女』
(新)角川春樹事務所) 主演:中本奈奈、監督:角川春樹
大林版をプロデュースした元角川書店社長の角川春樹が自ら監督として制作。制作に角川書店は一切関わっておらず、大々的な宣伝を打つことも無く公開されたため、知名度が低い。
原田知世がナレーションを担当している。白黒作品。
主題歌「時のカンツォーネ」は、大林版の主題歌「時をかける少女」と同じ歌詞に、松任谷由実が新たにメロディをつけて自ら歌った曲である。
出演:野村宏伸伊武雅刀中村俊介早見優久我美子浜谷真理子榎木孝明渡瀬恒彦山村五美倍賞美津子
2006年時をかける少女』(アニメ映画)
製作:「時をかける少女」製作委員会、配給:角川ヘラルド映画、監督:細田守
大林版実写映画の約20年後、2006年を舞台とした新たな物語。主人公の紺野真琴は、芳山和子の姪の設定である。
原作者の筒井も本作を、「本当の意味での二代目」とコメントしている。
声の出演:仲里依紗石田卓也板倉光隆原沙知絵谷村美月垣内彩未関戸優希
2010年時をかける少女
製作:映画「時をかける少女」製作委員会、監督:谷口正晃
主人公は芳山和子の娘という設定で、アニメ版の主人公の声を務めた仲里依紗が演じる。
出演:仲里依紗中尾明慶安田成美勝村政信石丸幹二青木崇高

テレビドラマ[編集]

ステレオドラマ (ドラマCD[編集]

舞台[編集]

劇団時乃旅人版

大阪の社会人劇団「劇団時乃旅人」が結成三周年記念公演(第六回本公演)として2017年に本作を原作に限りなく忠実に、しかも全編にCGマッピングを駆使した舞台として上演。縦4メートル横10メートルの三枚のパネルが舞台と客席を囲んだ特殊な舞台セットに、開巻から終演まで次々とCG映像が映し出され、タイムリープシーンはまるでアトラクションのような効果を生み出し圧巻の舞台となった。

上演日程
あらすじ

高校三年生の芳山和子は、土曜日の放課後、理科実験室で不思議な臭いのする薬品をかいで気を失ってしまう。気が付くと、教室。そこで和子はクラスメートの敬子が、飛んできた雪玉が窓ガラスを割り怪我をする光景を見て再び気を失う。気が付くと和子は実験室に倒れていた。今見たことは夢だったのか?しかも、その翌々日の月曜日、和子が学校に行くと、敬子が雪玉で怪我をする現実に直面する。その翌日18日の夜、地震が起こり浅倉吾郎の家のそばで火事が起こる。和子はその現場に駆け付けそこで一夫と話をする。さらに翌日19日、和子は吾郎と学校へ行く途中、暴走してきたトラックに危うく引かれそうになり、その時のショックで時間移動してしまう。和子が気が付くと18日の朝だった。学校へ行き、同じ授業を受け、その夜、再び地震と火事を体験する。さらにその翌日、交差点で吾郎と和子はトラックにひかれそうになる。自分が普通と違う人間になったことに不安を覚えた和子は、幼いころからの友達である浅倉吾郎、深町一夫に相談し、学校での担任である福島先生に相談することにした。そこで福島先生は、和子にもう一度その匂いを嗅いだ四日前に戻ることを提案する。しかし、極端な感情の変化が伴わないとタイムリープができないため、福島先生は一夫と吾郎に鉄筋が落下してきたという嘘を和子の前で叫ばせ、急激な感情の高ぶりを起こさせる。そして四日前の理科実験室にタイムリープした芳山和子はそこで深町一夫に出会う。実験室であやしい薬を作っていたのは深町一夫だった。混乱する芳山和子に深町一夫は「自分は700年後の未来からやってきた未来人であり、本名はケン・ソゴルだと告げる」深町一夫は未来でタイムリープの薬を研究し、自ら実験台になって1972年にやってきたものの帰る薬を忘れてきた。仕方なく和子の通う高校の理科実験室に忍び込んで帰る薬を作っていたのだ。そして薬を完成させた深町一夫(ケン・ソゴル)は、芳山和子の記憶を消して未来に帰ると告げるのだが、その直前、一夫は和子に恋をしたことを告白する。記憶を消さないでほしいという芳山和子に、これはタイムルールだから仕方ないと一夫は和子の記憶から自分に関する想い出をすべて消して未来に帰る。和子が実験室で目覚めると、彼女の記憶の中に深町一夫は存在しなかった。しかし、芳山和子は、かつて深町一夫(ケン・ソゴル)が暮らした深町家の前を通ってラベンダーの香りをかぐと、なぜか不思議な懐かしさを覚えるのだった。

出演(2名書きはダブルキャスト)
  • 芳山和子(ヒロイン) - 谷日登美、松本麻稀
  • 芳山和子①(ヒロインの分身) - 松本あかね、馬場えりか
  • 芳山和子②(ヒロインの分身) - 岡本夏実
  • 深町一夫(ケン・ソゴル)(未来人) - 廣岡聖
  • 浅倉吾郎(ヒロインの幼馴染) - 日高翔
  • 福島先生(ヒロインの担任の先生) - 神谷友貴
  • 野田先生(保健の先生) - 川崎千潤、小谷祐里奈
  • 芳山哲夫(ヒロインの父) - 山田高嗣
  • 芳山紀子(ヒロインの母) - 中竹麻衣
  • 芳山知世(ヒロインの妹) - 川崎千潤
  • 神谷真理子(ヒロインの友達) - 落合沙也香、望月りん
  • 敬子(ヒロインの友達) - 鈴木里奈
  • 小松先生(数学の先生) - 岡本夏実
  • 貞子(吾郎の母) - 中竹麻衣
  • 深町正浩(一夫の祖父) - タツミヤジョー
  • 深町たつ(一夫の祖母) - 馬場えりか、松本あかね
  • 級友A - 松本麻稀、谷日登美
  • 級友B - 馬場えりか、松本あかね
  • 級友C - 細川唯
  • バスケチームA - 中竹麻衣
  • バスケチームB - 川崎千潤
  • バスケチームC - 日暮
  • 未来人A - 岡本夏実
  • 未来人B - 落合沙也香
  • 未来人C - 鈴木里奈
  • 未来人E - 川崎千潤
  • 野次馬 - 級友ABCD
  • 近所の人 - 未来人ABCDE
  • 警官 - 日暮
  • ナレーション - 山田高嗣
  • 影(ナレーション、ニュースの声) - 辻本貴子、浜川千春
  • 和子(子) - 細川唯
スタッフ
舞台監督 会場設営、運行 酒井周太
原作   筒井康隆
台本・演出   髭和久
演出助手   三成夏実
ダンス指導・振り付け   来條翼(ジョー)(A-BERT-PRO)
照明 各種照明の準備・設営・当日の照明運行表作成 橿原大和
音響 各種音源準備・当日の音響運行表作成 前川康平
プロジェクター機材提供   (株)ラディックス
CGマッピングアニメーション   堀内良平
舞台美術 舞台セット作成、保管、設営 多賀みさと
小道具 各種小道具調達、準備、管理 日高翔
衣装 各種衣装調達、準備、管理、制作 川村さよ

キャラメルボックス版[編集]

演劇集団キャラメルボックスが2015年に本作を原作とした舞台を上演した[5]

上演日程
あらすじ

高校2年生の尾道マナツは伯母の芳山和子が下垂体腫瘍により入院・手術をする為、祖父・八郎の面倒を見る為に札幌から上京する。和子の家に到着した所で、幼なじみの輝彦と再会。輝彦は和子が務めている大学の教え子で、病気により視野が狭くなった和子の運転手や荷物持ち等身の回りの世話をしていたのだ。

その翌日。和子に連れられて大学を見学しに来たマナツは研究室に行き、和子の同僚・世羅と江田島を紹介される。そこへ、山岳雑誌が沢山入った箱を持った輝彦もやって来た。雑誌は和子の友人・神石に頼まれてのけていたモノで、和子と神石は交際はしていないものの良い仲であると知る。その後マナツは輝彦に大学の案内をしてもらい、研究室への帰る前にお手洗いに行く際に輝彦と別れる。しかし道に迷い困っていると誰かが実験室に入るのを見かけ、道を聞こうとマナツも中へと入る。誰も見当たらず探していると卓上のフラスコが急に倒れ、白い煙が出てきた。それはラベンダーの香りのする煙だった。その煙を吸ったマナツは倒れてしまい、そのマナツを見つけた輝彦も煙を吸って倒れてしまう。

そのまた翌日。和子とマナツが研究室へ行くと、神石が訪れていた。神石が土産に買って来た酒を飲んで酔っ払った江田島は、勢い余ってマナツに酒をかけてしまう。世羅は持って居たハンカチをマナツに貸すが、そのハンカチからはラベンダーの香りがした。その後昨日のフラスコの中からは水しか検出されなかったと聞かされ、世羅に「のぼせて倒れたんじゃないか」と言われたマナツは逆上して研究室を飛び出し、世羅が煙を作った犯人ではないかとハンカチの成分を調べてもらおうと医学部へと向かう。その後を追って来た輝彦と言い争いをしていると大きな地震が発生し、マナツが倒れた場所の頭上からエアコンの室外機が落ちてきた。

その瞬間時間がまき戻り、マナツは地震が起きる1分前に戻っていた。

出演

『続・時をかける少女』[編集]

(オールナイトニッポン50周年記念公演)

NHKドラマ『タイムトラベラー』(1972年)の続編として放送された、石山透によるオリジナルストーリーの『続 タイムトラベラー』(1972年)を2018年に舞台化[6]。主演は上白石萌歌

上演日程
出演[7]
スタッフ

漫画[編集]

楽曲[編集]

  • 1983年時をかける少女」(歌:原田知世、作詞・作曲:松任谷由実
    1983年版映画の主題歌。映画同様に大ヒットした。
  • 1983年 「時をかける少女」(歌・作詞・作曲:松任谷由実)
    上記の曲を松任谷由実がセルフカバーしたもの。アルバム『VOYAGER』に収録。
  • 1987年 「時をかける少女」原田知世ベストアルバム『From T』(1987年11月28日発売)に収録
    上記の曲を原田知世が別アレンジにて歌い直したもの。
  • 1997年 「時のカンツォーネ」(歌・作詞・作曲:松任谷由実)
    1997年版映画の主題歌。上記の曲と歌詞は同じだが、全く別の曲を当てたもの。アルバム『スユアの波』に収録。
  • 2003年 「時をかける少女」(歌:清水愛、作詞・作曲:松任谷由実)
    上記の曲のカバー。シングル「Angel Fish」に収録。
  • 2007年 「時をかける少女」原田知世アルバム『music & me』(2007年11月28日発売)に収録
    上記の曲を原田知世がさらに別アレンジにて歌い直したもの。
  • 2009年 「時をかける少女」(歌:白石涼子名塚佳織野中藍堀江由衣、作詞・作曲:松任谷由実)
    上記の曲のカバー。シングル「乙女の順序」に収録。
  • 2010年 「時をかける少女」(歌:いきものがかり、作詞・作曲:松任谷由実)
    上記の曲のカバー。シングル「ノスタルジア」に収録。

その他[編集]

  • 登場人物「深町」「浅倉」「福島」の姓は、SF関係者である、深町眞理子浅倉久志福島正実から取られた、と言われる。
  • 映画版のパロディとして、ハウス食品がインスタントラーメン「303」のCMで「お湯をかける少女」編を制作した。主演は工藤夕貴
  • 南野陽子主演の『月曜ドラマランド』版の放送は1985年11月4日で、彼女の代表作となる『スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説』第1話放送の3日前であった。
  • 『月曜ドラマランド』版では、深町一夫役を中川翔子(1985年5月5日生まれ)の父、中川勝彦(1962年 - 1994年)が演じている。彼女は幼少の頃より亡き父親の姿が見られるというので、幾度となくこの作品をビデオで観ているという。なお、一番著名な原田知世版は近年まで観る機会がなかったとのことである。
  • バンダイ(当時の発売元。後のバンダイナムコゲームス)から1998年秋頃にプレイステーション用ソフトとして発売される予定であったが、発売中止となっている(発売が見送られた理由については不明)。なおキャラクターデザインは桜野みねね、シナリオは山口宏で、川上とも子草尾毅松野太紀らの出演が予定されていた。
  • Matthew南(藤井隆)が司会を務める『Matthew's Best Hit TV+』(2001年 - 2006年)の深夜枠移動(2006年)のお知らせで、原田知世版の映画のラストシーンを使用した。マシューに時間移動を知らせるADの名前が「深町」と、マシューのこの映画へのオマージュが感じられる内容となった。
  • 2006年に出された新装文庫版(小説)では、新たに江藤茂博が解説を寄せている。

脚注[編集]

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  1. ^ a b 今夏再び復活、誕生から50年経ても『時かけ』が鮮度を保つ理由”. ORICON STYLE (2016年6月19日). 2016年12月25日閲覧。
  2. ^ “「時をかける少女」ドラマ化で露わになった「世代断絶」 筒井康隆も、原田知世も知らない?”. J-CASTニュース. (2016年5月11日). http://www.j-cast.com/2016/05/11266498.html?p=all 2016年12月25日閲覧。 
  3. ^ キネ旬ムック『BSアニメ夜話 VOl.9 時をかける少女』キネマ旬報社、2008年、p.66 - 67。筒井は「あとは『パプリカ』や『七瀬』とか言いますけどね、この娘が一番良く稼いでくれる」とも述べている。
  4. ^ “黒島結菜『時をかける少女』連ドラで初主演! 未来人ケン・ソゴル役はセクゾ菊池風磨”. クランクイン! (ハリウッドチャンネル). (2016年5月10日). http://m.crank-in.net/entertainment/news/42958 2016年5月10日閲覧。 
  5. ^ キャラメルボックス30th vol.3『時をかける少女』”. 演劇集団キャラメルボックス. 2015年4月2日閲覧。
  6. ^ “「時をかける少女」幻の続編が舞台化!上白石萌歌、現役セーラー服で主演”. シネマトゥデイ (株式会社シネマトゥデイ). (2017年10月20日). https://www.cinematoday.jp/news/N0095462 2017年10月20日閲覧。 
  7. ^ “上田誠脚本・演出「続・時をかける少女」全キャスト&ビジュアル発表”. ナタリー (ナターシャ). (2017年11月16日). http://natalie.mu/stage/news/256969 2017年11月16日閲覧。