みんなの銀行

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株式会社みんなの銀行
Minna Bank, Ltd.
種類 株式会社
機関設計 監査等委員会設置会社[1]
本社所在地 日本の旗 日本
810-0002
福岡県福岡市中央区西中洲6番27号
設立 2019年8月15日
(みんなの銀行設立準備株式会社)
業種 銀行業
法人番号 6290001086260 ウィキデータを編集
金融機関コード 0043
事業内容 インターネット専業銀行
代表者
  • 代表取締役会長 横田浩二
  • 代表取締役頭取 永吉健一
資本金 165億円
純利益 △4718万6000円(2020年3月期)[2]
総資産 7億5533万8000円(2020年3月31日現在)[2]
主要株主 株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 100%
外部リンク https://www.minna-no-ginko.com/
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株式会社みんなの銀行(みんなのぎんこう、: Minna Bank, Ltd.)は、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)傘下の新たな形態の銀行に分類されるネット銀行デジタルバンク)である[3]2021年5月28日に開業した。

設立経緯[編集]

地方に地盤を置く地方銀行にとって、昨今の地方の急速な人口減少は非常に悩ましい問題であり、地域で区分けを行ってきた従来のビジネスモデルが成り立たなくなる可能性が高まってきている。母体となったふくおかフィナンシャルグループ(FFG)は福岡銀行熊本ファミリー銀行の経営統合から始まり、親和銀行十八銀行[4]の買収を通じて規模を拡大することで、この問題に対処しようとしてきた。しかし地方銀行同士の統合では問題の根本解決にはならず、従来の地方銀行の役割に捉われない新たなビジネスモデルの確立が急務であった。

また金融に関する技術開発(Fintech)も急速に進展してきたことで、従来銀行が担っていた業務への参入ハードルが下がり、異業種が金融業へ参入する例が続出している。このような状況において既存の金融機関の存在意義が脅かされる事態となっており、特に地方銀行はその脅威を最前線で受けていた。

一方でFFGは独自にiBank事業と呼ばれるフィンテックサービスを進めており、「Wallet+(ウォレットプラス)」と名付けられた資産管理アプリ[5]をリリースする等、積極的にデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいる[6]。この経験を基に新たな顧客層の獲得とフィンテックの活用を進めるべく、地方銀行として初のネット銀行設立へと至った[7]

みんなの銀行はデジタルネイティブ世代と呼ばれる若年層の顧客獲得と、デジタルバンクとしての新しいビジネスモデルの創出を目的としており、みんなの銀行で得られたノウハウを基に新たな銀行の将来像をグループ全体で追求するとしている。

勘定系システムはプラットフォームにGoogleのパブリッククラウドサービスであるGoogle Cloud Platform(GCP)を採用し、アクセンチュアが開発した「アクセンチュア クラウドネイティブ コア ソリューション(MAINRI)」をベースにしたシステムを構築する[8]。国内銀行の勘定系システムにパブリッククラウドが採用されるのは初めて[9]。このシステムは2022年11月18日より「フルクラウド型銀行システム」として、グループ会社でシステム開発を手掛けたゼロバンク・デザインファクトリーを通じて国内外の金融機関や銀行サービスの新規参入を目指す非金融事業者向けに外部提供を開始している[10]

沿革[編集]

サービス概要[編集]

みんなの銀行は、「全てのサービスがスマートフォンで完結する銀行」を標榜している。このため、預金口座を開設するためには以下の条件を満たす必要がある。

  • 日本国内に在住する、日本国籍で満15歳以上の個人であること[16]
  • iOS 13.0以降、またはAndroid 8.0以降を搭載したスマートフォンを所有している
    (パソコンからの利用は不可能。また、タブレットからの利用は動作保証外[17]

Wallet[編集]

普通預金。口座開設にあたってキャッシュカードは発行されない。口座の入出金はセブン銀行のATMにおいてスマートフォンを使って行う[18]。口座自動振替は利用できない。

JCBのバーチャルデビットカードが付帯している。

Saving・Box[編集]

制度上は貯蓄預金にあたる。基本口座となるSavingとは別に、目的別のバーチャルな口座・Boxを最大20個設置でき、Wallet・Saving・Box間でフリックによって振り替えが可能。

みんなのCheer Box[編集]

上記のBoxに特定の名称を付けて預け入れることで、みんなの銀行とパートナーシップを締結した団体に対し、該当するBoxの残高合計の最大1%の資金を預入をしたファン(ユーザー)に代わってみんなの銀行が団体に活動支援金として提供するサービス。活動支援金を受けた団体はファンへの返礼品となるプレゼントなどが用意される。

主なパートナーシップ締結団体

プレミアムサービス[編集]

月600円の追加サービスで、以下の特典がある。

  • 出金手数料(110円)が月15回まで無料
  • 他行振込手数料(220円)が月10回まで無料
  • デビットカードのキャッシュバック率上乗せ(0.2% → 1.0%)
  • 貯蓄預金の金利上乗せ(+0.2%)
  • Walletの残高不足時の融資サービス「Cover」の申込が可能

なお、プレミアムサービスの利用料金はApp StoreGoogle Playのサブスクリプションによる支払いとなる(口座引き落としではない)[25]

U25 Z割[編集]

25歳以下のユーザーが、ATM出金手数料が月3回まで、他行への振込手数料が月3回まで無料になる。プレミアムサービスとの併用も可能である[26]

Cover[編集]

プレミアムサービスの機能のひとつで、Walletからの出金時に残高が不足した時、5万円を上限に立て替えるサービス(一般で言うところの当座貸越)。金利は発生しない。

みんなの銀行お友達紹介プログラム[編集]

みんなの銀行では新規口座開設の促進にあたりお友達紹介プログラムを行なっている。すでにみんなの銀行の口座開設をしている人から紹介を受けて、新規口座開設をすると、紹介者、被紹介者両者に1,000円が必ず支払われる仕組みである。 この紹介コードを利用してもらうために、新規口座開設の方法や口座開設のメリットなどを発信している配信者も多い[27]

支店名[編集]

口座開設にあたっては、世界のにちなむ以下の7支店(オリジナル支店)及びパートナー支店から加入者が自由に選択できる。

オリジナル支店[編集]

この他に本店(001)がある。

パートナー支店[編集]

みんなの銀行では金融機能サービスをパートナー企業に提供し、金融と非金融との共創を目指すBaaS (Bank as a Service) 事業を推進している[28]。2021年9月以降、BaaS事業で提携した企業の利用者向けの「パートナー支店」を開設している。

受賞[編集]

[33]

脚注[編集]

  1. ^ 会社概要 - 株式会社みんなの銀行
  2. ^ a b みんなの銀行設立準備株式会社 第1期決算公告
  3. ^ 【みんなの銀行】 銀行業の営業免許取得について”. ふくおかフィナンシャルグループ. 2020年12月26日閲覧。
  4. ^ 2行は2020年10月1日に合併し、十八親和銀行となる
  5. ^ 「Wallet+」はFFG傘下銀行だけにとどまらず、2018年3月26日に沖縄銀行へ導入したのを皮切りに、広島銀行(2019年4月15日導入)、山梨中央銀行(同年10月7日導入)、十六銀行南都銀行(2行とも同年12月17日に導入)、佐賀銀行(2021年1月7日導入)にも順次導入され、FFG傘下銀行を含めて9行に拡大している。
  6. ^ 地域金融機関の次世代基幹システムの潮流~日本初のチャレンジャーバンクを目指す~”. thefinance.jp. 2020年12月26日閲覧。
  7. ^ 日本放送協会. “地方銀行として初 ネット専業銀行「みんなの銀行」に免許交付”. NHKニュース. 2020年12月26日閲覧。
  8. ^ 日経クロステック(xTECH). “銀行基幹系をマイクロサービスで構築、成功の鍵握る「あの工夫」”. 日経クロステック(xTECH). 2020年12月26日閲覧。
  9. ^ 株式会社インプレス (2019年10月3日). “ふくおかフィナンシャルグループ「みんなの銀行」がGCPを採用した理由は?”. クラウド Watch. 2020年12月26日閲覧。
  10. ^ みんなの銀行の基幹システムを開発するゼロバンク・デザインファクトリー、 フルクラウド型銀行システムの外部提供を開始』(プレスリリース)株式会社みんなの銀行、2022年11月18日https://corporate.minna-no-ginko.com/information/corporate/2022/11/08/247/2023年3月11日閲覧 
  11. ^ 「みんなの銀行設立準備株式会社」の設立について”. ふくおかフィナンシャルグループ. 2020年12月26日閲覧。
  12. ^ ASCII. “ふくおかFGが新銀行の基幹システムにGCPを選定した理由”. ASCII.jp. 2020年12月26日閲覧。
  13. ^ みんなの銀行設立準備株式会社における銀行業免許の予備審査申請について”. フィナンシャルグループ. 2020年12月26日閲覧。
  14. ^ 【みんなの銀行】 銀行業免許の予備審査終了及び銀行業免許の申請について”. ふくおかフィナンシャルグループ. 2020年12月26日閲覧。
  15. ^ 【みんなの銀行】 銀行業の営業免許取得について”. ふくおかフィナンシャルグループ. 2020年12月26日閲覧。
  16. ^ 誰でも口座を開設できますか(みんなの銀行)
  17. ^ スマートフォンで口座開設後にタブレットでみんなの銀行アプリを使いたいのですが可能ですか(みんなの銀行)
  18. ^ ATMの入出金方法を教えてください(みんなの銀行)
  19. ^ 株式会社CS entertainment とのパートナーシップ契約締結及び「みんなのCheer Box」における連携開始について”. みんなの銀行 (2021年9月17日). 2022年5月12日閲覧。
  20. ^ アビスパ福岡とのパートナーシップ契約締結及び「みんなのCheer Box」における連携開始について”. みんなの銀行 (2022年4月28日). 2022年5月12日閲覧。
  21. ^ みんなの銀行パートナー支店に「アンディー支店」が新規開設 | 自動車保険のイーデザイン損保
  22. ^ 一般社団法人日本社会人アメリカンフットボール協会とのパートナー契約締結及び「みんなのCheer Box」の取組み開始”. みんなの銀行 (2022年11月4日). 2023年3月11日閲覧。
  23. ^ プロeスポーツチーム「BC SWELL」とのパートナーシップ契約締結及び「みんなのCheer Box」における連携開始について”. みんなの銀行 (2023年1月20日). 2023年3月11日閲覧。
  24. ^ 『みんなのCheer Box』と『みんなのCheerコード』によるくまモン応援の取組み/あなたの声がカタチになり、くまモンの応援になる”. みんなの銀行 (2023年3月9日). 2023年3月11日閲覧。
  25. ^ Premium(プレミアムサービス)の利用料金はどのように請求されますか(みんなの銀行)
  26. ^ 株式会社インプレス (2023年3月1日). “みんなの銀行、25歳以下はATM出金月3回無料「Z割」”. Impress Watch. 2023年6月10日閲覧。
  27. ^ 【みんなの銀行お友達紹介プログラム】
  28. ^ 【BaaS事業】新たな価値共創に向けたピクシブ株式会社との基本合意について』(プレスリリース)みんなの銀行、2021年6月21日https://corporate.minna-no-ginko.com/information/corporate/2021/06/21/37/2021年10月20日閲覧 
  29. ^ 株式会社インプレス (2021年9月30日). “みんなの銀行「ピクシブ支店」開始。クリエイターの入出金を支援”. Impress Watch. 2021年9月30日閲覧。
  30. ^ 【BaaS事業】パーソルテンプスタッフ株式会社との価値共創による「テンプスタッフ支店」の開設について』(プレスリリース)みんなの銀行、2021年10月1日https://corporate.minna-no-ginko.com/information/corporate/2021/10/01/69/2021年10月17日閲覧 
  31. ^ ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社との API連携開始並びに「イグニカ支店」の開設について』(プレスリリース)みんなの銀行、2023年8月1日https://corporate.minna-no-ginko.com/information/corporate/2023/08/01/395/2023年8月26日閲覧 
  32. ^ 世界三大デザイン賞のひとつ 「iFデザインアワード2022」において2部門で受賞(みんなの銀行、2022年4月15日)
  33. ^ 受賞アワード(みんなの銀行)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]