インターネットバンキング

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インターネットバンキングまたはオンラインバンキングとは、インターネットを介した銀行(類)の取引サービスのことである。インターネット閲覧端末(ウェブブラウザ)で利用する。

概要[編集]

「インターネットバンキング」「ネットバンキング」や「オンラインバンキング」と呼ばれているのは、インターネットを介した銀行取引(銀行に類する金融機関も含む)サービスのことである。

銀行の窓口やATMでの取引は、その場所に規定の時間帯に出向かなければならないが、それらと比較して自宅で利用できることや土日休日や夜間早朝でも利用できることなどのメリットがあるサービスである。

インターネットは情報を瞬時に相互に伝達し、詳細に閲覧できる性質を持ち、金融取引との親和性は高い。このような特性から、インターネットを介した銀行取引の提供は、ネットショッピングなどの他のインターネットによる通信販売と比較して早い時期に利用が拡がり始めた。また、現金の取扱いに既存の金融機関のATM店舗網を提携利用できることに着目して、インターネットから利用する仮想店舗を設け、自社による実店舗(窓口やATM)の営業を前提としない新たな形態の銀行が営業を始めた。一部の地方銀行第二地方銀行は、コンビニATMと組み合わせることで、地盤となる実店舗設置地域のみならず全国に向けたサービスを展開している。

口座の入出金を顧客自身の使用する端末上で確認できるので、冊子式通帳を発行しない口座も各銀行で導入されている。通帳の省略は銀行における口座維持費用の低減につながり、普及推進のため様々な優遇措置が提供されている。

ネットバンキングはPCのブラウザを使うものが主流であるが、携帯電話のインターネット閲覧機能を利用した銀行取引サービスであるモバイルバンキング (mobile banking) もある。これも広義のインターネットバンキングにあたる。スマートフォンでのインターネットバンキングは、携帯電話向けの契約ではなくパソコン向けの契約で利用可能とする形態が見られる。いわゆるガラホの場合は、基本はスマートフォン向けのシステムで利用する形となるが、採用パッケージによっては、スマートフォン利用時に、ワンタイムパスワードのソフトウェアトークンのアプリをインストールすることを必須としているケースもあり、基本的にスマートフォンのアプリをインストールできないガラホでは使用できない為、提供に課題を残した状態となっている(ゆうちょ銀行のような、ハードウェアトークンによるワンタイムパスワードを必須としているケースでは、この問題は起こらないが、利用頻度の高い場合は、常にハードウェアトークンも持ち歩かねばならないという問題もある)。

ブラウザの種類で使える場合と使えない場合がある[注 1]

2003年ごろからは法人向けのインターネットバンキングを提供する銀行が現れた。通常の機能に加え、総合振込などのデータ転送、外国為替取引などの機能が加わっている。

個人向けは全都市銀行と全地方銀行、全第二地方銀行と多くの信用金庫で行われている。もっぱらインターネットバンキングのサービスを提供し、原則として支店を持たない銀行もある(#インターネットバンキングを専業とする銀行を参照)。

インターネットバンキングを標的とした不正送金などのサイバー犯罪が問題となっている(#犯罪被害と対策を参照)。

提供サービス[編集]

主なサービス[編集]

多くの金融機関においてインターネットバンキングで提供されている中核的サービスは以下のものである。

このうち振込みは、店頭やATMといった実店舗取引からの移行(混雑の緩和、処理集中の分散、業務の省力化)を促進するため、実店舗利用の場合(銀行によっては、ATM利用時を含む)に比べて手数料が割安に設定されている場合が多い。

付加サービス[編集]

以下のサービスが付加的に行われている場合もある。

犯罪被害と対策[編集]

インターネットバンキングを標的としたネット犯罪としては、キーロガースパイウェアを仕込まれたり、フィッシング詐欺に遭ってパスワードなどを盗まれ、いつのまにか自分の口座から送金されお金を失ってしまうなどということが起きうる。

にもかかわらず、2006年施行の預金者保護法において、ネットバンキングは保護の対象外となっていた。

2005年度には49件だったネットバンキングにおける預金の不正払い戻しは2007年度には233件、被害総額は1億9千万円を超えるなど大幅な増加傾向を示したため、2008年2月、全国銀行協会はネットバンキングについても、預金者に過失がない場合は全額補償するという方針を打ち出した[1]。各銀行はさらに強固なセキュリティ対策と顧客への啓蒙を進め、2009年までの数年間には58件に減少するなど改善傾向が見られた[2]

2013年頃から、コンピューターウイルスやワームなどを送り込まれてパスワードを盗まれ不正送金される事件が再び増加している。2013年の1年間で、日本でのネットバンキング不正送金の被害総額は約14億円である。個人だけでなく、法人の口座も狙われている。手口が非常に巧妙化していて、注意しているユーザでも被害に遭うようになっている。インターネットセキュリティ会社では、2014年も増えつづけることになると予測している[3]

以下に各銀行が講じている対策のうち主だったものをあげる。

ユーザー側の注意点

法人口座[編集]

被害が補償されることがあるのは個人のみで、法人の場合は補償されなかった[4]。そのため、法人がインターネットバンキングを利用するのはリスクが高かったが、2014年7月17日、全銀協は法人口座の不正送金被害に対する補償の指針を発表、一定の条件を満たした法人には補償が行われるようになっている[5]

様々なシステムと開発業者[編集]

AnserParaSOL
NTTデータが提供する個人向けインターネットバンキング機能の提供サービス「ANSER-WEB®(アカウントアクセス)」、および個人向けインターネット投資信託機能の提供サービス「Fundcafé®」を統合し、全面的にリニューアルしたサービス[6]。従来のANSER採用行は、ParaSOLへ順次移行しているが、2014年5月時点で完了はしていない。
シマンテックVIP Accessをソフトウェアトークンアプリとして採用するりそなグループ各行[7]などをのぞき、スマートフォンで利用する場合は、NTTデータの「ワンタイムパスワード」アプリのインストールを必須とする(スマートフォンでこの手続きを実施した場合は、パソコンでのインターネットバンキングにおいても、資金移動を伴う取引を中心に、このスマートフォンのワンタイムアプリの使用が必須化される)。このアプリには、一部を除く信用組合や各労働金庫、各JAバンクを含め、AnserParaSOLを採用する最大10の金融機関のワンタイムパスワードが発行可能となっており、それを越える場合は、回線契約のある別のスマートフォンを用意する必要はある。当然、ガラホではアプリをインストールできないため、利用できない(ブラウザをパソコン向けサイトの閲覧モードにすれば利用できる場合もあるが、動作保証の対象外)。2016年10月時点では、フィーチャー・フォン向けのワンタイムアプリも提供が継続されている(ただし、SHA-2対応端末のみ使用可能だが、インストールは必須ではない。導入した場合に、パソコンでワンタイムパスワードを使う必要があるのは、スマートフォンと共通)。
なお、1台の端末で、ワンタイムアプリへの同一金融機関の複数契約使用、および1台のフィーチャー・フォンでの同一金融機関の複数契約の利用(いわゆる、マイメニュー登録)はできない。
法人向けは、「AnserBizSOL」としてAnserParaSOLに先行して提供している(「ANSER-WEB」の法人版をバージョンアップして、順次提供)。
りそなグループ各行、あおぞら銀行や、多くの一般的な地方銀行・第二地銀のほか、地域型信用組合や各労働金庫JAバンクなどでも採用されている(とりわけ、NTTデータが提供する勘定系システムのパッケージを採用している金融機関は概ねインターネットバンキングでもAnserを採用する傾向が強いが、他社パッケージ行でもAnserを採用するケースが散見される)。あおぞら銀行は、モバイルバンキングは非提供で、スマートフォン向けは、2016年の勘定系リプレース時に提供開始されている。
AnserBizSOLは、この他にも都市銀行新生銀行などでも利用されている(契約している形態により、後述の独自構築のものを利用するケースとAnserBizSOLを利用したケースが存在する)。
eMuSC
日本アイ・ビー・エムが運営している、インターネットバンキングサービスとテレフォンバンキングサービスを提供する、チャネル共同センターの総称[8][出典無効]
日本IBMは、この他にも、勘定系にじゅうだん会を導入している銀行向けのものや、Chanceプロジェクト(旧東京三菱銀行システムをカットオーバーして、地銀向けパッケージとして提供されているシステム)を導入している銀行向けのインターネットバンキングシステムも別途開発している。
FINEMAX[9]
日立製作所開発による個人向けネットバンキング、法人向けネットバンキング、マルチペイメント接続サービスからなるインターネットバンキング共同センタサービス。IB-CENTERが前身で、採用行が順次FINEMAXへ移行している。
一般的な地方銀行・第二地銀(NEXTSCOPENEXTBASEといった、日立構築の勘定系システムにFINEMAXがパッケージされているケースも多い)のほか、イオン銀行新銀行東京商工組合中央金庫などでも採用されている。新銀行東京のように、金融機関により、スマートフォンからのアクセスを拒否するケースもある(ブラウザをパソコン向けサイト閲覧モードに変更しても、アクセス拒否される場合もある)。
採用行では、会員カードに書かれた乱数表を使用したワンタイムパスワードを使用する金融機関が多くみられるが、RSAセキュリティの「RSA SecurIDハードウェアトークン」を採用している金融機関も一部にみられる。
また、ゆうちょ銀行の法人向けインターネット伝送サービスは、FINEMAXの法人向けアプリケーションを取り入れている。
bankstage
富士通開発によるインターネットバンキングシステム。
IB-CHANNEL
日本電気開発によるインターネットバンキングシステム
採用行では、会員カードに書かれた乱数表を使用したワンタイムパスワードを使用する金融機関が多くみられる。
独自システム
メガバンクネット銀行を中心に、一部の地方銀行第二地方銀行信託銀行ゆうちょ銀行で採用されている。
その他
しんきんインターネットバンキングシステム - 一部を除く信用金庫[10][11]
かつて日立が構築したインターネットバンキング向けハード基盤をベースに、日本ユニシスが構築したソフトウェアを搭載し、信金向けにカスタマイズしている形となっている。
このシステムを採用するほとんどの信金では、ワンタイムパスワードを採用(その一部は使用が必須)しており、ワンタイムパスワードのソフトウェアにはシマンテックVIP Accessを採用している。VIP Accessは、スマートフォンのほか、パソコンにインストールして使用可能だが、パソコンにインストールする場合は、セキュリティ上、インターネットバンキングを実際に行うパソコンとは別のものにインストールする事が推奨されている。なお、フィーチャー・フォン向けのVIP Accessは、シマンテックにより、2016年9月末を以てサポートおよび提供停止となったため、現在は使用不可とされている。一部の信金では、有償でハードウェアトークンを提供している所もあるが、電池切れあるいは有効期限の折りに自動更新しない場合があるので、自己責任で紐付け解除の上、窓口で有償再発行の必要がある。

インターネットバンキングを専業とする銀行[編集]

インターネットバンキングを専業とする支店の一覧[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ Windows XP/Vista/Windows 7以外のOSInternet Explorer (IE) 6/7/8/9以外のブラウザからのアクセスを拒否している場合もあるほか、「Windows以外のOS」に対応かつ「IE以外のブラウザ」に対応していても、PDAスマートフォン携帯電話フルブラウザからのアクセスは拒否するものもある。
  1. ^ 「預金等の不正な払戻しへの対応」について - 全銀協ニュース 平成20年2月19日
  2. ^ インターネット・バンキングによる預金等不正払戻し(被害発生状況・補償状況) (PDF, 金融庁)
  3. ^ NHK「ゆうどきネットワーク」2014年4月14日放送
  4. ^ ネット預金:窃盗被害、法人は補償対象外[リンク切れ]
  5. ^ 法人向けインターネット・バンキングにおける預金等の不正な払戻しに関する補償の考え方について - 全国銀行協会
  6. ^ 個人向けインターネットバンキング機能の提供サービスを全面刷新 - 株式会社NTTデータ 2013年6月10日
  7. ^ 同グループは、ハードウェアトークンも選択可能。りそな銀行のアルファ支店またはベータ支店利用者は、JMB提携カード利用者およびりそにゃデザインのカードの利用者が利用できるアプリがそれぞれ用意され、そちらを経由したワンタイムパスワードも使用可能。
  8. ^ 銀行向けチャネル共同センター・サービスを開始 -マルチチャネル向け共同センターを開設- - 日本IBM株式会社 2005年10月3日
  9. ^ 日立製作所の公式サイト内のインターネットバンキング共同センタサービス「FINEMAX」
  10. ^ 新商品・サービスを迅速に実現、システム部員のスキルを 『日経コンピュータ』 2010年8月31日
  11. ^ 日本ユニシス(株)しんきん情報システムセンターから信用金庫業界向けインターネットバンキングシステムを受注 - 日本ユニシス株式会社 平成13年2月1日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]