草津白根山
草津白根山 | |
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渋峠より望む | |
標高 | 2,160 m |
所在地 |
日本 群馬県吾妻郡草津町 |
位置 | 北緯36度38分38秒 東経138度31分40秒 / 北緯36.64389度 東経138.52778度座標: 北緯36度38分38秒 東経138度31分40秒 / 北緯36.64389度 東経138.52778度 |
種類 | 活火山 ランクB・常時観測火山 |
草津白根山の位置 | |
プロジェクト 山 |
草津白根山(くさつしらねさん)は、群馬県吾妻郡草津町に位置する、標高2,160mの活火山。
名称について
本来は白根山が正式名称であるが、他の白根山と区別するため、草津を配して呼ばれる。また、近隣の逢ノ峰と本白根山を含めた三山の総称とすることもあり、この場合は標高2,171mの本白根山が最高峰となる。一つの火山の山体として捉える際は後者の考え方をとる。
特徴
山頂付近は白い山肌が広がっているのが特徴であるが、1882年の噴火以前は火口付近まで緑が広がっていたという[1]。山頂付近には複数の火口湖が形成され、湯釜、水釜、涸釜と呼ばれている。かつて、山腹にはいくつかの硫黄鉱山が存在し、鉱山跡が現在も残っている。
湯釜
湯釜(ゆがま)は、直径約300m、水深約30m、水温約18℃の火口湖である。pHが1.0前後であり、世界でも有数の酸性度が高い湖と言われている[2]。これは火山ガスに含まれる塩化水素や二酸化硫黄が水に溶け込み、塩酸や硫酸となったためと考えられている[3]。湖水は白濁した青緑色をなしており、水に溶け込んでいる鉄イオンや硫黄などの影響で特定の波長の光が吸収されてこのように見えると考えられている[3]。
湖底や沿岸には硫黄が沈殿しており、戦前から1960年頃まで鉱山会社によって採取されていた。同時に噴気孔から噴出する硫黄分を含む蒸気からの硫黄採取も行われており、湖岸には硫黄運搬用のトロッコやリフトが敷設され、事務所や作業所が立ち並んでいた。噴火にともなう高温の蒸気やガスによって鉱山労働者に死傷者が出ることもしばしばあったという[4]。
火口縁には湯釜を望む展望台が設置されている。
なお、後述の噴火警戒レベルの引き上げに伴い、2014年6月3日以降は湯釜の周辺への立ち入りができなくなっており、周辺の道路にも「湯釜は見れません」という案内が出ている。
噴火警戒レベル
草津白根山では、気象庁が運用を開始した2007年12月1日から噴火警戒レベルが設定されている。群馬県と草津町はレベル1(平常)の段階でも第1次規制として山頂火口の湯釜から半径500メートル以内に立ち入り制限をかけ、当初は夏場の観光シーズンにのみ規制緩和して河口縁の展望台まで続く歩道を開放していた。
しかし、2009年4月10日に半径500メートル域内のごく小規模な火山灰の噴出などへの警戒を呼びかける噴火予報が発表され、その後火口内で新たな噴気が確認されたことから、2010年4月8日開催の草津白根山防災会議協議会において、第1次規制の継続と当面の間緩和措置を見送ることが決定された。
2014年3月から湯釜周辺で火山性地震が増加し、4月頃からわずかではあるが山体の膨張を示す変動が観測された。その後も様々な火山活動の活発化を示す兆候が現れてきたことを受け、2014年6月3日に気象庁は噴火警報を発表し、噴火警戒レベルを「レベル2(火口周辺規制)」に引き上げた。これを受け、即日群馬県は国道292号の草津町殺生河原駐車場前から嬬恋村万座三叉路までの8.5キロメートルを通行止めにし、草津町と嬬恋村は第2次規制区域内の登山道を立ち入り禁止とした。その後、同年6月14日に規制が緩和されて、日中に限り国道292号の通行は可能になったが、山頂付近は駐停車禁止となっており、駐車場や売店も閉鎖されたままである。
調査研究
東京工業大学火山流体研究センターは、主に草津白根山を研究対象として、「マグマ中の揮発性成分の挙動」、「火山体内部の熱水系」、「火山ガス放出量の連続測定法」などを研究している[5]。
湯釜の湖水および湖底泥中にはランタノイド系列のセリウム、サマリウム、ジスプロシウム、イッテルビウムなどの元素が比較的高い濃度で含まれ、『偶数の原子番号をもつ元素の存在率は、その前後の奇数の原子番号の元素の存在率よりも大きい』という元素の存在量に関するオッド‐ハーキンスの法則が成り立っている[6]。
噴火記録
近年のおもな火山活動。
- 1882年 8月6日 水蒸気噴火(湯釜・涸釜):降灰
- 1897年 7月4日-8月 小規模水蒸気噴火(湯釜):硫黄採掘所全壊
- 1900年 10月1日 小規模水蒸気噴火
- 1902年 7月-9月 水蒸気噴火(弓池付近):降灰
- 1905年 10月 小規模水蒸気噴火
- 1925年 1月26日 水蒸気噴火:降灰
- 1927年 12月31日 小規模水蒸気噴火
- 1928年 1月29日~31日 小規模水蒸気噴火
- 1932年 10月1日 水蒸気噴火:降灰、ラハール(火山泥流):死者2名、山上施設破壊[7]
- 1937年 11月、12月 小規模水蒸気噴火:降灰
- 1939年 2月-5月 水蒸気噴火:降灰
- 1940年 4月、9月 噴煙
- 1942年 2月2日 小規模水蒸気噴火(割れ目)
- 1958年 12月 小規模水蒸気噴火(湯釜)
- 1976年 3月2日 小規模水蒸気噴火(水釜)
- 8月3日 白根沢で火山ガスにより死者3名
- 1982年 10月26日 小規模水蒸気噴火(湯釜・涸釜):降灰
- 12月29日 水蒸気噴火(湯釜):降灰
- 1983年 7月26日 小規模水蒸気噴火(湯釜)
- 11月13日 水蒸気噴火(湯釜):降灰
- 2月21日 小規模水蒸気噴火(湯釜・涸釜):降灰
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冬の白根山
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湯釜
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湯釜の麓
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白根山レストハウス
アクセス
- 公共交通機関(白根火山停留所まで)
- 長野電鉄湯田中駅から長電バス白根火山ゆき
- 吾妻線長野原草津口駅からジェイアールバス関東白根火山ゆき
- 軽井沢駅・中軽井沢駅・万座・鹿沢口駅から西武高原バス草津温泉ゆき
- 何れの路線も、火山ガスの濃度が高い場合は白根火山停留所が使用不能となるので注意。
- 自動車(湯釜まで)
- 国道292号(志賀草津道路)、レストハウスより徒歩10分
近隣の山
脚注
- ^ “草津白根 歴史時代の噴火”. 産総研(地質調査所). 2013年5月7日閲覧。
- ^ “日本の火山 vol.14 草津白根山[群馬県・長野県]”. 平成22年度 広報誌「ぼうさい」7月号(第58号). 内閣府. 2011年2月1日閲覧。
- ^ a b “火山についてのQ&A/Question #3193”. 日本火山学会. 2012年5月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年2月1日閲覧。
- ^ “火山土地条件図 草津白根山” (PDF). 国土地理院. 2014年6月4日閲覧。
- ^ ひずみ24-2-1-9 ひずみ集中と地殻内流体変動の解明 (PDF) ひずみ集中帯の重点的調査観測・研究プロジェクト(平成24年)
- ^ 草津白根山火ロ湖湯釜の湖水および湖底泥中のランタノイド元素 日本化学会誌 Vol.1993 (1993) No.5 P543-548, JOI:JST.Journalarchive/nikkashi1972/1993.543
- ^ 昭和七年十月白根山噴火報告 気象庁 驗震時報第7巻 pp.95-102
関連項目
外部リンク
- 草津白根山 - 気象庁
- 日本活火山総覧(第4版)Web掲載版 利尻山 (PDF) - 気象庁
- 日本の火山 草津白根山 - 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
- 草津白根山の火山活動 - 東京工業大学火山流体研究センター
- 防災関連
- 草津白根山の噴火と防災 防災科学技術研究所
- 防災トップページ 群馬県
- 防災 草津町
- 防災情報 嬬恋村