恐山

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恐山
恐山菩提寺 山門
所在地 青森県むつ市田名部字宇曽利山3-2
位置 北緯41度19分37.39秒
東経141度5分24.97秒
座標: 北緯41度19分37.39秒 東経141度5分24.97秒
山号 恐山
宗派 曹洞宗
本尊 地蔵菩薩
創建年 (伝)貞観4年(862年
開基 (伝)円仁(慈覚大師)
正式名 恐山 伽羅陀山菩提寺
札所等 津軽三十三観音番外札所
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恐山(おそれざん、おそれやま)は、下北半島の中央部に位置する外輪山霊場である。また、霊場内に数種類の温泉が湧き、湯治場としても利用されている。下北半島国定公園に指定されている。標高878m。

概要[編集]

恐山は、カルデラ湖である宇曽利湖(うそりこ)を中心とした外輪山の総称である。外輪山は釜臥山大尽山小尽山北国山屏風山剣の山地蔵山鶏頭山の八峰。「恐山」という名称の単独峰はない。火山岩に覆われた「地獄」と呼ばれる風景と、美しい宇曽利湖の「極楽浜」との対比が特徴である。

寺名は菩提寺、本坊はむつ市田名部にある曹洞宗円通寺である。本尊は地蔵菩薩

恐山は、地蔵信仰を背景にした死者への供養の場として知られる。下北地方では「人は死ねば(魂は)お山(恐山)さ行ぐ」と言い伝えられている。

恐山大祭や恐山秋詣りには、イタコマチ(イタコがテントを張って軒を連ねている場所)に多くの人が並び、イタコの口寄せが行われる。なお恐山で口寄せが行われたのは戦後になってからであり、恐山にイタコは常住していない。また恐山菩提寺はイタコについて全く関与していない。

高野山、比叡山と並んで「日本三大霊山」と宣伝されるが、あくまでも恐山のみが自称しているにすぎない。

恐山は火山であり、境内には温泉が湧いている。4つの湯小屋は無料(参拝料は必要)であるほか、宿坊にも温泉施設がある。

なお、地理でいう恐山山地とは、下北半島のまさかり部分にある山地全体を指すので、いわゆる霊場恐山 とは区別される。

恐山菩提寺 総門 恐山 奥に見えるのは宇曽利湖 極楽浜から臨む宇曽利湖 恐山周辺地図

  • 開山期間 毎年5月1日~10月31日
  • 開門時間 午前6時~午後6時
  • 入山料 500円(2010年現在)
  • 大祭典 毎年7月20日~24日
  • 秋祭典 毎年10月第2週の三連休

開山[編集]

伝承によれば、開山は貞観4年(862年)、開祖は天台宗を開いた最澄の弟子である円仁(慈覚大師)であるという。

文化7年(1810年)再刊の『奥州南部宇曽利山釜臥山菩提寺地蔵大士略縁起』によれば、円仁がに留学中、 「汝、国に帰り、東方行程30余日の所に至れば霊山あり。 地蔵大士一体を刻しその地に仏道を広めよ」という夢告をうけた。 円仁はすぐに帰国し、夢で告げられた霊山を探し歩いた。苦労の末、 恐山にたどり着いたといわれる[1]

その中に地獄をあらわすものが108つあり、全て夢と符合するので、円仁は6尺3寸の地蔵大士(地蔵菩薩)を彫り、 本尊として安置したとされている。

火山としての恐山[編集]

恐山には史料に残された噴火記録はなく、地質調査の結果からも、最後の噴火は1万年以上前と見られている。しかし、カルデラ内の一部には水蒸気火山性ガスの噴出が盛んで、気象庁2007年12月1日より開始した「噴火災害軽減のための噴火警報及び噴火予報」の対象になっている。ただし、現在のところ、噴火警戒レベルを導入した16火山には含まれていない。

温泉沈殿物としての異常濃集体が発見されており、2007年、日本の地質百選に選定された(「恐山の金鉱床」)。地質調査によると、その金の含有量は鉱石1トン当たり平均約400グラム、場所によっては6500グラムにも達し、世界でも最高の品質を誇る金の鉱脈である。ただし、この一帯は国定公園に指定されている上、土壌には高濃度の砒素が含まれていて、ここの地面を掘れば作業者の生命にも危険が及ぶため、商業目的の金の採掘は不可能とされている。

恐山の「地獄」付近には火山性ガス(亜硫酸ガス)が充満していて特有の硫黄臭が鼻を突く。注意が必要である。

恐山冷水[編集]

恐山冷水

むつ市街より恐山に至る恐山街道(青森県道4号)には途中、整備された湧き水冷水(ひやみず)がある。

鉱山としての恐山[編集]

明治~昭和初期にかけての恐山一帯には硫黄鉱山があり、現在境内となっている宇曽利湖北岸の大部分を鉱区が占めていた。寺の東側に下北鉱山区(現在温泉がある場所)、地蔵山西側に宇曽利鉱区、東側に八滝鉱山があり、県道周辺に飯場や遊郭などがあった。当初は三井鉱山によって採掘が行われ、後に王子製紙の所有となっていた。戦後廃坑となったが、現在でも地蔵山周辺に遺構を見ることが出来る。

交通手段[編集]

  • 東日本旅客鉄道(JR東日本)大湊線下北駅から下北交通バス恐山線で40-43分(下記の開山期間のみ運行。1日4往復。ただし恐山大祭期間中と秋詣り期間中は増発あり)。以前は下北交通大畑線(旧国鉄大畑線)で市街地の田名部駅まで行くことができたが、下北交通の鉄道事業からの撤退により大畑線は廃止され、市街地を外れた下北駅からバスを利用しなければならなくなった。
  • むつ市田名部より恐山街道青森県道4号)。山門前に約300台駐車可能の駐車場有り。無料。

脚注[編集]

  1. ^ 『日本歴史地名大系 青森県の地名』(平凡社、1982)、p.270; 『角川日本地名大辞典 青森県』(角川書店、1985)、p.231

参考文献[編集]

  • 鳴海健太郎 『下北の海運と文化』 北方新社〈青森県の文化シリーズ10〉、1977年。
  • 宮崎ふみ子 / ダンカン・ウィリアムズ 「地域からみた恐山」『歴史評論』第629号、2002年9月。
  • 青木正博 「〈私の推薦する天然記念物〉”恐山型”金鉱床」『地質ニュース』453号、24頁、1992年5月。PDF

関連項目[編集]

外部リンク[編集]