秋田駒ヶ岳

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秋田駒ヶ岳
Akitakoma-take2.jpg
6月の秋田駒ヶ岳
標高 1,637.4 m
所在地 秋田県仙北市
岩手県岩手郡雫石町
位置 北緯39度45分39.9774秒
東経140度47分57.7149秒
座標: 北緯39度45分39.9774秒 東経140度47分57.7149秒
山系 奥羽山脈
種類 成層火山 (活火山ランクB)・常時観測火山
秋田駒ヶ岳の位置
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秋田駒ヶ岳(あきたこまがたけ)とは、秋田県仙北市岩手県岩手郡雫石町に跨る活火山である。十和田八幡平国立公園の南端。標高1,637m。全国に数多い駒ヶ岳のなかで最も高山植物の豊富な山としても知られる。気象庁の常時観測火山に指定され「噴火警戒レベル」が導入されている。

概要[編集]

6月の秋田駒ヶ岳

駒ヶ岳は、十和田八幡平国立公園の南端にある秋田県第一の高峰である(最高地点は鳥海山山腹)。山頂部には北東-南西方向に2つのカルデラが並び、本峰の男岳(おだけ、1,623m)や火口丘の女岳(めだけ、1,512m)、寄生火山の男女岳(おなめだけ、女目岳とも書く、1,637m)からなる。各地の駒ヶ岳と区別するために秋田駒ヶ岳と呼ばれ、地元では「秋田駒(あきたこま)」とも呼ばれる。昔は女人禁制の信仰の山であった。

乳頭山(岩手県側では烏帽子岳と呼称)からは山頂が広い湿原となっている小白森大白森を経て八幡平へ繋がっている。尾根が登山道となっており、間には避難小屋も整備されているので縦走に便利である。秋田駒ヶ岳から乳頭山への縦走路から外れたところには千沼ヶ原と呼ばれる大きな湿原があり、秋田駒ヶ岳山頂と比べて訪れるものも少なく、静かな佇まいを見せる。

標高が低いため正確な意味では高山帯を持たないが、頂上効果によって広大な偽高山帯が発達している。現在も活発な活火山であり、頂上部の地形が絶えず変形し攪乱を受けることも、偽高山帯が維持される要因となっている。山頂一帯に咲くヒナザクラタカネスミレコマクサエゾツツジなどの数百種類の高山植物群は、1926年大正15年)2月、秋田駒ヶ岳高山植物帯として国の天然記念物に指定された。

地学的知見[編集]

乳頭山-秋田駒ヶ岳火山列の中では形成時期が最も新しい火山である。笊森火山および乳頭火山の形成時期は、各々約56万年前、36-63万年前、と考えられ、活動開始は約10万年前頃と推定されている。火山形成史は大きく3つに分けられ、活動順に主成層火山形成期、カルデラ形成期、後カルデラ活動期と呼ばれる。火山体の形成史に関わる研究は十分に行われておらず未解明な部分が多い[1][2]。火山活動と三陸沖の地震に関連性が有るとする見解がある[3]

観光[編集]

山開きは毎年6月1日に行われる。登山は、標高1305m地点にある登山基地「八合目」を利用するのが手軽である。八合目は日窒の硫黄鉱山跡に建設されている。そこから新道コース約50分で阿弥陀池(あみだいけ)という沼に到着する。新道コースは展望も優れ、急登がないので、最も一般的なコースである。阿弥陀池の湖畔には避難小屋が建てられている。そこから、約20分で男岳や男女岳に到着する。旧道コースは道が荒れており、急登があるが40分程度で避難小屋まで到着する。焼森(1551m)コースは、焼森や横岳(1583m 秋田・岩手県境になっている)を通過する1時間程度のコースでシャクナゲが多く、シャクナゲ通りとも言われている。

八合目まで車道が通り、車で入山できる手軽さから、夏季には観光客が殺到するため、環境保護のため早朝から夕方までマイカー規制が取られており、駒ヶ岳火山防災ステーション(アルパこまくさ)から定時のシャトルバスが発着している。麓の乳頭温泉郷は、混雑する秘湯として全国的に有名である。

火山活動[編集]

細長いカルデラの中に女岳・小岳・南岳の中央火口丘があり、カルデラの外に最高峰の男女(女目)岳があり一等三角点が設置されている。男岳・横岳はカルデラ外輪山のピークである。

主な活動史[編集]

有史時代の噴火は4回あったとされているが、明治時代以前の歴史資料中の記述が不明確で信頼性に欠けている[4]。確実な噴火は、1932年、1970-71年の2回である[5]

  • 915年以前 マグマ噴火、噴火場所は小岳で火砕物降下。
  • 1890年12月 水蒸気噴火、火砕物降下?鳴動、噴石。1891年1月まで活動。
  • 1932年7月21日から26日 南部カルデラのカルデラ床で水蒸気爆発。11個の火口から火山灰と小規模な泥流を噴出[6][7][8]
  • 1933年 鳴動、噴気異常等、女岳白煙。
  • 1970年[9][10] 死傷者や家屋の損壊などは無し。
    • 8月29日 女岳山頂付近で噴気と地温の上昇。噴火前2週間ほどで起こった火山性地震は3回。
    • 9月17日5時24分頃 女岳が噴火。ストロンボリ様式の噴火で女岳の山頂に形成されたスコリア丘から玄武岩質安山岩の溶岩流が発生しカルデラ内を530m流下した[11]火山爆発指数:VEI2
  • 1972年10月 カルデラ壁および女岳で噴気活動活発化し噴気地帯拡大。
  • 1976年7月 女岳山頂及びその付近で地中温度が1年前に比べてやや高温化。噴気活動も多少活発。
  • 2003年5,6月 山頂部ならびに北西山腹で低周波地震を含む地震群発。
  • 2005年 女岳で地熱活動活発化。地温上昇、噴気地拡大、熱消磁。
  • 2009年平成21年)10月27日 噴火警戒レベルが導入された[12]
  • 2011年3月 東北地方太平洋沖地震以降、山頂付近から北側約5km以内の範囲で地震活動が活発化。

参考画像[編集]

出典[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 秋田駒ヶ岳火山 Akita - Komagatake Volcano 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
  2. ^ 和知剛ほか(1997)秋田駒ヶ岳のテフラ層序と噴火活動 火山 42(1), 17-34, 1997-03-07
  3. ^ IBC岩手放送「県内の活火山」2014年10月4日、5日OA IBC岩手放送
  4. ^ 有史時代の噴火記録 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
  5. ^ 秋田駒ヶ岳 有史以降の火山活動 気象庁
  6. ^ 大塚彌之助:秋田駒ケ嶽火山爆裂調査記 地震 第1輯 Vol.4 (1932) No.10 P593-607
  7. ^ 秋田縣駒嶽爆發調査報告 國富信一・鷺坂淸信 驗震時報第6巻 pp.155-180 (PDF)
  8. ^ 有史時代の噴火記録 - 1932年噴火 - 産業技術総合研究所
  9. ^ 有史時代の噴火記録 - 1970-71年噴火 - 産業技術総合研究所
  10. ^ 岡崎紀俊ほか(1990):秋田駒ケ岳・女岳の構造 火山. 第2集 35(4), 375-388, 1990-12-28
  11. ^ 木沢綏:1970-1971,秋田駒ヶ岳の活動機構と煙環現象 Papers in Meteorology and Geophysics Vol.23 (1972) No.2 p.136-147, JOI:DN/JST.JSTAGE/mripapers1950/23.2_136
  12. ^ 気象庁|平成21年報道発表資料 "平成21年10月27日10時から秋田駒ケ岳に噴火警戒レベルを導入します"” (2009年9月30日). 2009年10月1日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]