筑波山
| 筑波山 | |
|---|---|
| 標高 | 877 m |
| 所在地 | |
| 位置 | 北緯36度13分31秒 東経140度06分24秒 |
| 山系 | 八溝山地 |
| 種類 | 堅牢残丘 |
筑波山の位置
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筑波山(つくばさん)は、関東地方東部の茨城県つくば市北端にある標高877mの山。西側に位置する男体山(標高871m)と東側に位置する女体山(標高877m)からなる。雅称は紫峰(しほう)。筑波嶺(つくばね)という異称も持つ。
目次 |
[編集] 概要
美しい姿から富士山とも対比され、「西の富士、東の筑波」と並び称される。茨城県の県西地方からの眺めが美しいとされる[1]。山頂付近は自然公園法に基づく特別保護地区に指定されており、樹木の損傷・植栽、動植物の捕獲・採取、たき火などの行為が禁止されている。古くは『万葉集』にも詠まれ、日本百名山、日本百景の一つに挙げられている。百名山のなかでは最も標高が低く、開聞岳(標高924m)とともに1000m未満の山。独立峰と誤解されがちだが、実際には八溝山地最南端の筑波山塊に位置している[2]。火山と間違えられることがあるが[3]、筑波山は火山ではなく、深成岩(花崗岩)が隆起して風雨で削られたため現在のような形になったとされる。なお、山頂部分は花崗岩ではなく斑れい岩からなる。
山全体を見ると、石岡市および桜川市にもまたがっている。男体山及び女体山山頂には筑波山神社本殿があり、山腹に筑波山神社拝殿がある。古くからの信仰の場であり、『常陸国風土記』には筑波山の神が登場する。隣接して坂東三十三箇所25番札所の筑波山大御堂(中禅寺)もある。ガマの油売りの口上が行われた。
関東平野を一望するロケーションの良さからアマチュア無線用中継局筑波山レピータもある。関東平野の北東部に位置していることと、関東平野では希有な独立峰的な山であることから、気象観測や無線通信の上でも重要な拠点とされ、山頂付近には数多くのアンテナが存在する。富士山の景観が素晴らしいことから、2005年に関東の富士見百景に選定された。2007年、日本の地質百選に選定された。
真珠湾攻撃の際、南雲中将の第一航空艦隊に"真珠湾を攻撃せよ"を命じる隠語は「ニイタカヤマノボレ」であったが、"直ちに帰投せよ"を表す隠語は「ツクバヤマハレ」であった。
[編集] 歌垣と『万葉集』
また、筑波山は古来より農閑期の行事として大規模な歌垣が行われ、近隣から多数の男女が集まって歌を交わし、舞い、踊り、性交を楽しむ習慣があった。これは今年の豊穣を喜び祝い、誰かれなく言い寄り自由に性交することで、さらに来る年の豊穣を祈る意味があった。 『万葉集』第9巻の1759番に収められている高橋虫麻呂作の歌には、
- 鷲の棲む 筑波の山の 裳羽服津(もはきつ)の その津の上に
- 率(あども)ひて 未通女(をとめ)壮士(をとこ)の 行き集ひ
- かがふかがひに
- 人妻に 吾(あ)も交はらむ わが妻に 人も言問へ
- この山を 領(うしは)く神の 昔より 禁(いさ)めぬわざぞ
- 今日のみは めぐしもな見そ 言(こと)も咎むな
- (現代語訳)
- 鷲の棲む筑波山の裳羽服津の津のほとりに、
- 男女が誘い合い集まって、舞い踊るこの歌垣(かがい)では、
- 人妻に、私も性交しよう。我が妻に、人も言い寄ってこい。
- この山の神が昔から許していることなのだ。
- 今日だけは目串(めぐし、不信の思いで他人を突き刺すように見ること)はよせよ、 咎めるなよ
と、これから行われる歌垣への期待で興奮する気持ちが素直にのびのびと表現されている。
[編集] 筑波山梅林
筑波山中腹(標高250m付近)にはつくば市営の梅林がある。白梅、紅梅などの約30種、3,000本程の梅が約4.5haの園内に植えられており、「木道」や「あずまや」が整備されている。早咲きのものは1月下旬から見頃となり、最盛期には山肌からところどころのぞく筑波石の巨岩と満開の梅とが独特の風景をつくり出す。また、好天時には富士山や東京の高層ビルを見渡せることもある。
毎年2月中旬から3月中旬にかけて開催される「筑波山梅まつり」期間中には、ガマの油売り口上、甘酒・梅茶のサービス、茶会などが催され多くの観光客が訪れる。
[編集] 筑波山のみかん
筑波山周辺は冬季の寒さが厳しいものの、標高140m付近ではミカン栽培が行われている[4]。このミカンは「筑波みかん」と呼ばれる在来種で、直径2cmの小型みかんである[4]。
筑波山腹でミカン栽培を可能にしているのは、斜面温暖帯(Thermal belt)の存在である[5]。斜面温暖帯は山の中腹が山麓よりも気温が高い地帯であり[6]、筑波山の標高170 - 270m付近に山麓より3、4℃高い地帯が帯状に分布する[5]。この斜面温暖帯がミカン栽培の条件をかろうじて満たしていることから、ミカン栽培が行われ[5]、1980年代頃には観光ミカン園が出現した[7]。
筑波山のみかんのように斜面温暖帯を利用している日本の事例としては、ほかに静岡県の茶栽培が挙げられる[6]。
[編集] アクセス
1987年に筑波鉄道筑波線が廃止されて以降、筑波山への公共交通機関によるアクセスは著しく後退・悪化していたが、2005年に首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス(TX)の開業と同時につくば駅前からの直行シャトルバスの運行が開始されたことにより、筑波山への公共交通機関の利便性は回復・向上した。
2006年4月1日には、「つくバス」北部シャトル開業、筑波山神社入口・つつじヶ丘方面の路線バス増便により、山麓の筑波山口バスターミナル乗り換えでのアクセス利便性も向上している。
紅葉などのピーク期には周辺道路が激しく渋滞し、バスの定時運行が困難なことがある。公共交通の定時性確保のために、パークアンドライドなどが一部期間において実施されている。
[編集] つくば駅から直行
つくばエクスプレスつくば駅下車。駅の地上にあるつくばセンターバスターミナルから筑波山シャトルバス(方向幕は「直行 筑波山」)に乗車し「筑波山神社入口」(約40分)、「つつじヶ丘」(約50分)下車。2006年7月16日より増便され、乗客が多く見込める時間帯は、平日60分間隔、土曜・休日30分間隔で運行される。途中停留所・乗り換えが無く、筑波山へ直行し、列車・バス共に最も本数が多いメインルートである。
[編集] 筑波山口バスターミナルまで
- つくばエクスプレスつくば駅下車。つくばセンターバスターミナルからつくバス北部シャトル「N筑波山口行き」に乗車し、「筑波山口」下車(約35分、つくばエクスプレス快速列車に接続)。
- JR常磐線土浦駅下車。駅西口から関東鉄道バス「筑波山口行き」または「真壁駅行き」に乗車し、「筑波山口」下車(約50分)。バスはつくば駅からのルートに次ぐ運行本数で、筑波鉄道代替であるかつてのメインルートの一つである。
[編集] 筑波山口バスターミナルから
- 関東鉄道「筑波山神社入口行き」または「つつじヶ丘行き」(筑波山神社入口経由)が運行されていたが、2011年4月に廃止された。代替として、シャトルバスを沼田停留所に停車させ、クローズドドアシステムについても廃止することで、つくバス北部シャトル・土浦駅からの乗り継ぎ利用者、および筑波山神社入口 - つつじヶ丘のみの利用客に対する利便を確保している。
- つくタクを利用。こちらも、2011年4月まではつくバス地域循環[1コース]の筑波山神社方面行きとして運行されていた。
[編集] つくば周遊巡回バス
2006年11月中は、秋の紅葉シーズンであることから、TXつくば駅や常磐線土浦駅を発着する「つくば周遊巡回バス」(土日運行、乗り放題大人1500円、小人750円、週末の2日間有効)が運行された。筑波山に加えて周辺の真壁の町並み(桜川市)、茨城県フラワーパーク(バラが有名)、やさと温泉「ゆりの郷」、常陸風土記の丘(石岡市)、小町の里(そば打ち)、果樹園、霞ヶ浦湖畔などを周遊することが可能。また、この期間中、道路の渋滞が予想されたため、1000台近い臨時駐車場とパークアンドバスライドなどの対策が実施された。
[編集] 登山
[編集] ケーブルカー
筑波山神社拝殿横の宮脇駅より山頂近くの御幸ヶ原まで筑波山鋼索鉄道線(筑波山ケーブルカー)が運行されている。宮脇駅は関東鉄道などの「筑波山神社入口」バス停下車、徒歩(門前町を通り抜ける)。宮脇駅に近い「筑波神社前」への一般路線バス乗り入れが廃止されたため、路線バスとケーブルカーの乗り換えは、以前より歩く距離が200mほど長くなっている。徒歩乗り換え経路は坂道及び石の階段であり、乗り換え時間は最低15分~20分以上必要(途中には土産物店、そば店などの店、神社拝殿があり、この経路も観光・参詣の一環として考えられる)。
[編集] ロープウェイ
つつじヶ丘駅より女体山山頂まで筑波山ロープウェイが運行されている。つつじヶ丘駅は関東鉄道などの「つつじヶ丘」バス停前である。
[編集] 観光コースの例
- つくば駅→(筑波山シャトルバス)→つつじヶ丘→(ロープウェイ)→女体山→(歩き)→御幸ケ原(展望台)・山頂駅→(ケーブルカー)→宮脇駅→(門前町を歩く)→筑波山神社入口バス停→(筑波山シャトルバス)→つくば駅
[編集] 登山道
つくばエクスプレスの開業後、観光登山客が増えているが、標高が低い割に危険な箇所もある。登山道は全部で7つあるが、130ほど違法な「登山道」がつくられ、「ここから先は登山道ではありません」と警告を意味する立て札などがある。身動きできなくなった登山客が携帯電話で救助を求めたこともある。JR水戸線岩瀬駅よりスタートし、御嶽山、雨引山、燕山、加波山、丸山、足尾山、きのこ山、弁天山、筑波山の順に筑波連山を縦走する登山者も多く、関東ふれあいの道の茨城県コースNo.7〜11にもなっている。
主な登山道は以下の通りである。
- 御幸ヶ原コース
- 白雲橋コース
- 迎場コース
- おたつ石コース
- 深峰遊歩道
- 「ユースホステルコース」と言われていたが、筑波山中腹にあった筑波山ユースホステルは廃業して解体されたために森林管理署図版ではこの名称を用いている。「旧ユースホステルコース」と記載している案内図もある。関東ふれあいの道の茨城県コースのNo.10「筑波山頂めぐりの道」のコースの一部でもある。
- キャンプ場・女体山コース
- 薬王院コース
[編集] 筑波山画像ギャラリー
[編集] 脚注
- ^ 『世界大百科事典』(平凡社 2007年)の「茨城県」の項より
- ^ かつては広義の阿武隈高地に含めることもあったが、現在では地形的にも異なった別の山系とされている(参考文献:東京大学出版会『日本の地形4 関東・伊豆小笠原』4ページ 貝塚爽平ほか編、2000年発行)。
- ^ 川辺禎久"筑波山 - 火山学者に聞いてみよう -トピック編-"日本火山学会 (2011年8月5日閲覧。)
- ^ a b 関口(1983):167ページ
- ^ a b c 筑波大学大気科学分野植田宏昭研究室"筑波山のふもとでみかん狩り「酒寄観光みかん園」"(2011年8月5日閲覧。)
- ^ a b 千葉大学環境リモートセンシング研究センター近藤研究室"斜面温暖帯"(2011年8月5日閲覧。)
- ^ 関口(1983):168ページ
[編集] 参考文献
- 関口武『気象と文化』東洋経済新報社、昭和58年11月4日、290pp.
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 筑波山シャトルバス - 関東鉄道・関鉄グリーンバス・関鉄パープルバス
- 筑波観光鉄道 - 売店情報も
- つくば市観光協会 筑波山ガイド - 音声あり
- 筑波山きっぷ - つくばエクスプレスの駅発
- 筑波山歩きと登山の会 - 筑波山および周辺の山を登る国際ハイキングクラブ
- ウオッちず
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